軽乗用、まさかの55.9%減。庶民の生活不安増大か?
2020年5月の新車販売は、登録車の乗用が前年から41.8%減の123,781台。軽自動車乗用は、55.9%減の50,623台と非常に大きな下げ幅になった。軽自動車の下げ幅は、登録車の下げ幅より格段に大きい。新型コロナの影響は、より庶民に大きな負担をかけていると予想できる。
2020年5月の銘柄別新車販売ランキングは、別掲の通りになった。5月は、新型コロナの影響で販売が大きく落ち込んだが、それと同時に、販売ランキングにも大きな変動があった。
N-BOX安定の強さだが、その他の車種でランキングが大変動!
ランキングの首位は、ホンダのN-BOXで変わらない。瞬間的にタントに首位を奪われた月があったが、今年は一貫して首位を独走している。ホンダとしてはN-BOXに頼りすぎなのも問題かも知れないが、これだけ良く売れていることに文句はないだろう。
大きな変動のひとつは、トップ10に入った軽自動車が先月に続いて4車種だけだったことだ。それもN-BOXが首位に入ったほかは、7位にミラ、8位にスペーシア、10位にルークスと、トップ10の中でも下位に低迷している。
4車種というのも少なく、ほかの6車種を登録車が占めている状況になった。ここ数年、新車の販売ランキングといえば、軽自動車が上位を独占するのが常になっていたのだが、最近は明らかに状況が替わってきた。
5月に関していえば、4月に4位だったがタントが22位に、また6位だったムーヴ系が24位に沈んだことが大きいが、全体的な売れ行きでも登録車に比べて軽自動車が大きく落ち込み、前年に比べて半減したことも響いている。
新型コロナ不況下でもトヨタ強し! 登録車唯一の1万台越えしたヤリス
トップ10をに入ったモデルを見ると、トヨタの強さが一段と際立つ感じになった。4車種の軽自動車のほかは、4位にホンダのフィットが入っただけで、ほかの5車種をトヨタ車で占めているからだ。
ヤリスが2位に入ってN-BOXとともに1万台を超える販売台数をマークし、ライズが3位に入っている。そして5位のカローラに次いでアルファードが6位に入っているのも驚きだ。アルファードのような高級車はなかなか販売ランキングの上位に入るのが難しいのだが、この位置にあるのは凄い。さらにシエンタが9位に入っている。
トヨタについてさらにいえば、登録車だけでランキングを作ると、ヤリス、ライズ、フィット、カローラ、アルファード、シエンタ、ルーミー、フリード、プリウス、ノートの順になり、実に7車種をトヨタ車が占めることになる。
フィット、ルークス善戦!
ホンダのフィットは、ランクこそ4位ながらフルモデルチェンジの効果が出たのが分かる売れ行きだ。前年比の数字がない過去1年間に発売された新型車を除くと、新型コロナショックの中で唯一前年に比べて販売台数を伸ばしていて、110.8%を記録している。
このほか、日産のルークスはやっと販売が軌道に乗ってきた形で、前月の25位から大きくランクを上げてトップ10入ってきた。11位にはデイズも入っていて、こちらも23位からの上昇だ。コロナショックの中での特殊事情かどうか、6月以降の販売が注目される。
■2020年5月の新車販売ランキング 1~10位
1)N-BOX 11,655台(52.4%)
2)ヤリス 10,388台(2020-02)
3)ライズ 7,916台(2019-11)
4)フィット 7,235台(110.8%)
5)カローラ 6,679台( 91.1%)
6)アルファード 5,739台( 98.6%)
7)ミラ 4,504(56.6%)
8)スペーシア 4,392台( 32.8%)
9)シエンタ 4,344台( 57.3%)
10)ルークス 3,911台(2020-03)
日産車の健闘が目立つ11~20位
11位から20位までの車種を見ても、軽自動車は3車種が入っただけだ。11位のデイズに続いて14位のハスラー、19位のワゴンRが入っただけである。前述のようにデイズは大幅なランクアップとなったが、ハスラーは18位から14位、ワゴンRは20位から19位なので大きな変動はない。
ハスラーは新型車効果がある車種だが、前年に比べて80.8%にとどまっている。新型コロナ禍の中では健闘しているといえるが、厳しい状況に押されているような印象もある。
このランクの登録車はやはりトヨタ車が強く、12位のルーミー、15位のプリウス、17位のアクア、18位のヴォクシーと4車種が入っている。
ただ、ここでは日産車の健闘も目立ち、11位のデイズに加え、16位にノート、20位にセレナが入っている。ノートは前月の21位から5ランク上昇し、セレナも27位から7ランク上昇しているので、5月は日産ディーラーの頑張りが注目される形になった。
■2020年5月の新車販売ランキング 11~20位
11)デイズ 3,849台( 32.4%)
12)ルーミー 3,713台( 48.0%)
13)フリード 3,612台( 54.9%)
14)ハスラー 3,529台( 80.8%)
15)プリウス 3,499台( 31.8%)
16)ノート 3,470台( 43.1%)
17)アクア 3,453台( 44.0%)
18)ヴォクシー 3,418台( 53.5%)
19)ワゴンR 3,322台( 47.6%)
20)セレナ 3,012台( 46.8%)
ダイハツに何が? タント急落の訳は?
