日産セレナe-POWER新車情報・購入ガイド ついに、シリーズハイブリッドシステムを搭載したセレナ! 5ナンバーミニバン、ハイブリッド車戦争へ加速!! [CORISM]
■アイデアと新技術で人気ミニバンへと成長している新型セレナ
日産セレナ(C27型)は、1991年に初代がデビューし現行モデルが5代目。2016年にフルモデルチェンジした。セレナは、国内日産の稼ぎ頭だ。先代セレナ(C26型)は、非常に高い人気があり、モデル末期でも売れに売れた。それだけに、5代目セレナは失敗が許されないという宿命を背負って登場した。
5代目セレナは、基本的に先代セレナのプラットフォームを継承している。そのため、クルマの持つ基本性能に劇的な変化はない。そういう点においては、5代目セレナは非常に不利な状況下にあった。
しかし、5代目セレナはそんなハンデをアイデアと新しい技術の追加で乗り越えていった。従来のバックドアは、大きく重かった。さらに、後方に一定のスペースが無いと開閉も困難。5代目セレナでは、このバックドアを上下に2分割したデュアルバックドアを採用。プラットフォームは先代セレナのものを使いながらも、クラストップの室内長と室内幅を確保。広々とした室内空間を生み出した。その他、痒い所に手が届くような抜群な使い勝手を誇る装備がたくさん用意されている。
さらに、新技術としてプロパイロットが搭載された。自動運転技術を応用した運転支援システムで、同一車線内を維持し、前走車に対し全車速域で追従走行ができるようになった。高速道路などの渋滞時におけるストップ&ゴーもほぼ自動追従してくれるので、ドライバーの疲労軽減に大きく貢献する機能だ。
このようなアイデアと新技術により、5代目セレナは人気ミニバンとしてさらに成長。2017年には、完成検査不正問題もありながら、なんと84,433台も売って自動車販売台数ランキング10位にランクイン。ライバルであり9位のヴォクシーに約2,000台差まで接近している。
■1.2Lエンジンとリーフのモーターを組み合わせたe-POWER。クラストップの低燃費26.2㎞/Lを達成!
e-POWERのシステムは、すでにコンパクトカーのノートに搭載されている。ノートは、このe-POWERにより大ヒットし、2018年1月にはモデル末期なのに新車販売台数ランキングで1位になった。この大ヒットの理由は、なんといっても電動モデルの走りの魅力が安価に提供できたことだ。コンパクトカーで254Nmというモーターの大トルクは非常に力強く、そしてモータードライブによるスムースは、トヨタやホンダ系のハイブリッド車とは全く異なるものだったことも売れた要因だ。今回の新型セレナe-POWERは、そうした走りの良さをミニバンに持ち込んだ。
搭載されるシリーズハイブリッドのe-POWERシステムは、基本的にノートと同じもの。搭載される1.2Lガソリンエンジンは発電のみ。このエンジンで発電した電力を使い、モーターで走行する。ただ、異なるのは出力。
エンジンは、高負荷に対応するために79psから84psへパワーアップ。モーター出力も、リーフと同様に254Nmから320Nmへアップされている。ノートよりはるかに重い1.7トン超の車重をもつセレナe-POWERには、320Nmくらいのトルクが欲しいところだ。こうした大出力のモーターを使うことで、同クラスの2.0Lガソリン車とは明確に異なる力強さを手に入れた。
そして、発電や回生した電力を溜めるリチウムイオンバッテリーもノートe-POWERのものより20%ほど増量され1.8kWhとなった。電池容量が増えたことにより、よりEV走行ができるようになった。リチウムイオンバッテリーは、フロントシート下付近のフロアに設置されている。燃費はクラストップの26.2㎞/Lを達成した。
■EVドライブの魅力をより引き出せる多くのモードを用意した新型セレナe-POWER
マナーモードは、できる限りバッテリーからの電力供給を受けEV走行するモード。発電用エンジンは始動しないので静粛性が高い。自宅周辺など、住宅街での使用を想定。バッテリー残量90%表示からで、このマナーモードを選択すると約2.7㎞EV走行が可能だ。マナーモードがオフ状態だと、約1.3㎞のEV走行になるので、倍以上EV走行できることになる。
このマナーモードをより生かす機能がチャージモードだ。バッテリーをほぼ満充電になるまで、エンジンが始動したままとなる。主に幹線道路などでチャージモードにし、バッテリーを充電。自宅付近の住宅街にはいったら、マナーモードを使うというパターンになる。
新型セレナe-POWERにも、ノートe-POWERと同じく回生ブレーキを使用しアクセル操作だけで、発進から停止まで1ペダルできるe-POWER Driveが装備されている。ノートe-POWERより、中・高速域での減速Gを抑え気味になっていて、定速での走行が容易になり扱いやすくなっている。全体的により自然なフィーリングになった。
