■国内レクサス販売の要であるNX
レクサスNXは、2014年7月に登場した新モデルだ。レクサスNXのボディサイズは、全長4,640×全幅1,845×全高1,645㎜。全幅はワイドだが、全長は短いため、日本でも比較的使いやすいサイズだ。
搭載されたエンジンは、2タイプ。2.0L直4ターボの200tと2.5L直4ハイブリッドの300hが用意された。どのエンジンもFFと4WDが選べる。ハイブリッドの300hは、21.0㎞/Lとクラストップレベルの低燃費性能を誇る。
レクサスNXの価格は4,280,000円からと、レクサスブランドらしく高価な設定。しかし、高価な価格でもNXはデビュー直後からレクサス車の中では、圧倒的なセールスを誇るようになる。これは、日本でも使いやすいコンパクトSUVであることや、より明確になり個性的になったデザイン、そして低燃費のハイブリッド車があったことが要因。不調が続いていたレクサスブランドに、ついにヒットモデルが登場。現在もNXが中心となって、国内レクサス販売を牽引している。
ただ、高級車でありながら歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備は用意されず、プレミアムブランドとしては安全性能面で大きく遅れていた。
■歩行者検知式自動ブレーキが標準装備化されたものの、プレミアブランド車としては物足りない安全装備
レクサス セーフティシステム+の機能は、歩行者検知式の自動ブレーキや車線逸脱の危険がある場合に警報を発し事故の予防に貢献する「レーンディパーチャーアラート(ステアリング制御機能付)」、全車速前走車追従式の「レーダークルーズコントロール」となる。
ただ、物足りないことに、この機能だけではプレミアムブランド車として最低限の機能。アクセルとブレーキの踏み間違えに対応する従来のインテリジェントクリアランスソナーなどはオプション設定。また、後側方から接近する車両を検知し警報を発するブラインドスポットモニターなどもオプション設定となった。こうした装備は、もはやコンパクトカーのマツダ デミオにさえ標準装備化されているベーシックな機能。高額なプレミアムブランドなのに、これほどベーシックな機能がオプションというのは、プレミアムブランドとは思えない安全装備の内容となっている。
レクサスは、モビリティ社会の究極の願いである「交通事故死傷者ゼロ」を目指したさらなる技術の普及を目的としているとアピールするが、実際に販売されるクルマに標準装備化された安全装備は貧弱。ベーシックな機能の安全装備もオプション設定として、顧客任せという状況だ。
クルマは扱い方を間違えば、人を殺める道具だ。その危険性能ある商品を売り利益を上げる自動車メーカーは、人を殺すリスクを軽減できる技術があるのなら自ら積極的に標準装備化する責任がある。そうした安全性を高める装備をオプションとして顧客任せにするやり方は評価できない。
仮に事故を起こした顧客が「あのオプション選択しておけばよかった」と反省したときには、すでに被害者と加害者が存在する。自社の製品を選んでくれた顧客に、そうした後悔をさせてしまう可能性があるようなクルマの仕様が正しいのかどうか、プレミアムブランドなら尚更今一度考え直したほうがいい。詳しく知らなかったけど、レクサスNXの安全装備のおかげで事故を回避できた。レクサスのクルマを買ってよかった。と、思ってもらうような仕様にすることが理想なのではないだろうか。そうでなければ「交通事故死傷者ゼロ」は目指せない。
■マイナーチェンジで、よりスポーティで洗練されたデザインに
フロントは、バンパーを鋭く、低重心な造形に変更。スピンドルグリルにLX、RXとの共通性をもつレイヤー状のデザインを採用し、レクサスブランドのSUVとしての個性を表現している。
レクサスNXを象徴するといってもいい鋭い目つきの三眼式のLEDヘッドランプは、超小型LEDランプユニットを採用。よりシャープでスポーティな表情としている。
リヤまわりのデザインは、新デザインのコンビネーションランプを採用。よりワイドで立体的な造形とし、タイヤの踏ん張りを強調した。そして、最近流行中の流れるように点灯するLEDシーケンシャルターンシグナルランプを採用。視覚的にも存在感をアピールする。
そして、レクサスNXのスポーツグレードである“F SPORT”は、グリルメッシュとグリルサイドのガーニッシュを新しいFメッシュパターンで統一。また、新デザインのアルミホイールを採用している。
