トヨタ RAV4 PHV新車情報・購入ガイド ライバル不在! 圧倒的な燃費値を誇る新プラグインハイブリッドシステム
RAV4の最上級グレードとなるPHV
トヨタはSUVのRAV4に、PHV(プラグインハイブリッド)仕様を追加し発売を開始した。RAV4 PHVは、RAV4の最上級グレードとなるモデルで、RAV4の基本性能にプラグインハイブリッドシステムの魅力を追加した注目モデルだ。
トヨタRAV4の初代モデルは、1994年に発売された。カローラ系の基本コンポーネンツを採用するなど、当時のクロカン4WDとは異なる乗用車系クロスオーバー車として新しい市場を切り開いたモデルだった。
初代モデルは日本でもヒットしたが、欧米や新興国など世界中で大ヒットしたこともあり、各国からの要望を入れてモデルを重ねるごとに大型化され、一時は日本市場から姿を消すことになった。
2019年4月に発売された現行モデルは、通算5代目(日本では4代目が発売されなかったので、このモデルが4代目)に当たる。また3代目において国内でショートボディだけの設定にしたが、海外ではショートとロングの両方を販売していて、そのロング版をヴァンガードの名前で販売したこともあった。初代も2代目もショートとロングの両方があったのだった。
エコカーなのに、スポーツカー並みの加速力
トヨタRAV4 PHVに搭載されたのは、新開発のプラグインハイブリッドシステムである“THSⅡ Plug-in”だ。トヨタのハイブリッドシステムTHSⅡをベースに、充電ができるプラグインとしたものだ。
プラグインハイブリッドというと、環境性能の方が強調されがちだが、トヨタはこのRAV4 PHVについて、走りの楽しさを追求したとしている。
というのも動力性能が凄い。システムとして発揮できる最高出力は225kW(306ps)に達し、モーターを最大限活用することで瞬時の加減速が可能という。
しかも、PHVならではのエンジンによるアシストも加わるので、0-100km/hの加速タイムは6.0秒(トヨタ測定値)と極めて力強い加速を実現した。重量の重いSUVボディで、しかも重いリチウムイオン電池を搭載しながらこの加速は凄い。ちょっとしたスポーツカー並みの実力といっていい。
システム出力306ps!
RAV4 PHVのプラットホームは、TNGAの設計思想を取り入れたGA-K。大容量リチウムイオンバッテリーを車体中央の床下に搭載することで、さらなる低重心化、重量バランスの最適化を追求した。これによって、ドライバーの感性を重視した上質な乗り心地と優れた操縦安定性を実現したという。
具体的なシステムは、搭載エンジンが直列4気筒2.5LのA25A-FXS型で、エンジン単体の動力性能は最高出力が130kW(177ps)/6000rpmで、最大トルクが219N・m/3600rpmを発生する。これにフロントモーターが134kW(182ps)と270N・mの動力性能を発生し、E-Four(電気式4WD)用のリヤモーターが40kW(54ps)と225N・mを発生する。
これらを組み合わせたシステムとして225kW(306ps)を発生し、それをE-Fourによって効率良く路面に伝えることで6.0秒の加速を実現したわけだ。
4WDを含めたPHVシステムは、走行安定性の向上に大きく貢献するほか、コーナリング中の安定感、また降雪時や雨天時などの滑りやすい路面での走行に安心感を提供する。
EV航続距離は95km! ハイブリッド燃費は22.2km/L!
