国内専用車としての価値をアピールするクラウン
トヨタは、主力セダンであるクラウンを一部改良。同時に、65周年を記念した2つの特別仕様車と従来型車で好評のスポーツテイストの特別仕様車、計3タイプを設定し発売を開始した。
初代クラウンの登場は1955年ということもあり、65周年にあたる。これだけ長い期間車名を継承してきたモデルは数少なく、クラウンは、まさにトヨタを代表するモデル。
また、クラウンは、ほぼ国内専用車として開発されている。日本マーケット専用車ともいえるもので、日本での使い勝手の良さや、多くの顧客ニーズが反映されている。こうした日本専用車ともいえるモデルは、グローバル化と効率化の名の元に、ドンドン姿を消してきた。しかし、クラウンはその歴史の長さや多くの顧客もいることから、未だ国内専用車としての価値をアピールし続けている。
劇的進化を遂げた15代目クラウン
現行となる15代目トヨタ クラウンは、2018年に登場した。このモデルから、クラウンはトヨタ最新のGA-Lプラットフォームを採用し、劇的な進化を遂げた。大幅に低重心化されたこともあり、運動性能は大幅に向上。同時に、快適な乗り心地も得た。
パワーユニットは、ハイブリッド車人気ということもあり、直2.5LとV6 3.5Lハイブリッド、ガソリンの直4 2.0Lターボの3タイプが用意されている。
プラットフォームが新開発されたことで、15代目クラウンは非常に高いレベルのセダンへと進化。欧州セダンにも負けない実力を得た。
よいクルマだが、突如売れなくなったクラウン。背水の陣でのぞむ2020年度
しかし、非常によいクルマになったのにもかかわらず、国内販売は低迷中だ。2019年度の販売台数は29,680台。登録車販売台数ランキングでは、29位となった。国産セダンマーケットが壊滅的な状態の中、セダンモデルの中でトップ。これは、健闘していると見るべきなのだが、販売台数が少ない。
フルモデルチェンジ直後の2018年度は58,548台を販売。先代となる14代目クラウンのモデル末期である2017年度は、26,316台を販売している。モデル末期だった2017年度の販売台数は、2019年度の販売台数とほぼ同等だ。
つまり、15代目クラウンは、デビューから2年目で先代のモデル末期時並みしか売れなくなっているのだ。これには、さすがのトヨタも危機感をもっているようで、早くもデビューから1年後に特別仕様車を投入している。
デビューから3年目となる2020年度は、マイナーチェンジ前となるため、通常販売台数が落ちてくる。しかし、ここまで落ちてくると、さすがに仕方ないでは済まさされない。
そこで、マイナーチェンジ前に一部改良を施した。トヨタがマイナーチェンジ直前に改良するというのは、かなり異例ともいえる。
さらに、その上で3タイプの特別仕様車を投入し、マーケットを活性化させたい狙いがある。また、追い打ちをかけるように、新型コロナ不況が加わり、クラウンは約1年後のマイナーチェンジまでの間、背水の陣で挑むといった印象だ。
スマートフォン連携と、装備を見直し一部グレードの価格を引き下げ
今回の改良では、T-Connect SDナビゲーションシステムにSmartDeviceLinkやApple CarPlay/Android Autoといったスマートフォン連携機能を追加し、スマホアプリをナビに表示し操作ができるようにした。ただ、今や、スマホ対応は当り前。AIを活用した音声操作時代に入っている。
また、ドアトリム&インストルメントパネルの加飾に合成皮革(除くG“Executive”、G Four“Executive”)を採用し上質感を高めた。そして、RS、RS Fourは装備の内容を厳選した仕様に変更している。この仕様変更により、価格が引き下げられている。クラウン不調理由のひとつである、価格が高いという評価を受けての変更といえるだろう。
上質&スポーティにまとめた特別仕様車、クラウン RS“Limited”
まず、一つ目の特別仕様車、クラウン RS“Limited”、RS Four“Limited”は、65周年を記念した特別仕様車 RS“Limited”、RS Four“Limited”は「RS」、「RS Four」をベースにブラックスパッタリング塗装の18インチアルミホイール、ファブリックと合成皮革を組み合わせ、上質かつスポーツテイスト高めたシート(前席シートヒーター付)などを採用した。
