ハッチバックをファストバックとした新型マツダ3
アクセラはマツダの主力ファミリーカーとして、2003年にデビューを飾った。日本よりも海外で評判がよく、ヨーロッパだけでなく北米でもヒット作となっている。海外でのネーミングは「マツダ3」だ。アクセラの4代目は慣れ親しんだ名前を捨て、海外と同じように車名を「マツダ3」に変えた。
新型マツダ3のボディバリエーションは2つあり、5ドアのハッチバックはアクセラスポーツに替えて「ファストバック」を名乗っている。4ドアのトランク付きモデルの言い方は、今までと同じ「セダン」だ。
新型マツダ3に搭載されるエンジンは4機種設定となった。1.5Lをボトムに、1.8Lの直噴ディーゼルターボと直噴システムを採用した2.0Lのガソリンエンジン(スカイアクティブG)、そしてガソリンとディーゼルの長所をあわせ持ち、さらにモーターもプラスした革新的な圧縮着火ガソリンエンジンを設定するスカイアクティブXだ。
1.8Lディーゼル、スカイアクティブDの評価は?
試乗したのは、そのうちの1.8L直噴ディーゼルターボと2.0Lの直噴ガソリンエンジン搭載車だ。トランスミッションは6EC-ATと呼ぶ電子制御6速ATを組み合わせている。
1.8L直列4気筒DOHCの直噴ディーゼルターボは、85kW(116ps)/270N・m(27.5kg-m)のスペックだ。4WDモデルだと2.0Lのガソリンエンジン搭載車より100kgほど重いが、実用域のトルクは厚みがあり、街中の低速走行も余裕でこなす。その気になれば4500回転まで軽やかに回り、滑らかさにおいてもガソリンエンジンに肉薄する。
クルージング時は静粛性も高いから、先入観なしに乗ればガソリンエンジンと思ってしまう人もいるだろう。加速も2.0Lのガソリンエンジンより力強いが、車重のある4WDモデルは今一歩のパンチ力、トルク感と感じた。力強い加速を引き出したいときは早めにシフトダウンしてあげる必要がある。
アイドリングストップは、ディーゼルエンジンの快適性向上に威力を発揮した。1.8Lエンジンはディーゼル特有のガラガラ音がアクセラ時代の2.2Lモデルより大きく感じるからだ。再始動も無難にこなした。また、燃費とドライバビリティはガソリンエンジンを圧倒するから、ロングドライブを好む人はディーゼルターボがいいだろう。
2.0Lガソリンエンジン、スカイアクティブGの評価は?
新型マツダ3のガソリンエンジンは、直噴の2.0L直列4気筒DOHCだ。スペックは115kW(156ps)/199N・m(20.3kg-m)と、クラス平均レベルである。このエンジンは軽やかに回り、その気になれば6000回転まで難なく回った。低回転域のトルクはちょっと細いが、3500回転を超えると力強いパンチを味わえる。
6速ATは変作レスポンスが鋭く、つながりも滑らかだ。クルージング時の静粛性も優秀で、タイヤのパターンノイズが耳障りと感じるほどキャビンは快適だった。それでいて加速するとスポーティなエンジン音を奏でる。
グレードダウンしたリヤサスペンション
新型マツダ3のボディとシャシーには新しい車両構造技術が採用され、サスペンションも新設計だ。フロントはストラットを継承する。だが、リアは良好な操舵レスポンスを得るために、敢えて固定式のトーションビームを開発し採用した。
一般的な走りの領域ではリアの接地フィールは素晴らしく、ハードに攻めても破綻することはない。感心したのは、精緻で正確な操舵フィールだ。微小な操舵でも狙ったところに気持ちよくクルマが向きを変える。
回り込んだコーナーでも、アンダーステアに手を焼くことなく優れたライントレース性を身につけている。正確なハンドリングと精緻な操舵フィールによる一体感に加え、懐も深い。サスペンションは抑え込むだけでなく十分なストロークを確保しているから、荒れた路面でも接地フィールがよく操舵に忠実にクルマが向きを変える。
コーナリングしているときにエンジンのトルクを少し絞り、荷重移動を速やかに行うことによって前輪の接地性を高め、旋回しやすくする車両安定制御のGVC(G-ベクタリングコントロール)プラスの効果は絶大だ。コーナリングしている途中から直進に戻るときに揺り返しがなく、挙動は安定していた。
アクセラより舵を切り増しする場面は大幅に減り、クルマが滑らかに動く。コントロールできる領域が広がったのも美点に挙げられる。
マツダ3の乗り心地評価は?
