日産GT-R NISMO試乗記・評価 20歳代女性がいきなり600psのスーパーカーに乗ってみた。しかも雨・・・
徹底的にカーボンが採用され軽量化されたボディ
こんにちは! 齋藤眞琴です。私、普段、カワサキNinja ZX-10Rというスーパースポーツバイクに乗っています。そんなこともあり「クルマも速いの好きなんでしょ」的なノリで、日産GT-Rニスモに試乗することになりました。でも、私の愛車はスズキ クロスビー。運転しやすく広い室内のクルマも好きなんですけど・・・。
と、いう訳で、日産グローバル本社へ。目の前には、日産GT-Rニスモがドーンと置かれていました。「俺、速いよ!」って感じのオーラが全開で出ています。
そんなGTRニスモをよく見ると、ボンネットやトランクリッド、ルーフ、リヤスポイラー、フロントフェンダーに前後のバンパーなど、ボディの至る所にカーボンパーツが採用されていました。
私、モノトーン好きってこともあり、ファッション的な意味でもカーボンパーツが好きです。フロントフェンダーの上部&後部アウトレットダクトをあえて塗装せずカーボン柄を見せているところなど、ちょっとシビレました。
もちろん、ファッション的な要素だけでなく、アウトレットダクトは機能面でも大きな意味があるそうです。このアウトレットダクトは、GT-R GT3レースカーからのフィードバックから生まれたもので、エンジンルームの熱気を排出して冷却性能を向上させています。
カーボン製による軽量化も含め、GT-Rニスモのトータルバランスをいっそう高めているそうです。
レーシングカー的ブレーキにドキドキ
そして、GT-Rニスモの外観で、目立つのが、とにかくタイヤとホイールが大きくて太い。フロントが255/40ZRF20、リヤが285/35ZRF20というランフラットタイヤが装着されていました。20インチホイールの奥にあるブレーキキャリパーも特大。
ブレンボ製モノブロック対向6ポッドキャリパーで、ローターはダイヤモンドに匹敵する硬度を持つシリコンカーバイトを組成とした、軽量で耐熱性の高いカーボンセラミックを採用しています。見るからにレーシングマシン的で、ちょっとドキドキします。
こうした速く走るためのパーツや技術の背景を聞くと、よりGT-Rニスモがカッコよく見えてくるから不思議です。
そして、インテリアですが、まず目に飛び込んでくるのがレカロ製カーボンバックバケットシートです。モノトーン好きの私には、ブラック&レッドという色の組み合わせは、少々微妙な感じかなぁ。
色使いの好みはあるものの、このシートは機能性に優れています。まず、上半身全体を安定して支持する構造になっていて、高い旋回Gの時でもしっかりと体を支え、的確なドライビングができるようにアシストしてくれます。ちょっと、抱きしめられてる感もあり安心できます。
2,420万円! まず、価格にビビる?
さて、いよいよ日産GT-Rニスモの試乗です。GT-Rニスモの出力は600ps! この馬力もそうですが、かなり腰が引けてしまったのは価格です。GT-Rニスモの価格は24,200,000円!
きっと、ちょっとぶつけてバンパー交換にでもなったら、カーボン製なので100万円オーバーの世界? と、思うと、かなりドキドキしてきます。しかも、試乗時は雨。緊張はマックスです。
エンジンを始動させ、恐る恐るゆっくりとアクセルを踏むとGT-Rニスモは意外なほど、スルスルと走り出しました。600psのスーパーカーですから、もっと気難しくてギクシャクした感じになるのかなぁ、と予想していただけに、かなり意外でした。
街中での走行も、とくにスーパーカーだからと言って特別に気を使うことがないのも魅力です。強いて言うのなら、路面の凸凹や轍が大きい道では、少し気を使います。
タイヤが太いこともあり、轍では少しハンドルを取られる感じがしました。また、路面の凹凸も大きいと、ドンドンと車体を揺らします。サーキットで速く走るためのモデルであることを考えれば、これくらいとくに気にすることは無いかと。
個人的に気になったのは、やはりガソリンスタンドやコンビニに入るときの段差でしょうか。カーボンのバンパーを擦らないように、ゆっくりゆっくり気を付けて入らなくては、って感じでした。きっと慣れの問題かもしれません。
女性でも扱える600ps!
