2019年11月、新車販売台数ランキング トヨタ1強他弱感、蔓延中!
2019年11月、新車販売台数ランキングの目次
- 増税・年金問題など、未来への不安でクルマが売れない?
- タント悲願のナンバー1奪取!
- 先行き不透明なN-BOX
- トヨタ車ばかりのベスト10
- トヨタ ライズ爆発的なヒットの予感?
- 2019年11月新車販売台数ランキング 1位~10位
- ノートe-POWER、モデル末期が要因? ベスト10内を逃す
- トヨタ一色感強し! 2020年2月デビュー予定のホンダ フィットに期待
- 2019年11月新車販売台数ランキング 11位~20位
- 日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したRAV4の動向に注目!
- ソリオ、もうひと頑張り欲しい順位に
- 2019年11月新車販売台数ランキング 21位~30位
- マツダ新型車不発? 販売台数が低迷中
- クラウン、三菱低空飛行が続く
- 2019年11月新車販売台数ランキング 31位~50位
増税・年金問題など、未来への不安でクルマが売れない?
自販連と全軽自協から2019年11月の新車販売台数が発表された。登録車は23万8844台で、前年比85.4%と大幅なマイナスだった。一方軽自動車は14万7015台で、前年比は90.6%とこれも大きめのマイナスだった。輸入車は2万6787台で、前年比は90.8%と軽自動車と同じような水準だった。新車販売が落ち込んだ原因は何と言っても消費税増税の影響が大きく、今年の11月はこれに加えて天候不順なども一部影響したものと見られる。
前回の消費税増税時にも新車販売が落ち込み、そのまま増税前の水準を回復できない状態が長く続いたが、今回はマイナスがどれくらい続くか、改めて先行きが不安視されている。
クルマの売れ行きが回復するには、国民が明るい将来展望を抱けるような状況になることが必要だが、今の日本はそうなっていない。それどころか、老後資金の2000万円不足問題に代表されるように、将来に不安を感じさせるような話題に事欠かないのが実情である。クルマの売れ行きが回復するには時間がかかるのではないか。
タント悲願のナンバー1奪取!
11月の新車販売ランキングは以下の通りになった。最大の話題はタントがN-BOXから首位を奪回したことだろう。今年7月にフルモデルチェンジを受けたタントは、DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)による新プラットホームの採用などによって走りが大きな進化を遂げ、高く評価されているクルマだ。
ただ、これまではN-BOXの牙城を崩すことができず、販売ランキングは2位以下にとどまっていた。10月などは4位にまで落ちていたのだが、そこで力をためて一気にジャンプするかのように、11月前年比190%と2倍に近い売れ行きを示し、販売ランキングの首位を奪回した。恐らくは相当に気合の入った販売キャンペーンが展開されたのだろう。
先行き不透明なN-BOX
N-BOXは、2年以上にわたって販売ランキングの首位を独走してきたが、11月は前年比がやや落ち込んだこともあって、2位に甘んじる結果になった。ホンダのNシリーズは、2011年12月に初代N-BOXが発売されて以来、N-WGNやN-ONEなどのバリエーションを増やしてきた結果、たまたまこの11月でシリーズ累計250万台という節目を迎えたのだが、その11月に首位を陥落したのは残念なところである。
注目したいのは、今後の販売だ。12月以降、すぐにナンバー1を奪取するのであれば問題ない。だが、そのままタントの独走を許すことになると、状況は一変する。N-BOX離れが始まったともいえる可能性が高くなるからだ。また、発売直後のN-WGNリコール問題も、Nシリーズ全体のブランドイメージを悪くしている。Nシリーズに関しては、やや暗雲が漂っている状態だ。
トヨタ車ばかりのベスト10
3位はスペーシアが続き、4位はデイズ系だった。デイズも今年フルモデルチェンジを受けたクルマで、日本カー・オブ・ザ・イヤーのスモールモビリティ部門を受賞するなど評価の高いクルマながら、激しい競合の中で伸び切れない感じになっている。
11月にトップ10に入った軽自動車はほかに10位のムーヴ系だけだ。ムーヴ系もタントを集中的に販売したためもあってか、台数もランクも例月に比べて低い結果になった。
トップ10の登録車を見ると、5位のカローラ、5位のシエンタ、7位のプリウス、8位のライズ、9位のルーミーという具合で、トヨタ車ばかりになっている。軽自動車かトヨタ車かという状況だ。
トヨタ ライズ爆発的なヒットの予感?