また、安全装備であるブラインドスポットモニター、リヤクロストラフィックオートブレーキ[パーキングサポートブレーキ(後方接近車両)]や快適装備である助手席肩口パワーシートスイッチ(シートスライド&リクライニング)などをセットにした“C package”相当を装備した。
上質感にこだわった特別仕様車クラウンS“Elegance Style Ⅱ”
2つ目の特別仕様車クラウンS“Elegance Style Ⅱ”は、「S」、「S Four」をベースに内外装をより上質感ある仕様に仕上げた。
外観には、ハイパークロームメタリック塗装の18インチノイズリダクションアルミホイール&センターオーナメントと、メッキ加飾を施したアウトサイドドアハンドルを特別装備しました。
インテリアには、ブラック、ライトグレー、こがねの3色を設定。シートはスエード調で上質素材のブランノーブと合成皮革を組み合わせた。センターコンソールパネルには、美しい木目が特徴的な黒木目(欅調)を採用している。
また、安全装備であるブラインドスポットモニター、リヤクロストラフィックオートブレーキ[パーキングサポートブレーキ(後方接近車両)]や快適装備である助手席肩口パワーシートスイッチ(シートスライド&リクライニング)などをセットにした“C package”相当を装備した。
スポーツテイストを際立たせた特別仕様車クラウンS“Sport Style”
3つ目の特別仕様車クラウンS“Sport Style”は「S」、「S Four」をベースに、内外装にスポーツテイストを高める装備を施した。
外装にはブラックスパッタリング塗装の18インチノイズリダクションアルミホイール、スモーク塗装のBi-Beam LEDヘッドランプとLEDリヤコンビネーションランプ、スモークメッキを施したフロントグリルモールやフロントフォグランプリングなどを特別装備し、大人のスポーティさを演出。
内装においては、内装色をブラックとし、『赤』をアクセントとして配置したデザインとした。
また、安全装備であるブラインドスポットモニター、リヤクロストラフィックオートブレーキ[パーキングサポートブレーキ(後方接近車両)]や快適装備である助手席肩口パワーシートスイッチ(シートスライド&リクライニング)などをセットにした“C package”相当を装備した。
売れなくなった理由は価格? 500万円位がクラウンの適正価格か?
この3つの特別仕様車は、販売不振を払拭すべく役割を担う。15代目クラウンは、フルモデルチェンジ直後から価格が高いと話題になっていた。デビュー直後の価格帯は、ハイブリッド車が500~720万円位だ。この価格帯だと、ハイブリッド車とはいえ、BMWやメルセデス・ベンツなどの欧州プレミアムセダンと、ほとんど変わらない価格になる。
ただ、顧客は、国産車としてのコストパフォーマンスをクラウンに求めているようで、価格が500万円を超えると売れなくなる傾向があるという。そのため、先代クラウンはモデル末期になると500万円を切るお買い得な特別仕様車が登場した。
こうした流れもあり、今回の特別仕様車も魅力的な装備を装着しながら、価格アップを抑えている。価格も500万円台前半だ。
お買い得感があるので、クラウンの購入を考えているのなら、まずこの3つの特別仕様車を基本に選択するといいだろう。
もちろん、購入時には欧州セダンと競合させて大幅値引きを勝ち取りたい。現在、新型コロナ不況で少ない顧客を奪い合う状態が続いている。一定の値引きが獲得できれば、クラウンの特別仕様車は、ベストな買い物になるだろう。
トヨタ クラウン特別仕様車価格
・クラウン 特別仕様車RS“Limited” 2.0Lターボ 2WD(FR) 5,169,000円/2.5Lハイブリッド 5,389,000円
・クラウン 特別仕様車 RS Four“Limited” 4WD 2.5Lハイブリッド 5,609,000円
・クラウン 特別仕様車S“Elegance Style Ⅱ” 2.0Lターボ 2WD(FR) 5,063,000円/2.5Lハイブリッド 5,283,000円
・クラウン 特別仕様車S Four“Elegance Style Ⅱ” 2.5Lハイブリッド 4WD 5.503,000円
・クラウン 特別仕様車S“Sport Style” 2.0Lターボ 2WD
(FR) 5,063,000円/2.5Lハイブリッド 5,283,000円
・クラウン 特別仕様車S Four“Sport Style” 2.5Lハイブリッド 4WD 5,503,000円
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