10年ぶりのフルモデルチェンジ。ボディをやや小さくし居住性を向上させたのは高評価!
新型アウディQ7のボディサイズは、エントリーグレードのQ7 2.0L車が全長5,070×全幅1,970×全高1,735㎜となっている。全長5mを超える大型のSUVである。2006年にデビューした先代Q7のボディサイズは全長5,085×全幅1,985×全高1,740mmなので、全長で15㎜、全幅で15㎜ボディサイズが縮小されている。このクラスのSUVで全長が5mを超えるモデルはほとんどない。そのため、先代Q7はクラストップレベルの居住空間を持っていた。この広大なスペースを生かし、オプションで7人乗りも用意されていたほどだ。
ややボディが小さくなった新型アウディQ7。しかし、未だ全長5mを超えるモデルであることは同じ。テクノロジーの進化もあり、ややボディサイズを小さくしながらも居住性は先代モデルを超え、とくに7人乗りモデルでは、ヘッドルーム、ショルダールームともに広くなっている。
多くのクルマが、フルモデルチェンジするたびにボディサイズを拡大していく。メーカーは、先代モデルを室内が広くなったとアピールする。より厳しくなる安全基準や装備もあり、単純に割り切れるものではないのだが、ボディサイズを大きくして室内空間が広くなるのは当たり前だ。フルモデルチェンジまでの長い間、色々な技術が日進月歩する。ボディサイズを小さく、軽くしながら室内スペースも拡大するというのがテクノロジーの進化というものだろう。そうした視点から見ると、今回の新型アウディQ7は5mを超える大型モデルとはいえ、ボディサイズを小さくし軽量化、そして居住性や燃費の向上を図っている点は非常に高く評価できる部分だ。
こうしたテクノロジーの進化により、ラゲッジスペースもクラストップレベルの広さをもつ。7人乗りでも770L、5人乗りでは890Lというラゲッジスペースを誇る。リヤシートを倒すと2,075Lという広大なスペースとなる。BMW X5 もこのクラスでは、広いラゲッジスペースを誇るが650Lで、リヤシートを倒した状態で1,870L。新型アウディQ7は、より多くの荷物を積載可能。ラグジュアリー感あふれるSUVだが、実用面でも優れている。
また、最小回転半径は5.7m。これは、トヨタ のアルファード /ヴェルファイア 並みの最小回転半径。ヴフォルクスワーゲン の大型SUVトゥアレグ は5.5mなので、トゥアレグ並みとはいかないまでも5.7mであれば、クルマは巨大だが、日本で使う上でそれほど不便に感じることない数値になっている。
先代比最大約300㎏軽量化により燃費&走行性能が向上!
インテリアは、太いセンターコンソールがSUVらしいタフさを演出しているものの、総じて流麗でスポーティな印象が強い。インパネまわりも意外なほどシンプルで美しい。もはや、オフローダー的なインテリアテイストは無く、モダンでラグジュアリーな空間となっている。
搭載されたエンジンは、環境時代にあわせイッキにダウンサイジング化された。2.0L直4ターボと3.0L V6ターボという2つのTFSIエンジンが用意されている。この2.0Lターボは、Q7に初搭載された。
2.0Lターボの出力は、185kW(252PS)/370Nm。車重は約2トンなので、まぁ必要十分といった印象だ。よりゆとりある走行性能を求めるのなら、3.0Lターボということになり、245kW(333PS)/440Nmを発揮。0-100km/h加速kは6.1秒と、なかなか力強い走りが可能となる。
こうしたエンジンに加え、Q7は大幅な軽量化が行われた。車両重量は初代比で最大300kg軽量化に成功した。新型Q7の3.0Lターボ車で約2.1トンという数値。ライバルに比べやや大きいボディサイズながら、50㎏から200㎏くらい軽い。
さらに、空力特性も改善しCd 値は0.31(アダプティブエアサスペンション装着車)を達成。軽量化と空気抵抗の低減により、新型アウディQ7のJC08モード燃費は、3.0Lターボが11.7km/L(旧エンジン8.6km/L:10.15モード値)、新規設定の2.0ターボは12.6km/Lを実現した。両エンジンとも燃費値としては、高いレベルにある。
