ボルボXC40、C40シングルモーター、XC40 48Vハイブリッド試乗記・評価
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XC40のEV投入で電動化戦略をさらに加速させたボルボ
CO22排出量の低減に強いこだわりを見せているボルボは、電動化を積極的に押し進めている。2030年にバッテリーEVメーカーになることを目指しているが、2021年に日本ではEV第1弾となるC40リチャージの発売に踏み切った。2022年には主力のXC40にEVのリチャージを投入している。
ご存じのように、XC40は2018-2019日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたクロスオーバーSUVの秀作だ。その2023年モデルでは、XC40プラグインハイブリッドの販売終了を終了した。だが、EVに加え、新たに48ボルトのマイルドハイブリッド・ガソリンエンジンを投入している。
ボルボXC40の2023年モデルは、フェイスリフトを行うとともに、グレード体制の見直しとグレード名の変更を行った。グレード名は、装備の違いによってプラス、プラスプロ、トップグレードのアルティメイトを設定。
インテリアも3タイプを用意した。ベース、従来のインスクリプションに代わるのがブライト、そしてRデザインの後継となるダークだ。見た目の印象も大きく異なっている。また、グーグルを搭載するなど、インフォテインメントシステムも大きく進化した。
圧倒的なパワフルさで存在感をアピールするXC40リチャージツイン
XC40リチャージの外観は、XC40に準じたデザインだが、EVのためフロントグリルはパネルで塞いでいる。顔付きはC40リチャージに限りなく近い。メカニズムも同様で、C40リチャージと同じように、4輪駆動(AWD)のツインモーター仕様と前輪駆動のシングルモーター仕様を設定した。
ツインモーター仕様は、最高出力300kW(408ps)/4350〜13900rpm、最大トルク660N・m(67.3kg-m)/0〜4350rpmのスペックだ。0〜100km/h加速は4.7秒と発表されている。これらの数値はC40リチャージと変わっていない。ちなみにバッテリー容量は78kWhで、航続距離はWLTCモードで484kmだ。
モーターは強い存在感を放っている。アクセルを踏み込むと、瞬時にパワーとトルクが盛り上がり、滑らかさも内燃機関を相手にしない。車両重量は2150kgだが、加速は豪快だ。シートに体を押し付けられるほどのGを感じ、アッという間に法定スピードに到達した。
パワフルだが、柔軟性に富む性格で、街中の低速走行や流すような走りも得意とする。ワンペダルモードを使えば、ブレーキペダルをほとんど使わず、滑らかに減速度をコントロールすることが可能だ。
静粛性に代表される快適性も、ひとクラス上と感じさせた。唯一、気になったのは、ワイドな前後異サイズの20インチタイヤが発するパターンノイズである。
サスペンションは、フロントがストラット、リアはマルチリンクだ。C40リチャージと同じ形式だから、印象は似ている。コーナリングではロールを上手に押さえ込み、ピッチングも巧みに封じていた。重心も低いから路面に吸い付いたかのような安定した走りを披露している。路面によっては硬質と感じられる場面もあるが、乗り心地はおおむね良好だ。
コスパに優れたBEVがXC40シングルモーター
遅れて発売されたC40リチャージの前輪駆動モデルはシングルモーター仕様である。モーターの最高出力は170kW(231ps)/4919〜11000rpm、最大トルクは330N・m(33.6kg-m)/0〜4419rpmだ。動力性能はAWDモデルの半分以下だが、モーターは瞬発力が鋭くパワーも一気に立ち上がる。
だから、気持ちいい加速を披露し、ドライバビリティもいいからコントロールしやすい。電費を稼ぐためにコースティングさせるのも上手だ。また、ワンペダルモードを使えば、ブレーキペダルをほとんど使うことなく完全停止まで持ち込むことができる。
操舵フィールは、ヨーロッパ車らしい落ち着きが感じられ、優れた直進安定性を披露した。コーナーでステアリングを切っていったときの挙動も安心感があり、狙ったラインに乗せやすい。AWDモデルよりリアが軽く、ピッチングを感じる場面もあるが、素直な性格だ。XC40と比べても上級ムードだし、軽快感も一歩上を行く。