21位から30位までの車種では、22位のタントと24位のムーヴ系が注目される。ダイハツ車ではミラがトップ10の7位に浮上したものの、本来は主力車種であるタントと、これに次ぐ存在のムーヴ系が大きく下落してしまった。
本来、タントはこの順位にいるモデルではなく、N-BOXと同様に新車販売台数ナンバー1を争うクルマだ。しかし、タントの前年比は 22.7%。前年比20%台まで販売台数を落としてているのは、ベスト46の中でタントとムーヴだけだ。もはや、異常値ともいえる。ダイハツに何があったのか?
タント急落の大きな理由は、海外調達部品の納入が遅れなどだ。そのため、工場の稼働が頻繁に停止。こうしたことがあり、タントなど一部車種の生産が遅れているようだ。
SUV系が中心となった20位台
このランクではSUV系の車種が健闘しているのが目立つ。23位のRAV4、26位のジムニー、28位のヴェゼル、30位のC-HRと4車種が入っている。
注目されるのはジムニーだ。受注残を背景に納車が進んだためと見られるが、前年比も86.2%と落ち込みは小さめで、ランキングは前月の44位から大幅に上昇している。
また、ここでもトヨタ車が多く入っていて、21位のタンク、23位のRAV4、25位のノア、27位のパッソ、30位のC-HRという具合に半分の5車種がトヨタ車である。
■2020年5月の新車販売ランキング 21~30位
21)タンク 2,511台( 40.1%)
22)タント 2,497台( 22.7%)
23)RAV4 2,382台( 34.9%)
24)ムーヴ系 2,113台( 22.6%)
25)ノア 2,012台( 51.8%)
26)ジムニー 2,046台( 86.2%)
27)パッソ 1,979台( 64.3%)
28)ヴェゼル 1,643台( 34.1%)
29)アルト 1,621台( 30.4%)
30)C-HR 1,595台( 37.9%)
姉妹車なのに4倍以上の差に。不振が続くヴェルファイア
31位以下の車種では、ホンダのN-WGNが前月の14位から40位に急降下しているのが注目される。新型車効果のある車種なのに前年比が47.5%と半減以下の結果だった。
意外なのは、6月中旬にフルモデルチェンジを予定しているハリアーだ。フルモデルチェンジ直前だというのに 1,165台を売り37位となっている。モデルチェンジのギリギリまでしっかりと販売できているトヨタの営業力には脱帽だ。
そんなトヨタ車の中で、相変わらず不調なのがヴェルファイア。 姉妹車のアルファードが6位で5,739台を販売しているのに対して、ヴェルファイアは34位で1,378台。なんと4倍以上の差がついている。いずれ、ヴェルファイは姿を消しアルファードのみになりそうな雰囲気だ。
■2020年5月の新車販売ランキング 31~位
31)ロッキー 1,589台(2019-11)
32)マツダ2 1,510台(2019-09)
33)エスクァイア 1,442台( 44.7%)
34)ヴェルファイア 1,378台( 48.6%)
35) eKワゴン系 1,331台( 37.3%)
36)ステップワゴン 1,308台( 33.2%)
37)ハリアー 1,165台( 39.8%)
38)ソリオ 1,142台( 29.8%)
39)シャトル 1,060台( 39.8%)
40)N-WGN 1,052台( 47.5%)
41)クラウン 1,038台( 42.2%)
42)ランドクルーザーワゴン 1,027台( 53.5%)
43)エクストレイル 1,005台( 37.0%)
44)ピクシス系 922台( 42.6%)
45)CX-30 960台(2019-10)
46)ウエイク 893台( 50.1%)
トヨタ ヤリス vs ホンダ フィット徹底比較!人気のBセグメントコンパクトカー対決
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