2021年12月、新車販売台数ランキングの目次
未だ解消しない半導体&部品不足だが、やや復調の兆し?
2021年12月の新車販売台数は、登録車と軽自動車を合わせた合計で、前年同月に比べて11.4%減の33万6442台となった。これで7月以降、6カ月連続で前年同月を下回る結果になった。
2桁の減少は4カ月連続だ。半導体不足の解消が進んでいないことに加え、東南アジアでの新型コロナウイルスの感染が再拡大したことで部品供給の停滞が続いていることなどが響いた。
月ベースで見ると、減少幅は9月が32.2%、10月が31.3%とかなり大きかったのに対し、11月は14.3%で、12月は11.4%と減少幅が縮小傾向を示している。工場の稼働率も徐々に上がってきたようで、各社の減産に伴う新車販売の落ち込みは回復しつつある。
2021年の年間では前年比3.3%減となって3年連続のマイナスで、2年連続で500万台を割り込んでいる。
ロッキー ハイブリッド効果で、ダイハツ登録車で躍進!
12月の登録車は、10.2%減の21万8782台と4カ月連続で前年同月を下回った。軽自動車は13.6%減の11万7660台と7カ月連続で前年を割り込んだ。減少幅がやや大きいことや減少が長く続いていることなどから、軽自動車のほうがやや厳しい状況にあるといえる。
12月の新車販売実績をブランド別に見ると、登録車は乗用車系9ブランドのうち、首位のトヨタが8.2%減と4カ月連続して減少。日産自動車が、12.8%減となるなど5ブランドが前年同月を下回った。
特に減少率が大きかったのはスズキの29.6%減、スバルの28.4%減、レクサスの28.1%減などだった。レクサスは、11月に
台数規模は小さいものの、ロッキーにハイブリッド車を追加したダイハツが24.7%増となり、マツダが17.2%増と7カ月ぶりの増加に転じ、ホンダは5.0%増で2カ月連続して増加した。
日産&三菱、エアバッグ問題で大幅減となった軽自動車
一方軽自動車は、全体で13.6%減の11万7660台で7カ月連続のマイナスとなった。また、8ブランドすべてが前年同月を下回った。
とくに日産が60.0%減、三菱自動車が41.3%減と大きく減少。この2社はエアバッグの性能が一部条件下で発揮されない可能性があるとして、不具合を理由に出荷を停止し、販売も停止している状態のため、大きく落ち込むことになった。不具合の具体的な中身は明らかにされていないが、内容によっては解消に時間がかかることも考えられる。
スバルは34.3%減、トヨタが24.4%減、マツダが22.9%減、ホンダが10.5%減となり、スズキは8.9%減、ダイハツは0.3%減と比較的軽微な減少にとどまった。年間の軽自動車販売シェアを見ると、ダイハツが32.2%で首位に立ち、スズキは30.8%で2位だった。
車種により明暗がハッキリしたベスト10
2021年12月は、トヨタのヤリス系が販売ランキングの首位に立った。2位のホンダN-BOXに対して3000台以上の差を付けての首位だ。11月にN-BOXに奪われた首位の座をすぐに奪回する形になった。
トップ10に入った10車種は登録車が6車種で、軽自動車が4車種となった。本来ならここに食い込むべき日産のルークスが販売停止になったことが影響している。
また、12月はトップ10に入った車種のうち8車種が前年の数字を上回っている。7位のアクアが前年の2倍を超える売れ行きを確保したほか、3位のカローラ系や8位のノート、10位のワゴンR系などは前年の1.5倍前後の販売台数を確保している。
伸び率が高いからこそ上位に入るという面もあるが、これほど多くの車種が販売を伸ばすのは、コロナ禍で前年も販売台数が低迷していたことが主要因。半導体や部品不足に足を引っ張られることなく、まともに生産できれば、これくらいの台数は当り前といった印象。後は、半導体や部品不足が解消されることの望むばかりだ。
登録車シェア50%が見えたトヨタ。ホンダの伸びしろに期待
登録車は首位のヤリス系の後、3位にカローラクロスを追加して販売台数を伸ばしているカローラ系が入り、5位にタンクを統合した後に順調に台数を維持しているルーミー、7位にフルモデルチェンジを受けたアクア、8位もフルモデルチェンジを受けたノート、9位にライズとなった。
日産ノートは日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝いたこともあり、8位に食い込んだものの、軽自動車以外はほとんどがトヨタ車という状況が続いている。
1月にはヴォクシーやノアがフルモデルチェンジ。このままトヨタ1強が続けば、近い将来登録車だけでも、シェア50%を超えそうな勢いだ。
日産には、ノート以外にもトップ10に入るような車種を投入して欲しいところ。まずは、セレナのフルモデルチェンジに期待したいところだ。
また、ホンダも半導体や部品不足が深刻。本来ならば、フィットやヴェゼルがベスト10内を狙える車種。そして、2022年春にステップワゴンがフルモデルチェンジ予定。伸びしろは十分にある。
軽自動車は、2位のN-BOXが軽自動車としては首位で、年間の販売台数では2015年から2021年まで7年連続して首位の座を維持している。完全に定番商品になっている。
以下、軽自動車は4位にタント、6位にムーヴ系と、12月はダイハツの好調が目立った。
そして、10位にワゴンRスマイルを追加したワゴンR系が入った。ただ、ワゴンR系が入ったことで、スペーシアは12位に下がる結果なった。営業力面で、両方をたくさん売るのは難しいということなのか、それとも半導体や部品不足が影響しているのかは不明だ。
2021年12月新車販売ランキング 1~10位
1)ヤリス系 16,907台( 98.3%)
2)N-BOX 13,439台(100.1%)
3)カローラ系 11,841台(152.0%)
4)タント 10,650台(111.2%)