8位のトヨタ ライズは、11月5日に発売されたばかり。丸々1カ月稼働したわけではないのだが、いきなりトップ10入りしてきた。姉妹車であるダイハツのロッキーも25位に入っており、両方を合わせると、カローラを上回って登録車首位の台数になる計算だ。コンパクトSUVに対するニーズが意外なくらいに高かったといえる。
なお、ライズは発売から1カ月の12月4日時点での受注台数が3万2000台に達し、月販目標台数である4100台の約8倍に達したとのこと。生産と納車が順調に進めば、来月以降のトップ10の位置を確保しそうだ。
もうひとつ、9位のルーミーも、姉妹車のタンクが13位に入っていて、2車種を合わせると3位のスペーシアと同じくらいの台数になる。ほかにダイハツのトールとスバルのジャスティも姉妹車だから、この2車種はトップ50には入っていないものの、トータルの台数はさらに伸びることになる。
2019年11月新車販売台数ランキング 1位~10位
1)タント 21,096台(190.0%)
2)N-BOX系 18,806台( 96.5%)
3)スペーシア 12,820台(108.5%)
4)デイズ系 12,137台(106.3%)
5)カローラ 10,705台(125.1%)
6)シエンタ 10,331台(102.8%)
7)プリウス 8,375台( 95.6%)
8)ライズ 7,484台(-------)
9)ルーミー 7,132台(100.9%)
10)ムーヴ系 6,775台( 59.2%)
ノートe-POWER、モデル末期が要因? ベスト10内を逃す
11位から20位までの車種を見ると、まずは日産のノートが11位に入っている。ノートは途中でe-パワーを追加するなどの改良を受けてきたが、モデルサイクルは相当に長期化しており、来年にはフルモデルチェンジというウワサも流れている。販売面で息切れしてくるのも仕方ないところだろう。
続く12位にはホンダのフリードが入っている。フリードも10月にマイナーチェンジを受けたばかりのクルマだが、11月は前年比がマイナスになっていて、必ずしも勢いがあるという感じではない。フィットの発売が遅れているだけに、その間はフリードでカバーしておきたいところだろうと思う。
トヨタ一色感強し! 2020年2月デビュー予定のホンダ フィットに期待
このランクの登録車は、ほかはトヨタ車はかりである。13位のタンク、14位のアクア、16位のアルファード、18位のヴォクシー、20位のヴィッツという具合で、半分の5車種がトヨタ車である。日産やホンダは登録車で売れる車種があってもせいぜい1~2車種だが、トヨタはいろいろな車種をラインナップしていて、それがランキングの上位に入ってくる。
しかもアルファードにはヴェルファイアという姉妹車があり、合わせればトップ10に入るくらいの台数になる。またヴォクシーもエスクァイアとノアという姉妹車があり、3車種を合計すれば1万2000台を超えてカローラを上回る水準に達する。
トヨタ車一色になるような状況は好ましいものではないが、そこに食い込んでいく車種がないのが実情だ。来年発売のフィットがどこまで伸びるかが注目される。
このランクに入った軽自動車は15位のワゴンR、17位のアルト、19位のミラの3車種だった。上位4車種とムーヴ系を除くと、この3車種くらいしかないのも実情である。
2019年11月新車販売台数ランキング 11位~20位
11)ノート 6,712台( 69.6%)
12)フリード 6,444台( 98.0%)
13)タンク 6,114台( 96.8%)
14)アクア 6,021台( 59.0%)
15)ワゴンR 5,868台( 80.6%)
16)アルファード 5,748台(102.6%)
17)アルト 5,712台( 97.1%)
18)ヴォクシー 5,570台( 73.8%)
19)ミラ 5,459台( 59.6%)
20)ヴィッツ 5,150台( 71.3%)
日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したRAV4の動向に注目!
