2020年11月、新車販売台数ランキングの目次
- コロナ禍の中、前年を上回った11月
- トヨタ車が売れる理由は、日本専用車が多いから!?
- トヨタの全営業力が集中したヤリス系がナンバー1に!
- 相変わらずトヨタの強さばかりが目立つベスト10
- ■2020年11月の新車販売ランキング 1~10位
- 経営再建中の日産、ベスト20位に登録車1台も入らず
- ■2020年11月の新車販売ランキング 11~20位
- ワゴンR、マイナーチェンジ間近!? 1月以降に期待か?
- ■2020年11月の新車販売ランキング 21~30位
- 日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したレヴォーグ。12月以降の販売台数は、さらに期待大!
- クラウンが姿を消すリスクを生み出したトヨタディーラ全車種扱い
- ■2020年11月の新車販売ランキング 31位以下
コロナ禍の中、前年を上回った11月
自販連と全軽自協のまとめによる2020年11月の新車販売台数は、前年に比べて増加を示した。
登録車は合計253,069台で、前年11月の238,844台に対して106.0%の売れ行きだった。軽自動車は合計158,532台で前年11月の147,014台に対して107.8%の売れ行きだった。前年の数字は消費税増税に売れ行きが鈍っていた時期のものだが、コロナ禍の中、前月に続いて増加を示したのは良い傾向といえるだろう。
販売ランキングは、登録車と軽自動車をまとめて掲載しているが、11月については登録車だけを見ると、1位から7位までをトヨタ車が占め、8~9位にホンダ車が入った。その以下の順位は、13位までをトヨタ車が占めている。トヨタ車ばかりが圧倒的な売れ行きを示したのが11月だったといえる。
トヨタ車が売れる理由は、日本専用車が多いから!?
今年の11月は、日産のノートがフルモデルチェンジを受けたことでモデルの狭間になったことが影響している。だが、トヨタ車ばかりが良く売れて、ほかのメーカーがてんで元気のない状態にあるのは間違いない。日本市場に向けて本気で売れるクルマを投入しているのが、トヨタだけと言っても良いだろう。
例えば、ベスト10に入っているライズにアルファード、ハリアーやルーミーといったモデルは、ほぼ国内専用車ともいえるモデル。軽自動車も国内専用車ということも含めれば、日本ではやはり日本マーケット専用車が好まれる。
トヨタの全営業力が集中したヤリス系がナンバー1に!
ランキングの首位に立ったのは、先月に続いてヤリス系だ。
ヤリス、ヤリスクロス、GRクロスがまとめてカウントされていることもあるが、合計で2万台に近い販売台数を記録。2位のN-BOXとの差を前月よりも広げて首位の座を確固たるものにした。今後当分、ヤリス系の首位は揺らぎそうにないような状況である。
トヨタディーラーは、今年、全チャネルが全車種扱いになった。そのため、ヤリスのように売れるモデルに関しては、全トヨタディーラーの営業力が集中。結果として、販売台数が大幅に伸びている。この傾向は、ヤリス系だけでなく、アルファードやハリアーも同様だ。
相変わらずトヨタの強さばかりが目立つベスト10
トップ10には2位のN-BOX以下、軽自動車が4車種入った。3位が安定した売れ行きを続けているスペーシアで、5位にタント、7位にムーヴ系とダイハツ車が続いた。ホンダとスズキに加え、ダイハツが2車種入り、それぞれ良く売れている感じだ。日産のルークスが、わずかに及ばす11位にとどまったのがやや気になるところだ。
トップ10の残る6車種はすべてがトヨタ車で占められた。4位のコンパクトSUVライズは発売直後に首位に立ったこともあるクルマで、比較的買いやすい価格帯なので上位に入るのは当然。ヤリスクロスともうまく売り分けられているようだ。驚くのは6位アルファード、8位ハリアーと高額車が堂々とトップ10入りしていることだ。このあたりが最近のトヨタの強さを端的に示している部分である。
