BMW は大型のSUV であるX5 に、PHV モデルとなるX5 xDrive40eを設定し発売を開始した。

　BMW X5は、2013年10月にフルモデルチェンジし日本へ導入された。よりダイナミックなスタイリングとなったX5のデザインは、BMWの日本人デザイナー永島譲二氏が担当したことで話題となった。

　デビュー当時、X5には直6 3.0Lターボのガソリンエンジンとクリーンディーゼル 、V8 4.4Lターボガソリンエンジンが用意された。クリーンディーゼルに力を入れるBMWは、デビュー当初からクリーンディーゼルを導入。この3.0Lのクリーンディーゼルエンジンは、非常にパワフルで560Nmを発生。約2.2トンという重量級ボディをグイグイと引っ張る実力をもち、X5のキャラクターに合ったエンジンだ。

　今回登場したPHVモデルであるBMW X5 xDrive40eは、持続可能な次世代モビリティを提供するBMWのサブ・ブランド「BMW i」のプレミアム・スポーツ・カー「BMW i8（アイ・エイト）」に初搭載された先進のプラグイン・ハイブリッド ・テクノロジーを組み合わせたという。

　BMW X5 xDrive40eに搭載されるエンジンは、2.0L直列4気筒BMWツインパワー・ターボ・エンジン。これに、8速ATと一体化された高出力の電気モーターを組み合わせ、システムトータルの最高出力は230kW(313ps)、最大トルクは450Nm(45.9kgm)を発揮する。エンジン単体の最高出力は、180kW（245ps）/5,000～6,500rpm、最大トルク350Nm（35.7kgm）/1,250～4,800rpm。電気モーターは、最高出力83kW(113ps)/3,170rpmを発揮し、停止状態からすぐに最大トルク250Nmを発生する。

　エンジンは、2.0Lながら最大トルクが350Nmもあり、さらに発進直後からモーターのトルクが加わることにより、0-100㎞/h加速は6.8秒となかなか俊足。約2.2トンもあるSUVとは思えない瞬発力をもつ。こうした1モーター式ハイブリッド車の特徴は、アクセルを踏んだ瞬間、エンジンのエンジンの回転が上がる前にモーターのトルクでクルマを動かすため、力強さを感じるのが特徴でもある。そのため、発進加速や中間加速が良い傾向にある。

　BMW X5 xDrive40eのバッテリー容量は9.0kWhで、120㎞/hまでEV 走行が可能で航続距離は約31㎞。ボディサイズが違うので単純比較できないのだが、三菱アウトランダー PHEV は、12kWhでEV走行可能距離は60.8㎞となっている。同じ時期に登場したゴルフ のPHVであるゴルフGTEは8.7kWhの電池を搭載し53.1㎞のEV走行が可能だ。これらと比較するとBMW X5 xDrive40eのEV航続距離はやや少ない印象を受ける。X5のようなSUVは、近場で乗るというよりレジャーに出かけるためのクルマ。そう考えると、もう少しEV走行距離が欲しいところ。目的充電も使うことを考えても、やはり50㎞以上は走ってほしいところだろう。ただ、31㎞EVで走ることができれば、日常的なチョイ乗り程度ならほぼEV走行で可能。BMW X5 xDrive40eの充電時間は、3.5～4時間程度ということだ。

　BMW X5 xDrive40eには、3つのドライブモードが用意されている。AUTO eDrive/MAX eDrive/SAVE Batteryと呼ばれるモードをeDriveボタンを使って切り替える。AUTO eDriveは、電気モーターとガソリン・エンジンが最適なバランスで高効率に連動するデフォルトの走行モード。時速約70kmまではゼロ・エミッション走行が可能となり、時速70km以上の速度、または250Nm以上のトルクが必要になると、自動的にガソリン・エンジンが始動。MAX eDriveは、時速120kmまでの速度域で、電気モーターの駆動力のみでゼロ・エミッション走行が可能。ドライバーによるキック・ダウン操作、またはスポーツ・モードに選択した場合には、エンジンが始動する。SAVE Batteryバッテリーの電力を使わずにガソリン・エンジンの駆動力で走行する。現状のバッテリー残量の低減を抑えるとともに、エンジン・ブレーキ回生システムが運動エネルギーを電力に変換し、バッテリーの充電量を最大50%まで増やすことが可能だ。

　BMW X5 xDrive40eのラゲッジスペースは、500～1,720Lを確保。リチウムイオン電池をラゲッジ床下に配置していることもあり、X5 35dの650～1,870Lと比べると若干ラゲッジスペースは通常のモデルよりも小さくなっている。ひとクラス下のX3が550～1600なので、通常状態だとX3よりやや小さいラゲッジスペースになっている。

　BMW X5 xDrive40eの装備関連では、他のグレードではオプションのアダプティブLEDヘッドライトが標準装備。安全装備面では、歩行者検知機能付きの自動ブレーキ関連の安全装備ドライビング・アシスト・プラスが標準装備されている。

　BMW X5 xDrive40eの価格は、9,270,000円から。人気のMスポーツが9,930,000円。悩ましいのが、PHVにするのか、クリーンディーゼルを選ぶのかという選択。クリーンディーゼルの35d Mスポーツが9,430,000円。価格差は50万円。差はそれほどない。エコカー減税も両車とも100％、PHVはクリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金が最大34万円でるので、価格差は縮まる。

　こうしたイニシャルコスト面はともかく、どうしてもPHVが欲しいというのでなければ、やはりお勧めはクリーンディーゼル車だ。PHV車は、ほとんどチョイ乗りしかしないという人にしかメリットは少ないだろう。対してクリーンディーゼル車は560Nmという大トルクで余裕の走りと低燃費、そして軽油が燃料なので経済性も高い。X5というクルマのキャラクターによく合っている。もし、今回のPHVがガソリンエンジンでなく、クリーンディーゼルエンジンを搭載したPHVならお勧めだったかもしれない。

■BMW X5 xDrive40e価格
・X5 xDrive40e　9,270,000円
・X5 xDrive40e xLine　9,930,000円
・X5 xDrive40e M Sport　9,930,000円

代表グレード	BMW X5 xDrive40e
ボディサイズ［mm］（全長×全幅×全高）	4,910×1,985×1,760mm
ホイールベース［mm］	2,935mm
トレッド前/後［mm］	1,660/1,700
車両重量［kg］	2,370kg
総排気量［cc］	1,997cc
エンジン最高出力［kw（ps）/rpm］	180（245）/5,000
エンジン最大トルク［N・m（kg-m）/rpm］	350（35.7）/1,250-4,800
モーター最大出力［kw（ps）/rpm］	83〔113〕/3,170
モーター最大トルク［N・m（kg-m）/rpm］	250〔25.5〕/0
総電力量（kWh）	9.2
ミッション	8速AT
タイヤサイズ	F:255/50R19　R:285/45R19
JC08モード燃費など	未定
定員［人］	5人
税込価格［円］	9,930,000円
発売日	2015/9/8
レポート	編集部
写真	BMW