ダイハツ タフト試乗記・評価 下剋上狙う実力あり!

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【ダイハツ】2020/09/02

ダイハツ タフト

 

 

仁義なき戦いに再び参戦するタフト

ダイハツ タフト軽自動車マーケットは、相変わらず仁義なき戦いが繰り広げられている。新たなマーケットを開拓してヒットモデルを生み出しても、短期間の内に次から次へと似たライバル車が投入され、あっという間に激戦マーケットに。1人勝ちが許されない非常に厳しい環境が、もう何十年も続いている。

ただ、ダイハツは、新型タフトのライバル車であるスズキ ハスラーを長期間に渡り放置し過ぎてきた。ダイハツも何もしていなかったのではなく、ハスラーが開拓したハイト系クロスオーバーカテゴリーに、一度、ライバル車を投入していたのだ。あまり存在感がなく、あっという間に忘れ去られ、いつの間にか姿を消したキャスト アクティバがそれだ。

このキャスト アクティバは、ハイト系モデルであるキャストの派生車。ルックスはキャストベースで、少し車高を上げてSUVテイストを軽くプラスしたモデルだった。

ダイハツとしては、あまりコストをかけずにハスラーのライバル車として送り込めるという算段があったのだろう。しかし、容易に生み出した感がある派生車キャスト アクティバは、目の肥えた軽自動車ユーザーに支持されなかった。そこで、しばらくの間、ハスラーの1人勝ち状態が続いていく。

そこで、ようやく新型車投入のタイミングで、ハスラーの独走を止めるべく生まれたのが新型ダイハツ タフトとなる。今回は、キャスト アクティバでの反省点を生かし、専用開発とし再びハスラーに挑む。

ダイハツ タフト

 

 

よく似たシルエットをもつが、スカイフィールトップで差別化

ダイハツ タフトそんな新型タフトだが、まぁ、かなりハスラーに寄せてきている。角を丸くしたスクエアなフォルムは、細かいディテールを除けば、よく似ている。まぁ、ダイハツも次は外せないということもあり、こうしたシルエットにするしかなかったというのも分からないでもない。

ただし、それでもタフト独自のユニークさをもたせようと、スカイフィールトップを全車標準装備化した。

スカイフィールトップは、運転席上部の屋根をガラスにしたもの。ルーフのうちBピラーから前の部分、ほとんど半分くらいの面積がスカイフィールトップになっている。紫外線や赤外線を減らすスーパーUV&IRカットガラスが採用されているので、晴れた日でも日焼けや暑さを和らげてくれる。状況によって、開閉できるシェードも装備されているで使い勝手はよい。

実際、シェードを開けてスカイフィールトップ状態にすると、曇りや雨でも車内は少し明るくなり開放感がある。もちろん、晴天時なら圧倒的な開放感で、ドライブが楽しくなる。

ダイハツ タフト

 

 

音が気になる自然吸気車のCVT

ダイハツ タフトさて、まず最初に試乗したのは、自然吸気エンジンを搭載したGグレードのFF(前輪駆動)車。エンジン出力は、52ps&60Nmと平均的。市街地であれば、普通に元気よく走る。

ただ、気になったのがCVTの音。ヒューン、ヒューンといった高周波な音が、とにかく車内に響く。このCVTの音は、ダイハツCVTの悪癖ともいえるもの。随分前から話題になっているのだが、改善される気配はないようだ。

 

抜群のフィーリングをみせるD-CVT。差を付けた謎とは?

ダイハツ タフトこうした自然吸気エンジン車に対して、ターボエンジンは64ps&100Nm発揮。一人で乗車なら自然吸気エンジンでも十分だが、多人数乗車や高速道路を走るなどといったシチュエーションでは、やはりターボの力強さは魅力的だ。とくに、タフトのようなクロスオーバー車は、ロングドライブすることも多いと考えると、ターボ車の余裕ある走りは結果的に疲労軽減にもつながる。

そして、Gターボでは、自然吸気エンジン車であったCVTの音がほとんど聞こえない。これは、GとGターボでは搭載されているCVTが異なるからだ。Gターボには、ダイハツ最新のスプリットギアを採用したD-CVTが使われている。

この差は、非常に大きい。D-CVTは変速比幅も広く、ターボ車の大トルクを上手く生かし、エンジンの回転数も下げ気味で走る。高速域でも、変速比幅が広いため、エンジンの回転は低めになり静粛性も高い。しかも、アクセル操作に対するレスポンスもよい。Gグレードとは雲泥の差ともいえるほどだ。

ダイハツは、搭載エンジンによりCVTに差を付けたことに対して、自然吸気車では、D-CVTはオーバークオリティで、その性能を生かしきれないという。しかし、従来のCVTではヒューンという音が耳障りで、タフトの静粛性をスポイルしている。

