日産初の軽EVが「サクラ」
2011年、日産と三菱によって、軽自動車に関わる合弁会社「NMKV」が設立された。
NMKVからリリースされた軽自動車の中で、EV(電気自動車)なのが日産サクラと三菱eKクロスEVだ。電動化時代を切り開き、日産・三菱の未来を担うモデルと期待されている。
車名のサクラは社内公募により決まったという。「日本の電気自動車の時代を彩り、代表するクルマとなって欲しい」という願いから、日本を象徴する花である桜に由来しているそうだ。
最新デザイントレンドを取り入れたサクラのデザイン
日産サクラは、すでに発売されている日産デイズの基本骨格などを改良しながらEV化されたモデルだ。
eKクロスEVの場合、ベースモデルと同じ外板パネルやインテリアを使っているため、スピーディに開発でき、さらに安価な価格で発売が可能だった。
ところが日産は、EVに対して強い想いを抱いていた。サクラは、デイズとは全く異なるデザインとしたのだ。
サクラのデザインは、クリーンで力強い。軽自動車初のEVらしく、最新のデザイントレンドが積極的に取り入れられた。
フロントフェイスは、大きな顔に大きなグリル風なデザインを組み合わせた。フェイス上部には薄型LEDヘッドライトを装着している。
このデザインパターンは、人気ミニバンやSUVに多い。馴染みやすく、明確な好き嫌いが出にくい。
サイドビューは、やや膨らんだ前後フェンダーに、サイドのボトム部が力強さと安定感を表現している。
リヤビューは、トレンドの横一文字調コンビネーションランプを上手く取り入れワイド感をアピールしている。コンビネーションランプをブラック系にすることで、引き締まったスポーティなリヤビューとなった。
ホイールには、日本の伝統美を感じさせる水引からインスピレーションを受けたデザインを採用している。なかなか個性的で、目を引くデザインだ。
上質で近未来感あるインテリアデザイン
インテリアデザインも、非常に力が入っている。SUVであるアリアのインパネデザインテイストが採用され、ワイド感ある水平基調のインパネデザインと2本スポークのステアリングと、以下の2つのディスプレイが並べられている。
・アドバンスドドライブアシストディスプレイ(7インチ)
・ナビゲーション(9インチ)
スッキリ感と近未来感をうまく融合させている。
サクラのボディサイズは、デイズに比べて全高が15mmほど高くなり、最低地上高が10mmほど低くなった。フロア下に駆動用バッテリーを設置したことが主要因だが、広大な室内スペースはそのまま維持されている。
サクラのハンドリングや価格など続きをcar-topicsで見る
航続距離は180㎞! 十分? それとも短い?
サクラに搭載されたリチウムイオンバッテリーの容量は20kWhで、航続距離は180km(WLTCモード)だ。軽自動車は生活の足として、通勤や送迎、買い物などの近距離移動を中心となることが多い。日常的な使い方であれば、航続距離180kmでも十分過ぎるだろう。
とはいえ、たまに少し遠くへ行くこともあるだろう。180kmの航続距離で大丈夫か?と、心配になるのも当然だ。
仮に実航続距離が150kmだとしよう。東京駅から東名高速経由で静岡県の御殿場ICまでが約100kmなので、ちょっとした遠出も十分可能だ。
途中のSAでトイレ・食事休憩中に急速充電するなど、継ぎ足し充電を繰り返せばロングドライブも楽しめる。急速充電器の場所をあらかじめ調べて立ち寄り先にいれておくなどの手間があるものの、実用面ではそれほど不安はない。急速充電器も全国に7.950基(2021年2月末時点 ゼンリン調べ)もあるので安心だ。
サクラのハンドリングや価格など続きをcar-topicsで見る
軽を超えた走行性能をもつ軽がサクラ
サクラの試乗会場は、日産グランドライブだ。クローズドのコースなので、いきなりアクセル全開で走ってみた。その瞬間、いきなり強力なGが発生し、ゴンと頭が後方に引っ張られた。シュイーン、とスムースなのに豪快な加速をしながら、速度がどんどん上がる。もはや、軽自動車の枠を超えた加速感だ。
それもそのはず、サクラの最大出力は195Nmだ。この最大トルクは、自然吸気2.0Lガソリンエンジン並みである。豪快な加速力も当然だ。
ちなみに、デイズのターボ車の最大トルクは100Nmだ。サクラは約2倍の最大トルクを誇る。サクラはデイズに対して200㎏位車重が重いが、その重さをまったく苦にしない力強さがある。