バッテリー容量は69kWhにとどまる。だが、ボディが軽いこともあり一充電での航続距離はWLTCモードで502kmを達成した。価格差と実力を考えるとかなり魅力的なEVといえるだろう。
より高効率化された48Vハイブリッド
ボルボの電動化戦略は、EVだけとは限らない。ガソリンターボにモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドも進化を続けている。2.0ℓの直列4気筒DOHCターボには大幅に手が加えられた。
新たにミラーサイクル技術を導入し、ターボはバリアブルノズルタービンに変更している。48ボルトシステムを採用し、10.5だった圧縮比は12.0まで高められた。
また、トランスミッションが8速ATから電気モーターを採用した7速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)に変わったのもニュースのひとつだ。
前輪駆動の「B3」とAWDの「B4」があり、B4のエンジンの方が34psパワーは高い。ステアリングを握ったXC40アルティメイトB4は、最高出力145kW(197ps)/4750〜5250rpm、最大トルク300N・m(30.6kg-m)/1500〜4500rpmを発生する。モーター出力は13.6ps、モータートルクは40N・mだ。ミラーサイクルにするとパンチ力に不満を感じることが多いが、モーターのアシストもあって低回転から十分にパワフルと感じられた。実用域のトルクも厚みがある。
7速DCTとの相性もよく、鋭いレスポンスとキレのいい変速を楽しませてくれた。エンジンは5000回転を超えても上昇しようと意気込むほど元気だ。低回転で耳を澄ますと、直噴エンジン特有の燃焼音が聞こえてくる。だが、クルージング時は静粛性も高いレベルにあった。タイヤは235/50R19サイズだ。AWDならではの優れた接地感とコントロール性を見せつけ、しかも軽快なハンドリングまで身につけている。操って楽しいクルマだ。
乗り心地は、試乗した3車のなかでもっとも良好だと感じられる。たっぷりとしたストローク感があり、凹凸を上手にいなす。以前のXC40と比べても上質感が増した。
また、グーグルと共同開発したインフォテインメントシステムも、大きな進化を感じ取れた。XC40はデビューから5年目に入ったが、きめ細かい改良と進化によって最新モデルは、どのグレードも魅力を広げている。
<レポート:片岡英明>
ボルボXC40価格
・XC40 Recharge Ultimate Twin Motor 7,390,000円
・XC40 Recharge Plus Single Motor 6,390,000円
・XC40 Ultimate B4 AWD 5,690,000円
・XC40 Plus Pro B4 AWD 5,290,000円
・XC40 Plus Pro B3 4,990,000円
・XC40 Plus B3 4,590,000円
ボルボC40価格
・C40 Recharge Ultimate Twin Motor 7,590,000円
・C40 Recharge Plus Single Motor 6,590,000円
ボルボXC40リチャージツインモーター航続距離などスペック
代表グレード XC40リチャージツインモーター
ボディサイズ 全長4,440mm×全幅1,875mm×全高1,650mm
ホイールベース 2,700mm
最低地上高 180mm
車両重量 2,150kg
最小回転半径 5.7m
定員 5名
駆動方式 4輪駆動(AWD)
蓄電池種類 リチウムイオン電池
総電力量、総電圧 78kWh、403V
充電 普通充電:AC200V(Type1) 9.6kWまで対応/急速充電:DC(CHAdeMO)150kWまで対応
充電時間 28分(10~80%、速充電所要時間は150kW直流充電器を使用)
モーター最大出力 300kw(408ps)/4,350-13,900rpm(システム合計)
モーター最大トルク 660N・m(67.3kg-m)/0-4,350rpm
一充電走行距離WTLCモード 485km
サスペンション 前:マクファーソンストラット/後:マルチリンク
タイヤサイズ 前:235/45R20、後:255/40R20
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