アルファードは、すでに発売から6年近くを経過してモデルサイクルが長期化しつつあるにもかかわらず、高い人気を維持しているのが凄い。
ハリアーは、逆にフルモデルチェンジを受けたばかりだが、普通ならより価格の安いRAV4がたくさん売れて、ハリアーが後塵を拝するはずなのに、逆にハリアーのほうが良く売れているのだからこれまた凄い。本来なら、より上位に来るはずの量販車カローラとルーミーが9位と10位に続いている。
日本市場に本気で取り組んでいるのがトヨタだけだとしても、トヨタ車ばかりが売れるのはトヨタにとっても必ずしも良いことではない。ほかのメーカーと競い合ってこそクルマが進歩していく。ホンダや日産にはぜひとも奮起してもらいたい。
日産新型ノートは12月末の発売。実際の登録は1月からになるため、1月の欄器具では10位以内に入ることが予想できる。また、ルークスは、2011-2012日本カー・オブ・ザ・イヤーの「K CAR オブ・ザ・イヤー」を受賞。この流れに乗り、トップ10に割り込んで来るのではないかと思われる。だが、そうならないことには、日本のクルマが良くなっていかないだろう。
■2020年11月の新車販売ランキング 1~10位
1)ヤリス系 19,921台(2020-02)
2)N-BOX 15,685台( 83.4%)
3)スペーシア 12,027台( 93.8%)
4)ライズ 10,627台(2019-11)
5)タント 10,599台( 50.2%)
6)アルファード 10,109台(175.9%)
7)ムーヴ系 9,980台(147.3%)
8)ハリアー 9,897台(561.7%)
9)カローラ 9,653台( 90.2%)
10)ルーミー 9,112台(127.8%)
経営再建中の日産、ベスト20位に登録車1台も入らず
11位から20位までの車種を見ると、軽自動車が6車種入った。ルークスが11位に入ったほかは下位に位置していて、16位のハスラー、17位のタフト、18位のミラ、19位のアルト、20位のデイズと続いている。SUV系のハスラーとタフト、実用系のミラ、アルト、デイズという具合で、いろいろなタイプの軽自動車が入っている。
このランクの登録車は、12位のシエンタの後に13位のフィットと14位のフリードのホンダ車が2車種が続いている。フィットはフルモデルチェンジしたばかりなので、ベスト10内に入りたいところだろう。対して、モデル末期になっているフリードは、かなり頑張っている印象だ。
15位にはヴォクシーが入った。ヴォクシーは、すでにモデル末期状態ながら、前年比は123.2%と好調。5ナンバーミニバンの根強い人気を表している。
ただ、ヴォクシーと同等の販売台数を誇っていたセレナが25位に転落。前年比91.8%と低迷。これは、セレナだけの問題ではない。ノートがフルモデルチェンジ直前で大きく販売台数を落としている中、20位以内に入った日産車が1台もないのは、経営再建中の日産としては大きな問題といえる。
■2020年11月の新車販売ランキング 11~20位
11)ルークス 9,019台(2020-03)
12)シエンタ 7,187台( 69.6%)
13)フィット 7,161台(229.0%)
14)フリード 6,864台(106.4%)
15)ヴォクシー 6,860台(123.2%)
16)ハスラー 6,579台(133.6%)
17)タフト 6,503台(2020-06)
18)ミラ 6,068台(111.2%)
19)アルト 5,654台( 99.0%)
20)デイズ 5,427台( 44.7%)
ワゴンR、マイナーチェンジ間近!? 1月以降に期待か?
