スズキ ジムニー、ジムニーシエラ試乗記・評価の目次
- 歴史ある世界最小の本格派オフローダーが、スズキ ジムニー
- 伝統のラダーフレームを継承した4代目新型スズキ ジムニー
- 660㏄ 3気筒ターボを搭載したジムニー、4速ATと5速MTを設定
- ジムニー シエラは、1.3Lから1.5Lへ排気量アップ。余裕ある走りは、ジムニーを超える
- 得意ステージは、オフロードや低ミュー路
- 悪路でのスタックを回避するブレーキLSDトラクションコントロール
- 快適性に優れたジムニーシエラ
- 歩行者検知式自動ブレーキも用意したが、全車標準装備化は見送り
- スズキ ジムニー価格
- スズキ ジムニーシエラ価格
- スズキ ジムニー燃費、ボディサイズ、スペックなど
- スズキ ジムニーシエラ燃費、ボディサイズ、スペックなど
歴史ある世界最小の本格派オフローダーが、スズキ ジムニー
1970年に誕生したスズキ ジムニーは、世界最小の本格派オフロードSUVとして知られている。その兄貴分のジムニーシエラは、日本よりも海外で名を知られ、熱狂的なファンも多い。
スズキ ジムニーのすごいところは、デビューから48年になるのに、わずか3回しかモデルチェンジしていないことだ。歴代のジムニーは、驚くほどの長寿を誇り、モデルチェンジしても設計コンセプトを変えない。
伝統のラダーフレームを継承した4代目新型スズキ ジムニー
2018年7月にベールを脱いだ4代目スズキ ジムニーも、それまでと同じコンセプトを掲げて登場した。ボディ構造などのメカニズムの多くは、歴代のジムニーと大きくは変わらない。初代から伝統となっているラダーフレームを採用し、2WDと4H/4L切り替え式の副変速機を備え、通常は後輪駆動で走るパートタイム4WDを継承している。
サスペンションも3リンク式のリジッドアクスルラダーフレームを受け継いだ。だが、フレームもパワートレインも新設計とし、飛躍的に実力を高めた。
はしご型のラダーフレームは、前後にクロスメンバーを追加して8本にし、中央部にはXメンバーを追加している。ボディのねじり剛性は先代より1.5倍も高い。
また、悪路でのキックバックを減らすためにステアリングダンパーを装備している。2WDから4WDへの切り替えは、プッシュボタンからフロアに設置したレバー式に戻された。
また、スタックしたときの脱出性能を高めるために、初めて電子制御ブレーキLSDトラクションコントロールを採用した。横滑り防止装置のESPは、シエラと同様に標準装備する。
660㏄ 3気筒ターボを搭載したジムニー、4速ATと5速MTを設定
スズキ ジムニーに搭載されるのは、658ccのR06A型直列3気筒DOHC4バルブターボエンジンだ。64ps/9.8kg-mのスペックだが、先代のK6A型エンジンより低回転域のトルクが太いので街中やオフロードでも扱いやすい。本領を発揮するのは3000回転を超えてからだが、2000回転手前からターボの後押しによってパワーとトルクが盛り上がる。1トンを超える車重だからパワフルとは言い難いが、必要にして十分な動力性能だ。
搭載されたミッションは、4速ATと5MT。4速ATとの相性もいいが、運転して楽しいのは5速MT車である。2速と3速のギアがちょっと離れている気がするが、3速ギアでは70km/hまで引っ張ることができ、ロックアップ機構も作動した。
実用域のトルクが豊かだから扱いやすいし、先代と比べると静粛性も大きく向上している。さすがにハスラーやワゴンRには及ばないが、一般道なら許容できるレベルだ。風切り音や足元から侵入するノイズと振動も先代ほど大きくない。
ジムニー シエラは、1.3Lから1.5Lへ排気量アップ。余裕ある走りは、ジムニーを超える
兄貴分のシエラは、1.3LのM13A型直列4気筒から1.5LのK15B型直列4気筒DOHCエンジンに載せ換えられている。パワースペックは102ps/13.3kg-mだ。車重はジムニーより50kg重いだけだから、冴えた走りを見せつけた。
オフロードでも郊外のパイパス路でも余裕と扱いやすさ、そして静粛性はジムニーの一歩上をいく。高速道路や峠道を走る機会の多い人やロングドライブを好む人は、ジムニーシエラがおすすめだ。実用燃費もジムニーよりいいはずである。
得意ステージは、オフロードや低ミュー路
ジムニー兄弟の得意とするステージは、グリップ性能を問われるオフロードや低ミューの雪道だ。特設コースには、コブが連続するモーグルやガレ場、すり鉢のような傾斜のバンク、障害物の乗り越えなどのステージが設けられていた。
