軽自動車過去10年を振り返っても最も少ない12.0%減の11万3129台
日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が発表した2021年8月の新車販売台数の速報値は、合計で31万9697台となり、前年の8月に比べて2.1%減少となった。
このうち登録車は、前年8月に比べて4.4%増の20万6568台となり、6か月連続でプラスを維持した。
一方軽自動車は、前年8月に比べて12.0%減の11万3129台で、3か月連続のマイナス。7月に続いて2カ月連続の二桁マイナスになっただけでなく、過去10年を振り返っても最も少ない台数となった。
総販売台数に対する軽自動車比率は、高いときには40%を超えたこともあったが、8月は35.6%にまで低下している。
最近は自動車メーカー各社は、半導体不足や新コロナウィルス禍によるアジアの工場の休業によってワイヤハーネスなどの部品供給が滞っているため、工場の休止などを実施している。
だが、8月に関しては登録車は何とか順調を維持したものの、軽自動車ではそうした影響が強く出たようだ。
半導体不足に加え、輸入部品不足により、まともに生産できない
ブランド別に前年同月比を見ると、登録車の乗用車系では台数規模は小さいものの、三菱が前年比62.0%増、レクサスが39.1%増、日産が22.2%増と伸ばしたほか、スバルが18.7%増、ホンダが6.8%増、トヨタが6.2%増となった。
これに対し、スズキは33.6%減、ダイハツが28.0%減、マツダは23.5%減などと明暗が分かれた。
軽自動車は、三菱が6.9%増と伸ばしただけで、ほかのブランドはマツダが31.7%減、日産が28.1%減、スバルが23.1%減、ホンダが17.4%減、スズキが13.3%減、ダイハツが2.4%減、トヨタが0.3%減などと軒並みマイナスを記録している。
登録車、軽自動車とも、部品供給の見通しがはっきりしない状況が続いているため、今後の販売動向には不透明感が強まっているようだ。
また、8月の輸入車の新車販売は2万3913台で前年比10.5%増と順調。日産やトヨタなど日系ブランド車が伸びたことも大きいが、逆にポルシェやフェラーリなどの高額スポーツカーが8月として過去最高の販売台数を記録したなどと報じられている。
アクア好調! しかし、不透明感拭えず
8月の乗用車の銘柄(通称名)別販売ランキングは別掲の通りで、トヨタのヤリス系が首位を続けている。
改良の効果で、6月に首位を奪回したN-BOXも、その後は連続してヤリス系に及ばない結果で8月も2位にとどまった。
8月は盆休みなどもあって稼働日が少なくなるため販売台数が低レベルになる月だが、3位のルーミーまでが1万台を超える販売を記録している。
4位はフルモデルチェンジを受けたばかりのアクアが、前月の8位から4位にまで上昇してきた。新型車効果で前年の2.5倍ほどの販売台数を記録しており、まずまず順当な結果といえるだろう。
ただ、このアクアも先行きは不透明。トヨタHPによると納期は1-2ヶ月。しかし、オプションのナビキット装着には、さらに数ヶ月かかるという。
さらに、プラットフォームなどを多くの部分を共用するヤリスハイブリッドの納期は、トヨタHPによると5ヶ月程度と非常に長くなっている。ヤリスやアクアを生産するトヨタ自動車東日本 岩手工場の累計生産停止日が増えている。
ノートオーラ好調で、ベスト5も見えてきた?
