トヨタ は、新型のコンパクトハイブリッドカー 、アクア を発売した。

新型トヨタ アクア は、世界トップのJC08モード走行燃費35.4km/L（10・15モード走行燃費40.0km/L）を実現。搭載されるエンジンは、1NZ-FXEと呼ばれる1.5L。このエンジンは、2代目 プリウス と同じ膨張比率を高めたアトキンソンサイクルエンジンを使っている。しかし、エンジンそのものも大きく進化していて、圧縮は13.4と高められている。あり得ない高圧縮比14.0で低燃費を実現したマツダ デミオ に近い考え方だろう。高圧縮化に伴い、トルクは少々低くなったが、4200回転で最大トルクを出していた旧型に比べ、より低い3600回転で最大トルクを発揮するようになった。この他、電動ウォーターポンプなど、細かい技術を積み上げた結果、エンジンの70％が新設計になっている。

最大トルク発生回転数を下げれば、当然、エンジンの回転を回さなくて済むので燃費に貢献する。若干、落ちたトルクはの担保は、ボディの軽量化だ。2代目プリウスSは1260kgのボディ重量があった。新型アクアSは1080kgと180kg軽量だ。

トヨタのハイブリッド システムTHSIIは、モーターを2つ搭載することや大きな電池を積むことで重く非効率と呼ばれていたこともあった。対して、ホンダのハイブリッドIMAは軽量コンパクトが売りだった。しかし、このアクアはライバルとなるフィット ハイブリッドよりボディが少し大きいのにもかかわらず、フィットハイブリッドの1130kgに比べ50kgも軽量になった。この軽量化は、アクアの実燃費にも貢献する。

　新型アクアのボディサイズは、4mを切る3995mmという全長と1695mmの5ナンバーサイズを維持したコンパクト なものだ。最小回転半径も15インチタイヤなら4.8mと、非常に使い勝手がよい。しかし、残念ながらツーリングパッケージ（16インチタイヤ）をメーカーパッケージオプション装着した場合、5.7mにもなる。ちなみに、この数値は2トン級の大きなボディをもつヴェルファイア の3.5Vと同じなのだ。トヨタらしくない、ツメの甘さがある部分でもある。

インパネまわりは、エクステリア同様にスタイリッシュにまとめられていて好感度は高い。ドライバーを中心にデザインされた雰囲気は、ちょっとしたスポーツカーのようだ。さらに、TFTマルチインフォメーションディスプレイのコンテンツも大幅に増えた。エネルギーモニターやエコ運転度を表示するエコジャッジ機能の他に、エコウォレットと呼ばれる新機能もある。ガソリン価格を入れると、消費したガソリン代が表示される機能や、比較したい燃費を入力すると現在の燃費と比べ、ガソリン代がどれだけお得になっているかを表示する画面まで用意されている。数字を出されると、ついついチャレンジしたくなる日本人気質の人にはたまらないアイテムになりそうだ。

トヨタは、量産ハイブリッドカー開発17年間の知恵と技術を結集し、エントリー価格を169万円とするなど、より多くのお客様にハイブリッドカーを楽しく、身近に感じていただける１台としているという。ならば、プリウスを値上げは？　と、思いたくなるものの、169万円というエントリーモデルの価格は戦略的には絶妙。

フィットハイブリッドのエントリーモデル159万円より10万円ほど高価だが、売れ筋モデルのハイブリッドスマートセレクションの172万円より3万円安い。微妙に価格を被せてきて、フィットハイブリッドの顧客層を虎視眈々と狙っている。フィットハイブリッドの顧客層の多くは、ダウンサイザーで価格が安いから買うというのではなく「ハイブリッドだから買う」という。だから、実質10万円前後の価格差は、より燃費のいいアクアにとって、さほど問題ではないということだろう。

実際に購入するレベルで考えるのなら、シンプルなところでアクアSにスマートエントリーパッケージ+オーディオパッケージを装着して約189万円。パッケージオプションを多数選択すると、意外なほど高価になる。

どちらにしても、ホンダとトヨタがハイブリッドで健全に競いあう結果、より安く高性能なハイブリッド車が手に入るということは、我々ユーザーにとって大きなメリットだ。

＜新型トヨタ アクア価格＞

◯Ｌ　　1,690,000円
◯Ｓ　　1,790,000円
◯Ｇ　　1,850,000円