また、エンジン搭載位置などが変更され、従来型に対し50mmも重心点が低くなった。重心高が下がったことで、運動性能がより高まっている。さらに「アダプティブエアサスペンション」や「オールホイールステアリング」などの先進テクノロジーにより、走行安定性と乗り心地が、さらに大幅に改善された。
新型Q7は、ラグジュアリー感あふれるSUVだが、最大245mmの大きなグラウンドクリアランスと長いサスペンションストローク、アウディ伝統のクワトロシステム(AWD)により、オフロードでも高い走破性を誇る。日本の輸入車の中では、アウディのAWD システムは高く評価されており、とくに降雪地域で良く売れている。
全モデルに標準設定される「アウディドライブセレクト」は、オプションのアダプティブエアサスペン
ションとも連動する形で、合計7つの走行モードが選択可能。アダプティブエアサスペンションとともにオプション設定されたオールホイールステアリングは、状況に応じて後輪を最大5度切ることができる。低速では、前輪と逆方向に後輪をステアすることでクルマの取り回し性を上げ、逆に高速では前輪と同じ方向に後輪を微少に切ることで高い操縦安定性と俊敏性を向上させている。
安全装備では、歩行者検知式自動ブレーキを含め高いレベルにある。エアバック類も十分なものとなっていて、その結果、欧州の衝突安全テストEuro NCAPで最高評価の5つ星を獲得したほか、米国IIHS(道路安全保険協会)の安全性評価においても最高評価の「2016トップセーフティピック+」に指定された。
やはり、クリーンディーゼル車に期待!
ただ、こうしたSUVに期待したいのは大トルクを誇るクリーンディーゼルエンジン 。多くのアウディファンも、そこに期待しているだろう。欧州で発売されている3.0LのクリーンディーゼルTDIは500Nm、もしくは600Nmという大トルクを誇る。最高速や0-100㎞/h加速は、わずかに3.0Lターボに劣るものの、燃費や中間加速などではガソリンエンジンを上回り、街中や高速道路では使いやすい。
本来ならば、価格設定にもよるが、こうしたクリーンディーゼルエンジンがベストな選択となる。走りのパフォーマンスは、ガソリン車とほぼ同等でありながら、燃費に優れ、日本では軽油が安く燃料費も少なく、補助金の対象にもなるなどメリットが多いからだ。やはり、新型アウディQ7も買い時は、クリーンディーゼル車が導入されてからということになる。
残念ながら、アウディはフォルクスワーゲングループということもあり、北米でのクリーンディーゼル不正問題の影響もあり日本への導入が大きく遅れている。これは、メーカーの問題と言うより、国交省の問題。国交省は、北米と同様なことが起こることを防ぎたいという考えは理解できる。ただドイツでは、普通に販売されていることを考えれば、必要以上に多くのフィルターをかけ、国内導入を遅らせる理由はないはずだ。
フォルクスワーゲン以外のメーカーでも、急に日本でもクリーンディーゼル車の型式認定が厳しくなり、従来の倍以上の時間と書類が必要になったという。クリーンディーゼル車に対して補助金を出し奨励しているのに、こうした手間を必要以上にかけ続けることは、これこそ国交省自ら非関税障壁となっていることになる。
アウディQ7燃費、スペックなど
代表グレード | アウディQ7 3.0 TFSI quattro(エアサスペンション装着車) |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 5,070×1,970×1,705mm |
ホイールベース[mm] | 2,995mm |
車両重量[kg] | 2,100kg |
総排気量[cc] | 3594cc |
最高出力[kw(ps)rpm] | 245kW(333PS)/5,500-6,500rpm |
最大トルク[N・m/rpm] | 440Nm/2,900-5,300rpm |
ミッション | 8速ティプトロニックトランスミッション |
JC08モード燃費[km/l] | 11.7km/l |
定員[人] | 5人 |
税込価格[円] | 9,290,000円 |
発売日 | 2016/3/16 |
レポート | 編集部 |
写真 | アウディ |
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