5位から7位まではスペーシア、タント、ハスラーと軽自動車が3車種続いている。このうちハスラーだけが前年を上回る台数を確保している。
注目されるのは8位のノートでオーラの受注と登録が順調に進んだようで、前年の1.5倍に達する販売台数を記録した。ノートがトップ10に食い込むのは、3月に同じく8位に入ったのに続き、今年2回目である。
ノートオーラは、プレミアム系コンパクトという新たな価値を提案。発売から3週間で、約1万台を受注ほど好調。今後、順調に生産ができれば、トップ5入りも見えてきそうな勢いだ。
9位のカローラは、カローラクロスの発売が近づいている。統計上はカローラと一緒に集計されることになると考えられるので、9月あるいは10月の販売では台数を伸ばして順位を上げてくるものと見られる。
10位のムーヴ系が入った結果、8月はトップ10のうち登録車が5車種で軽自動車が5車種と半々の結果になった。8月は登録車が6車種だったが、8月はアルファードがやや息切れした感じで順位を下げている。
■2021年8月の新車販売ランキング 1~10位
1)ヤリス系 18,476台(155.8%)
2)N-BOX 13,229台( 91.1%)
3)ルーミー 10,347台(184.2%)
4)アクア 9,442台(247.6%)
5)スペーシア 9,300台( 87.9%)
6)タント 8,212台( 89.8%)
7)ハスラー 7,246台(113.6%)
8)ノート 7,157台(155.7%)
9)カローラ 7,108台( 81.2%)
10)ムーヴ系 6,897台( 90.8%)
ヴェゼル売れているのに生産できないジレンマに
11位から20位までの車種を見ると、14位のフリードと19位のヴェゼルというホンダの2車種が前年の8月を上回る販売台数を記録している。ヴェゼルはフルモデルチェンジの新型車効果で2倍を大きく超える売れ行きだ。
ただ、ヴェゼルも先行き不透明。ヴェゼルも部品供給が不安定になっていることもあり、納期の長期化が続いている。本来ならば、19位という順位に甘んじているモデルではない。
フリードは2016年に発売され、モデル末期ながら健闘している。部品供給問題の影響をあまり受けていないという
モデルの狭間になったため、7月に32位にまでランクを落としていたワゴンRが13位にまでランクを上げてきた。ワゴンRスマイルが発表されているが、発売は9月10日。ワゴンR系の販売台数がイッキに伸びるのは、9月以降になる。
このランクでは登録車が優勢で、ホンダの2車種のほか、11位のアルファード、12位のライズ、15位のハリアー、20位のセレナと6車種が入っている。軽自動車はワゴンRのほか、16位にタフト、17位にルークス、18位にミラが入っている。
■2021年8月の新車販売ランキング 11~20位
11)アルファード 6,483台( 91.3%)
12)ライズ 5,920台( 63.0%)
13)ワゴンR 5,235台( 92.4%)
14)フリード 5,200台(124.8%)
15)ハリアー 4,987台( 80.0%)
16)タフト 4,887台( 92.3%)
17)ルークス 4,730台( 76.3%)
18)ミラ 4,514台( 97.1%)
19)ヴェゼル 4,404台(267.7%)
20)セレナ 4,303台( 85.1%)
発売直後のBRZに勝ったロードスター!
21位から30位までの車種では、23位のRAV4のほか、29位のステップワゴン、30位のソリオが前年を上回る台数を確保している。
RAV4は、前年8月に改良が行われた関係で、今年の販売台数が伸びる形になったものと見られる。ステップワゴンとソリオについては伸び率も大きなものではない。
31位以下の車種を見ると、31位のデイズや39位のジムニーのように前年の半分近くにまで落ち込んでいる車種がある一方で、前年の5倍近い売れ行きを記録した38位のレヴォーグを筆頭に、前年の2倍を超えた33位のランドクルーザーワゴン、36位のキックス、32位のマツダ2、35位のeKワゴン系、37位のインプレッサと、6車種が前年を上回る販売実績を残したのが注目される。
さて、登録車の販売台数ランキングベスト50の中で、注目は49位にランクインしたマツダ ロードスター。2020年12月以来、久々のランクインとなった。
コロナ禍において、旅行やレジャーにお金を使いにくい中、趣味性の強いクルマに可処分所得が回された感もある。
ただ、そう甘いものでもなく、2021年7月末に発売されたばかりのスポーツカー、スバルBRZはランク外。フルモデルチェンジ直後なのに、大人しいスタートとなっている。9月以降どうなるかにも注目だ。
■2021年8月の新車販売ランキング 21~40位
21)ヴォクシー 4,243台( 91.5%)
22)フィット 4,122台( 57.6%)
23)RAV4 3,825台(115.7%)
24)プリウス 3,793台( 92.5%)
25)アルト 3,417台( 68.1%)
26)N-WGN 3,391台( 57.9%)
27)シエンタ 3,351台( 81.0%)
28)ノア 3,080台( 92.7%)
29)ステップワゴン 2,907台(106.8%)
30)ソリオ 2,840台(102.5%)
31)デイズ 2,594台( 58.4%)
32)マツダ2 2,567台(129.8%)
33)ランドクルーザーワゴン 2,562台(212.4%)
34)パッソ 2,362台( 99.2%)
35)eKワゴン系 2,262台(105.9%)
36)キックス 2,152台(182.7%)
37)インプレッサ 2,152台(105.0%)
38)レヴォーグ 1,825台(491.9%)
39)ジムニー(軽自動車) 1,812台( 55.6%)
40)ピクシス系 1,756台( 94.3%)
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