5)ルーミー 9,864台(112.2%)
6)ムーヴ系 9,009台(103.2%)
7)アクア 9,001台(208.6%)
8)ノート 7,740台(147.3%)
9)ライズ 7,093台( 79.6%)
10)ワゴンR系 7,027台(145.4%)
トヨタの強さが鮮明!? フルモデルチェンジ直前のヴォクシーがまさかの11位
11位から20位までの車種を見ると、ここでは登録車と軽自動車が5車種ずつとなった。登録車はモデル末期のヴォクシーが安定した売れ行きで11位に入った。在庫一掃セールとはいえ、1月に新型が発売されるのに、この販売台数は凄い。
高額車のアルファードは、一時に比べると順位が下げながらも14位を確保。モデルサイクルが長期化しているフリードが15位に入った。フルモデルチェンジで前年の2倍を超える売れ行きとなったヴェゼルが18位で、フィットが20位と、このランクにホンダの登録車が3車種入った点も注目される。
もうひと伸び欲しいヴェゼル
軽自動車は12位のスペーシアが前年に比べて半減に近い数字となり、ダイハツのミラが安定した売れ行きで13位、16位のハスラーは需要が一巡した印象で、17位のタフトはほぼ前年並みの台数を確保した。
そして、18位のヴェゼル、19位のジムニーは前年に比べて台数を伸ばしている。このランクで前年を上回る台数を確保したのは、フルモデルチェンジを受けたヴェゼルとジムニーの2車種だけ。
ヴェゼルも半導体や部品不足が影響して、この台数と順位だが、本来ならもっと上位にいるべきモデルだ。ジムニーは、安定感が際立つ。
2021年12月新車販売ランキング 11~20位
11)ヴォクシー 6,024台( 98.5%)
12)スペーシア 5,727台( 53.3%)
13)ミラ 5,380台( 93.6%)
14)アルファード 5,369台( 67.4%)
15)フリード 5,331台( 95.7%)
16)ハスラー 5,253台( 79.4%)
17)タフト 5,210台( 96.1%)
18)ヴェゼル 4,476台(203.0%)
19)ジムニー(軽自動車) 4,474台(117.8%)
20)フィット 4,465台( 66.4%)
前年の半分に! ハリアーの販売にかげり?
21位から30位までの車種は登録車が7車種で軽自動車が3車種だった。軽自動車は22位のアルト、24位のN-WGN、29位のデイズがいずれも前年に比べて台数を落としている。
登録車では、21位にハリアーが入った。一時の勢いがなくなったように見える。今後の販売台数に注目だ。前年の半分くらいまで台数を落としている。
逆に23位のノアはモデル末期であるにもかかわらず前年に比べてわずかながら台数を伸ばした。かつて登録車の首位に立ったことのある25位のシエンタも前年に比べては半減に近い。
そんな中で、26位のCX-5と27位のステップワゴンが台数を大きく伸ばしたのが注目される。CX-5は11月に改良を受けたばかりだが、ステップワゴンは次期モデルの発売が迫った段階。一気に在庫処分を図った形かも知れない。
28位のセレナも台数を落とし、かつてベストセラーカーの座を維持していたプリウスが30位にとどまっている。
2021年12月新車販売ランキング 21~30位
21)ハリアー 4,353台( 53.6%)
22)アルト 4,038台( 83.7%)
23)ノア 3,617台(100.8%)
24)N-WGN 3,487台( 89.7%)
25)シエンタ 3,454台( 56.3%)
26)CX-5 3,261台(146.0%)
27)ステップワゴン 3,239台(165.0%)
28)セレナ 3,014台( 57.8%)
29)デイズ 2,970台( 68.6%)
30)プリウス 2,934台( 67.9%)
ランキング外だがアウトランダーPHEVも絶好調
31位以下の車種で、大幅改良をを受けた31位のフォレスターが前年に比べて台数を伸ばした。
ランキングが下位の車種も前年に比べて台数を伸ばしたものが目立ち、35位のマツダ2が31.8%増、37位のスイフトが40.5%増、38位のCX-30が66.6%増、39位のロッキーが37.2%増、41位のオデッセイが47.9%増、42位のマツダ3が54.5%増、43位のキャストが13.6%増などとなっている。
極めつけは45位のレガシィ。フルモデルチェンジしたアウトバックだ。前年にほとんど売れていないかっため、実に11.3倍の売れ行きとなった。
ランク外だが、登録車販売台数ランキングで35位にフルモデルチェンジしたトヨタGR86が370.0%が入った。さらに、同様にフルモデルチェンジ直後のアウトランダーPHEVも490.7%と絶好調だ。
その一方で好調だったレヴォーグの販売台数が587台。前年比 15.0%という状況だ。
<レポート:松下 宏>
2021年12月新車販売ランキング 31~45位
31)フォレスター 2,698台(115.9倍)
32)ランドクルーザーワゴン 2,616台( 71.7%)
33)ソリオ 2,458台( 49.0%)
34)パッソ 2,449台( 93.7%)
35)マツダ2 2,331台(131.8%)
36)RAV4 2,198台( 52.4%)
37)スイフト 2,065台(140.5%)
38)CX-30 1,976台(166.6%)
39)ロッキー 1,916台(137.2倍)
40)キックス 1,765台( 50.0%)
41)オデッセイ 1,686台(147.9%)
42)マツダ3 1,624台(154.5%)
43)キャスト 1,607台(113.6%)
44)レガシィ 1,545台( 11.3倍)
45)ピクシス 1,505台( 94.1%)
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