大幅マイナーチェンジで大幅商品力を向上した新型デリカD:5
もっともアウトドアシーンが似合う多人数乗車のミニバンが三菱デリカD:5である。他のミニバンと違い、主役はSV並みのタフな走破性能を誇る4WDモデルだ。
しかも、ガソリンエンジン搭載車ではなくディーゼルターボを主役の座に据えた。現行の5代目は2007年のデビューだが、今なお基本性能は高い。そこで2019年の春、デリカD:5のディーゼルターボ搭載車は、大がかりなマイナーチェンジを断行している。フロントマスクとリアまわりのデザインを変え、インテリアも化粧直しを行った。
標準車とアーバンギア、ふたつの顔をもつデリカD:5
新型三菱デリカD:5のラインアップは、標準仕様と新設定のアーバンギアの2タイプだ。押しの強い顔立ちになり、インテリアはデザインを一新するとともに質感も高めている。
インパネなどにはソフトパッドを採用し、木目調パネルやステッチで見栄えのよさを演出した。また、10.1インチの大画面ナビシステムをディーラーオプションで用意している。
大幅な変更が加えられて4N14型クリーンディーゼルエンジン
新型三菱デリカD:5のエンジンは、4N14の型式を持つ2267ccのコモンレール式直列4気筒DOHC直噴ディーゼルインタークーラーターボだ。従来型と型式は同じだが、2022年から施行される排ガス規制を乗り切るために燃焼室まで変え、燃料噴射のインジェクターも最新型とした。
また、排ガスを浄化するために尿素SCRシステムも採用するなど、モデルチェンジといえるくらい手を入れている。アドブルーと呼ぶ尿素タンクをリアエンドの床下に設置したため、最低地上高は185mmとなった。
4N14型直噴ディーゼルターボは、最高出力107kW(145ps)/3500rpm、最大トルク380N・m(38,7kg-m)/2000rpmを発生する。トランスミッションは最新の8速ATだ。マニュアルモードに加え、パドルシフトも装備した。新世代ディーゼルは最高出力こそ3ps減っているが、最大トルクは20N・mも増強されている。性能的には4Lのガソリンエンジンに近い。
静粛性の高いキャビン。新8速ATの組み合わせでスムースさ抜群
従来型のデリカD:5と比べると滑らかさが際立ち、ディーゼル特有の尖った音色も上手に抑え込んでいる。ボンネットを開けて音を聴くと意外に大きいことが分かるが、遮音材や吸音材をふんだんに使っているため、キャビンにいると静かだ。
走行中も尖った音が入ってこないし、音色も少しよくなったように感じた。アクセルを踏み込むと低回転からトルクがモリモリとわき出し、2トンに近い重量ボディを苦もなく加速させる。8速ATの効果は絶大だ。力強い加速を見せ、追い越し加速も力強い。混んだ街中の走りも余裕でこなす。
ワイドレシオになった8速ATは滑らかにギアがつながり、高速クルージングでは回転数を低く抑えていた。100km/h巡航はおよそ1550回転だ。従来の6速ATより300回転くらい低いから静粛性も大きく向上している。フロアやルーフに遮音材をおごり、エンジンルームにも防音材を多用したからキャビンは驚くほど静かになった。
SUV顔負けの走破性を誇る4WD
新型三菱デリカD:5の4WDシステムは、4輪接地荷重や制動力配分、4輪スリップなどを統合制御する三菱自慢の「AWC」技術を盛り込んだ電子制御4WDだ。前後駆動力配分のパラメーターには、舵角に加え、ヨーレート制御を追加した。オートモードも適切な駆動力配分を行ってくれる。
雪道で4WDロックモードを選んでみたが、SUV顔負けの走破性能を見せつけた。最低地上高は減っているが、荒れた路面を走っても無理なく走りきることができる。
驚くほど良くなった乗り心地
箱根の山岳路では冴えたフットワークを見せ、快適性も大きく向上していた。新たに採用されたデュアルピニオン式のパワーステアリングは操舵応答性に優れ、路面からのインフォメーションも分かりやすい。
改良されたサスペンションと相まって、舵の利きがよくなっているから、狙ったラインに乗せやすい。ロールは許すが、クルマの動きは滑らかだ。8速ATの採用も功を奏し、気持ちよくワインディングロードを駆け抜けることができる。乗り心地も驚くほどよくなった。ハードブレーキング時の制動安定性も合格レベルだ。
