トヨタ は、プリウス をマイナーチェンジし、12月19日より発売する。今回のマイナーチェンジでは、内外装を変更し、個性や先進性を強調するとともに、質感の向上を実現。また、吸音材の追加などにより静粛性を高めたほか、ボディ剛性を強化し、乗り心地と操縦性・走行安定性を向上させた。

現行プリウスは、乗り心地に関しては高い評価は得られていなかった。今回のマイナーチェンジでは、乗り心地性能の土台となるボディの強化もされ根本的な部分から見直しをしているようなので、期待度は高い。

エクステリアは、フロントバンパー、フロントグリル、アンダーグリル、リヤコンビネーションランプ、15インチホイールキャップなどのデザインを変更。大きく変わった印象はないものの、フロントまわりは全体的に精悍さが増しスポーティなルックスとなっている。また、外板色は新設定のボルドーマイカメタリック、フロスティーグリーンマイカメタリック、ライトパープルマイカメタリックを含む全８色としている。

インテリアは、シフトノブ周りやステアリングスイッチベースを高輝度シルバー塗装とするなど、質感を向上。シートカラーにブルー＆ブラック、ブラウン＆ブラックのツートーンカラーをメーカーオプションで設定した。

さらに、EV 走行時などの低速時に車両の接近を知らせる車両接近通報装置を全車標準装備。G、Gツーリングセレクションには、フロントドアガラスにスーパーUVカットガラスを新たに採用した。

今回のマイナーチェンジでは、ボディ剛性を含め操縦安定性、乗り心地を含め、クルマの基本的な部分に手を入れてきたのは十分に評価できる。イマイチだった乗り心地を含め、どれだけ進化したか楽しみでもあり、プリウスの魅力をより引き上げている。

　マイナーチェンジと同時に、価格が少々アップされている。量販グレードのプリウスSで、232万円と12万円ほど価格が上昇。鋼材やレアアース（希土類）など素材価格の高騰を反映させたとの報道も多くされているが、どうやらそれだけではなさそうな価格アップなのだ。

プリウスが登場した当時、トヨタ VSホンダ のハイブリッド 戦争ということもあり、プリウスは205万円という驚きのロープライスで勝負に出た。商品力と価格もあり、ハイブリッド戦争はトヨタの圧勝となった。

だが、多くのトヨタ関係者がプリウスの価格はハイブリッド戦争を制する意味はあったが、ガソリン車を含めたトヨタの車種ラインアップの価格バランスを大きく崩したとコメントしている。実際、プリウス以降に登場するクルマは、フルモデルチェンジであろうと価格アップを抑えてライバル車と言うより、プリウスの価格に合わせてバランスを取ってきたようだ。

また、プリウスは2009年5月にフルモデルチェンジしている。通常6年のモデルサイクルであるならば、2012年5月頃が妥当な次期。あれだけ売れているクルマなら、後ろにマイナーチェンジの時期が伸びることがあっても、前倒しになることはなかなかない。そう考えると、12月にマイナーチェンジをしなくてはならない理由があったと推測できる。

その理由は、12月26日発売される予定の話題のコンパクト ハイブリッドカー 、新型トヨタ アクア の存在だ。新型トヨタ アクアの量販グレードの価格は180前後と言われている。そうなると、アクアの上級グレードは200万円を軽く超えてくることが予想できる。この価格帯だと、マイナー前のプリウス旧価格帯では、微妙にアクアと価格が被る可能性があったのだ。もともと、アクアは、ホンダ 　フィット ハイブリッドなどがライバル。価格が被ることで、身内でパイの取り合いになるようでは、マーケットシェアを広げることはできない。また、他のガソリン車との一度バランスが崩れた価格を修正する意味もある。今回のプリウスがマイナーチェンジで価格を上げた意味は、原材料の高騰だけではない理由が見え隠れしている。どちらにしても、トヨタのハイブリッドカーラインアップが、より強固にになるのは間違い無い。より良いハイブリッドカーをより安く、というユーザー視点の導入が見送られているのが、クルマは良くなっているだけに残念なポイントだ。

＜トヨタ プリウス価格＞

・Ｌ　　2,170,000円
・Ｓ　　2,320,000円　　ツーリングセレクション　　2,520,000円
・Ｇ　　2,520,000円　　ツーリングセレクション　　2,720,000円
ツーリングセレクション　レザーパッケージ　3,340,000円