20世紀の傑作車MINI。人気グレードは、5ドアのディーゼル
コンパクト2BOXの革命児で、20世紀の傑作車に数えられているのがMINIだ。21世紀になると、BMWブランドの一員として再スタートを切り、新たなファン層の開拓に成功している。
現行のMINIは、3代目で2014年春に日本で発売を開始した。モデルチェンジか1年後の15年に慣れ親しんだ3ドアモデルに加え、実用性能を高めた5ドアモデルが登場している。3ドアは4人乗りだが、5ドアは5人乗りだ。
BMWが行うモジュラーコンセプトのパワーユニットは、ガソリンエンジンのほか、ディーゼルターボも設定する。高圧縮比のディーゼルエンジンは熱効率に優れ、燃費がいい。
また、低回転から分厚いトルクを発生するから扱いやすいし、ターボならパワフルだ。日本では軽油が安いこともあり、ディーゼルターボを選ぶ人が増えてきた。
MINIも1.5Lの直列3気筒と2.0Lの直列4気筒ディーゼルターボを揃えている。トランスミッションは、ガソリンエンジン搭載車が7速DCTと8速ATに進化した。軽快な6速MTも選択可能だ。ディーゼルターボは、今までと同じ6速ATを採用する。
テレマティクス機能で、より便利になったMINI
MINIは2018年5月にマイナーチェンジを実施した。エクステリアはMINIらしさを受け継ぎながら、LEDのデイライトランニングライトや新しいMINIのロゴエンブレムを採用する。
インテリアにもユニオンジャックのモチーフを導入した。また、車載通信モジュールによってメンテナンス情報やニュース、天気予報などをチェックできるテレマティクスサービスもMINI ONE以外に標準装備としている。スマートフォンアプリを使って遠隔操作できる機能が加わったのもうれしい。
走行ステージを選ばず気持ち良い走りができるディーゼル
試乗したのは、ホイールベースが70mm長く、後席も余裕を増した5ドアのクーパーDだ。上級のクーパーSDは、2.0Lの直列4気筒ディーゼルターボを搭載する。
これに対しクーパーDが積むのは、1.5Lの直列3気筒DOHCディーゼルターボだ。最高出力は85kW(116ps)/4000rpm、最大トルク270N・m(27.5kg-m)/1750〜2250rpmを発生する。
兄貴分のクーパーSDと比べると数値は控えめだが、車重は1280kgと軽いこともあり、力強い加速を披露した。
同じ排気量1.5Lの3気筒ガソリンエンジンも、街中を中心としたステージでは不満のない実力だ。だが、ディーゼルターボはさらに余裕があり、山岳路や高速道路でも気持ちいい走りを見せてくれた。
発進&追い越し加速では、鋭い瞬発力を披露
扱いやすさにおいても一歩上をいく。ターボラグを上手に抑え込み、1000回転台からトルクには厚みがある。回転フィールは軽やかだし、6速ATも滑らかにつながるから冴えた加速を見せつけた。
パワーゾーンはガソリンターボより広く、2000回転あたりからは加速に弾みがつく。発進加速以上に得意とするのは、追い越し加速である。パーシャル域からアクセルを踏み込んでも加速は力強い。4000回転まで引っ張ってくれるから鋭い加速を見せた。
マニュアルシフトでは、レッドゾーン手前の5000回転まで引っ張ることが可能だ。ステアリングにパドルシフトがあれば、さらにイージーに気持ちいい走りを引き出せるだろう。
3気筒ながら、振動を見事に抑え込んだエンジン
3気筒エンジンは振動が大きく、ノイジーだと言われているが、思いのほか滑らかなパワーフィールだ。気になる振動も上手に抑えられていた。
また、クルージング時は静粛性もガソリン車に肉薄する。さすがに、一気に加速すると独特のエンジン音を放ち、エンジン音が高まった。高速走行ではタイヤのパターンノイズがやや気になる。ディーゼル車としては合格点。100km/hクルージングでは、エンジンの回転は1800rpmを指していた。
ホイールベースが伸び、ややマイルドになったゴーカートフィール
MINIファンから「ゴーカートフィール」と呼ばれる一体感のある軽快なハンドリングは、もちろん健在。
だが、5ドアのMINIはややマイルドになっている。ファミリーユース的な使い方がされる5ドアと考えれば、これくらいがちょうどいい。MINIらしいダイレクトな操縦感覚を望むのなら、3ドアモデルを選ぶといいだろう。
ややマイルドなゴーカートフィールとはいえ、5ドアモデルもシャシー性能は高く、足の動きもしなやかだ。3気筒エンジンだから鼻先は軽いし、リアの追従性も優れている。
延びたホイールベースの恩恵もあり、自然体の動きと接地感のバランス感覚が心地よい。落ち着きのある挙動で、狙ったラインを気負わずにトレースしていく。
試乗車は、ワイドな18インチのピレリP7を履いていたが、乗り心地も思いのほかよかった。
3ドアはスプリンターとしての性格を前面に押し出し、走りの魅力にあふれている。これに対し、5ドアは悠々と走るグランドツアラーとしての味わいだ。それでいて、MINIらしい洒落っ気も持ち合わせている。
実燃費も優れた数値を出したMINI Cooper D
5ドアモデルはキャビンも広くなったから、ロングドライブでも快適だ。後席とラゲッジルームも、実用的な広さを手に入れた。
優れた熱効率のディーゼルエンジンは、燃費がいい。2名乗車で街中から高速道路まで、流れに乗って走ったが、オンボードコンピュータの燃費計は18.6km/Lを示した。高速道路だけを流して走れば20km/Lの大台も期待できる。
年間にある程度の距離を走る人にはディーゼルターボが向いていると言えるだろう。日本では軽油の値段が安いから、優位は揺るがない。しかも、エコカー減税による節税メリットも大きい。
<レポート:片岡英明>
MINI 5ドア、ディーゼル車価格
・MINI Cooper D 5 Door 6速AT 3,470,000円
・MINI Cooper SD 5 Door 6速AT 4,070,000円
MINI Cooper D 5 Door(6速AT)燃費、ボディサイズなどスペック
ホイールベース 2565mm
車両重量 1280kg
乗員定員 5名
エンジン型式 B37C15A
最高出力 116ps(85kW)/4000rpm
最大トルク 270N・m/1750~2250rpm
総排気量 1496cc
使用燃料 軽油
JC08モード燃費 23.9km/L
トランスミッション 6速AT
サスペンション形式(前:後) マクファーソン・ストラット: マルチリンク
最小回転半径 5.4m
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