日産 は、人気のミニバン である日産セレナ に特別仕様車「ハイウェイスター エアロモード」を設定し、11月13日より発売を開始する。

　日産セレナは、2010年11月にフルモデルチェンジ。従来のスターターによるギヤ式エンジンクランキング方式に変えて、ECOモーターと呼ばれるベルト式エンジンクランキング方式を採用した。アイドリングストップ時からのエンジンが再始動時間が短い上に、低振動で静かというメリットをもつ。

　さらに、2011年8月には、ECOモーターを大型化しサブバッテリーも追加。スマートシンプルハイブリッド と呼ぶ、セレナSハイブリッドを投入した。モーター走行こそしないものの、ECOモーターがエンジンをアシストすることで、さらなる低燃費化が施され、当時クラスナンバー1の低燃費を誇っていた。また、ハイブリッドという付加価値を付け、さらに人気ミニバン としての地位を確立していった。

　しかし、トヨタ ノア ＆ヴォクシー がフルモデルチェンジ。燃費で圧倒するストロングハイブリッドが投入されたことで、燃費ナンバー1訴求では売れないと判断。セレナは2013年12月にビッグマイナーチェンジを施しデザインも刷新。その上、日産車の中でもいち早く衝突回避を支援する自動ブレーキ「エマージェンシーブレーキ」と「LDW（車線逸脱警報）」を、「20S」を除く全グレードに標準装備。さらに、「MOD〔移動物 検知〕」機能を追加した「アラウンドビューモニター」や「踏み間違い衝突防止アシスト」、「ふらつき警報」を、"アドバンスドセーフティ パッケージ"設定した。これで、安全装備が大きく遅れているトヨタ ノア＆ヴォクシーとの差別化を明確にした。

　ただ、トヨタのストロングハイブリッドの破壊力は抜群で、3番目の姉妹車エスクァイアまで投入し、5ナンバーミニバンマーケットを席巻する。日産セレナもお買い得な特別仕様車「Vセレクション＋Safety」を投入するも、さすがに分が悪い状況。それでも、そう簡単に負けないとばかりに投入されたのが日産セレナ「エアロモード」ということになる。価格もお買い得な設定として、選択肢を増やしながら価格戦略に突入している。

　今回投入された特別仕様車「ハイウェイスター エアロモード」は、発売したばかりの特別仕様車「ハイウェイスター Vセレクション+Safety」や、「ハイウェイスターG」をベースに、フロントプロテクターを標準装備することで、よりシャープなエアロフォルムを実現。プロテクターには透過式のLEDイルミネーションが組み込まれており、夜間でも存在感をアピール。また、専用のダーククロムグリルや、内装にワンポイントで採用したグロスブラックの専用パワーウインドウスイッチフィニッシャーを装備し独自性を主張している。

　特別仕様車日産セレナ ハイウェイスター エアロモードは、人気の高い「LEDヘッドランプ」、「ワンタッチオートスライドドア ＜両側＞ （挟み込み防止機構付）」、「16インチアルミホイール」を標準装備し、リーズナブルな価格設定とした「ハイウェイスター Vセレクション+Safety S-HYBRID」も、ベース車のひとつとして設定。このグレードの場合、基準車の「ハイウェイスター S-HYBRID （2WD） 」に対して、総額29万1千円分の人気装備を12万円高で標準装備しており、17万1千円リーズナブルに手に入れることができる。

　日産セレナ ハイウェイスター Vエアロモード＋Safety S-HYBRIDの価格は2,761,560円。日産セレナ ハイウェイスター Vセレクション＋Safety S-HYBRID　(エマージェンシーブレーキ標準装備) 2,721,600円なので、約4万円のアップだ。この価格アップは、特別仕様分相応といった印象。

　また、ハイウェイスターG エアロモード S-HYBRIDの価格は3,027,240円。ベースとなるハイウェイスターG S-HYBRIDの価格が2,922,480円なので、約10.5万円のアップとなっている。

　プラスされる特別装備は同じなのに、価格アップは異なっている。こうなると、一段とハイウェイスター Vエアロモード＋Safety S-HYBRIDのお買い得度が際立つ。実際の購入を考えるのなら、装備もそれほど大きく変わらないので、ハイウェイスター Vエアロモード＋Safety S-HYBRIDがお勧めとなる。

　こうしたお買い得な特別仕様車は「元々安くなっているので値引ができない」などと、値引き抑制に使われるケースがあるが、セレナの場合、切迫した事情があるので大幅値引きも期待できる。ストロングハイブリッドのノア＆ヴォクシー、エスクァイアに加え、2015年前半にはステップワゴンがフルモデルチェンジする。こうした新型車に対応するには、やはり価格戦略に入るしかない状態。少なくともノア＆ヴォクシー、エスクァイアの内、2台くらいの見積りを先に取ってからセレナの商談に向かいたい。シッカリと競合させることは、大幅値引きを引き出すための第一歩だ。

　日産セレナは、すでにモデル末期に入ってきたとはいえ、ガソリン車も燃費は良好。エコモーターによるアイドリングストップ時からの再始動は静かだ。また、トヨタ勢には無い自動ブレーキなども充実している。ガソリン車でもいいと思っていて、予算が厳しいのなら、大幅値引き前提とはなるが日産セレナという選択も悪くない。

＜日産セレナ ハイウェイスター エアロモード価格＞
・2WDハイウェイスター Vエアロモード＋Safety S-HYBRID（エマージェンシーブレーキ標準装備） エクストロニック 2,761,560円 "アドバンスドセーフティ パッケージ" 2,850,120円
・ハイウェイスターG エアロモード S-HYBRID（エマージェンシーブレーキ標準装備） 3,027,240円 "アドバンスドセーフティ パッケージ" 3,115,800円
・4WD ハイウェイスター Vエアロモード＋Safety（エマージェンシーブレーキ標準装備） 3,002,400円 "アドバンスドセーフティ パッケージ" 3,090,960円

＜ベース車に対する変更点＞
・フロントプロテクター（LEDイルミネーション）
・専用ダーククロムグリル
・専用グロスブラックパワーウインドウフィニッシャー