復活したように見える国内販売だが・・・
自販連と全軽自協がまとめた2021年6月の新車販売台数は、前年に比べて増加を示した。登録車は23万4697台で前年同月比9.2%増と、4カ月連続してプラスを記録した。
軽自動車は、13万934台で前年同月比は1.2%減と9カ月振りのマイナスとなった。合計の新車販売台数は、36万5631台で前年同月比は5.2%増と9カ月連続のプラスだった。
6月の販売は半導体不足による工場の生産休止などもあって、供給面での問題も生じていたはずだが、その影響を感じさせないような売れ行きとなった。
とはいえ、昨年の6月もコロナ禍で大幅に販売台数が落ちていた。2019年の6月の登録車販売台数は、29万225台。2019年比では、約81%という状態。コロナ禍前と比べると、やはり大幅にマイナス状態となっている。
軽自動車の減産の影響で、大幅前年比割れとなった日産
メーカー別(ブランド別)に見ると、半導体不足の影響も加わり明暗が分かれる。
登録車と軽自動車の合計台数を乗用車系のメーカーに絞って見ると、前年に比べて増加したのは、レクサスが54.0%増、ダイハツが23.0%増、トヨタが16.3%増となった。
これに対して前年比がマイナスになったのは、日産が23.6%減を筆頭に、スズキが18.8%減、スバルが11.0%減、マツダが8.4%減、三菱が3.1%減、ホンダが1.4%減などとなっている。
ダイハツは登録車は微減だったものの、軽自動車が前年同月比25.5%増と大きく伸びたことで全体として増加になった。
日産は登録車だけなら微減だったが、フルモデルチェンジから1年が経過した軽自動車が大きく落ち込んでトータルのマイナス幅を拡大させている。
スズキは登録車も軽自動車もマイナスで、軽自動車については前月に首位だったものが、ダイハツに首位を奪われている。
マツダは登録車の落ち込みが大きかったが、OEM供給を受けている軽自動車が30%ほどの伸びを受け、トータルのマイナス幅が縮小されている。
三菱は登録車では伸びとなったが、一巡した軽自動車が大きくマイナスしてトータルでもマイナスとなった。
ホンダは逆に登録車のマイナスが大きかったものの、軽自動車が大きくプラスすることで全体のマイナス幅を縮小させている。
なお輸入車は、外国ブランド車と日系ブランド車の合計で3万7379台となり、前年に比べて47.4%の増加だった。
小型車不調のホンダ、しかしN-BOX躍進! ナンバー1に返り咲く
6月の銘柄別の販売台数のランキングでは、久々に大きな変動があった。ホンダのN-BOXが首位に返り咲いたのだ。
最近では、2位が完全に定位置のような感じになっていたが、6月は2020年8月以来、10カ月振りに首位に返り咲いた。
それも2位のヤリス系に、2500台ほどの大差を付けての首位復帰である。マイナーチェンジによる新型車効果で販売を伸ばした。
また、この6月にNシリーズの累計販売台数が300万台を突破したと発表されている。N-BOXのほか、N-WGN、N-ONEなどを総合した台数である。
これに対して、フィットやヴェゼル、フリードと小型車が半導体不足で生産できず不調なホンダ。販売とは異なるが、F1は5連勝と絶好調。なにか、すべてが噛み合わない状態だ。ただ、半導体不足が解消されれば、イッキに上位に返り咲くパフォーマンスを感じさせる。
登録車シェア50%超! トヨタ1強に揺るぎなし!!
