2021年10月、新車販売台数ランキング バブル崩壊、リーマンショックさえも超えた最大の危機!?
2021年10月、新車販売台数ランキングの目次
コロナ&半導体ダブルショックで過去54年、最悪の自動車販売
自販連と全軽自動協が発表した2021本10月の新車販売台数は、合計で27万9341台となった。これは前年同月に比べ31.3%減の大幅なマイナスだ。
前年同月の数字を下回るのは4カ月連続で、30%を超える減少は2カ月連続、また10月の販売台数としては統計が始まった1968年の27万9643台を下回り、54年間で過去最低だった。半導体不足の影響で減産傾向にあった中で、東南アジアで新コロナウィルス禍が広がり、サプライヤーの生産が滞ったことが大きく響いている。
販売台数の内訳を見ると、登録車が30%減の17万6743台で2カ月連続のマイナスとなり、10月として過去最低を記録した。軽自動車の販売も33%減の10万2598台で4カ月連続のマイナスになったほか、10月としては81年以来40年ぶりに11万台を下回る数字だった。
自動車販売は、景気に大きく左右され、過去にもバブル崩壊やリーマンショックなどにより大きく低迷。しかし、今回の販売低迷は、そうした経済的な状況を遥かに超え、過去最低の水準を記録した。この最悪の状態から、いつ復活できるのか? 非常に不安感ある10月の販売状況だ。
乗用車の主要ブランド別の傾向を見ると、大手8社のうち7社が前年割れだった。トヨタ(レクサスは別扱い)は42%減の8万1822台だった。減少幅が最も大きいのはダイハツ工業で、47%減の3万1597台だった。三菱自動車のみが前年同月比でプラスとなり、10%増の5428台を記録している。
ヴェゼル、アクア好調が目立つベスト10内
このような全体の販売状況を反映し、銘柄別の販売ランキングにも変動が生じている。上位40車のランキングは別掲の通りだが、前月に比べてランクを大きく上げたり下げたりする車種が目立った。
もはや、生産できるクルマが売れて、生産できないクルマは売れないという状況で、商品力とは無縁のランキングに近い。
トップ10に入ったのは、登録車が6車種で軽自動車が4車種。前月に続いて軽自動車がやや劣勢の印象である。
首位に立ったのはヤリス系で、前年同月に比べて大きく台数を減らしているものの、順位としては安泰だった。
他の登録車は、4位にフルモデルチェンジを受けたばかりのアクア、6位にカローラクロスを追加したカローラ系、7位は前月の低迷から大きく上昇してきたルーミー、8位はフルモデルチェンジを受けたばかりのヴェゼル、10位のフリードが入っている。
ヴェゼルは前年同月に比べて2倍を超え、アクアも2倍に近い数字を残しているので、状況が悪い中でもフルモデルチェンジの効果は大きいということだろう。
王者N-BOXもコロナに勝てず大幅減産で5位転落
登録車に関しては、ホンダ車の健闘が注目される。8位のヴェゼルと10位のフリードの2車種がトップ10入りしているからだ。
ホンダ車が2車種もトップ10に入ったのは、いつ以来になるか思い出せないほどだ。ちなみにフィットも13位に入っていて、登録車だけなら8位に当たる。
軽自動車では、N-BOXが順位を下げているが、登録車では健闘していた。両方とも頑張るというのは難しいのかも知れない。
スズキ満面の笑み? ワゴンRスマイル好調で大躍進の2位へ
軽自動車でトップ10に入ったのは、まず2位にワゴンR系が入った。先にワゴンRスマイルを追加したことが貢献し、大幅に台数を伸ばして堂々の総合2位、軽自動車だけなら首位に立った。
3位は日産のルークスで、先月からの好調を維持している。10月は前年同月を上回る数字となった。この結果、軽自動車の首位を続けていたN-BOXが総合5位、軽自動車で3位にまで転落した。前年同月の半分以下の数字なので厳しい。さらに9位にスペーシアが入っている。
厳しい生産状態が続くダイハツ
トップ10の軽自動車が4車種にとどまったのは、ダイハツ車の不振が大きい。タントやムーヴ系などのトップ10の常連ともいえる車種が、10月は下位に低迷しているからだ。
登録車は40位までにひとつも入っておらず、何とも元気がない印象だ。また最近のダイハツは月によって良い月と良くない月の違いがはっきりしすぎるような印象がある。これも半導体や部品供給不足により、工場が稼働停止するなどしたことが影響している。
■2021年10月の新車販売ランキング 1~10位
1)ヤリス系 10,596台( 57.0%)
2)ワゴンR系 8,808台(179.7%)
3)ルークス 8,696台(123.0%)
4)アクア 7,463台(188.1%)
5)N-BOX 7,442台( 46.4%)
6)カローラ系 7,278台( 70.8%)
7)ルーミー 6,999台( 60.9%)
8)ヴェゼル 6,831台(228.8%)
9)スペーシア 6,319台( 51.6%)
10)フリード 6,237台( 79.5%)
アルファードに異変?
