コロナ禍でも、好調に推移
自販連と全軽自協が発表した4月の新車発表台数は、前年に比べて30%弱の増加と、幅のある上昇を示した。
前年の4月は一昨年10月の消費税増税の影響が残っていたのに加え、最初の緊急事態宣言の影響などもあって大きく落ち込んだ月だったから、今年の4月が盛り返すのは当然といえば当然の結果だ。
ただ、今年の4月も3回目の緊急事態宣言に加えて半導体の供給不足による工場の操業停止などといった悪条件が重なっているため、特に良い数字というわけではない。一昨年の4月に比べたら数%のマイナスになってる。
輸入車と軽自動車が好調! 貧富の2極化が進む?
今年4月の登録車と軽自動車を合わせた新車発表台数は34万9895台で、去年の同じ月と比べて29.4%増加した。このうち登録車は21万0353台で、前年の17万2138台に対して22.2%の増加。
また、軽自動車は13万9542台で、前年の9万8255台に対して42.0%の増加だった。軽自動車の上昇率が高いのは、なんとしてもクルマが必要という人が買っている比率が高いからなのだろう。
登録車のうち輸入車は、2万2082台で前年の1万4290台に対して54.5%の増加だった。低価格の軽自動車とともに高額な輸入車が良く売れている。
これは、新型コロナウィルス禍でも影響がない高所得者が、長期に渡り旅行など外出ができずにいる。こうしたことから、可処分所得に余裕が生まれたことから輸入車を買うという2極化現象と見ることができるだろう。
半導体不足で減産相次ぐ中、生産を維持した強いトヨタ
4月の銘柄別の新車販売ランキングは、別掲の通り。いくつかの車種でランキング上の目立った動きがあったが、全体的な傾向は相変わらずトヨタの強さが際立っている。
まずは、トップ10から見ていこう。4月は10台のうち軽自動車が4車種で登録車が6車種となった。3月は5車種と5車種だったから、この部分だけを見ると登録車が優勢になった感じもある。
前月に6位だったルークスが13位に落ち、13位だったハリアーが10位に入ったことで、4車種対6車種になった。なお、ほかに8位のノートが12位に落ち、11位だったライズが8位に入っている。
軽自動車は、2位のN-BOX、4位のスペーシア、5位ムーヴ系、6位タントの4車種だ。スペーシアは、ここ数カ月3位が定位置になっていたが、4月は4位にランクをひとつ下げている。また、ダイハツの2車種は久々にムーヴ系がタントを上回る結果になった。
トップ10に入った残りの6車種は、すべてがトヨタの登録車になった。昨年から何度も魅せられている光景で、日産のノートかホンダのフィットが食い込まないとトヨタ車一色になってしまう。
1位のヤリス系は、不動の1位という感じになっている。4月はルーミーがスペーシアを上回って3位に食い込んだことで順位が入れ替わった。
さらに、7位カローラ、8位ライズ、9位アルファード、10位ハリアーとトヨタ車ばかりが並んでいる。それも、アルファードやハリアーなどの高額車までトップ10入りしているのだから、儲かるのはトヨタばかりという印象になる。
最近の決算発表で、日産が4000億の赤字で来期も赤字が続くと予想しているのに、トヨタは2兆円を超える黒字を出しているのは、こうした国内販売の状況を反映するものでもある。
■2021年4月の新車販売ランキング 1~10位
1)ヤリス系 19,974台(197.4%*前年同月比)
2)N-BOX 16,733台(119.2%)
3)ルーミー 12,161台(170.1%)
4)スペーシア 10,802台(168.1%)
5)ムーヴ系 9,750台(141.8%)
6)タント 9,471台(114.2%)
7)カローラ系 7,976台(119.4%)
8)ライズ 7,814台(140.9%)
9)アルファード 7,576台(132.0%)
10)ハリアー 7,112台(464.5%)
ノート、ベスト10から陥落
11位から20位までには、軽自動車が6車種入って登録車が4車種になった。トップ10とは逆の形だ。
軽自動車は11位のハスラー、13位のルークス、15位のミラ、17位のアルト、19位のワゴンR、20位のタフトが入っている。
順位を下げたルークスは、前年比を見ると2倍に近い台数を販売しているのだから、そう悪い数字ではない。ほかの車種がさらに伸びたということだろう。
登録車は12位のノート、14位のヴォクシー、16位のフリード、18位のソリオの4車種だ。このランクでの登録車のメーカーは日産、トヨタ、ホンダ、スズキとさまざまだった。