それ以外は状況に大きな変化はなく、トップ10に入ったのは軽自動車が5車種と登録車が5車種だった。これは前月と同じだが、中身に少し入れ替わりがあった。
軽自動車は5月と同様に、N-BOXに次いでスペーシアが4位、さらにタントが7位、ムーヴ系が8位、ハスラーが9位だった。タントやムーヴ系は前年比の伸び率が高いものの、トップ10の中での順位はやや下げている。
登録車はヤリス系が総合2位に落ちたものの、登録車の首位は維持した。ただ、前年に比べて2.7倍の台数を販売して3位に入ったルーミーが600台差に迫っていて、安閑としてはいられない状況になってきた。
さらに5位にカローラ、6位にアルファード、10位にハリアーと、6月もまたトップ10に入った登録車はすべてがトヨタ車だった。前月に10位だったライズが13位に落ちたが、前月に13位だったアルファードが6位に急上昇している。前年33.9%もの増加だ。
まさに、トヨタ1強といった印象。すでに、トヨタの登録車でのシェアは50%を超えている。
■2021年6月新車販売ランキング1~10位
1)N-BOX 17,479台(112.4%)
2)ヤリス系 14,937台(136.2%)
3)ルーミー 14,337台(274.1%)
4)スペーシア 9,516台( 78.8%)
5)カローラ 9,189台( 98.7%)
6)アルファード 9,151台(133.9%)
7)タント 9,006台(124.0%)
8)ムーヴ系 8,623台(181.8%)
9)ハスラー 7,241台( 91.9%)
10)ハリアー 7,235台(170.7%)
デイズ&ルークス、まさかの大幅前年割れ
11位から20位までの車種では、軽自動車が4車種で登録車が6車種となった。これも前月と変わらない。
軽自動車はこのランクの中でやや下位に位置していて、16位のミラ、17位のタフト、19位のルークス、20位のアルトという具合である。軽自動車全体がマイナスになっているのは、トップ10に入った車種も含めて、全体に伸び悩んだ車種が多いためかも知れない。
19位のルークスの前年比は、51.5%。同様にデイズも48.3%と大幅ダウンしている。これは、生産を担当する三菱が減産した影響を受けている。
■2021年6月新車販売ランキング11~20位
11)ノート 7,076台(117.7%)
12)ヴォクシー 6,791台(141.1%)
13)ライズ 6,725台( 52.4%)
14)ヴェゼル 5,692台(216.0%)
15)RAV4 5,566台(128.5%)
16)ミラ 5,410台( 95.9%)
17)タフト 5,172台(101.8%)
18)フリード 5,024台( 89.8%)
19)ルークス 4,859台( 51.5%)
20)アルト 4,670台(150.7%)
生産したくてもできないヴェゼル&フィット、なんとか踏み止まるノート
登録車は11位にノート、12位にヴォクシー、13位のライズ、14位のヴェゼル、15位のRAV4、18位のフリードという具合だ。ノートは健闘しているものの、トップ10に入るところまでは伸びきれない。
ヴェゼルは、旧モデル比となるため216.0%増となっている。しかし、新型車で発売1か月で3万台の受注を得ている。正常に生産できれていれば、1万台レベルに達するはず。
もはや、バックオーダーが増えるばかりの状態で、納車まで6ヶ月以上とも言われている状態。こうなると、車検の都合などで、他社に流れてしまい販売機会を失うことも珍しくない。売れているクルマが生産できず、非常に厳しい状況になっている。
ヴォクシーは、フルモデルチェンジの話題などが出るようになってきたというのに前年比41.1%増で12位である。ちなみに、姉妹車のノアも40.6%増で22位に入っている。
ライズは需要が一巡した印象があり、前年比は半減に近い47.6%減でランクを下げた。これは、ライズの生産を担当するのはダイハツが、半導体不足で減産の影響も受けている。
15位のRAV4も前年比28.5%増と健闘している。
売れないはずのクルマを売るトヨタ
21位以下の車種では、前述の22位ノアが40.6%増となったのを始め、24位のシエンタが25.7%増、27位のパッソで52.4%増、37位のランドクルーザーワゴンが35.8%増、39位のピクシス系が56.6%増。
必ずしも、モデルが新しいとはいえないトヨタ車が健闘しているのが注目される。モデル末期になっているモデルでも、なかなか台数を落とさないどころか、台数を伸ばしてしまうところがトヨタの強さである。
■2021年6月新車販売ランキング21~30位
21)セレナ 4,269台( 80.7%)
22)ノア 4,236台(140.6%)
23)プリウス 4,168台( 91.2%)
24)シエンタ 4,167台(125.7%)
25)N-WGN 3,772台(105.2%)
26)フィット 3,393台( 37.6%)
27)パッソ 3,306台(152.4%)
28)デイズ 3,190台( 48.3%)
29)キックス 2,633台(143.4%)
30)ワゴンR 2,618台( 42.9%)
オデッセイ復活か?
ほかのメーカーの車種では、25位のN-WGNが5.2%増、29位のキックスが43.4%増、38位のN-ONEが50.4倍、40位のオデッセイが97.1%増などとなっている。
N-ONEは前年が売れていないための増加率である。オデッセイは生産中止のウワサが出たことが影響したわけではないだろうが、前年の2倍に近い伸びである。台数レベルは低いものの大したものだ。
また、フィットは相変わらず半導体不足からの脱却ができない様子。37.6%減となる26位に沈んだ。本来なら、1万台前後を売らなければならいモデルだけに、この状態が続くとホンダの国内販売にとって大きな負債となることは確実だろう。
■2021年6月新車販売ランキング31~40位
31)ソリオ 2,509台( 96.0%)
32)アクア 2,460台( 81.1%)
33)eKワゴン系 2,475台( 80.7%)
34)ステップワゴン 2,444台( 74.1%)
35)インプレッサ 2,364台( 80.7%)
36)ジムニー(軽自動車) 2,360台( 66.5%)
37)ランドクルーザーワゴン 2,346台(135.8%)
38)N-ONE 2,168台( 50.4倍)
39)ピクシス系 1,889台(156.5%)
40)オデッセイ 1,863台(197.1%)
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