【BMW 320d BluePerformanceツーリング長期評価レポートvol.5】 クリーンディーゼルは、スポーティ! 走りと環境性能の両立を検証する!! [CORISM]
尿素触媒無しに、厳しい日本の規制をパスした唯一の輸入車がBMW 320d BluePerformance
ディーゼル というと、うるさい、振動がある、黒い煙を吐く、走らないという悪いエンジンの代表のように思っている人がまだ多い。これは日本がディーゼル鎖国をしてきたせいだ。その間ヨーロッパでは技術の進歩によりクリーン・ディーゼルに進化し、販売台数の半分以上がディーゼル・エンジン車になっている。
日本に導入されたBMW320d BluePerformanceには、直列4気筒、2Lターボチャージャー付き最新版のクリーン・ディーゼル・エンジンを搭載している。ヨーロッパの排ガス基準であるユーロ5を越えるユーロ6の規制もパスし、日本の厳しい規制にも合格するエンジンだ。
この優れたクリーン・ディーゼル・エンジンには、コモンレールという燃料に圧力を掛け、シリンダー内に直噴する技術が使われている。この技術で、ディーゼル・エンジンは画期的に変わったのだ。2000バールというのは指先の面積くらいに2トンの力が掛かる圧力だ。口の中の水を吐く場合も、プーッと勢い良く出すと霧になる。水の粒が小さくなるということだ。軽油も圧力を高めて霧にすることにより粒が小さくなり、空気に触れる表面積が増えて完全燃焼しやすくなったのだ。
粒が大きいときには燃えカスが残る。これが、黒い排気ガスの正体だったのだ。直噴により最適な燃焼に近づけることができ、排気ガスはクリーンになり、パワーとトルクも出すこともでき、燃費も良くなったのだ。燃費が良いということは、ほぼ比例してCO2(二酸化炭素)の排出量も少なくなるということだ。
ディーゼル・エンジンでは、排気ガスがかなりクリーンになってもNOx(窒素酸化物)が出ることが多く、これを中和させるためにアドブルーと呼ぶ尿素を使うケースが多い。だが、BMWの4気筒ディーゼルでは、尿素なしで規制をパスしている。現在、尿素無しで日本の厳しい排ガス規制をパスしたクリーン・ディーゼル・エンジンを導入している輸入車メーカーはBMWだけ。それだけ、高いテクノロジーを誇るということだ。その世界最先端のクリーン・ディーゼル・エンジンが、このBMW 320d BluePerformanceには搭載されている。
BMW 320d BluePerformanceの静粛性が高い理由
さて、そのクリーン・ディーゼル車をクルマに興味がない友人の奥さんを乗せて走ったときのことだ。「このクルマはさすがに高級車だけあって静かですねえ」と感想を言った。「実はこれ、ディーゼル・エンジンなんですよ」と答えたらびっくりしていた。つまり、これまでのディーゼルの概念を覆すエンジンということを証明していると言ってもいい。
なぜ静かなのか? それは、低回転でトルクがたっぷり出るターボ・エンジンだから。回転数が低いところを使って走れることに起因する。エンジン回転数が低ければ、音が静かということ、さらにどんどん高いギヤにできスピードが上昇しても燃料消費が少なくてすむ。BMW 320d BluePerformanceには、8速ATを採用していることもあり、ワイドなレシオから最適なギヤを選ぶことができるからでもある。
スポーティなクリーン・ディーゼル・エンジンと、最適重量配分で、想像を超える走る歓びが体感できる
このクリーン・ディーゼル・エンジンは、135kW(184ps)/4000rpm、380Nm/1750−2750rpmというパワーとトルクを発揮できる。380Nmというと、昔の4LのV8エンジンの最大トルクに近い数値で、それをたった1750rpmという低回転で発揮してしまうということだ。
だから、ターボラグを感じることもなく、アクセル・ペダルを踏み込む分だけ加速力が高まる。右足で自在に加速力をコントロールでき、かなりスポーティな走りが可能なのだ。ドイツ仕様だと最高スピードは230km/hに達する。
ボンネットを開けると、エンジンの前には空間がありキャビンに近い奥の方に4気筒エンジンがたたずんでいる。これが、ハンドリング性を良くしている。前後50対50という重量バランスだけでなく、前方先端に重いエンジンがないというだけで、ハンドルを切っていったときのノーズの向きの変え方は、操舵角に忠実になる。これもスポーティなハンドリングに貢献している。走行性能へのこだわるBMWの文法通りの手法だ。
BMW 320d BluePerformanceには、電子シフトの右側にドライビング・パフォーマンス・コントロール用のスイッチがある。これを切り替えることにより、標準のコンフォートから前に押すと「スポーツ」、「スポーツ・プラス」、後ろに押すと「ECO PRO」モードに切り替えることができる。
「スポーツ」にすると、パワートレイン(エンジン・トランスミッション)とシャシーがスポーツセッティングになる。「スポーツ・プラス」はスポーツの両方に加えてアクセル・ペダルによる空転を許すダイナミックトラクションモードに入る。
