タンクを廃止し、より効率化を狙ったマイナーチェンジ
トヨタのトール系コンパクトカーであるルーミーが、マイナーチェンジを受けた。ルーミーはタンクと姉妹車を構成するクルマだった。
しかし、現在のトヨタ販売チャンネルは、全ディーラーが全車種を販売する形になっているため、姉妹車を設定する意味がなくなったため、タンクを廃止してルーミーに一本化される形になっている。当然、一本化されたことで、効率化が進み、より多くの利益を生む仕組みに変更されている。
トヨタ ルーミーは、2016年に登場した新型車。ルーミーの基本は、高めの全高を持つと同時に、左右にスライドドアを持つことから、小さなミニバンといった雰囲気も持ち使い勝手は良好だ。
このジャンルではスズキのソリオが先行していたが、それを追いかけたのがルーミーだった。さらに、ルーミーはダイハツのトールやスバルのジャスティも姉妹車になる。
ルーミーの新車販売も非常に好調。登録車販売台数ランキングでは、ベスト10内の常連。廃止されたタンクを合わせると、ベスト5にも入るような売れ行きを示している。今や、人気コンパクトカーの代表格となっている。
予防安全装備を大幅強化したマイナーチェンジだが・・・
今回のマイナーチェンジの最大のポイントは、進化した予防安全機能のスマートアシストを全車に標準装備したことだ。衝突を回避支援するブレーキ機能は、衝突警報機能の検知対象に同じ方向を走っているバイクや自転車などの二輪車と、夜間の歩行者も追加した。ステレオカメラを使った基本システムに変更はないが、機能を高めて安全性を向上させた。
また上級グレードに設定され、高速道路などでの定速走行をアシストするACC(アダプティブ・クルーズコントロール)は、全車速追従機能付きになった。高速道路に限らず渋滞時に停止したときなど、クルマが車間距離を保って停止してくれる。この全車速追従機能付きACCを装着したクルマでは、パーキングブレーキが電気式になり、停車中にブレーキペダルから足を離してもブレーキ力が保持される「ブレーキホールド」機能付きとなった。これはうれしい改良である。
ただし、今や軽自動車でも標準装備化されつつあるサイド&カーテンエアバッグは、全車オプション設定と少々物足りない状態となっている。
迫力系デザインが進化
外観デザインも変更を受けた。ルーミーには従来から標準系とカスタム系の2種類のデザインが採用されていたが、それは今回のモデルでも継承されている。スポーティなイメージを強めたカスタム系は、これまでのルーミーが採用していた横桟タイプのグリルがさらに大型化され、一段と押し出しの強いものになった。
標準系のモデルは、これまでのタンクに採用されていたグリルの下部が台形になった形状を採用し、タンクの雰囲気を受け継ぐようなデザインとされている。カスタム系、標準系とも顔つきはかなり変わった印象だ。
最近のトヨタは、こうした迫力系デザインが上手い。顧客の好むデザインを上手くカタチにしている。こうしたマーケットインなデザインは、アルファードやヴォクシーなどでも好評を得て、売れている大きな理由のひとつになっている。
つながるをアシストするディスプレイオーディオをオプション設定
外観の変更に合わせてボディカラーに新色が追加された。クールバイオレットクリスタルシャインとターコイズブルーマイカメタリックの2色がそれだ。またインテリアはシート形状やシート表皮に変更を加えている。
快適装備は、事前予約しておけばスマートキーを持った人が近づくと自動的にスライドドアが開く「ウェルカムパワースライドドア」を標準装備したのがポイントで、ほかにスマートフォンなどの充電用USB端子も標準装備している。
また9インチのディスプレイオーディオを全車にオプション設定した。これは、スマートフォンと連携することでインフォテイメントシステムとして使えるものだ。
走行性能や燃費面の向上はなし?