11位から20位までの車種では、登録車が4位車種で軽自動車が6車種と入れ替わる形になった。
登録車は、ノートオーラの追加で前年比38.8%増と健闘した。ノートがトップ10に届かなかったものの11位に入り、以下、13位にフィット、17位にアルファード、19位にシエンタという具合だ。
アルファードは、かなり順位を下げてきた感じがあるが、それでもコンパクトカーや軽自動車が並ぶ中にいきなりアルファードというのは相変わらずインパクトがある。
シエンタはモデルサイクルが長くなりつつあるが、手堅く売れている印象だ。
日産、ノート&デイズ好調。しかし、先行き不透明感強し
軽自動車は、12位にハスラーが入ったほか、14位にデイズ、15位にタフト、16位にタント、18位にミラ、20位にN-WGNとなった。
この中では、まず前年比がプラスになっているデイズが注目される。ルークスと合わせて両方を伸ばしているのは注目に値する。
ただ、すでにデイズ系の生産を担っている三菱は、軽自動車の生産ラインを半減するとしていることもあり、この好調を維持できるか非常に難しいところだ。
■2021年10月の新車販売ランキング 11~20位
11)ノート 5,502台(138.8%)
12)ハスラー 5,416台( 82.9%)
13)フィット 5,403台( 60.0%)
14)デイズ 5,035台(110.8%)
15)タフト 4,926台( 36.4%)
16)タント 4,771台( 36.4%)
17)アルファード 4,588台( 45.5%)
18)ミラ 4,520台( 73.4%)
19)シエンタ 4,423台( 72.8%)
20)N-WGN 4,396台( 74.0%)
週単位で生産状況が変わる異常事態
またタント、タフト、ミラとダイハツ車が3車種も入っている。本来の順位ではないにしても、このあたりの順位を維持するだけの地力はあるということだ。
11位から20位までの車種で、前年比がプラスだったのはノートとデイズの日産車2車種だけだった。
21位以下の車種では、29位のソリオ、31位のスイフト、33位のeKワゴン系、34位のCX-5が前年に比べて台数を伸ばしている。
フルモデルチェンジやマイナーチェンジなどの効果による部分が大きいが、全体需要が30%もマイナスしている中で良く頑張ったといえる。
他にセレナ、プリウス、キックスが前年比で90%を超え、落ち込みを小さく抑えている。
11月からはトヨタなどが生産を回復させてくる見込みであり、販売台数や販売ランキングにも変化が表れるかも知れない。
まだまだ、コロナ禍における半導体・部品供給不足は予断を許さない状態。もはや、週単位で状況が変わり生産状況も変化するという。
東南アジアでの対コロナ対策による規制緩和も徐々に進んでいるとし、楽観的な見方もあるものの、一方では感染再拡大が起きている国も少なくない。まだまだ、非常に厳しい生産状況は続くとみられている。
<レポート:松下宏>
■2021年10月の新車販売ランキング 21~30位
21)ライズ 4,064台( 30.7%)
22)セレナ 3,978台( 92.7%)
23)アルト 3,890台( 73.1%)
24)ハリアー 3,490台( 36.1%)
25)ムーヴ系 3,336台( 321.9 )
26)プリウス 3,274台( 56.3%)
27)キックス 3,348台( 95.8%)
28)ステップワゴン 3,126台( 99.8%)
29)ソリオ 3,054台(117.4%)
30)ヴォクシー 2,634台( 42.1%)
■2021年10月の新車販売ランキング 31位以下
31)スイフト 2,613台(117.9%)
32)RAV4 2,598台( 51.9%)
33)eKワゴン系 2,511台(100.5%)
34)CX-5 2,164台(117.9%)
35)インプレッサ 2,126台( 67.4%)
36)ランドクルーザーワゴン 1,995台( 76.1%)
37)ジムニー(軽自動車) 1,994台( 45.3%)
38)ノア 1,970台( 42.0%)
39)パッソ 1,892台( 56.3%)
40)オデッセイ 1,860台( 27.0倍)
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