「ECO PRO」モードでは、瞬間燃費計もブルーに変わり、燃費の良い加速域を示し、エアコン、ドアミラーヒーターなどが省エネモードに入る。そして、「ECO PRO」モードにしたことにより低燃費化できた走行距離の累積がブルーの字でインパネにkm表示される。
燃費だけじゃない! 抜群の経済性と走る楽しさを両立したからこそ、欧州でクリーン・ディーゼルは支持されている。
燃費が良いのはエンジン回転数が低い高速道路だけでなく、市街地走行でも燃費は良い。8速ATの細かい段差で燃費に良い最適なギヤを最適に選ぶことができるからだ。
さらに「エンジン・オート・スタート/ストップ」と呼ぶ自動アイドリングストップ機能が働く。エンジン温度や室内温度などの条件が合わないときを除き、信号待ちなどではブレーキ・ペダルを踏んでいるだけで自動的にアイドリングストップしてくれる。ブレーキ・ペダルから足を離すと、自動的にエンジンが掛かるから、そのままアクセル・ペダルを踏めば通常の加速を開始する。ディーゼル・エンジン自体は、アイドリング燃費も悪くないが、それでもエンジン・オート・スタート/ストップ機能を使って無駄な燃料消費をせず、細かく燃費を稼いでくれるのだ。
最新のクリーン・ディーゼル・エンジンは、排気ガスがきれいで、静か、スポーティ、燃費が良いだけでなく、レンジと呼ぶ航続距離が長いのもユーザーにとって大きなメリットだ。高速道路を走っているなら楽に1000kmを越す。同じエンジンを搭載するひとクラス上のBMW 523d BluePerformance ツーリングで満タンにしたときに、レンジが1254kmという表示が出たことがある。少なくとも、満タンにしたときに1日で走り切るのは大変なほど走れるということだ。当然、ガソリンスタンドに行く回数も減るので、時間の節約にもなるのだ。
これまでのガソリン・エンジン車と比べると、燃料消費は70%程度で済む。さらに、日本の軽油はハイオクガソリンより2割程度価格が安く約80%。つまり0.7x0.8=0.56という計算が成り立ち、燃料費はこれまでのガソリン・エンジンの56%で済む計算だ。
最新のクリーン・ディーゼルを体験すると、燃費だけのハイブリッド車とは違う世界が広がっていることを知るだろう。そして、ヨーロッパで半分以上、ディーゼル・エンジン車が売れているという訳も理解できるはず。それは、低燃費とスポーティな走りを両立しているからだ。
BMW3シリーズツーリング見積り依頼
BMW 320d BluePerformanceツーリング 価格 スペック 燃費 画像集など
・320d BluePerformanceツーリング 4,910,000円
・320d BluePerformanceツーリング Sport 5,110,000円
・320d BluePerformanceツーリング Modern 5,110,000円
・320d BluePerformanceツーリング Luxury 5,110,000円
・320d BluePerformanceツーリング M Sport 5,350,000円
代表グレード | BMW320d BluePerformance ツーリング Sport |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,625×1,800×1,460mm |
ホイールベース[mm] | 2810mm |
トレッド前/後[mm] | 1,520/1,560mm |
車両重量[kg] | 1,620kg |
総排気量[cc] | 1,995cc |
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] | 135〔184〕/4,000rpm |
エンジン最大トルク[N・m/rpm] | 380〔38.7〕/1,750-2,750rpm |
ミッション | 8速AT |
タイヤサイズ | F:225/50R17 R:225/50R17 |
燃費 | JC08モード 19.4km/L |
定員[人] | 5人 |
税込価格[万円] | 511万円 |
燃料 | 軽油 |
レポート | 菰田 潔 |
写真 | 編集部/ユニットコンパス |
コメント
静寂性が高い?(笑) 結構うるさいと思います。 国産(日産じゃない方)のクリーンディーゼルの方が、かなり静か。
BMWの次期クリーンディーゼルが静かになると「欠点である静寂性が改善された・・」とか書くんでしょうね。
相変わらずVW・アウディ・BMW・ベンツ・フェラーリだけ、欠点もなく完璧的な記事やめませんかーー。
音だけでディーゼル車が来たなって感じでしたから・・・
マツダも含め今クリーン・ディーゼルが増えてきましたね、度試乗に行きたいと思います
グレードダウンとの評価もありますがデイーゼルエンジンに惚れ込みました。
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