なお、リチウムイオン電池は容量が51Ahで総電力量が18.1kWhとされている。電気自動車の搭載量には及ばないものの、十分すぎるくらいの総電力量である。
リチウムイオン電池を満充電状態にすると、EV走行距離は95kmに達し、ハイブリッド燃費は22.2km/Lを達成している。数値はいずれもWLTCモードのものだ。
1回の満充電で95kmも走行できれば、通勤や送迎、買い物といった日常的な使い方であれば、ほとんどEVでの走行が可能となる。CO2の排出を大幅に抑えることができるし、電気はガソリンより圧倒的に安価なので経済性も高い。しかも、ガソリンをほとんど使わないということは、給油する回数も激減し時間の節約にもなる。
この燃費に加えてガソリンタンクの容量を55Lも確保することで、航続距離は1300km以上に達する計算になる。文字通り“どこまでも行けそうな”走行距離だ。
驚いたのは、ハイブリッド燃費だ。ハイブリッド車の燃費は20.6km/Lなのに対してPHVは22.2km/Lと約8%も燃費が向上している。PHVの車重は1,900kgなのに対して、ハイブリッド車は1,690kg。PHVは210㎏もハイブリッド車より重いのに燃費でもハイブリッド車を上回っていることから、いかに新開発のプラグインハイブリッドシステムが優れているかが分かる。
もはや、このサイズのSUVで22.2km/Lという燃費値は世界トップと呼べるもの。新プラグインハイブリッドシステムは、もはや他メーカーの追随を許さない圧倒的な燃費値といえる。
ハイブリッド走行時の静粛性を向上
RAV4 PHVは、エンジンを使って走るHVモード走行時、バッテリーが備える性能を活用してエンジン回転数を抑えることで、加速時のエンジンノイズを低減。EVモード走行だけではなく、HVモード走行のときにも静かで上質なドライビング空間が確保される。
ほかにも、モーター主体の走りがもたらす静けさをさらに追求した上で、ボディへの入念なノイズ対策を実施した。吸遮音材の最適配置のほか、ダッシュパネルやフロアの吸音材範囲を拡大し、接合部の隙間も細部まで埋めることで、車内への音の侵入を抑制。高遮音性ガラスを採用し風切り音を低減するなど、静粛性対策を徹底している。
また、エアコンの冷媒を使ってリチウムイオン電池の温度管理を行うことや、エアコンにヒートポンプを採用することでエアコン仕様時の消費電力を抑制。さらに、リモート空調システムも採用。スマートフォンのアプリやスマートキーを用いて、エアコンを起動する。リチウムイオン電池の電気を活用して、最大20分間車室内の冷暖房を可能とした。RAV4 PHVには、こうしたPHVならではの技術もいろいろと盛り込まれている。
また、モーターやリチウムイオン電池の搭載で重量が重くなることに対応し、前後のショックアブソーバーの摩擦特性と減衰力特性を最適化。これによって、コーナリング時の優れた操縦安定性や、重厚感のあるしなやかな乗り心地を実現したという。
停電時、電源車としての価値を提供
RAV4 PHVには、停電・災害時などの緊急時やアウトドアに役立つ、最大1500W(AC100V)の外部給電機能が標準装備される。ラゲージ内に設置されたアクセサリーコンセントに加え、付属のヴィークルパワーコネクターを車両後方右側の普通充電インレットに差し込めば、外部給電用のコンセントとしての利用が可能になる。
使用目的に合わせて選べるEV給電モードとHV給電モードの2つの外部給電モードを設定。バッテリーだけを使って給電するEV給電モードに対し、HV給電モードはバッテリー残量が所定値を下回るとエンジンが起動し、ガソリン満タン状態なら3日程度の電力を供給できるから、万一の災害時にも余裕を持って対応できる。
急速充電器には非対応の訳は?
RAV4 PHVには急速充電機能がない。プリウスPHVには設定があるが、RAV4 PHVでは採用せず、一般の家庭はもちろん外出先でも対応可能な普通充電のみの設定だ。付属の充電ケーブル(AC200V・AC100V兼用)をコンセントに接続するだけで充電が可能になる。外出先ではPHV充電サポートに加入することで、G-Station(充電器)が設置されているトヨタ車両販売店(約4200基)をはじめ、全国の普通充電スポット(約1万800基)での充電が可能になる。
急速充電に対応しなかったのは、充電スポットを純電気自動車との間で取り合うのを避けるためと、急速充電機能を省くことで、販売価格で10万円ほど安くできることなどが理由だ。急速充電機能を備えなかったのは英断と言っていい。
ただ、単純に英断とは言えない部分もある。トヨタ側の理屈も理解できるが、そもそもトヨタディーラーにはほとんど急速充電器が設置されていない。トヨタが日産のように、ほとんどのディーラーに急速充電器を設置すれば、純電気自動車と急速充電器の取り合いになることはかなり少なくなるだろう。その上で、急速充電はオプション設定とすればいい。トヨタは業界のリーダーなのだから、今後PHVを増やしていくのであれば、そろそろ急速充電器などインフラ整備に力を入れるべきだ。
専用グリルで差別化したデザイン
RAV4 PHVの外観デザインは、RAV4ブランドの最上級モデルとして先進かつスポーティなイメージを追求するものとした。フロント回りは専用のフロントグリルとロアモールが、RAV4 PHVとしての個性を際立たせ、低重心で踏ん張り感のあるスポーティな表情を見せている。専用のLEDデイライトは先進感を強調するものだ。
新デザインの19インチ専用アルミホイールを設定し、切削光輝2仕上げのスポークとサイドのブラック塗装が、都会のシーンにも似合う洗練された上質感を表現している。
