ダイハツ ミライース新車情報・購入ガイド 高齢者事故に歯止めをかけられるのか? 軽自動車トップレベルの歩行者検知式予防安全装備スマートアシストⅢを用意!!
■アルトと常に燃費で争ってきたミライース
ダイハツは、ベーシックな軽自動車である「ミライース」をフルモデルチェンジし発売を開始した。
ダイハツ ミライースは、2011年に登場。第3のエコカーというキャッチフレーズで、当時圧倒的な30㎞/Lという低燃費をアピールした。
ところが、わずか数ヶ月後、スズキ アルトエコが30.2㎞/Lという燃費値を叩き出し、軽自動車燃費ナンバー1の座をに奪われる。ここから、ダイハツVSスズキの燃費戦争が始まる。その後、両車とも小刻みに燃費をアップ。最終的に、ミライースの燃費は35.2㎞/Lまで高められた。
しかし、アルトは2014年末にフルモデルチェンジ。軽量化技術やエネチャージなど、スズキのグリーンテクノロジーなどにより、なんと37.0㎞/Lという燃費値を叩き出し、ダイハツとの燃費戦争で頭ひとつ抜け出した格好になった。
今回のダイハツ ミライースのフルモデルチェンジでは、アルトの燃費値を超えられたのか?
■燃費でアルトを超えられなかったミライース。その訳は?
新型ダイハツ ミライースの燃費値は、フルモデルチェンジ前の35.2㎞/Lとあり、アルトの燃費値を超えることはできなかった。
これには、訳がある。ミライースは、低燃費・低価格であることをコンセプトとしている。アルトのエネチャージのように、高価な低燃費技術が価格アップに影響するため使わないというものだ。このクラスは、生活の足として、とくに価格重視の顧客が多い。そのため、低価格を維持することが必要だという。
まぁ、いかにも顧客のためという感じもするが、結局は価格重視の顧客により売りたいということでもある。全世界的にCO2の排出量減が求められていること。さらには、次世代の人々により良い環境を残さなくてはならない、ということを考えれば、本来ならば積極的に新技術を使って燃費アップを考える必要がある。同時にコストを落とすことを考えなくてはならない。もちろん、顧客側もより良い環境を後世に残すためには自ら多少の負担をすることは理解する必要がある。端的に言えば、メーカー側の理屈はなんであれ、安くて燃費が良く、安全性に優れたクルマが手に入ればいい。
■最大で約80㎏もの軽量化!
新型ミライースは、DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)の原点を確立するモデルである。DNGAの原点とは、「低燃費」・「低価格」・「安全・安心」を追求し、「見て、触って、乗って感じるクルマのあるべき姿」にこだわり、お客様の日常に寄り添う、「いつでも、誰でも気軽に乗れる軽」を基点とした、スモールカーづくりの考え方だという。
このDNGAに合わせて、新型ミライースは大幅な軽量化が施された。最大で約80㎏軽量化され、最も軽いモデルで650㎏を達成した。この80㎏の軽量化の内、約35㎏分をシェルボディで軽量化した。新型ミライースには、軽量化と高剛性を両立する「Dモノコック」を採用。サイドアウターパネルの全面厚板ハイテン化。構造断点をなくすことにより、ボディ全体で力を受け止めるダイハツ独自のボディ構造だ。2014年発売のムーヴから導入を開始しミラ イースでは初の採用となった。
その他、国内最軽量13インチタイヤを新規開発。足回り各部品を約15㎏軽量化。フロントフェンダー、バックドアなど、樹脂パーツの採用し、細部にわたり軽量化している。また、デザインに空力改善を最大限織込み、低コストで空気抵抗を大幅低減。空気抵抗を約3%低減している。
■より力強い走りと、快適な乗り心地と高い操縦安定性を目指した
新型ミライースに搭載されたエンジンは、従来のKF型をベースに、オルタネーターへ回転を伝えるベルトを低フリクション化するなど、メカニカルロスを低減し、エネルギー効率を改善。出力は49ps&57Nmと先代モデルと同じだ。
ただ、軽量化されたことで、力強さは増している。追越加速は、アクセル全開 [40km/h-80km/h]は10.4秒から9.8秒に向上した。
