メルセデス・ベンツGLC新車情報・購入ガイド 残念! ディーゼル車の設定は無し! 9速ATを装備し、完成度の高いCクラスの機能を受け継いだ小型SUV [CORISM]
ボクシーなGLKから、流麗なGLCへ。荷室、室内スペースは広くなったが、最小回転半径は5.7mと大型ミニバン並みでGLKより使い勝手が悪化
メルセデス・ベンツGLCは、従来からあったGLKを受け継ぐモデル。GLKは、2008年に登場。ボディサイズは全長4,550×全幅1,840×全高1,670mmという、全長がやや短いコンパクト なボディサイズをもつ。2004年に導入されたライバルBMW X3 の後を追うカタチで日本に導入された。好調な販売だったX3に対して、GLKの販売台数は伸び悩む。それは、クルマのパフォーマンスやデザイン以前の問題だった。なんと、左ハンドル仕様しか用意されていなかったのだ。このクラスは、当時メルセデス・ベンツSUV のエントリーモデルということもあったのだが、さすがに新しい顧客には共感を得られなかったようだ。そのため、多くは左ハンドルしか無かった時代からメルセデス・ベンツに乗り続けてきた既存の顧客が中心となる。さらに、そうした顧客はGLKというコンパクトサイズのSUVというよりは、ML やGL などの大型のSUVを好む傾向が強いため販売台数面では苦戦するのも当然。しかし、右ハンドルを導入したくても、設計上の問題から右ハンドル車が作れなかったという。
今回投入された新型メルセデス・ベンツGLCは、そうした反省もあり全車右ハンドルとなる。さらに、車名をGLKからGLCとした。これは、メルセデス・ベンツのSUVがG、GL、ML、GLKなど車名とサイズの一貫性に欠けていて分かりにくかった。そこで、GLCはSUVモデルを表すGLと、車格を表すCを組み合わせGLCとした。これによりG、GL、GLE、GLC、GLA というラインアップになり、今までよりは分かりやすくなった。このパターンなら、今後GLもGLSとでも呼ばれるようになるのかもしれない。
新型メルセデス・ベンツGLCのボディサイズは、全長4,660×全幅1,890mm×全高1,645mm。全高はやや低くなっているが、全長と全幅はやや大きくなった。大きくなった分、使い勝手も少々微妙になり、GLKの最小回転半径が5.4mだったのに対して、GLCは5.7mとなってしまった。BMW X3 も同じ最小回転半径なのだが、やはりメルセデス・ベンツといえば、大きくても小回りがきくクルマというイメージが強いだけに、この部分での使い勝手の悪化は、狭い道が多い日本では残念な結果となった。ちなみに、5.7mという最小回転半径はアルファード &ヴェルファイア といった大型ミニバン 並みだ。
新型GLCのデザインは、GLK と比べると大きく変化した。GLKは直線を多用し多用しGクラスを思わせるような箱型のSUVだったが、GLCはルーフを下げ柔らかなラインを使い流麗さをアピール。まったく異なるデザインながら、Cクラスのステーションワゴンに似た雰囲気もある。こうした流麗なデザインが採用されたことでGLCのCd値は0.31となり、クラストップレベルの実力を誇る。GLKが0.34なので、大幅な進化だ。
インテリアデザインは、Cクラス同様機能的なデザインとなった。上質感のあるインテリアは、高級SUVらしさをアピールする。また、8.4インチディスプレイを備えたCOMANDシステムも用意され、COMANDコントローラーもタッチパッドも採用することにより、最新世代へと進化している。
室内は、ややボディサイズが大きくなったこともあり、先代GLKに比べて前後席ともに室内スペースは広くなっている。後席レッグルームは57mm拡大し、ゆったりとしたスペースを確保。足元スペースも34mm拡大し乗降時の快適性が大きく改善した。
荷室もGLKと比べると100L拡大され550Lとなった。後席を畳むと1,600Lの容量を誇る荷室となる。このサイズはBMW X3と同等のレベル。ただ、ワゴン車 であるフォルクスワーゲン ゴルフ ヴァリアントが、FF車とはいえ605Lという容量を誇るため、SUVというのであればもう少し容量が欲しいところだ。ちなみに、Cクラス ステーションワゴン470Lなので、メルセデス・ベンツ車としては広い方といえるだろう。
クリーンディーゼルの設定なし! ガソリンの2.0Lターボ+9速ATのみ。高評価ポイントは、世界トップレベルの安全装備が全車に標準装備
