驚くほど賢い!? 日産の電動4WD「e-4ORCE」の実力を雪上で試す!

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【日産】2025/03/12

T33型日産エクストレイルe-POWER e-4ORCE

 

 

長期間、4WD技術を蓄積してきた日産

 

4WDシステムの魅力は、前後の4輪を駆動させてトラクション能力を高め、安全で快適な走りを引き出せることである。サファリの前身のパトロールの時代から4WDを手がけてきた日産は、技術の蓄積が豊富だ。

パルサーでは、日本で初めてビスカスカップリングを使ったフルタイム4WDシステムを実用化。トリプルビスカスカップリングまで発展させた。これに続いてフルタイム4WDの「アテーサ」を投入し、R32型スカイラインGT-RではアテーサE-TSによってスポーツ4WDの扉を開けている。
そして21世紀になると、電動パワートレインと組み合わせた4WDを積極的に送り出し、新境地を切り開いた。

4WDの実力が分かりやすいのは、タイヤと路面における摩擦係数が低く、滑りやすい雪上や氷上だ。路面が鏡のように磨き込まれた氷結路では、大きなコーナーでも狙ったラインに乗せて曲がることは難しい。温暖化が進んではいるが、ひとたび降ってしまうと難儀し、スタックする危険性も高まる。こういったシーンで高い潜在能力を発揮するのが4WDモデルだ。

 

モーターの出力とブレーキ制御を緻密に統合制御する4WD技術が「e-4ORCE」

 

日産は毎年、マスコミ向けに雪上や氷上での試乗会を開催している。今回の注目モデルは、2024年秋にセレナに追加した電動駆動・4輪制御技術の「e-4ORCE」搭載のハイウェイスターⅤだ。

バッテリーEV(BEV)のアリアが最初に採用した「e-4ORCE」は、前後2つのモーターの出力とブレーキ制御を緻密に統合制御し、「走る、曲がる、止まる」の基本性能を大幅にアップした。

C28型日産セレナe^POWER e-4ORCE

 

さり気なく滑りやすい道をサポートし安心感を与えるセレナの「e-4ORCE」

 

発電用の1.4Lエンジンに電気モーターのe-POWERを組み合わせたセレナは、アクセルを踏み込んだ直後からパワーとトルクがスッと立ち上がり、気持ちいい加速を披露する。

ミニバンは多人数乗車の機会も多いから、鋭い瞬発力は大きな武器になるが、これは乾燥した舗装路での話だ。滑りやすい路面では繊細なアクセルコントロールを強いられる。だが、「e-4ORCE」は驚くほど賢い。

加速時に最適なトラクションがかかって、滑らかにスピードを上げていく。加速していくときの挙動変化も小さく制御されている。減速したときも頭が前後に動く振り幅も小さい。コーナリング時もしたたかな接地感が得られ、体の揺れも抑えられていた。滑りやすい雪道に不安を抱いている人にも優しい乗り味で、コントローラブルだ。制御も緻密だから、「e-4ORCE」に助けられていることが分かりにくい。

滑りやすい雪道では、4WDモデルであってもコーナーを曲がりにくかったり、逆に曲がりすぎる場面も多々ある。だが、ミニバンのセレナでも「e-4ORCE」のハンドリングは素直だ。挙動を乱しそうになっても狙ったラインに乗せられるように上手に制御を行ってくれる。4輪それぞれに絶妙なブレーキ制御を加え、ラインの修正も行う制御も緻密で賢い。

ミニバンのセレナは背が高いから見晴らしはいいが、コーナリングを頑張るとロールが発生する。セレナの「e-4ORCE」は無駄な動きを知らず知らずのうちに抑え、巧みに修正してくれるから、運転が上手くなったと感じる人も少なくないだろう。タイヤのグリップ限界の範囲内なら破綻を起こしづらいから、絶大な安心感が得られた。

C28型日産セレナe^POWER e-4ORCE

C28型日産セレナe^POWER e-4ORCE

 

 

走る楽しさも感じるエクストレイルの「e-4ORCE」

 

エクストレイルも、溶けかかった滑りやすい雪道で「e-4ORCE」の威力を見せつけている。1.5L可変圧縮比機能のもつVCターボはパンチがあるが、アクセルを強めに踏み込んでも暴れることなく4輪にトラクションが伝わり、上質な加速を披露した。

前輪に続いて後輪にも最適なトルク配分を行なう制御は、驚くほど緻密だ。トラクションをかけて常に安定方向に導いてくれるから、滑りやすい路面でも狙ったラインを外すことなく走ることができる。