GT-Rニスモを楽しめる峠へ向かます。ただ、残念なことに天候は雨。600psの大パワーで雨は、ある意味、恐怖を感じます。アクセルワークに神経を使い、高速道路をクルージング。
ところが、多少アクセルをラフにアクセルを開けても、GT-Rニスモは何事もないように走ります。さすが、AWDって感じで、直進安定性も高く安心。
そんなこともあって、編集担当さんが「全開にしていいよ」と。前後、左右の安全を確認して、アクセル全開です! 2,000回転くらいから、トルクが急激に盛り上がっていき、3,000回転を超えるくらいからは、今までクルマでは体感したことのない怒涛の加速が始まりました。
頭はゴンっと後方に持っていかれ、体はシートに押し付けれるような加速です。思わずキャーとかギャーとか、声が出てしまうくらい。この加速がまったく穏やかになることなくレヴリミットの6,800回転まで続き、次々とシフトアップしていきました。
そんな600psを誇るGT-Rニスモのタービンは、レース車両の GT3のものと同じだそうで、レスポンスの向上をさせているそうです。
私のバイク(ZX-10R)の加速も凄まじいものがあるのですが、それと同じくらいの加速力。しかも、1720㎏もある大きなクルマが、これほどの加速をするとは・・・。
あまりの加速感と感動で、思わず目がウルウルしてきました。これだけのパフォーマンスがありながら、街中でも普通に走れるのは凄いですね。女性でも十分に運転できると思います。
サーキット以外は「COMF」モードがお勧め
ただ、一般道での乗り心地面は、さすがに厳しいものが。GT-Rニスモには、減衰力を変更して乗り心地などを変えられるモード設定型電子制御式のショックアブソーバー「BilsteinDampTronic」が装備されています。
オールラウンドな「NORMAL」モード、上質な乗り心地の「COMF」モード、スポーツドライビング用の「R」モードが選択できます。NORMALだと、街乗りではお世辞にも乗り心地がよいとはいえず、COMFモードを選択。すると、少し乗り心地がマイルドに。
これなら、街乗りドライブでもあまり不快感ないレベルになりました。まぁ、それでも硬いといえば硬いのですが。サーキット以外は、ほぼCOMFモードが十分なような気がしました。
安定した姿勢を維持。運転が数倍上手くなったような気になる圧倒的な走行性能
少しGT-Rニスモに慣れてきたところで、峠に到着です。雨がガンガン降っているので、少しずつペースを上げて走りました。
まず、驚いたのはブレーキの効きとクルマの姿勢でした。あまりにブレーキが効くので、最初は減速し過ぎてしまったり・・・。カーボンセラミックのブレーキは、熱が入らないと効きが悪いかもしれないから気を付けてね、と言われていたのですが抜群に効きました。
慣れてきて、少しハード目にブレーキングすると、今度は普通のクルマとは姿勢が違うことに気が付きました。普通のクルマだと、ブレーキを強めにかけると、前のサスペンションがグンと沈み、前のめりになり少し不安定な姿勢になりますよね。
ところが、GT-Rニスモは、かなり強くブレーキを踏んでも、前のめりになるというよりは、真下にクルマが沈むような感覚で、とても安定感ある姿勢でカーブに進入できました。
その安定した姿勢のまま、ステアリングを切るとGT-Rニスモは、クルリと向きを変えます。そのとたん、遠心力で体が外側に押される感じになるのですが、レカロのバケットシートがしっかりと体を支えてくれるので、運転に集中できました。
車体もほとんど傾く感じも無く、雨だというのに、私の想像をはるかに超えたスピードでカーブを曲がっていきます。私はたまに、レーシングカートも楽しんでいます。GT-Rニスモがカーブを曲がっていく感じは、レーシングカートに近い印象をもちました。
なんだが、クルマの運転が数倍上手くなったような気がしていたら、助手席に乗っていた編集担当者が「速いのはクルマで、ドライバーじゃないからね」と、水を差してきます。まぁ、その通りなんですけど・・・。今度は、晴れの日に思う存分楽しみたいクルマだなぁと感じました。
誰が乗っても安心して走るスーパーカー
最初、日産GT-Rニスモは、サーキットで速く走るためのクルマ、というイメージがとても強かったです。街中では苦痛? と、勝手に思っていたのですが、意外と普通に走れることが意外でした。
試乗日が雨だったこともあるのですが、路面の条件が悪くても、クルマがかなり安定していて、安心して走れるのも魅力的です。誰が乗っても街中からサーキットまで、安心・安定したマルチなスーパーカーでした。
<レポート:齋藤眞琴>
日産GT-R NISMO価格、ボディサイズ、出力などスペック
ボディサイズ 全長 4690mm 全幅 1895mm 全高 1370mm
ホイールベース 2780mm
トレッド 前/後 1600/1600mm
最低地上高 110mm
車両重量 1720kg
乗車定員 4(2+2)名
最小回転半径 5.7m
駆動方式 4輪駆動
ステアリングギヤ形式 電子制御パワーアシスト付ラック&ピニオン式
サスペンション前/後 ダブルウィッシュボーン式/マルチリンク式
タイヤ 前・後 255/40ZRF20・ 285/35ZRF20
エンジン型式 VR38DETT[NISMO専用チューニング]
シリンダー 内径×行程 95.5×88.4mm
総排気量 3.799L
圧縮比 9.0
最高出力 441kW(600PS)/6800rpm
最大トルク 652N・m(66.5kgf・m)/3600-5600rpm
タンク容量 74L
価格 24,200,000円
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