フットワークも一段と向上した。重視したのは街乗りでの乗り心地と、高速走行時の操縦安定性だ。G、X グレードでは、より上質でフラットな乗り心地を実現するため、専用パーツの採用や、専用チューニングを実施。サスペンションには、軽自動車初とある超飽和バルブと専用のベースバルブの組合せた。低速域などサスペンションへの入力速度が遅い場合から、中高速域など入力速度が速い場合まで、サスペンションの収縮をコントロール。この機能により、低速域から中高速域まで上質な乗り心地を実現した。
また、静粛性も向上した。減孔ボディや吸遮音材の最適配置等によりノイズと振動を低減。やや微妙だが、会話明瞭度は3%向上している。
使い勝手面で重要な最小回転半径は、従来モデルと同じ4.4m。アルトが4.2mなので、0.2m小回りが苦手ということになるが、アルトのXグレードは4.6mなので一長一短といったところだ。
■トップレベルの高い安全性能を誇るスマートアシストⅢ。しかし、リヤヘッドレスト無しのグレードがあるのは疑問
新型ミライースの安全装備は、歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備である「スマートアシストⅢ」が用意され、クラストップレベルの安全性能を誇る。
スマートアシストⅢは、世界最小サイズの高性能なステレオカメラを採用したことで、車高が低く、フロントガラス面積の狭いミライースへも搭載可能になった。その他、従来モデルから衝突警報機能や車線逸脱警報機能、後方誤発進抑制制御機能、オートハイビーム、作動車速域の拡大などが追加されている。
この安全装備は、アルトの簡易型レーダーブレーキサポートを大幅に上回る性能となっている。燃費で負けるミライースだが、安全性能ではアルトを圧倒する。
高齢者による交通事故が多発。さらに、高齢者がドンドンと増えていくと、さらに事故は増えると考えられる。そのため、もしものときに事故を予防する先進予防安全装備の装備有無は、今後非常に重要になる。新型ミライースに用意されたスマートアシストⅢは、前後の誤発進抑制機能や歩行者検知式自動ブレーキあど一定のレベルに達しているので、高齢者でも安心して乗れる仕様になった。
ただ、ダイハツも踏み込みが甘く、スマートアシストⅢは全車に標準装備化されていない。廉価グレードには装備されていない。クルマは、扱い方を間違うと人を殺めることがある。そんな商品を売る以上、もはや安価に装備できるレベルになったスマートアシストⅢを装備しないということは、交通事故死を減らすという社会的責任を放棄し、販売台数重視という姿勢が伝わってくる。また、新型ミライースは、ビジネスで使うケースも多いクルマだ。ビジネスユースなら、走行距離も多くなり事故のリスクは高くなる。こうしたクルマこそよりスマートアシストⅢの標準装備化が望まれる。
また、サイドエアバッグが最上級グレードのG SAⅢに標準装備化されているが、他のグレードはオプション装着さえできない状況。サイドエアバッグがまったく用意されていないアルトよりは、やや良いといったところだ。
こうした安全に対する考え方は、リヤヘッドレストの装備にも表れている。リヤヘッドレストは、追突や衝突時に乗員の頸椎損傷を軽減する役割があり、最もベーシックな安全装備だ。しかし、新型ミライースには、リヤヘッドレストがオプション(10,800円)になるグレードが6グレード中4グレードもあるのだ。今時、リヤヘッドレストが装備されていないクルマが売られていること自体が疑問。
スマートアシストⅢが装備されているのに、リヤヘッドレストが無いグレードがあるなど自体がクルマの安全をどう考えているのか疑問に思える部分だ。追突され、運転席の乗員は無傷。ヘッドレストが無いリヤシートに乗る乗員は、頸椎に損傷を受ける可能性があるのだ。ダイハツは、お客様ニーズをもとに「安全・安心」を追求するとしているが、リヤヘッドレストは顧客のニーズ云々ではなく、クルマには装備されていて当り前の安全装備だ。
■精悍さのあるスタイルに変更
新型ミライースの外観デザインは、先代モデルと比べるとシャープなキャラクターラインが印象的で随分スポーティな印象になった。シャープでコントラストが強い立体造形で新時代に合う「力強いデザイン」と「先進感」を表現したという。