ハンドリングは、ファストバックのガソリンエンジンを積むFF車がもっとも軽快感があり、運転するのが楽しい。一体感のある走りを満喫でき、ブレーキの制動フィールも優れていた。4WDのディーゼルターボは少し鼻先が重く感じる。舗装のいい路面では乗り心地がよかった。18インチタイヤを上手に履きこなしている。
ただし、荒れた路面ではリアがデコボコをドライバーに伝えてくることがあった。この弱点については、別の機会にロングドライブをしてチェックしてみたい。
上質なインテリアをもつ新型マツダ3。ベーシックな1.5Lガソリンエンジンに期待
新型マツダ3のホイールベースは、アクセラより25㎜延びている。居心地はいいし、上質ムードも感じられるが、キャビンはアクセラと大差ない。
後席はファストバック、セダンともに6対4分割可倒式だ。ファストバックの後席は囲まれ感が強く落ち着く。だが、乗り降りのしやすさはセダンに一歩譲る。ラゲッジルームも平凡な広さにとどまっているが、セダンはトランクスルー機構を採用し、使い勝手を向上させた。
新感覚のファミリーカーを買いたいと思っている人に、新型マツダ3はオススメの1台だ。試乗していないが、とくにパワーが必要がなく、街中中心というのであれば、コストパフォーマンス面でも1.5Lモデルが魅力的に感じる。
<レポート:片岡英明>
新型マツダ3価格
■マツダ3 ファストバック価格
・15S (FF)6MT/6EC-AT 2,221,389円/6EC-AT 4WD 2,457,889円
・15S Touring (FF) 6MT/6EC-AT 2,315,989円/6EC-AT 4WD 2,552,489円
・20S PROACTIVE (FF)6EC-AT 2,515,741円
・20S PROACTIVE Touring Selection (FF)6EC-AT 2,636,741円
・20S L Package (FF)6EC-AT 2,698,055円
・20S Burgundy Selection (FF)6EC-AT 2,769,555円
・XD PROACTIVE (FF)6EC-AT 2,790,741円/4WD 6EC-AT 3,027,241円
・XD PROACTIVE Touring Selection (FF)6EC-AT 2,911,741円/4WD 6EC-AT 3,148,241円
・XD L Package (FF)6EC-AT 2,973,055円 /4WD 6EC-AT 3,209,555円
・XD Burgundy Selection (FF)6EC-AT 3,044,555円 /4WD 6EC-AT 3,281,055円
■マツダ3 セダン価格
・20S PROACTIVE (FF) 6EC-AT 2,515,741円
・20S PROACTIVE Touring Selection (FF) 6EC-AT 2,636,741円
・20S L Package (FF) 6EC-AT 2,698,055円
・XD PROACTIVE (FF) 6EC-AT 2,790,741円/4WD 6EC-AT 3,027,241円
・XD PROACTIVE Touring Selection (FF) 6EC-AT 2,911,741円 /4WD 6EC-AT 3,148,241円
・XD L Package (FF) 6EC-AT 2,973,055円 /4WD 6EC-AT 3,209,555円
新型マツダ3燃費、ボディサイズなどスペック
■代表グレード:マツダ3 ファストバック XD PROACTIVE(FF)
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,460×1,795×1,440
ホイールベース[mm] 2,725
トレッド前:後[mm] 1,570:1,580
車両重量[kg] 1,410
エンジン型式 S8-DPTS型
総排気量[cc]1,756
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] 85(116)/4,000
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 270(27.5)/1,600-2,600
ミッション 6速AT
サスペンション 前:後 マクファーソンストラット :トーションビーム
タイヤ前後 前:後 215/45R18
WLTCモード燃費 19.8㎞/L
最小回転半径 5.3m
定員[人] 5
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