便利な装備面では、パワーバックドアに、両手がふさがっている状態でもリヤバンパーの下に足を出し入れすることで開閉が可能なハンズフリーパワーバックドアを新採用。これも、このクラスではもう当たり前になりつつある装備なので、ライバル車に対して同等の競争力をもつようになった。
■操縦安定性と乗り心地を両立したフットワークに進化
内装色は、リッチクリームとオーカーのほか、“F SPORT”専用色としてホワイトとフレアレッドを新採用。本アルミのオーナメントパネルを追加した。
走行性能面では、NXのスポーティな走りをより際立たせるために、サスペンションのチューニングを実施。車体のロール特性や操舵に対する応答性を向上させながら、アブソーバーを変更し、より快適な乗り心地を実現している。
また、新型AVSも採用。きめ細かい減衰力の制御により、優れた操縦安定性と乗り心地を実現するなど、運転の愉しさと快適性を両立している。
そして、NXをより自分好みの設定にできるように、ドライブモードセレクトにCustomモードを新設定。パワートレーン、シャシー、空調の各制御の組み合わせを自由に選択できるようになった。
今回のマイナーチェンジにより、グレード名が一部変更された。今まで2.0Lターボ車は、NX200tと呼ばれていた。だが、今回のマイナーチェンジでNX300へ変更されている。グレード名に数字が使われる場合、数字の大きいモデルが上級グレードというヒエラルキーが存在していたが、こうした流れを受けての変更なのではないだろうか。NX300とすることで、ガソリン車がハイブリッド車のNX300hより下に見られない配慮と予想できる。ただ、こうなるとあえて高価なハイブリッド車であるNX300hを買った顧客から見れば、あまり差別化されていないことに不満をもつようになるかもしれない。
■レクサスNXのグレード選び
未来はよりCO2排出量が厳しくなり、電動化技術が使われたクルマが当たり前のようになる。そういう点から考えれば、あえてガソリン車というのも選びにくいこともあり、またリセールバリューを含めて考えると、お勧めはやはりハイブリッド車のNX300hになる。燃費は21.0㎞/Lと、このクラスではトップレベルだ。
グレードは、ハイブリッド車、ターボ車共に標準車、Iパッケージ、Fスポーツ、バージョンLと4グレード設定。それぞれにFFと4WDが用意されている。
基本的に標準車でも十分な装備になっており、Iパッケージがちょっと上級、バージョンLがラグジュアリー系、Fスポーツがスポーツ系といったところ。このあたりは、好みで選べばいい。リセールバリューを考えると、スポーティなFスポーツが有利だろう。
積極的に選びたいオプションは、車両を俯瞰から見た画像を映すパノラミックビューモニター、パーキングサポートブレーキ、後側方から接近する車両を検知し警報を発するブラインドスポットモニターなどは、使用頻度が高く安全面でも安心できる装備だ。ハイブリッド車のみの装備となるが、AC100V・1500Wアクセサリーコンセントもお勧め装備だ。ハイブリッド車の大容量バッテリーを使い、外部に給電できる。家電などが屋外で使えるようになり、アウトドアレジャーなどではなかなか便利な機能。また、給電機能は災害時にも非常に役に立つ。
■レクサスNX価格
●レクサスNX300
・NX300 2WD 4,400,000円/AWD 4,660,000円
・NX300 “version L” 2WD 5,060,000円/AWD 5,320,000円
・NX300 “F SPORT” 2WD 5,060,000円/AWD 5,320,000円
・NX300 “I package” 2WD 4,580,000円/AWD 4,840,000円
●レクサスNX300h
・NX300h 2WD 5,040,000円/AWD 5,300,000円
・NX300h “version L” 2WD 5,700,000円/AWD 5,960,000円
・NX300h “F SPORT” 2WD 5,700,000円/AWD 5,960,000円
・NX300h “I package” 2WD 5,220,000円/AWD 5,480,000円
レクサスNX動画
レクサスNX CM動画
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