そして、一部グレードにはLEDヘッドライトが用意された。キリッとしたツリ目型で、より精悍なイメージとなる。また、リヤのコンビネーションランプもLED化。先進性をアピールする。
インパネ周りは水平基調のデザインが採用された。やや凸凹した印象があるものの、ドリンクホルダーや収納スペースとしている。センターフロアトレイには、ツメをつけることで、ティッシュボックスの下に空間ができる設計。携帯電話などの収納可能など工夫が施されている。
メーターは、贅沢な自発光式デジタルメーターを標準装備化。白色LEDを採用し、視認性を向上。発光エリアを拡大したエコドライブアシスト照明で、エコドライブを直感的に認識できるようサポートしている。
■新型ダイハツ ミライースのグレード選び
新型ダイハツ ミライースのグレード選び。まず、Bグレードはビジネス用なので装備はかなり簡素化されているため、一般的に使うにはお勧めできるグレードではない。その上のLグレードでも、UVカットガラスがフロントウインドウのみと少々シンプルな装備といった印象。とにかく生活の足で価格重視というのであれば、Lグレードでもいいかもしれないが、歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備であるスマートアシストⅢの装備は必須。L SAⅢの価格は939,600円と高いコストパフォーマンスを誇る。ただ、リヤヘッドレストはオプションなので、必ず選択したい。
一般的なユーザーで、それなりに満足度の高いグレードとなると、やはりX SAⅢ(1,080,000円)か最上級グレードのG SAⅢ(1,209,600円)のどちらかという選択になる。価格差は約13万円となる。
この約13万円の価格差で、オート格納式のドアミラーとシートヒーター(運転席/助手席)、運転席シートリフター、チルトステアリング、プッシュボタンスタート、キーフリーシステム、オートエアコン、オートライト、14インチアルミホイール、SRSサイドエアバッグなどがプラス装備される。運転席シートリフターやチルトステアリングさえ他のグレードには装備されていないというところも驚かされる。
これだけの装備がプラスされ約13万円アップというのであれば、サイドエアバッグが装備されるG SAⅢがお勧めだ。また、寒冷地に住む顧客にとって、シートヒーターはとても便利。せめて4WD車には、オプション装着できると望ましい。
■ダイハツ ミライース価格
・B 2WD 842,400円/4WD 972,000円
・B“SAⅢ”2WD 907,200円/4WD 1,036,800円
・L 2WD 874,800円/4WD 1,004,400円
・L“SAⅢ”2WD 939,600円/4WD 1,069,200円
・X“SAⅢ”2WD 1,080,000円/4WD 1,209,600円
・G“SAⅢ”2WD 1,209,600円/4WD 1,339,200円
■新型ダイハツ ミラ イース燃費、スペックなど
代表グレード | ダイハツ ミライースG SAⅢ |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 3395×1475×1500mm |
車両重量[kg] | 670kg |
総排気量[cc] | 658cc |
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] | 36(49)/6800rpm |
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] | 57(5.8)/5200rpm |
ミッション | CVT |
JC08モード燃費[km/l] | 34.2km/l |
定員[人] | 4人 |
税込価格[万円] | 1,209,600円 |
発売日 | 2017/5/9 |
レポート | 編集部 |
写真 | ダイハツ |
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