未だ新型コロナウィルスの影響から抜け出せない国内新車販売
自販連が発表した8月の新車登録台数は197,832台で、前年の242,718台に対して18.5%減にとどまった。5月は40.2%減、6月は26.0%減、7月は20.4%減だったから、少しずつマイナス幅は縮小しているが、それでもまだ20%近い減少率だ。新型コロナウィルス禍による影響からまだ脱却できていない。昨年の消費税増税以後、前年比の落ち込みが続いている中で新型コロナウィルス禍によって追い打ちをかけられた形である。
一方全軽自協が発表した軽自動車の新車販売台数は128,604台で、前年の145,882台に対して11.8%のマイナスだった。軽自動車は5月は52.7%減、6月が17.3%減の後、7月が1.1%減と横ばいに近い状態になっていたが、8月はまたマイナス幅が拡大した。
登録車も軽自動車も、ウィズコロナの時代の新車販売がどんな形で落ち着くのか、まだ見えてきていない。そんな中で、8月の新車販売ランキングが別掲のようにまとまった。8月はお盆休みもあって販売が全般に低調な月だが、そんなこともあってランキングにも大きな変動は見られなかった。
ヤリスクロスの登場で、9月以降ナンバー1奪取の期待が高まる
まず、トップ10を見ると、N-BOXの首位独走が続いている。2位のヤリスを3,000台近く引き離してのナンバー1だ。N-BOXは、すでにマイナーチェンジ直前という状況。それでも、前年比79.4%というのは、N-BOX人気の底知れなさを感じさせる。
さすがのヤリスも、簡単にはN-BOXを抜けないかも知れないが、9月にはヤリスクロスが登場した。このヤリスクロスの売れ行き次第では、N-BOXを超えることも予想できる。
3位のスペーシアは7月と同じ。前年比は99.1%と昨年並みまで復帰している。このスペーシア人気は、本物なのか今後に注目だ。
この3位までが1万台を超えた販売台数を記録している。
4位のライズと5位のタントは7月と順位が入れ替わっている。6位のカローラと7位のムーヴ系も7月と同じである。ムーヴ系は、ムーヴがモデル末期でムーヴキャンバスもデビューから4年。厳しい状況下ながら、根強い人気でこの位置をキープしている。
クラウンが売れない理由は、アルファードにあり?
8位はフィットが、1ランクアップ。前年比も129.9%と好調だが、デビュー直後のモデルであることや、ライバルであるヤリスとは約4,700台もの差を付けられている点がやや心配な部分だ。本来なら、ベスト3に入ることが求められる実力車だからだ。
9位にはアルファードが11位からランクアップしてきた。アルファード人気は、トヨタディーラーが全車種扱いになったことが大きく影響しているとみられる。
今まで、他のチャネルに流出しないように、営業力で自チャンネルの車種を販売し顧客をつなぎとめていた。しかし、全車種扱いになったことで、その制約がなくなり、より売りやすい人気車モデルに販売力が集中した見られる。その結果、人気を失いかけていたヴェルファイアは完全に失速。アルファードの 7,153台に対して、ヴェルファイアは1,226台しか売れなくなっている。
さらに、アルファードの人気は、セダン離れも加速させているようだ。アルファードが売れている反面、人気がないセダンであるクラウンやカムリは軒並み販売台数を落としている。
国産高級セダン代表ともいえるクラウンは、なんと949台、カムリにいたっては657台しか売れていない。とくに、500万円以上するクラウンユーザーから見れば、同じような価格帯で7、8人が乗車でき、より広い室内空間をもつアルファードに移行するのは仕方のないことかもしれない。
10位のハスラーは前月と同じ。7月には、トップ10の8位に食い込んで驚かせたハリアーは11位に後退。それでも、この位置にいるのは大したものだし、ハリアーやアルファードのような高額車が良く売れるのだから、トヨタだけが儲かるような結果となった。
■2020年8の新車販売ランキング 1~10位
1)N-BOX 14,514台( 79.4%)
2)ヤリス 11,856台(2019-02)
3)スペーシア 10,579台( 99.1%)
4)ライズ 9,391台(2019-11)
5)タント 9,151台( 54.3%)
6)カローラ 8,751台(156.4%)
7)ムーヴ系 7,594台( 86.3%)
8)フィット 7,158台(129.9%)
9)アルファード 7,153台(153.5%)
10)ハスラー 6,384台(198.0%)
N-WGN好調を維持。追いつけそうで追いつけないタフト
11位から20位までの車種を見ると、軽自動車が6車種入っている。12位のルークスは、人気のスーパーハイト系軽自動車だ。N-BOX、スペーシア、タントにやや引き離されている状態。最新モデルなので、本来ならベスト5内を狙いたいところ。やや、苦戦状態が続いている。