トランスファーを4Lレンジに入れ、ヒルディセントコントロールをオンにしてコースに入る。過酷なステージでもボディとフレームは驚くほど強靭で、乗り越えるときも絶大な信頼感があった。
電動パワーステアリングは、オフロード走行を意識してダルな味付けにしている。が、先代のような頼りなさはなく、しっかりとした操舵フィールだ。荒れた路面から蹴返されるキックバックからも大幅に減少した。
悪路でのスタックを回避するブレーキLSDトラクションコントロール
ストロークをたっぷりと取ったサスペンションは、荒れた路面でもしなやかに動く。アプローチアングルは余裕たっぷりの41度だし、ランプブレークオーバーアングルは28度、デパーチャーアングルは51度だ。だから大きなギャップや大きなコブを余裕で乗り越えられる。
片輪が浮いてしまう対角線スタックのステージでも立ち往生することなく、走りきることができた。ブレーキLSDが空転している車輪にブレーキをかけ、もう一方の車輪の駆動力を確保するからスタックしてもたやすく脱出できる。
林道に多い急勾配の登り坂ではブレーキペダルから足を離しても2秒間はブレーキを作動させてくれるヒルホールドが重宝した。その逆に急勾配の下り坂では、ブレーキを自動制御するヒルディセントコントロールが威力を発揮し、不安なく急坂を下ることができる。
快適性に優れたジムニーシエラ
スズキ ジムニーとジムニーシエラは、街中や郊外を中心とする舗装路の走りでも安心感と快適性が増した。とくに、全幅とトレッドを広げたジムニーシエラは快適だ。コーナーで踏ん張りがきき、グラッとくる初期ロールも上手に抑え込んでいる。揺れの収まりも早かった。乗り心地もジムニーほど引き締まった感じではない。フロアからの振動もジムニーほど気にならない。
最小回転半径はジムニーが4.8m、シエラでも4.9mだ。日常の取り回し性に優れ、全長も短いから駐車も難なくこなした。
歩行者検知式自動ブレーキも用意したが、全車標準装備化は見送り
新型ジムニーとジムニーシエラは、快適装備だけでなく安全装備も充実させている。追従クルーズコントロールでないのは不満だが、先進安全装備はひと通り盛り込まれた。
キャビンは前席優先の2➕2レイアウトだ。前席なら長身の人でも快適に座れる。後席はミニマムなスペースで、2ドアだから乗り降りも大変だ。4人が座るとラゲッジルームも今一歩のスペースにとどまる。
最新のジムニーとジムニーシエラは人気が高く、納車には時間がかかるようだ。だが、待ってもいいと思わせるだけの魅力を持つ、痛快なクロスカントリー4WDである。
<レポート:片岡英明>
スズキ ジムニー価格
・XG 5MT 1,458,000円/4AT 1,555,200円
・XL 5MT 1,582,200円/4AT 1,679,400円
・XC 5MT 1,744,200円/4AT 1,841,400円
スズキ ジムニーシエラ価格
・JL 5MT 1,760,400円/4AT 1,857,600円
・JC 5MT 1,922,400円/4AT 2,019,600円
スズキ ジムニー燃費、ボディサイズ、スペックなど
全長(mm) 3,395 全幅(mm) 1,475 全高(mm) 1,725
ホイールベース(mm) 2,250
トレッド(mm) 前 1,265 後 1,275
最低地上高(mm)205
車両重量(kg) 1,040
燃料消費率(km/L)WLTCモード 13.2
最小回転半径(m) 4.8
エンジン 型式 R06A型 直列3気筒インタークーラーターボ
総排気量(L) 0.658
最高出力(kW/rpm)ネット 47<64PS>/6,000
最大トルク(N・m/rpm)ネット 96<9.8kg・m>/3,500
ミッション 4AT
スズキ ジムニーシエラ燃費、ボディサイズ、スペックなど
・スズキ ジムニーシエラJC 4AT
全長(mm) 3,550 全幅(mm) 1,645 全高(mm)1,730
ホイールベース(mm) 2,250 トレッド(mm) 前 1,395 後 1,405
最低地上高(mm)210
車両重量(kg) 1,090
性能 燃料消費率(km/L)WLTCモード 13.6
最小回転半径(m) 4.9
エンジン 型式 K15B型 直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量(L) 1.460
最高出力(kW/rpm)ネット 75<102PS>/6,000
最大トルク(N・m/rpm)ネット 130<13.3kg・m>/4,000
ミッション 4AT
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