ホンダは1.3Lエンジンを搭載したハイブリッドカー「インサイト」をマイナーチェンジした。同時に、CR-Zやフリードシリーズに搭載されている1.5Lハイブリッドを搭載した「インサイト エクスクルーシブ」を追加し、11月11日に発売を開始する。

　ホンダ インサイトは、2009年2月に発売され、そろそろ丸3年を迎える。やや早い感もあるが、定例のマイナーチェンジ時期でもある。インサイトは、トヨタ プリウスとの戦いに惨敗。2011年は、月販2,000台以下という厳しい状況でもある。販売台数減の要因は、対プリウスだけでなく、より安価なフィット ハイブリッドとのカニバリも影響しているだろう。

　そんな状況下にあるインサイトは、現状を打開するためにまずフィットシャトルに搭載されたエンジンのフリクション低減技術などにより、燃費性能をJC08モード走行燃料消費率27.2km／L、10・15モード走行燃料消費率31.0km／Lに向上させている。前モデルが30km/Lだったので、1km/Lのアップとなった。

　さらに、フィットハイブリッドとの差別化を図るために、インサイトやフリードシリーズのハイブリッドに搭載されている1.5Lのハイブリッドシステムを搭載したエクスクルーシブを設定。これにより、よりゆとりのある走りが提供できるようになった。

　エクスクルーシブは、上級車からのダウンサイザーへの対応という役割を果たす。ダウンサイザーの場合、単純に安いコンパクトなハイブリッドであればいいというわけでなく、それなりの理由が必要だ。それは「そこそこ高級なコンパクト」な雰囲気。フィットより、もう少し高級な雰囲気が必要ということなのだろう。そのため、プレミアム感を演出する装備を搭載している。当然、価格も上昇。安いハイブリッド車というイメージから、上質なハイブリッド車へとシフトしている。エクスクルーシブXLは、1.8Lハイブリッドシステムを搭載するプリウスSの220万円をも超える225万円という価格になっている。

　実燃費では、プリウスに劣るインサイトなので、燃費という価値観では勝負にならない。燃費で選ぶなら、プリウスを選んでください、というメッセージかもしれない。インサイトの1.5Lがアピールするのは、高級ハイブリッド車というキーワード。実際に購入する場合は、走りや質感を含め、どれだけプリウスをリードしているかがポイントになるので、試乗は必須だろう。

　ある意味、対プリウス戦争から逃げたカタチにはなるものの、インサイト エクスクルーシブはハイブリッド車のもうひとつの価値で勝負を挑むことになる。

＜インサイトの主な変更点＞

・力強い走りはそのままに、さらに進化した「1.3L i-VTEC＋IMA（インテグレーテッド・モーター・アシスト）」を搭載し、JC08モード走行燃料消費率27.2km／L、10・15モード走行燃料消費率31.0km／Lの優れた燃費性能とともに、吸音・遮音性能の向上により、高い静粛性を実現

・燃費性能に寄与し、スタイリッシュかつワイド感を演出する新デザインのフロントバンパー、リアバンパーを採用

・操縦安定性と乗り心地をさらに向上するため、サスペンション特性を見直すとともに、安定した走りに貢献するVSA（車両挙動安定化制御システム）を標準装備

・リアシート形状などの見直しによる後席居住性の向上と、後方視界の改善

＜インサイト エクスクルーシブ＞の主な特長

・「1.5L i-VTEC＋IMA（インテグレーテッド・モーター・アシスト）」を搭載し、JC08モード走行燃料消費率23.2km／L、10・15モード走行燃料消費率26.5km／Lの優れた燃費性能や、力強い加速性能、高速走行時のゆとりある走りを実現

・プレミアム感を演出するLEDアクセサリーランプ内蔵フロントグリル、専用フロントバンパー、サイドシルガーニッシュ、リアバンパーディフューザー、シャークフィンアンテナを専用設定

・黒木目調パネルや、高輝度シルバーパネルを備えた質感の高い専用インテリア

・ステアリングのスイッチ操作で7速のシフトチェンジが楽しめるパドルシフトを標準装備

・上質感を高めるために吸音・遮音材を追加するなど、より高い静粛性を実現

・フルセグ＜12セグ／ワンセグ＞対応により高画質な地上デジタルテレビ放送を楽しめるなど多彩な機能を搭載したHondaインターナビ＋リンクアップフリーを「XL インターナビセレクト」に標準装備

＜ホンダ インサイト価格＞

・G 1,930,000円
・L 2,130,000円

＜ホンダ インサイト エクスクルーシブ価格＞

・XG 2,080,000円
・XL 2,250,000円
・XLインターナビセレクト 2,560,000円