SUVで、荒れた路面を得意とするから、操る楽しさはセレナの一歩上をいく。前後輪の荷重バランスを最適に制御し、駆動力配分を素早く行って4輪のグリップ力を上手に確保する。

タイヤが滑ってスリップを検知すると、狙ったラインを外さないように駆動力を高めてくれるのだ。また、片輪に絶妙にブレーキをかけ、前輪が外側に逃げようとするのを巧みに抑え込んでくれた。

セレナも基本は同じ「e-4ORCE」を採用する。だが、エクストレイルの方が4輪のタイヤの能力を引き出しやすいし、操る楽しさも格別だ。バッテリーEV(BEV)のアリアに乗ったとき、制御の緻密さとコントロール性の高さに驚嘆した。バッテリーEVのアリアは雪道で扱いやすいなど、優等生の走りだ。2モーターに電動4輪制御を組み合わせたアリアと比べると、エクストレイルは操っている感覚が強い。軽やかな運転感覚と適度なスポーティ感が好ましいと感じ、魅せられる。

T33型日産エクストレイルe-POWER e-4ORCE

T33型日産エクストレイルe-POWER e-4ORCE

T33型日産エクストレイルe-POWER e-4ORCE

 

 

安心・安全だけでなく、楽しい走りもアシストするe-POWER 4WD

 

もう1台、e-POWER搭載車のステアリングを握った。ノートに設定されたオーテッククロスオーバーだ。4WDシステムは、後輪用モーターを追加したe-POWER 4WDで、e-POWERのバッテリーを使って駆動を行う。

前輪が空転してトラクションがかからない場面では、後輪にも伝達トルクを送るスタンバイ4WDだが、発進直後からトラクションがしっかりとかかり、滑らかな加速を見せた。

ペダルを踏み換えることなく、アクセルペダルを緩めるだけで速度をコントロールできる「eペダル」は滑りやすい雪道でも高いコントロール性を披露する。アクセルを抜くだけで簡単に減速し、スリッピーな路面でもステアリング操作に専念することができ、楽だった。

E13型日産ノートe-POWER 4WD

 

e-4ORCEは、e-POWER 4WDと比べて制御規模は約1.5倍ある。だから、見劣りするかと思ったが、驚くほど制御は上手だ。ライバルと比べてもコントロールできる領域は広く、タイヤが滑り出すと瞬時にグリップバランスを適正な方向に導いてくれた。

トラクションのかけ方やVDCの介入がとても上手い。グリップを失ったときのトラクションの回復が早いなど、凍りついた路面でもコントロールできる領域は広かった。これが運転しているときの安心感につながっている。

フロントの追従性がよく、狙ったラインに乗せやすい。実用的な4WDモデルであるが、操る楽しさを忘れていないのも魅力的だ。

車重が軽いこともあり、身のこなしも軽やかだった。だが、グリップを失いかけるとモーター出力を適切に制御し、舵の効きを確保してくれた。懐の深い走りを見せる電動4輪制御のe-4ORCEだけでなく、e-POWER 4WDも安全で楽しい走りを引き出しやすい。雪道ビギナーでも安全に4WDの潜在能力の高さを実感でき、運転する楽しさも併せ持つ優秀な黒子が日産の4WDである。

<レポート:片岡英明

 

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日産セレナe-POWER e-4ORCE新車価格

・e-4ORCE X 3,614,600円

・e-4ORCE XV 3,914,900円

・e-4ORCE XV(防水シート車) 3,958,900円

・e-4ORCE ハイウェイスターV 4,088,700円

・e-4ORCE ハイウェイスターV(防水シート車) 4,132,700円

・e-4ORCE AUTECH 4,486,900円

 

日産エクストレイルe-POWER e-4ORCE新車価格

・S e-4ORCE 3,851,100 円

・X e-4ORCE [2列] 4,140,400 円

・G e-4ORCE 4,752,000 円)

・X e-4ORCE [3列] 4,271,300 円

・X e-4ORCE エクストリーマーX [2列] 4,492,400 円

・X e-4ORCE エクストリーマーX [3列] 4,623,300 円

・AUTECH e-4ORCE [2列] 4,841,100 円

・AUTECH e-4ORCE Advanced Package 5,332,800 円

・AUTECH e-4ORCE [3列] 4,972,000 円

・X e-4ORCE 90周年記念車 [2列] 4,343,900 円

・X e-4ORCE 90周年記念車 [3列] 4,474,800 円

 

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