13位のN-WGNは、今月も14位のワゴンRを抑え堅調な売れ行きとなっている。N-WGNがこのまま好調な販売を維持できれば、N-BOXに次ぐ軽自動車第2の柱と言える存在になりそうだ。
その他の軽自動車では、16位のタフトは、ハスラーのライバル車として登場したが、微妙な差でハスラーを追い越せない歯がゆい状況が続いている。18位はアルト、19位はミラとなった。7月もこのランクには6車種が入っていたが、7月に24位だったアルトが18位に入った代わりにデイズが20位から22位に後退し、6車種のままとなった。
登録車は11位のハリアーのほか、15位のルーミー、17位のセレナ、20位のヴォクシーの4車種。4代中3台が両側スライドドアをもつモデルだ。また、3車種がトヨタ車で、ほかのメーカーの車種は日産のセレナだけだった。
■2020年8の新車販売ランキング 11~20位
11)ハリアー 6,231台(203.6%)
12)ルークス 6,208台(2020-03)
13)N-WGN 5,853台( 84.1倍)
14)ワゴンR 5,668台( 87.9%)
15)ルーミー 5,617台( 75.2%)
16)タフト 5,292台(2020-06)
17)セレナ 5,055台( 65.5%)
18)アルト 5,020台(105.7%)
19)ミラ 4,643台( 72.2%)
20)ヴォクシー 4,639台( 67.4%)
強いトヨタ車、厳しいノート。キムタク起用CMで日産復活なるか?
21位から30位のランクで軽自動車なのは、22位のデイズと29位のジムニーだけになる。
残り8車種が登録車だ。8車種のうち6車種はトヨタ車が占めていて、ほかのメーカーのクルマは21位のノートと23位のフリードだけだった。
ここに入ったトヨタ車は、24位のシエンタ、25位のプリウス、26位のアクアと販売ランキングの上位にいたことのある車種が並び、さらに27位にノア、28位にRAV4、30位にタンクが入っている。ノアはヴォクシーの姉妹車だし、ルーミーはタンクの姉妹車だが、アルファードの姉妹車であるヴェルファイアほどには落ち込まず、このあたりで一定の台数を確保している。
非常に厳しい状態になっているのがノート。前年比 59.6%と大きく落ち込んでいる。ノートは2012年デビューと、完全にモデル末期。しかも、同じクラスに、新型車ヤリスやフルモデルチェンジしたフィットが投入されたことを受け、かなり販売面で苦戦している。
日産は、カローラフィールダーなどトヨタのCMタレントイメージが強かった木村拓哉を企業CMに抜擢するという、かなり大胆な選択を行っている。こうしたCMが功を奏し、企業イメージがアップし日産車の販売台数が伸びるのかにも注目だ。
また、この21~30位に入った車種の内、9台が前年比割れという状態。新型コロナ禍の厳しいマーケット状態を象徴している。
■2020年8の新車販売ランキング 21~30位
21)ノート 4,596台( 59.6%)
22)デイズ 4,445台( 33.1%)
23)フリード 4,163台( 59.5%)
24)シエンタ 4,137台( 47.3%)
25)プリウス 4,099台( 50.1%)
26)アクア 3,813台( 50.9%)
27)ノア 3,323台( 84.0%)
28)RAV4 3,306台( 52.7%)
29)ジムニー 3,257台(170.0%)
30)タンク 2,792台( 46.8%)
人気SUVが消えた?
31~40位の車種では、いっきにSUVの姿が減った印象だ。フォレスターやCX-5、エクストレイル、ヴェゼルなどの人気SUVがランク外になった。C-HRもかろうじて34位、CX-30がギリギリ40位に入っている。
こうした傾向を見ると、あれだけ高い人気を誇っていたSUVもそろそろ終わり? と、思わせる販売状況になっている。
■2020年8の新車販売ランキング 31~40位
31)ソリオ 2,770台( 90.4%)
32)ステップワゴン 2,722台( 76.7%)
33)パッソ 2,380台( 81.5%)
34)C-HR 2,349台( 65.1%)
35)ロッキー 2,345台(2019-11)
36)スイフト 2,330台(103.1%)
37) eKワゴン系 2,135台( 55.9%)
38)インプレッサ 2,050台( 73.8%)
39)マツダ2 1,977台(2019-09)
40)CX-30 1,903台(2019-10)
トヨタ ヤリス vs ホンダ フィット徹底比較!人気のBセグメントコンパクトカー対決
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