ボディカラーはRAV4 PHV 専用色となるエモーショナルレッドⅡを含む全6色を設定。ボディ下部のアティチュードブラックマイカとの組み合わせが、スポーティに引き締まったエクステリアを演出する。
また「BLACK TONE」の専用色として、ブラックが映える2トーンカラーの全5タイプを設定した。2トーンカラーは、ボディ下部に加えルーフとドアミラーをアティチュードブラックマイカでコーディネートされ、洗練された都会的なイメージを表現している。
スポーティで質感を高めたインテリア
インテリアは、天井やピラーから、オープントレイなどもブラックで統一した室内空間を作り、スポーティさとともに上質感を醸し出すレッドステッチを採用した。インストルメントパネルをはじめ、ドアトリム、シート、ステアリングホイール、シフトブーツ、センターコンソールにレッドステッチを施し室内をコーディネートしている。
合成皮革のシート表皮を採用したスポーティシートが全車に標準装備される。「BLACK TONE」と「G“Z”」には、陰影を際立たせる横基調のキルティング意匠と、レッドリボン加飾で上質さの中に力強さを演出した。
また「G」には、メイン材にファブリックの快適性と革のような質感を併せ持ったレザテックと呼ぶ素材を採用し、スポーティ感とシート全体の質感を向上させている。
充実した安全装備とコネクティッドサービス
9インチの大型ディスプレイオーディオ(DA)とDCMを標準装備し、安心・便利なコネクティッドサービスを提供可能とした。
SmartDeviceLinkに加え、新たに「Apple CarPlay」と「Android Auto」を標準装備し、スマートフォンとの連携機能を強化した。スマートフォンをUSB ケーブルで接続することで、マップ、電話、メッセージ、音楽アプリをディスプレイオーディオ上で利用が可能となる。
運転席・助手席の快適温熱シートに加え、後席左右にはシートヒーターを標準装備した。さらに、「BLACKTONE」と「G“Z”」の運転席・助手席には、ベンチレーション機能も設定し快適性を向上させている。
安全装備は、歩行者(昼夜)や自転車運転者(昼間)を検知対象に加えたプリクラッシュセーフティ採用の予防安全パッケージ「トヨタ・セーフティ・センス」を装備した。ただ、ヤリスに搭載された交差点右折時の対向直進車・右左折時の対向方向から来る横断歩行者検知機能は搭載されていない。
駐車場など低速走行時における衝突緩和、被害軽減に寄与するインテリジェントクリアランスソナー[パーキングサポートブレーキ(静止物)]などの安全・安心をサポートする装備も充実している。
車両を上から見下ろしたような車両全周囲の映像を、ディスプレイオーディオに表示するパノラミックビューモニターを採用し、後方視界や目視しにくい周囲の安全確認をサポートする。またヘッドアップディスプレイ(HUD)の採用により、ドライバーの目線移動を低減し運転疲労軽減に寄与している。
トヨタRAV4 PHVのグレード選び
トヨタRAV4 PHVは「G」(469万円)、「G“Z”」(499万円)、「BLACK TONE」(539万円)の3グレードの設定で、基本メカニズムは共通なので、価格の違いは外観デザインや内装の仕様、快適装備の充実度の違いによるものだ。
まず、ベースグレードの「G」を選択肢から外したい。リヤクロストラフィックオートブレーキ [パーキングサポートブレーキ(後方接近車両)]+ブラインドスポットモニター[BSM]、パノラミックビューモニターがオプション設定。469万円という高価な価格帯のクルマなのに、こうしたベーシックな機能がオプションというのでは、満足度が下がる。
お勧めは「G“Z”」。装備的にも十分満足できる仕様となっている。より充実した装備というのであれば、「BLACK TONE」と比較してみるとよいだろう。
トヨタRAV4 PHV価格
・G 4,690,000円
・G “Z” 4,990,000円
・BLACK TONE 5,390,000円
トヨタRAV4 PHV燃費、航続距離などスペック
代表グレード RAV4 PHV BLACK TONE
ボディサイズ(mm) 全長4,600×全幅1,855×全高1,695
ホイールベース (mm) 2,690
最低地上高 (mm) 200
サスペンション F: マクファーソンストラット R:ダブルウィッシュボーン
車両重量 (kg ) 1,920
エンジン型式 A25A-FXS
排気量 (cc) 2,487
最高出力 (kW[PS]/rpm) 130[177]/6,000
最大トルク (N・m[kgf・m]/rpm) 219[22.3]/3,600
フロントモーター 型式 5NM
フロントモーター 最高出力 (kW[PS]) 134[182]
フロントモーター 最大トルク (N・m[kgf・m]) 270[27.5]
リヤモーター(E-Four) 型式 4NM
リヤモーター最高出力 (kW[PS]) 40[54]
リヤモーター最大トルク (N・m[kgf・m]) 121[12.3]
システム最高出力 (kW[PS]) 225[306]
駆動用バッテリー 種類 リチウムイオンバッテリー
容量 (Ah) 51
総電圧 (V) 355.2
総電力量 (kWh) 18.1
ハイブリッド燃費 22.2km/L(WLTCモード)
充電電力使用時走行距離 95km
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