だが、新型デリカD:5基本設計が古いため、ちょっと残念なところもある。シートは2列目までは快適だが、3列目は乗り心地が今一歩。また、シートを跳ね上げる作業は従来型と同じように重く、慣れないと手間取るだろう。USB接続のソケットは前席に装備されたが、これは2列目と3列目にも拡大採用してほしいところだ。
いくつか不満はあるが、大きく進化していることは疑う余地もない。高速道路から悪路、雪道まで、走りを楽しめる万能ミニバンが新しいデリカD:5だ。
<レポート:片岡英明>
新型三菱デリカD:5予定価格
■デリカD:5
G 3,942,000円
G-Power Package 4,082,400円
P 4,216,320円
■デリカD:5 アーバンギア
G 4,067,280円
G-Power Package 4,207,680円
新型三菱デリカD:5燃費、ボディサイズなどスペック
ボディサイズ 全長 4,800×全幅 1,795×全高1,875mm
ホイールベース 2,850mm
最小回転半径 5.6m
エンジン 4N14型 直列4気筒DOHCインタークーラーターボディーゼル
排気量 2,267cc
最高出力 107kW(145ps)/3,500rpm
最大トルク 380Nm/38.7kgf・m/2,000rpm
駆動方式 4WD
JC08モード燃費 13.6km/L
WLTCモード燃費 12.6㎞/L
乗車定員 7~8人
車両重量 1,930~1,960kg
サスペンション形式 F:マクファーソンストラット R:マルチリンク
タイヤサイズ 255/55R18
【関連記事】
- 三菱 アウトランダーPHEV新車情報・購入ガイド 大幅改良&値上げ。それでも、コスパ高し!!【三菱】
- 【動画】三菱トライトン 後悔・失敗しないための試乗レビュー ピックアップなのに、乗り心地が・・・【三菱】
- 三菱 デリカミニ vs ダイハツ タントファンクロス徹底比較評価! 失敗・後悔しないクルマ選び【対決】
- 三菱トライトン試乗記・評価 ピックアップなのに快適!?【三菱】
- 日産キックス新車情報・購入ガイド 特別感と充実装備が魅力の90周年記念車登場!【日産】
- 日産エクストレイル新車情報・購入ガイド 安全性をアップさせた仕様向上【日産】
- トヨタ ランドクルーザー250新車情報・購入ガイド やや大きくなったプラドの後継モデル。高リセール確実!?【トヨタ】
- スバル インプレッサ新旧比較 失敗・後悔しないクルマ選び【対決】
- 日産車雪上、試乗記・評価 雪道でe-4ORCEの実力は?【日産】
- 日産セレナ VS トヨタ ヴォクシー/ノア、失敗・後悔しないための徹底比較評価【対決】
【オススメ記事】
- トヨタRAV4(50系)新車情報・購入ガイド 新型RAV4デビュー直前? 最後の改良か?【トヨタ】
- 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー 10ベストカー取材会開催!【イベント】
- 【動画】トヨタ アルファード (40系)後悔・失敗しないための内外装レビュー【トヨタ】
- ホンダWR-V試乗記・評価 大満足か後悔か? 成功か失敗か? 見極め重要なコンパクトSUV【ホンダ】
- 日産エクストレイル(T33型)vs トヨタ ハリアーハイブリッド(80系)徹底比較!【対決】
- 日産フェアレディZ新車情報・購入ガイド 2025年モデルが登場! 納期は? 転売ヤー対策は?【日産】
- BMW M2クーペ(G87)試乗記・評価 「サーキットで乗ってみたい!」クルマ好き女子が試乗!【BMW】
- 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー、栄えある10ベストカーが決定! 今年のナンバー1は、どのクルマに!?【イベント】
- 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー、ノミネート車31台が決定!【イベント】
- マツダCX-80試乗記・評価 すべてに大人の余裕を感じた国内フラッグシップ3列SUV【マツダ】
CORISM公式アカウントをフォローし、最新記事をチェック!