悩ましいのは最高出力だ。サクラの最高出力は64ps(47kW)と、最大トルクと比べると、かなり控えめな数値である。その理由は、軽自動車の自主規制に合わせたからだ。この自主規制が無ければ、さらに高速域でパンチのある加速を得られるのでは?と、思うと少々残念だ。
サクラのドライブモードは、エコ、スタンダード、スポーツの三種類だ。大トルクを発生するので、ほとんどのシーンでエコモードでも不満はない。
e-Pedalステップは、モーターの回生ブレーキを使い自在に速度をコントロールする装備だ。アクセルとブレーキの踏みかえ回数が激減するので、疲労軽減の効果がある機能である。ノートなどに装備されているe-Pedalよりも洗練さが増し、さらに自然に走れるようになっている。
<レポート:大岡智彦>
サクラのハンドリングや価格など続きをcar-topicsで見る
サクラのハンドリングや価格など続きをcar-topicsで見る
日産サクラ価格
・S 2,333,100円
・X 2,399,100円
・G 2,940,300円
日産サクラ電費、充電時間、ボディサイズなどスペック
代表グレード サクラG
全長 x 全幅 x 全高(mm) 3,395×1,475×1,655
ホイルベース(mm) 2,495
最小回転半径(m) 4.8m
定員(名) 4
駆動方式 前輪駆動(FWD)
日産サクラ蓄電池種類 リチウムイオン電池
総電力量(kWh) 20.0
総電圧(V) 350
モーター最大出力(kw/rpm) 47/2,302-10,455rpm
モーター最大トルク(N・m/rpm) 195/0-2,302rpm
一充電走行距離WTLCモード(km) 180
充電時間 普通充電:8時間(バッテリー残量警告灯点灯位置~100%) 急速充電:約40分(バッテリー残量警告灯点灯位置~80%)
サスペンション(前/後) マクファーソン/トルクアーム式3リンク
タイヤサイズ 155/65R14
【関連記事】
- BYDシール(SEAL)試乗記・評価 日本勢脅威のスポーツセダン【その他】
- 日産、ホンダ、三菱連合誕生! トヨタ、ダイハツ、マツダ、スバル同盟に対抗? それとも「オールジャパン」体制への布石?【日産】
- スズキ、10年先を見据えた技術戦略とは?【スズキ】
- ヒョンデ アイオニック 5 N(IONIQ 5 N)試乗記・評価 驚異の走りと脅威な価格【その他】
- ホンダN-VAN e: 新車情報・購入ガイド ライバル発売延期で、千載一遇のチャンス!?【ホンダ】
- 日産アリアNISMO(ニスモ)試乗記・評価 走りを極めたプレミアムスポーツEV!【日産】
- 2024 バンコク国際モーターショーレポート VINFAST編【BLOG】
- 2024 バンコク国際モーターショーレポート Zeekr編【BLOG】
- 2024 バンコク国際モーターショーレポート シャオペン編【BLOG】
- 2024 バンコク国際モーターショーレポート GAC/AION編【BLOG】
【オススメ記事】
- ホンダWR-V試乗記・評価 大満足か後悔か? 成功か失敗か? 見極め重要なコンパクトSUV【ホンダ】
- 日産エクストレイル(T33型)vs トヨタ ハリアーハイブリッド(80系)徹底比較!【対決】
- 日産フェアレディZ新車情報・購入ガイド 2025年モデルが登場! 納期は? 転売ヤー対策は?【日産】
- BMW M2クーペ(G87)試乗記・評価 「サーキットで乗ってみたい!」クルマ好き女子が試乗!【BMW】
- 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー、栄えある10ベストカーが決定! 今年のナンバー1は、どのクルマに!?【イベント】
- 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー、ノミネート車31台が決定!【イベント】
- マツダCX-80試乗記・評価 すべてに大人の余裕を感じた国内フラッグシップ3列SUV【マツダ】
- 三菱 アウトランダーPHEV新車情報・購入ガイド 大幅改良&値上げ。それでも、コスパ高し!!【三菱】
- スズキ フロンクス試乗記・評価 価格、燃費値を追加。欧州プレミアムコンパクトに近い上質感【スズキ】
- 日産セレナAUTECH SPORTS SPEC新車情報・購入ガイド 走りの質感を大幅向上した特別なモデル【日産】
CORISM公式アカウントをフォローし、最新記事をチェック!