利便性や見栄え、予防安全性能がアップしたルーミーのマイナーチェンジだが、走行性能などの変更がまったく行われていないようで、トヨタのニュースリリースにも一切記載がない。
ルーミーは、コンパクトカーのパッソ/ブーンのプラットフォームを使う。このプラットフォームは、やや古く重い。そのため、ルーミーの車重は1,080~1,110㎏(FF)となっている。ライバル車のスズキ ソリオの車重は、930~990㎏と大幅に軽い。
軽さは燃費や走行性能に影響する。ルーミーは、燃費性能や乗り心地、静粛性などやや物足りない部分もあっただけに、今回のマイナーチェンジで改善されたかどうかという点は、重要なポイントだ。しかし、こうした走行性能部分の改善が行われていないのであれば、少々残念なマイナーチェンジということになりそうだ。
トヨタ ルーミーのお勧めグレードは、カスタムG
グレードはカスタム系がG-TとG、標準系がG-TとG、Xの合計5グレードの設定だ。Tが付くグレードにはインタークーラー付きターボエンジンが搭載され、ほかのグレードには自然吸気エンジンが搭載されている。ターボ車はFFのみの設定だが、自然吸気エンジンの搭載車には4WD車も用意されている。
前述の全車速追従機能付きACCは、カスタム系に標準装備され、標準系は設定がないのでオプションで装着というわけにはいかない。本来なら無理してカスタム系を選ぶことはないのだが、この装備は肝になる装備なので、これを手に入れるためにカスタム系のGがお勧めグレードになる。
トヨタ ルーミー価格
・X FF 1,556,500円/4WD 1,732,500円
・G FF 1,743,500円/4WD 1,919,500円
・G-T FF 1,864,500円
・カスタムG FF 1,914,000円/4WD 2,090,000円
・ カスタムG-T FF 2,046,000円
【関連記事】
- 日産ノート オーラ新車情報・購入ガイド 大胆イメチェンしたプレミアムコンパクトカー【日産】
- トヨタ アクア新車情報・購入ガイド オシャレな上質感をまとった特別仕様車「Z Raffine(ラフィネ)」登場【トヨタ】
- BYD ドルフィン試乗記・評価 ゆるふわ系快適電気自動車【その他】
- 日産ノートe-POWER 新車情報・購入ガイド 斬新フロントフェイスとなったマイナーチェンジ【日産】
- スズキ スイフト新車情報・購入ガイド 予防安全装備&燃費が飛躍的進化!【スズキ】
- マツダ2 新車情報・購入ガイド 大幅イメチェンに成功した新グレード「BD」ってナニ?【マツダ】
- フォルクスワーゲン ポロ 対 ルノー ルーテシア徹底比較評価【対決】
- 日産ノート オーテッククロスオーバー+Active新車情報・購入ガイド よりSUVらしさを強調した新グレード追加!【日産】
- スズキ ソリオ/ソリオ バンディット新車情報・購入ガイド スズキ独自のハイブリッド搭載車を再投入!【スズキ】
- フィアット500e試乗記・評価 ビリビリ痺れる魅力満載【フィアット】
【オススメ記事】
- ホンダWR-V試乗記・評価 大満足か後悔か? 成功か失敗か? 見極め重要なコンパクトSUV【ホンダ】
- 日産エクストレイル(T33型)vs トヨタ ハリアーハイブリッド(80系)徹底比較!【対決】
- 日産フェアレディZ新車情報・購入ガイド 2025年モデルが登場! 納期は? 転売ヤー対策は?【日産】
- BMW M2クーペ(G87)試乗記・評価 「サーキットで乗ってみたい!」クルマ好き女子が試乗!【BMW】
- 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー、栄えある10ベストカーが決定! 今年のナンバー1は、どのクルマに!?【イベント】
- 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー、ノミネート車31台が決定!【イベント】
- マツダCX-80試乗記・評価 すべてに大人の余裕を感じた国内フラッグシップ3列SUV【マツダ】
- 三菱 アウトランダーPHEV新車情報・購入ガイド 大幅改良&値上げ。それでも、コスパ高し!!【三菱】
- スズキ フロンクス試乗記・評価 価格、燃費値を追加。欧州プレミアムコンパクトに近い上質感【スズキ】
- 日産セレナAUTECH SPORTS SPEC新車情報・購入ガイド 走りの質感を大幅向上した特別なモデル【日産】
CORISM公式アカウントをフォローし、最新記事をチェック!