21位から30位までの車種を見ると、ここでは軽自動車は23位のワゴンRのほか、26位のN-WGNと28位のジムニーの3車種にとどまっている。
ワゴンRは昔、軽自動車ランキングの首位を独走していた時代があったが、今ではあまり売れないクルマになっている。ただ、ワゴンRは近々にマイナーチェンジを予定している。マイナーチェンジ後に、どれだけ販売台数が伸びるか注目したいところだ。
N-WGNは前年が品質問題で売れない状態だったため、大きな伸び率ではあるが、台数はさほどでもない。ジムニーは安定した売れ行きを続けていて、だいたいこのあたりの順位にある。
30位までの登録車は、21位にプリウスが入った。先代となる30型プリウスは、ナンバー1の常連で売れに売れたモデルだったが、ハイブリッド車の車種が増えたこともあり、現在ではこの位置にいる。
22位にRAV4、24位のノア、29位にランドクルーザーワゴンとここでもトヨタ車が4車種も入っている。ほかに25位にやっと日産のセレナが顔を出し、27位にキックスが入った。キックスは、ヤリスクロスに対して価格が高めなのと、タイ生産ということもあり、今ひとつ販売台数が伸びない印象だ。
30位にインプレッサが入った。インプレッサは、マイナーチェンジ直後ということもあり好調を維持。モデル後期に入っているので、どこまでこの好調を維持できるかにも注目したい。
■2020年11月の新車販売ランキング 21~30位
21)プリウス 5,348台( 63.9%)
22)RAV4 5,329台(106.8%)
23)ワゴンR 5,199台( 88.6%)
24)ノア 4,448台(141.9%)
25)セレナ 4,433台( 91.8%)
26)N-WGN 4,439台( 47.2倍)
27)キックス 4,292台(2020-06)
28)ジムニー 4,344台(219.6%)
29)ランドクルーザーワゴン 4,025台(204.1%)
30)インプレッサ 3,849台(109.6%)
日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したレヴォーグ。12月以降の販売台数は、さらに期待大!
31位以下の車種では、33位にソリオが入った。ソリオは、11月末にフルモデルチェンジし12月上旬に発売が開始される。こうした状態で、前年比92.1%は立派。ソリオは、10位に入っているルーミーと同じジャンルのモデル。そのため、12月はイッキに販売台数を伸ばしてくると予想できる。どこまでルーミーに近付けることができるか、スズキの営業力が問われる。
そして、フルモデルチェンジを受けたN-ONEが前年に比べて2.6倍の販売台数を確保して34位となった。
不調ともいえるのがが、36位のステップワゴンと38位のC-HR。C-HRは、前年比 43.6%という低迷振りが目立つ。両車共に、モデル後期にとはいえ、この順位にいるモデルではない。
37位には、フルモデルチェンジしたばかりのレヴォーグが入った。レヴォーグは、2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したこともあり、さらに販売台数を伸ばす可能性も高い。
クラウンが姿を消すリスクを生み出したトヨタディーラ全車種扱い
ラング外では、やはりクラウンが注目の的となる。12月の販売台数は、1,744台で 前年比は77.9%と低迷が続く。
低迷理由の一つは、やはりセダン離れ。もはや、国内外問わず、セダンからSUVへ移行している。さらに、トヨタのディーラーが全車種扱いになったことも大きく影響しているようだ。
従来、営業力でクラウンからクラウンという乗り換え維持してきたものの、全車種扱いになり、顧客が乗りたいクルマに乗れるようになった。そのため、クラウンユーザーが同等レベルの価格帯にあるアルファードや、人気の高級SUVであるハリアーに乗り換えるケースも多いという。
もちろん、他のトヨタ車からクラウンというパターンも考えられるが、セダンの人気がないため、こうしたユーザーは極めて少ないだろう。
こうしたトヨタディーラー全車種扱いという戦略は、売れるクルマはより売れるようになり、売れないクルマは、まったく売れなくなるという結果を生み出している。これで、車種が減り、より効率化され利益がアップすることは確実。しかし、その一方で歴史あるクラウンのようなモデルが姿を消すリスクも生み出した。
<レポート:松下 宏>
■2020年11月の新車販売ランキング 31位以下
31)ノート 3,461台( 51.6%)
32)アクア 3,459台( 57.4%)
33)ソリオ 2,935台( 92.1%)
34)N-ONE 2,899台(263.8%)
35)パッソ 2,542台(102.3%)
36)ステップワゴン 2,294台( 68.2%)
37)レヴォーグ 2,279台(322.8%)
38)C-HR 2,222台( 43.6%)
39)ヴェゼル 2,177台( 74.8%)
40)マツダ2 2,158台(110.8%)
41)スイフト 2,079台(101.3%)
42) eKワゴン系 2,016台( 81.8%)
2020年秋 お勧めコンパクトカーランキング【新車ベスト5】
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