また、新型セレナe-POWERには、走行モードが3つ用意されている。走行モードはノーマル、ECO、S(スマート)の3つ。ノーマルモードは、加速力も減速力も普通。減速力はe-POWER Driveのように積極的に回生ブレーキが使えないので、燃費はあまり伸びない。ECOモードは、加速力は弱め、減速力は強めとなる。アクセルレスポンスが穏やかになるので、無駄なアクセルの踏み過ぎを抑え燃費向上が狙えるモードだ。S(スマート)モードが加速は普通。減速力は強めとなる。気持ちよく走りながら、減速時にはしっかりと回生ブレーキを使用し燃費を稼ぐ仕様だ。基本的にe-POWER Driveが使えるECOもしくはS(スマート)モードがお勧め。e-POWER Driveはアクセルとブレーキの踏み換えが大幅に減り、疲労軽減にも役立つ。
■優れた安全装備・運転支援機能があるが、ほぼオプション設定なのが物足りない
ガソリン車に対して、25アイテムの遮音仕様をアップ。フロントガラスは、高級車に使用される遮音中間膜を入れたタイプに変更。また、フロアのセンターカーペットは、日産初の4層構造になった。これにより、1クラス上の静粛性を手に入れている。
また、新型セレナe-POWERは安全装備もアップデートされている。ハイビームアシストが新規で採用。踏み間違い防止アシストは、今まで近距離のクルマ壁に対して、停車もしくは約10㎞/h以下の低速域に限られていたが約25㎞/h以下の走行中にも対応できるようになった。この機能は、さらに人も検知できるようになった。
新型セレナe-POWERの安全装備は、クラストップレベルの運転支援機能を誇る。ただ、問題なのは最低限のインテリジェント エマージェンシーブレーキ+LDW(車線逸脱警報)は標準装備化されているものの、他の装備に関しては、ほぼオプション設定になっている点だ。オプションを選択しないと、ステップワゴンに標準装備化されているホンダセンシングレベルには達しない。優れた安全装備があっても使われなければ意味が無い。もはや、300万円を超えてくるクルマなので、もう少しオプション装備の標準装備化を進めたいところだ。しかも、Xやハイウェイスターではオプション装備もできない状態だ。
新型セレナe-POWERの外観デザインは、それほど大きな変更はされていない。パッと見た目では、e-POWERかどうか分からないレベルだ。変更点は、フロントグリルに入れられたブルーのカラーアクセントにLED3本ラインとなったストップランプ。機能面では、リヤスポイラーの横にサイドスポイラーが追加。そして新デザインの15インチアルミホイールがが装備される。これらは、空力性能を重視したものとなっている。
インテリアは、さらに変更点は少なく専用のメーター、ブルーのライティングによるコンソールトレー、バイワイヤーのシフトノブやブルーのスタータースイッチなどだ。
■新型日産セレナe-POWERのグレード選び
新型セレナe-POWERのグレードは4タイプ。X、XV、ハイウェイスター、ハイウェイスターVとなる。ここでまず外したいグレードは、Xとハイウェイスターだ。この2グレードは、プロパイロットや踏み間違い防止アシスト、サイド&カーテンエアバッグがオプションでも装着できない。同一車線内を維持しながら先行車に追従できる機能をもつプロパイロットは、疲労軽減に役立ち、高速道路などでの渋滞時には非常に便利。これはぜひとも選択したいオプションなので、それが選べないXとハイウェイスターは外して考えたい。
そうなると、残るXVとハイウェイスターVから選択することになる。大きな差は、ハイウェイスター専用エアロパーツやサスペンション、LEDヘッドランプ、本革巻きステアリング、ハンズフリーオートスライドドアなどで価格差は約28万円。
短期での乗り換えなら、リセールバリューが高くなるハイウェイスターVがお勧め。また、装備の充実度でもハイウェイスターVなら満足度が高い。スポーティな外観はそれほど必要がなく、予算重視であるというのであればXVというのも悪くはない。
新型日産セレナe-POWERの登場で、ノア&ヴォクシーにエスクァイア、ステップワゴンと3メーカーすべてに異なる本格的ハイブリッド車が登場したことになる。従来、5ナンバーミニバンはハイブリッド化すると価格が高くなり売れないとされてきたが、今や主力はハイブリッド車。3メーカーの5ナンバーハイブリッド車戦争が始まった。
■新型日産セレナe-POWERの価格
・セレナe-POWER X 2,968,920円
・セレナe-POWER XV 3,128,760円
・セレナe-POWER ハイウェイスター 3,178,440円
・セレナe-POWER ハイウェイスター V 3,404,160円
