このDS3とDS4のフォーブール・アディクト（Faubourg Addict）は、限定車となっており、DS3が100台、DS4が80台となっている。

　シトロエンにとって、DSラインは特別なモデル。DSの語源となるシトロエンDSは、宇宙船を思わせる革新的なスタイリングとハイドロニューマチック・システムに代表される先進的なテクノロジーを満載したモデルだった。未だに、シトロエンといえば、このDSをイメージする人も多く、まさにシトロエンというメーカーを代表する歴史的なモデルといえる。

　そんなDSのDNAを受け継ぐDSラインだけに、先進的でオリジナリティあふれるデザインを融合したモデルとしているのが特徴だ。

今回投入されたDS3/DS4フォーブール・アディクトは、フランス・パリの高級ブランドが立ち並ぶ「フォーブール・サントノレ通り」からネーミングされた。大統領執務室などもあるこの高級エリアに集う、ハイセンスで洗練された人々を Addict（夢中にさせる）というのが限定車名の由来。このモデルには、コンセプトカー「Numéro 9」からインスピレーションされた素材やカラーリングが採用されている。

　こういった母国を代表する地名などを付けたモデルは稀に出てくる。ミニ のボンド・ストリート・パッケージなども同様な例。こういった車名となった場所が、どんな所なのか自然に興味が沸いてくるので意外と面白い。海外で売っている日本車にも銀座ストリートパッケージなんていうのがあるかどうかは知らないが、それはそれで面白いかもしれない。

　シトロエンDS3/DS4フォーブール・アディクトに共通する深紫色のボディカラーである「Whisper（ウィスパー＝囁く）」はフォーブール・アディクトの専用色。ルーフにはDSモノグラムのルーフステッカーがデザインされ、ドアミラーにはレーザー彫刻による精巧なDSモノグラムのグラデーションが施された。

　DS3のインテリアには、バケットタイプのミストラルレザーシートを採用。DS4には、最高級レザーを使用したクラブレザーシートを初採用。「Criollo（クリオロ）」と呼ばれるしっとりとしたダークブラウンもフォーブール・アディクトの専用色となっている。

　搭載されるパワーユニットは、DS3が1.2L直3エンジンとETG5セミATが組み合わされる。このETG5は、ATやCVTのように、誰にでもお勧めできるわけではないが、かなり完成度が増した。少しだけコツがいるが、それさえマスターすれば、かなり元気よく走ることができる。

　またDS4には、1.6Lターボと6ATの組み合わせになる。6ATとなったことで、1.6Lターボの240Nmという大トルクをスムースに伝え、高級感あふれる内外装と同様な走りを可能としている。

　DS3は、ライバルがミニとなる。そもそも個性派なDS3に、これだけ特別感がプラスされ限定モデルとうことになれば、オリジナリティという視点ならDS3が上回る。走行性能ならミニ、そんな感じだろう。

　また、DS4に関してはゴルフ やV40 、Aクラス など強力なライバルが多数。飛び抜けたデザインと限定車の特別感ではDS4だと思うが、走行性能や安全装備、燃費ではライバルが上回る。このあたりをどう判断して選ぶかがポイントだろう。

　元々オシャレ差では群を抜くシトロエン。フォーブール・アディクトは、さらにそのオシャレ度を高めた逸品。オーナーのセンスの良さを感じさせる限定車と言えるだろう。