ガソリン車との価格差もあるが、基本的にディーゼル車がお勧めとなる。今時、新型車だからといって、既存のガソリン車を焦って買う理由は少ない。強大な最大トルクを誇り、低燃費で燃料経済性も高く、エコカー減税の恩恵も厚いディーゼル車が用意されてからがGLCの買い時となる。もちろん、その先にはCクラスと同様にPHVモデルなども用意される可能性も高くなってくる。こうした状況を考えると、新型車だからといってスグに飛びつかず、GLCの購入はしばらく様子をみていた方がいい。パワーユニットの電動化が進む日本マーケットに導入する以上、単なるガソリン車だけでの導入は、顧客に燃費や税制面、動力性能面でもメリットが提示できない時代なのだ。また、このGLCには9速ATが組み合わされていて、全車4WD である4MATICとなっている。
フロントサスペンション型式は4リンク式。リヤはマルチリンクサスペンションを採用。走行状況に応じてダンパー内のオイル流量を変化させ、減衰力を調整するセレクティブダンピングシステムを備えた「AGILITY(アジリティ) CONTROL(コントロール)サスペンション」も採用された。さらに、センターコンソールに専用コントローラーが設置され、5つのモードからドライバーが望むキャラクターに瞬時にセッティング可能な「ダイナミックセレクト」も標準装備。選んだモードに応じて、エンジン、トランスミッション、ステアリングの制御などが変化し、快適性や燃費を優先する走りから素早いレスポンスでスポーティなドライビングまで楽しむことができる。
安全装備面では、メルセデス・ベンツが誇る先進技術であるレーダーセーフティパッケージが全車に標準装備となっている。ステレオカメラとと計6個のレーダーで、車両360度をカバー。前方の歩行者検知式自動ブレーキだけでなく、後側方の接近車警告、後方から追突警報や被害軽減など、より多くの事故被害回避・軽減が可能となっている。
とくに、評価したいのは、こうした先進技術をオプションとせずに全車標準装備としている点だ。建前上「交通死亡事故者ゼロを目指す」としている自動車メーカーが多く、顧客任せのオプション装備になっていたり、こうした安全装備技術が遅れていたりする。より優れた安全装備をより早く多くの車両に標準装備化することで、交通死亡事故者ゼロに貢献できる。こうした装備が標準装備化されているか否かという点で、自動車メーカーの安全に関する本音が見え隠れする。そういう点では、GLCの安全装備は高く評価できる。
買い時はクリーンディーゼル車が投入されてから! メルセデス・ベンツGLCの選び方
ガソリン車でもOKだとしても、仕様は1種類のみ。2.0Lターボで211ps&350Nm、燃費は13.4㎞/Lとなる。その上で、標準車かスポーツ、スポーツ本革仕様の3つから選択することになる。標準車とスポーツの差は、主にエアロパーツ類のAMGスタイリングパッケージとスポーツサスペンション、ブレーキ回り、後席シートヒーター、ヘッドアップディスプレイなどなど。GLC標準車の価格が628万円に対して、GLCスポーツは50万円高価になり678万円となる。50万円アップでこれらのパーツ類がプラス装備というのであれば、まぁ適正ともいえる範囲だ。
さらに、スポーツに装備されているAMGスタイリングパッケージは人気アイテム。そのため、リセールバリューも高くなる可能性が高い。スポーティなルックスなど含め、満足度は高い。そうなると、お勧めはGLCスポーツということになる。
メルセデス・ベンツGLC価格
・GLC 250 4MATIC ¥6,280,000
・GLC 250 4MATIC Sports ¥6,780,000
・GLC 250 4MATIC Sports ¥7,450,000
メルセデス・ベンツGLC燃費、スペックなど
代表グレード | メルセデス・ベンツGLC250 4MATIC Sports |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,670×1,890×1,645mm |
ホイールベース[mm] | 2,875mm |
トレッド前/後[mm] | 1,620/1,615mm |
車両重量[kg] | 1,830kg |
総排気量[cc] | 1,991cc |
エンジン最高出力[kW/rpm] | 155/5,500rpm |
エンジン最大トルク[N・m/rpm] | 350/1,200~4,000rpm |
ミッション | 9速AT |
JC08モード燃費(㎞/L) | 13.4㎞/L |
定員[人] | 5人 |
税込価格[円] | 6,780,000円 |
発売日 | 2016年2月8日 |
レポート | 編集部 |
写真 | メルセデス・ベンツ |
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