ノートは8位からの陥落。これは、半導体不足による減産も大きく影響している。ヴォクシーは前月と同じ14位、フリードは15位からひとつランクダウンした。ソリオは、28位からの急上昇。モデルチェンジ効果に加え、コンパクトトールワゴンというカテゴリーそのものの人気が高まっているようだ。ライバル車であるルーミーも、すでにモデル後期だが、相変わらずよく売れている。
■2021年4月の新車販売ランキング 11~20位
11)ハスラー 6,834台(159.2%)
12)ノート 5,711台(150.8%)
13)ルークス 5,677台(197.9%)
14)ヴォクシー 5,593台(129.4%)
15)ミラ 5,513台(100.1%)
16)フリード 5,426台(102.5%)
17)アルト 5,408台(157.0%)
18)ソリオ 4,966台(205.8%)
19)ワゴンR 4,867台(132.7%)
20)タフト 4,655台(2020-06)
ホンダ、三菱、マツダ半導体不足による減産から、ランクダウンする車種相次ぐ
4月のランキングでは、目立った変化が3つあった。ひとつはフィットの大幅なランク低下だ。
フィットの販売不振は、前月の指摘したが、それでも3月には16位だったのに4月には29位にまで下げている。主力車種のフルモデルチェンジ直後とは思えないような販売状況が続いている。
なんと、ホンダ車の中でも売れていない。16位のフリード、24位のヴェゼル、27位のステップワゴンよりも下になっている。とても考えらない状況だ。
これは、ノートと同じく半導体不足による減産の影響を受けていることが、大きな理由のひとつ。販売台数を稼げる車種だけに、減産により販売現場のダメージは大きい。
2つ目は、eKワゴン系が全軽自協が発表する軽自動車のトップ15から外れてしまったことだ。個別の台数を確認して手作業で集計したら、何とか総合40位までのランクに入る販売台数であることが分かったが、かなり厳しい状況であるのは間違いない。
eKワゴン系は日産のルークス/デイズと姉妹車を構成するクルマで、まだモデルが新しいので前年比が50%以上のプラスなのだが、絶対的な台数が伸びて来ない。総合40位から外れそうな状況だ。
こうした状態も半導体不足による減産が大きな理由となっている。
3つ目は、登録車と軽自動車を合わせた総合ランキングで、40位までに入るマツダ車がひとつもなくなってしまったことだ。自販連では登録の販売ランキングをトップ50まで発表していて、その下位にはマツダ車が入っているのだが、総合40位には届いた車種はひとつもなかった。
ちなみに、登録車だけのランクで見ると、30位にマツダ2、32位にCX-8、39位にCX-5、40位にCX-30、48位にマツダ3、49位にCX-3と、主要なマツダ車はすべて入っている。こうした状況も、また半導体不足による減産が原因になっている。
もはや、半導体不足による減産の余波があまりに大きくなっている。現状の販売台数ランキングも、減産余波の大小で大きく変動している。そのため、各社新型車の投入ができず、後ろ倒しになっている。しばらくの間は、こうした状態が続くだろう。
<レポート:松下 宏>
■2021年4月の新車販売ランキング 21位以下
21)シエンタ 4,581台( 65.6%)
22)RAV4 4,317台(147.4%)
23)デイズ 3,859台(112.9%)
24)ヴェゼル 3,716台(157.7%)
25)ノア 3,701台(132.8%)
26)プリウス 3,672台( 78.6%)
27)ステップワゴン 3,611台(294.5%)
28)ジムニー(軽自動車) 3,512台(285.3%)
29)フィット 3,359台( 37.4%)
30)N-WGN 3,353台( 71.6%)
31)セレナ 3,342台(121.9%)
32)パッソ 3,117台(140.8%)
33)ランドクルーザーワゴン 3,065台(250.6%)
34)アクア 2,581台( 56.7%)
35)N-ONE 2,488台( 37.7倍)
36)インプレッサ 2,345台(130.7%)
37)オデッセイ 2,220台(282.4%)
38)ピクシス系 2,007台(133.7%)
39)eKワゴン系 1,979台(152.6%)
40)レヴォーグ 1,912台(861.3%)
日産ノートe-POWER vs ホンダ フィットe:HEV徹底比較!
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