2020年10月、新車販売台数ランキングの目次
- 13ヶ月ぶり前年比プラスとなった新車販売
- 超強力な営業力を誇るトヨタディーラー?
- 圧倒的な強さをもつヤリス軍団! N-BOXはマイナーチェンジ直前
- トップ10内の登録車は、すべてトヨタ車。圧倒的な強さみせた
- 高額車も強いトヨタ。売れないクルマ、売れるクルマが明確になってきた
- ■2020年10月の新車販売ランキング 1~10位
- 勢いに乗り切れないフィット
- ■2020年10月の新車販売ランキング 11~20位
- 日産ノート、フルモデルチェンジ直前!? 今後に期待
- ■2020年10月の新車販売ランキング 21~30位
- 新型スバル レヴォーグに期待。クラウン、セダン勢で孤軍奮闘
- ■2020年10月の新車販売ランキング 31位以下
13ヶ月ぶり前年比プラスとなった新車販売
自販連と全軽自協の集計による2020年10月の新車販売台数は、合計で40万6851台となり、前年同月に比べて29.2%の増加を示した。前年比がプラスになるのは実に13カ月振りのことだ。
前年10月は、消費税の増税直後で需要が落ち込んだ月であったことに加え、台風被害の影響などもあって31万台程度と低水準だったのが大幅な伸びの理由といえる。だが、前々年の数字と比べてわずかなマイナスにとどまっているので、新型コロウィルス禍の中でも、自動車需要はだんだんに盛り返してきた感じだ。何より、前年比がプラスに転じたことは大いに歓迎できる。
内訳は、登録車が253,304台で、前年の192,504台に対して31.6%の増加、軽自動車は153,547台で前年の122,294台に対して25.6%の増加だった。いずれも大幅な増加だ。
超強力な営業力を誇るトヨタディーラー?
銘柄別の販売ランキングは別掲の通りだが、相変わらずトヨタの強さが際立つ感じになっている。ほかのメーカーは本気で日本市場に取り組んでいるのかと言いたくなるような状況。
これは、2020年5月から、トヨタディーラーが全車種扱いになり、トヨタディーラー同士での販売争いが激化。さらに、既納客の囲い込み強化や、新規顧客獲得強化などによる営業力の増大も大きな影響を与えていると考えられる。もはや、トヨタ一強時代への序章ともいえる状態だ。
圧倒的な強さをもつヤリス軍団! N-BOXはマイナーチェンジ直前
10月の新車販売台数ランキングで、首位に立ったのはヤリス系だ。ヤリスに加えてヤリスクロス、GRヤリスがラインナップされているので、相当に強い状況にある。
前月に比べると3500台くらい台数を落しているが、N-BOXも2000台くらい減らしているため、連続して首位を維持する形になった。
N-BOXは、そろそろマイナーチェンジ時期。マイナーチェンジ後に、首位を奪回する日が来るかどうかが注目される。
トップ10内の登録車は、すべてトヨタ車。圧倒的な強さみせた
トップ10に入ったのは登録車が6車種で、軽自動車が4車種となった。しばらく前には軽自動車が5~6車種入るのが常で、軽自動車の強さが際立つ感じがあったが、だんだんに登録車が盛り返してきている。
軽自動車は2位のN-BOXのほか、4位のタント、5位のスペーシア、7位のムーヴ系がトップ10入りしている。
そして驚かされたのは、4車種の軽自動車を除いたトップ10の6車種全部がトヨタ車で占められたことだ。9月は軽自動車が5車種で残り5車種がトヨタ車だったが、10月はルークスが14位に沈んだことと、ルーミーの上昇でトヨタ車が6車種になった。
高額車も強いトヨタ。売れないクルマ、売れるクルマが明確になってきた
3位のライズは、登録車の販売ランキングの首位に立ったこともあるくらいで良く売れているコンパクトSUVだ。6位に上昇してきたルーミーはマイナーチェンジでタンクを吸収したことで、前年比65%増と大きな伸びを示している。
8位のカローラと9位のアルファードが、それぞれ1万台を超える売れ行きを示し、10位のハリアーも1万台に近い売れ行きだ。
400万~500万円からそれ以上の予算が必要なアルファードやハリアーが、トップ10に入るのは驚くべきことだ。
トヨタディーラー全車種扱いになり、競い合ったことで、より強い営業力を得たトヨタ。ただし、車種で見ると、売れるクルマと売れないクルマが明確になってきた。
例えば、アルファードの姉妹車であるヴェルファイアは、前年比56.8%と低迷。同様に、ヴォクシーの前年比は142.4%なのに対して、エスクァイアは前年比65.1%となっている。より人気があり売りやすいクルマへとシフトしているのが分かる。こうした傾向は、トヨタとしても織り込み済み。今後、急速に車種の統合が進むだろう。
■2020年10月の新車販売ランキング 1~10位
1)ヤリス 18,592台(2020-02)
2)N-BOX 16,052台(101.7%)
3)ライズ 13,256台(2019-11)
4)タント 13,099台(118.3%)
5)スペーシア 12,245台( 98.5%)
6)ルーミー 11,487台(165.0%)
7)ムーヴ系 10,472台(137.4%)
8)カローラ 10,275台( 91.8%)
9)アルファード 10,093台(196.7%)
10)ハリアー 9,674台(536.3%)
勢いに乗り切れないフィット