21位から30位までの車種を見ると、やっといろいろなメーカーのクルマが顔を出してくる。それでもトヨタ車が強いのは変わらず、21位のCH-Rと22位のRAV4、27位のエスクァイアと30位のノアという具合に4車種が入っている。CH-Rはマイナーチェンジを受けた割にはやや伸び悩み傾向とも受け取れるが、今年発売のRAV4はまずまず順調な売れ行きだ。日本カー・オブ・ザ・イヤーの受賞が追い風になって販売を伸ばすかどうか。
ただ、RAV4が売れていることで、ハリアーの販売台数が落ち込んできた。現行ハリアーは元々アメリカでRAV4として売っていたクルマを少し化粧直しして、日本でハリアーとして売っていたのだから、新しいRAV4が登場すれば売れ行きが鈍るのは当然でもある。新型RAV4の売れ行きは価格帯の異なるCH-Rの売れ行きにも影響を与えている可能性もある。
ソリオ、もうひと頑張り欲しい順位に
トヨタ車以外を見ると、23位にハスラーが入っている。このランクで軽自動車はハスラー1台だけだ。24位はセレナで、これも一時の勢いが衰えてきた印象。25位はダイハツのロッキーで、26位のスバルのインプレッサが入っている。インプレッサもマイナーチェンジを受けたばかりで、前年比がプラスになっている。さらに28位にステップワゴン、29位にソリオが入っている。
ソリオは、これを真似て作ったともいえるルーミー/タンク/トール/ジャスティ連合軍が大差を付けられる結果になっている。ディーラー網と販売力を考えたら仕方のないところだが、コンパクト・ハイトワゴンの本家としてもうひと頑張りしたいところである。
2019年11月新車販売台数ランキング 21位~30位
21)CH-R 5,097台( 88.0%)
22)RAV4 4,988台(-------)
23)ハスラー 4,924台(104.4%)
24)セレナ 4,830台( 71.4%)
25)ロッキー 4,294台(-------)
26)インプレッサ 3,513台( 72.9%)
27)エスクァイア 3,413台(104.4台)
28)ステップワゴン 3,364台( 80.1%)
29)ソリオ 3,186台( 84.5%)
30)ノア 3,135台( 65.3%)
マツダ新型車不発? 販売台数が低迷中
31位以下の車種を見ると、その31位にフィットが入っている。フルモデルチェンジのスケジュールがズレてしまったため、止むを得ないことではあるものの、フィットがこの位置というのは違和感がありすぎる。32位のヴェゼルもモデルの新鮮さが薄れて売れ行きが鈍ってきた。
マツダ車のトップはCX-30で、やっとのことで33位に入ったという印象。マツダはほかにマツダ2が43位、マツダ3が48位だから、何とも寂しい状況である。中でもマツダ3は本来なら主力モデルになっても良いはずのクルマだが、販売価格を高めに設定したことなどが影響してか、台数的に低迷している。
マツダに限らず、日産やホンダなどの各社も同様だが、国内販売にてこ入れが必要である。特にマツダはラインナップを新世代商品群に入れ替えてきたところだが、この時点で販売が低迷しているのは厳しい状況といえる。
クラウン、三菱低空飛行が続く
さらに厳しいのが三菱で、eKワゴン系が34位に入っているだけだ。ディーラー網が弱っていることが台数の出る車種がないことにつながっている。だが、台数の出る車種がないとディーラー網を維持していくことできない。エクリプスクロスやアウトランダー、デリカD:5などがランキングに入ってくるようでないといけない。
そして、好調トヨタの中にあって、ほぼ国内専用車といえるクラウンが絶不調だ。10月の1,723台、前年比 25.7%とよりは上向きになって、 11月は2,240台で前年比 31.3%とやや回復した。しかし、先代クラウンのモデル末期だった2017年11月でも2,378台を販売している。2018年6月にフルモデルチェンジしたばかりの新型車としては、かなり低空飛行が続いている。法人需要が大きくなる2020年2~3月にどれだけ挽回できるか注目だ。
2019年11月新車販売台数ランキング 31位~50位
31)フィット 3,127台( 39.2%)
32)ヴェゼル 2,909台( 68.5%)
33)CX-30 2,690台(-------)
34)eKワゴン系 2,487台( 70.1%)
35)パッソ 2,485台( 48.8%)
36)ヴェルファイア 2,477台( 66.6%)
37)クラウン 2,240台( 31.3%)
38)キャスト 2,192台( 65.6%)
39)シャトル 2,179台( 65.6%)
40)スイフト 2,052台( 81.7%)
41)ジムニー 1,978台(106.3%)
42)ランドクルーザーワゴン 1,972台( 73.2%)
43)マツダ2 1,948台(-------)
44)エクストレイル 1,919台( 60.3%)
45)フォレスター 1,904台( 62.4%)
46)ハリアー 1,762台( 45.9%)
47)ピクシス系 1,643台( 79.1%)
48)マツダ3 1,588台(-------)
49)クロスビー 1,513台( 76.8%)
50)リーフ 1,487台( 71.1%)
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