2020年2月、新車販売台数ランキング 1万台オーバーは「軽自動車」だけ!
新型コロナより、増税の影響から抜け出せない新車マーケット
日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が発表した2020年2月の新車販売台数の速報値は、登録車、軽自動車ともマイナスになった。
これで10月の消費税増税以来、5カ月連続のマイナスだ。2月は消費税増税だけでなく、新型コロナウィルスによる影響も加わっているはずだが、マイナス幅は1月に比べると心持ち小さくなった。
登録車の販売台数は268,302台で、前年の300,410台に対して10.7%減少した。軽自動車は161,883台で前年の179,017台に対して9.6%の減少だった。軽自動車のほうがマイナス幅がやや小さいものの、いずれも10%前後の減少だ。また輸入車は25,376台で、前年の27,674台に比べて9.7%の減少だった。
2020年2月新車販売台数ランキング 1~10位
1)N-BOX 19,177台( 94.0%)
2)デイズ 15,495台(106.6%)
3)タント 14,496台( 95.6%)
4)スペーシア 13,945台( 88.1%)
5)ムーヴ系 11,570台( 93.5%)
6)N-WGN 11,121台(216.5%)
7)ライズ 9,979台(19-11)
8)ノート 9,913台( 76.8%)
9)カローラ 9,898台(129.5%)
10)セレナ 8,647台( 79.1%)
不動のナンバー1状態のN-BOX。リコールの影響が、今後の懸念材料に?
銘柄(通称名別)の販売ランキングは以下の通り。販売ランキングの首位はホンダのN-BOXが連続して確保した。
ホンダは1月からN-WGNの販売が再開され、また2月にはフィットが発売になったので、戦力がやや分散される形になったわけだが、N-BOXの首位は変わらなかった。安定した人気を維持している。
ただ、N-BOXは2月末にリコールを出している。このリコールが、今後、販売現場にどんな影響を与えるのか、3月の販売状況が注目される。
1万台をオーバーしたのは、軽自動車のみ・・・。躍進したN-WGNの今後は?
2月はN-WGNの販売が再開され、前年に比べて2倍を超える台数を販売して6位に入ったことから、1位のN-BOX以下、2位のデイズ、3位のタント、4位のスペーシア、5位のムーヴ、6位のN-WGNまで、上位6車種を軽自動車が占める形になった。
N-WGNは、リコール問題が解決し本格的に販売が開始されたこともあり、イッキに販売台数を伸ばした。しかし、軽自動車の人気は完全にスーパーハイト系に移行しており、この好調状態をいつまで維持できるかがカギになる。
月間の販売台数で1万台を超えたのは6位までで、スーパーハイト系を中心とした軽自動車の売れ行きの良さが見て取れる。ただ、軽自動車で良く売れているのはこの6車種だけで、ほかの車種は際立って売れているような状況ではない。
ノート惜敗。2ヶ月連続! 登録車ナンバー1はライズ
トップ10に入った登録車は、7位のライズ、8位のノート、9位のカローラ、10位のセレナといったところ。ライズは1月に続いて登録車の首位を確保した。
2月はノートが頑張って66台差にまで迫ったが、わずかライズに及ばなかった。モデルサイクルが長期化しているノートが良くここまで頑張ったと見るべきだろう。
2月の販売では、日産がやや元気を取り戻したような印象がある。デイズが2位に入いり、ノートは登録車2位で総合8位、さらにセレナが登録車4位で総合10位に入ったからだ。
ただ、日産車で売れ行きが好調なのは、この3車種だけ。これに次ぐのは総合39位のリーフ、同41位のエクストレイルという状況だ。3月19日にデイズルークスが発売されたので、今後はこれがどれくらい売れるかが注目される。
2020年2月新車販売台数ランキング 11~20位
11)アクア 8,433台( 74.8%)
12)シエンタ 8,266台( 92.2%)
13)フィット 8,221台(123.4%)
14)ルーミー 7,682台(108.6%)
15)プリウス 7,518台( 63.4%)
16)フリード 7,320台( 90.2%)
17)ミラ 7,169台( 71.0%)
18)アルト 7,052台(101.5%)
19)ヴォクシー 6,745台( 73.9%)
20)タンク 6,159台(105.1%)
フィット&ヤリス、3月はベスト5入り?
11位から20位までの車種では、2月14日に発売されたフィットが8221台を販売して13位に入ったのが注目される。本来なら昨年秋に発売されるはずだった車種だが、発売が延期された分だけ予約受注なども順調に上がっていて、3月以降に生産と登録・納車が順調に進めばさらに販売台数と順位を上げてくるだろう。
フィットとほぼ同時期の2月10日に発売されたヤリスは、こらちも昨年の東京モーターショーのときに展示されるなど、早めに受注を集めていたはずだが、2月は登録が順調に進まなかったのか、3491台の販売にとどまってランキングでは32位と低迷している。3月は生産体制も整ってくると予想すると、イッキに順位を上げてくると思われる。
この新型フィットとヤリスは、実力的にはベスト5が狙えるモデル。3月以降の販売台数に期待したい。
プリウスとカローラ、カニバリ発生?