11位以下では、11位のフィット、12位のフリードとホンダ車が続いた。12位のフリードは2016年デビューで、モデル後期に入っていることを考えると、なかなか頑張っている印象だ。それに対して、11位のフィットは、まだフルモデルチェンジしたばかり。本来なら、ベスト10上位にいるべきモデル。今ひとつ、勢いに乗れていない。
13位のタフト、14位のルークス、15位のハスラーと軽自動車が3車種入っている。10月はダイハツ車が全体に頑張りを見せているが、その中でタフトがハスラーを上回っただけでなく、ルークスよりも多くの台数を販売している。ルークスは、やや高めに見える価格が、やや足を引っ張っているようだ。
20位までには17位のミラと19位のN-WGNの2車種の軽自動車が入った。N-WGNは、同じカテゴリーのワゴンRを抑えての19位となかなか好調。
登録車はランキングを上げてきた18位のシエンタと20位のプリウスという具合にトヨタ車が入っている。ただ、両車共に前年比割れ状態で、デビューも2015年と同じ。モデル後期に入り、なかなか苦戦している。
■2020年10月の新車販売ランキング 11~20位
11)フィット 9,001台(2870.%)
12)フリード 7,849台(179.7%)
13)タフト 7,471台(2020-06)
14)ルークス 7,069台(2020-03)
15)ハスラー 6,536台(140.8%)
16)ヴォクシー 6,258台(142.4%)
17)ミラ 6,161台(114.8%)
18)シエンタ 6,077台( 65.3%)
19)N-WGN 5,943台( 32.3倍)
20)プリウス 5,818台( 84.3%)
日産ノート、フルモデルチェンジ直前!? 今後に期待
21位から30位を見ると、27位のセレナ、29位のノート、30位のキックスと3車種の日産車が入っている。このあたりで低迷しているのは、10月の日産が元気がなかったことを示しているともいえる。
セレナは前年比並とはいえ、先行きは不安だ。セレナの2020年度上期販売台数は、ノアよりも大幅に勝っていた。しかし、ノアに負けている状態なのだ。高額車種で収益の要といえるセレナだけに、非常に心配な部分でもある。
そして、29位のノート。本来はベスト10内の実力をもつモデルだが、そろそろフルモデルチェンジの時期に入っている。12月後半から来年にかけてノートはフルモデルチェンジが予想されているので、10月と11月は我慢ということになる。このノートがフルモデルチェンジすれば、ライバル車ヤリスやフィットにどう影響を与えるか注目だ。
また10月は、スズキもあまり元気がなかった印象だ。スペーシアがタントに抜かれ、ハスラーがタフトに抜かれ、アルトがミラに抜かれたことがそれを示している。
■2020年10月の新車販売ランキング 21~30位
21)アルト 5,325台( 82.7%)
22)RAV4 5,001台(127.6%)
23)ワゴンR 4,902台( 86.0%)
24)ノア 4,696台(180.8%)
25)デイズ 4,543台( 48.7%)
26)ジムニー 4,406台(202.9%)
27)セレナ 4,309台( 99.9%)
28)アクア 4,064台( 81.8%)
29)ノート 3,965台( 75.3%)
30)キックス 3,542台(2020-06)
新型スバル レヴォーグに期待。クラウン、セダン勢で孤軍奮闘
31位以下では、32位にようやくスバル車最上位でインプレッサが入ってきている。マイナーチェンジ直後というが影響している。46位にはフォレスターが入った。フォレスターは、まだマイナーチェンジまで、少し時間があるので、なんとか話題作りをして、販売台数をアップしたいところだ。
また、スバルは11月末以降にレヴォーグの発売が開始される。このレヴォーグの登場で、国内販売は活気を取り戻すことも予想できる。
マツダでは、42位にようやくマツダ車トップとなるマツダ2が入ってきている。マツダ2もいつフルモデルチェンジしてもおかしくない状態。それまで、どう延命させるのかに注目したい。そして、CX-5も45位となった。CX-5は、前年比162.9%と大きく伸びた。ただ、伸びたと言っても 1,834台。RAV4の5,001台には遠く及ばない。
そして、まったく人気のなくなったセダン勢で、孤軍奮闘しているのがクラウン。 2,129台を売り、前年比は123.6%となった。11月に一部改良が施され、魅力度を増しただけに、今後の販売に期待したい。
■2020年10月の新車販売ランキング 31位以下
31)パッソ 3,361台(129.9%)
32)インプレッサ 3,153台(195.5%)
33)ステップワゴン 3,133台(100.2%)
34)ヴェゼル 2,985台(106.0%)
35)C-HR 2,690台(105.3%)
36)ランドクルーザーワゴン 2,620台(157.4%)
37)ロッキー 2,610台(2019-11)
38)ソリオ 2,551台( 97.1%)
39) eKワゴン系 2,498台(126.5%)
40)スイフト 2,225台(133.3%)
41)トール 2,206台(106.5%)
42)マツダ2 2,160台(103.8%)
43)クラウン 2,129台(123.6%)
44)ピクシス系 1,863台(125.1%)
45)CX-5 1,834台(162.9%)
46)フォレスター 1,833台(107.3%)
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