しかし、GターボとGの車両価格差はあまりなく、装備差を含めるとD-CVTを搭載したGターボの割安感が際立つ。どうせなら、GもD-CVTにすればいいと思うのだが・・・。

ダイハツ タフト

 

 

キビキビ走るタフト。市街地で便利なオートブレーキホールド機能

ダイハツ タフト新型タフトの乗り心地は、やや硬め。タイヤのゴツゴツ感はしっかりと感じるが、角が丸いというか、それほど不快な硬さではない。硬めの乗り心地が好きな人には、むしろ好印象だろう。

その硬めのフットワークと生かし、カーブではクルマが大きく傾くことなく安定して走り抜ける。コーナーリング中に、グッとステアリングを切り込んでもクルマはしっかりと反応する。しっかりとした操舵感と自然なフィールのパワステも好印象で、タフトはキビキビとカーブを抜けていく。乗り心地重視のハスラーと比べると、少し対照的な印象だ。

タフトは最低地上高を190mmとして、オフロード性能を重視。こうすると、重心が上がっていてカーブは苦手傾向になるはずなのだが、DNGAにより生まれた最新のプラットフォームと強固なボディ剛性をもつタフトには当てはまらないようだ。

そして、市街地走行で意外と便利だったのが、オートブレーキホールド機能。タフトには、電動パーキングブレーキが全車標準装備になっている。

この機能を使っているのオートブレーキホールドで、システムONの状態であれば、渋滞や信号待ちなどでブレーキを踏んで停車した時に、ブレーキペダルから足を離してもブレーキを保持。再発進時は、普通にアクセルを踏めばOK。長い信号待ちや、長時間市街地走行を繰り返しているときは、非常に便利で疲労軽減にも役立つ。クロスオーバー車なのに、意外と気が利いている。

 

タフトのお勧めは、Gターボの訳とは?

ダイハツ タフトそんな新型ダイハツ タフトだが、購入時にお勧めしたいグレードはターボGだ。その理由のひとつ目は、高性能なD-CVTが採用されていて、ヒューンという高周波音がなく静粛性が高いこと。また、アクセル操作に対するレスポンスやダイレクト感もあり、運転がより楽しい。

そしてふたつ目は、Gターボを選択すると、全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)が標準装備されていること。この機能は、高速道路などで、全走車に全車速で追従走行する機能で、渋滞時のストップ&ゴーも簡単な操作で可能。疲労軽減につながり、より安全に移動できる。

同様に、安全装備であるLKC(レーンキープコントロール)も標準装備される。この機能は、約60km/h以上で走行中、全車速追従機能付ACC作動時に、クルマが車線の中央付近を安定して走行するよう、ハンドル操作をアシストしてくれる。より、安心して移動できる安全装備だ。

これらの、装備がGターボには標準装備され、価格アップは12.1万円。ターボに最新のD-CVT、全車速追従機能付ACC、LKCが装備されて12.1万円アップはお買い得だ。

ザックリだが、ターボが付くと10万円アップというのが、このクラスの相場。そうなると、2.1万円で最新のD-CVT、全車速追従機能付ACC、LKCが装備できていることになる。こうなると、むしろGグレードが割高に見えてくる。予算には限りがあるとは思うが、多少無理してでもGターボを買った方が満足度ははるかに高い。最終的には、GとGターボを比較試乗して決めるとよい。

ダイハツ タフトの完成度は高く、一人勝ち状態が続いた絶対王者ハスラーをも十分に脅かすことができるレベルに仕上がっている。やや、両車一長一短的な部分もあるが、ハスラーを研究し続けたタフトの下剋上はあるのか? 今後の販売台数に期待したい。

<レポート:大岡智彦>

 

 

ダイハツ タフト価格

・X 2WD  1,353,000円/4WD  1,479,500円

・G 2WD  1,485,000円/4WD  1,611,500円

・G ターボ  2WD 1,606,000円/4WD  1,732,500円

 

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ダイハツ タフト燃費、ボディサイズなどスペック

代表グレード:ダイハツ タフトG (FF)

ダイハツ タフト・全長3,395×全幅1,475×全高1,630mm

・ホイールベース 2,460mm

・トレッド 前:1,300mm 後:1,295mm

・最低地上高 190mm

・最小回転半径  4.8m

・車両重量 830㎏

ダイハツ タフト・乗車定員 4名

・WLTCモード燃費 25.7km/L

・エンジン KF型直3DOHC

・総排気量 658㏄

・最高出力 38kW[52ps] / 6,900rpm

・最大トルク 60N・m[6.1㎏・m] / 3,600rpm

・トランスミッション CVT

・サスペンション 前:マクファーソンストラット 後:トーションビーム

・タイヤ 前後  165/65R15

 

 

 

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