11位から20位までの車種を見ても、11位のアクア、12位のシエンタ、14位のルーミー、15位のプリウス、19位のヴォクシー、20位のタンクと、半分以上の6車種がトヨタ車だからだ。
11位から20位までの車種は、16位にフリードが入り、軽自動車のミラが17位、アルトが18位に入っている。ミラとアルトは、かつては販売ランキングの首位を占めた車種だが、今の軽自動車市場はスーパーハイト系中心の売れ行きになっている。
今ひとつ元気が無いのがプリウス。前年比63.4%と大きく販売台数を落としている。本来なら、もう少し上位にいるべきモデルだ。好調カローラとカニバリが発生し、販売が低迷している可能性が高い。
2020年2月新車販売台数ランキング 21~30位
21)ハスラー 5,809台(111.9%)
22)RAV4 5,739台(-------)
23)ワゴンR 5,673台( 62.1%)
24)アルファード 5,241台( 92.7%)
25)インプレッサ 4,186台( 94.2%)
26)ノア 3,998台( 73.3%)
27)ソリオ 3,951台( 97.1%)
28)C-HR 3,912台( 64.3%)
29)ステップワゴン 3,803台( 71.6%)
30)CX-30 3,708台(19-10)
ハスラー伸び悩み? 3月に期待!
21位から30位までの車種では、まず21位のハスラーが注目される。1月20日にフルモデルチェンジを受けたばかりだが、2月は思ったように納車が進まなかったのか、前年比11.9%増の5809台の販売にとどまっている。これも3月以降にどこまで台数を伸ばしてくるかがポイントになる。
このランクでも、22位のRAV4、24位のアルファード、26位のノア、28位のC-HRとトヨタ車が目立つが、スズキ、スバル、ホンダ、マツダの車種も入っていて、いろいろと入り乱れた様相を呈している。
タイプ別に見てもさまざまで、ミニバンがアルファード、ノア、ステップワゴン、軽自動車がハスラーとワゴンR、SUVがRAV4、C-HR、CX-30という具合である。
このうちCX-30はマツダ車で最も良く売れているクルマだが、すぐ下の31位にホンダのヴェゼルがあることを考えると、モデルの新旧に大きな違いがあるだけに、やや物足りないところだろう。
同様に、23位のワゴンRは、前年比62.1%と低迷。本来ならば、この順位に甘んじているモデルではない。
2020年2月新車販売台数ランキング 31位以下
31)ヴェゼル 3,544台( 60.0%)
32)ヤリス 3,491台(20-02)
33)エスクァイア 3,490台( 79.9%)
34)ロッキー 3,411台(19-11)
35 eKワゴン系 3,363台( 68.3%)
36)パッソ 3,223台( 71.6%)
37)CX-5 2,987台( 73.1%)
38)リーフ 2,981台(159.7%)
39)ヴィッツ 2,876台( 37.1%)
40)スイフト 2,821台( 81.8%)
41)エクストレイル 2,580台( 46.9%)
42)フォレスター 2,448台( 73.7%)
43)マツダ2 2,397台(19-9)
44)ジムニー 2,336台( 79.6%)
45)クラウン 2,281台( 60.0%)
46)ハリアー 2,179台( 57.8%)
47)トール 2,082台( 68.2%)
48)ランドクルーザーワゴン 2,028台( 66.2%)
49)マツダ3 2,016台(19-5)
50 キャスト 1,912台( 44.6%)
51)クロスビー 1,873台( 80.2%)
52)ウェイク 1,749台( 74.1%)
53)エブリイワゴン 1,718台(105.0%)
54)ヴェルファイア 1,717台( 47.2%)
55)シャトル 1,674台( 61.5%)
新型車が売れない三菱。ヴェルファイア失速!
31位以下では、前述のリーフが38位ながら、前年に比べて59.7%と大きく台数を伸ばしている。ランキング下位の車種で販売台数を伸ばしているのはリーフくらいのものだから、これはこれで立派。徐々に電気自動車も普及していきている。
そして、異常事態たもいえるのがeKワゴン系。前年比が68.3%と低迷。2019年3月に新型eKワゴンシリーズが投入されている。新型車投入から、まだ1年未満なのに大幅前年比割れは異常ともいえる数値。姉妹車関係にある日産デイズ系は、好調を維持し前年比106.6%。3月19日は、待望のスーパーハイト系である新型eKスペースシリーズが投入される。しかし、三菱のこの営業力では、暗雲が立ち込めている。
そして、このところ大幅に失速しているのがヴェルファイアだ。前年比は47.2%と超低空飛行となった。姉妹車のアルファードの前年比は92.7%と、まずまずといった結果。ヴェルファイアと比較すると大差が付いている印象だ。これは、デザインの差が大きい。ヴェルファイアのデザインが、急速に飽きられ始めていると推測できる。
<レポート:松下 宏>
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