■新型日産セレナe-POWERの燃費、スペックなど
代表グレード | 日産セレナe-POWERハイウェイスターV |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,770×1,740×1,865mm |
ホイールベース[mm] | 2,860mm |
トレッド前/後[mm] | 1,480/1,485mm |
車両重量[kg] | 1,760kg |
総排気量[cc] | 1,198cc |
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] | 62(84)/6000 |
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] | 103(10.5)/3200-5200 |
モーター最高出力[kw(ps)] | 100(136) |
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)] | 320(32.6) |
ミッション | -- |
タイヤサイズ | 195/65R15 |
JC08モード燃費 | 26.2㎞/L |
定員[人] | 7人 |
税込価格[円] | 3,404,160円 |
発売日 | 2018/2/28 |
レポート | 編集部 |
写真 | 日産 |
■以下、2017年11月掲載記事 新型セレナe-POWERのモーター出力は、254Nm? それとも320Nm?
e-POWERは、エンジンで発電。発電した電力でモーター駆動で走るシリーズハイブリッド車だ。2016年11月に、コンパクトカーのノートに搭載された。電気自動車(EV)の初代リーフと同じ254Nmという大トルクを誇るモーターを使用したことで、とても力強い加速を誇り、他社のパラレルハイブリッド車とは明確に異なる走行フィールであっという間に人気モデルとなった。また、協調回生ブレーキを備えていないことを逆手に取り、アクセルペダルをオフにしたときの回生ブレーキを緻密にコントロール。アクセルペダル操作だけで、停止までできるe-POWERドライブを提案。これが、ドライバーに新しい運転感覚と、アクセルとブレーキの踏み換え操作が少なくなることから疲労が少なくなるというメリットを提示した。こうしたことが評価され、ノートe-POWERはモデル末期ながら売れている。
今回、このe-POWERシステムが人気ミニバンであるセレナに搭載される。ただ、今のところe-POWERシステムの内容は公開されていない。ノートe-POWERの254Nmというモーターでは、1,700㎏弱の重量をもつセレナのボディに十分かどうかという点だ。単純にセレナのガソリン車のトルクは200Nmなので、これは超えている。ただし、より高額になると思われることから、その価格上昇分に見合った走りが提供できるかという部分では微妙だ。場合によっては、2代目新型リーフの320Nmモーターなどが採用される可能性もある。こうしたモーターの仕様にも注目だ。
また、e-POWERのシステムそのものも進化しているかどうかにも期待したいところ。ノートe-POWERでは、エンジンの出力だけで走行することができず、モーターよりエンジンで走ったほうが効率的な部分もモーターだけで走行している。そのため、市街地での燃費は他社のハイブリッドを超えるが、速度域が高くなればなるほど燃費性能は他社のシリーズハイブリッドが勝っていた。
セレナは大勢が乗車し、高速道路などを使い遠出にも使われるクルマだ。高速道路での効率を上げないと、低燃費になりにくいという弱点をもつだけに期待される部分でもある。
その他の装備面では、新型セレナe-POWERには、日産の運転支援技術プロパイロットが用意される。
また、2列目シートはキャプテンシートを現行セレナでは初採用。快適性と余裕ある移動空間を両立。インテリアには、ブルーのアクセントが施された。トップグレードとしての高級感をアピールしている。
新型セレナe-POWERの外観は、あまり大きな差別化は施されていない。まず、グリルに「e-POWER」の象徴であるブルーのアクセントを施した。さらに、専用LEDテールランプや、空力特性に優れたデザインの専用アルミホイールなどのエクステリアパーツを採用した。
新型日産セレナe-POWERの発売は、2018年春。すでに、セレナ ニスモも公開されており、セレナは11月末ごろから攻勢をかける。ライバル車では、ステップワゴンが大きくフェイスチェンジし、待望のハイブリッド車を用意。低燃費と力強さを両立した。新型セレナe-POWERの登場で、5ナンバーミニバンはハイブリッド戦争の様相を呈することになる。
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