スズキ は、北京モーターショー で、Cセグメントのコンパクトセダンである新型コンセプト アリビオ（Concept ALIVIO）を世界初公開した。スズキは、この新型スズキ コンセプト アリビオ（Concept ALIVIO）をベースとした量産モデルを2014年中に、中国の合弁企業である重慶長安鈴木汽車有限公司で生産・販売開始する計画だ。中国マーケットの人気ジャンルはセダン 。人気のセダンで多くの顧客がターゲットになるCセグメントに新型車を投入することで、スズキは中国でのシェア拡大を狙う。

　このクラスは、すでにトヨタ が北京ショーでカローラとレビン を公開し発売を開始する。さらに、トヨタはカローラとレビンに2015年中に中国生産されたハイブリッド システムを搭載したモデルを投入するなど、今後注目されるホットなマーケットだ。

　スズキには、トヨタのようにハイブリッドシステムは存在しないため、燃費という面では大きなハンデとなることは確実。ただし、ワゴンR などでイッキに進んだ低燃費技術エネチャージや軽量化技術などの応用は十分に考えられる。その結果、多くの顧客が購入可能とする価格競争力や、低燃費技術、使い勝手の良さなど、総合バランスでトヨタ勢などと戦うことになる。

　さて、今回発表された新型スズキ コンセプト アリビオ（Concept ALIVIO）だが、ボディサイズは全長4,545mm×全幅1,730mm×全高1,475mm。全高を抑え、全幅を広くとった安定感のあるスタイリングが特徴だ。このコンパクトなボディながら、大きなヘッドライトや押し出しの効いたグリルをもち、精悍なフェイスをもつ。全体的に大きく見え、存在感がある。クラスは上となるが、日産 ティアナ が中国でヒットしているというものこういったデザインが中国マーケットで人気であることを感じさせる。

　このコンセプト アリビオに搭載されているエンジンは、軽量化や摩擦抵抗の低減により出力向上と低燃費を両立した1.6Lの直列4気筒 DOHC 16バルブVVTガソリンエンジン。組み合わされるミッションは、CVTではなく燃費性能を高めた軽量・コンパクトな新開発6速AT。カローラとレビンがCVTを使うのに対して、新開発の6速ATを投入するなどスズキの中国マーケットに対するやる気を感じさせる部分でもある。

　このコンセプト アリビオを見て気になるのは、新型スズキSX4セダンとの関係。SUVのスズキSX4 S-CROSSはすでに欧州で発売済み。このSX4 S-CROSS のセダンがコンセプト アリビオという見方もできる。新型SX4に関しては、いつ日本に導入されるのかは未定。

　スズキの営業は、当時SX4のプロモーションに福山雅治を起用するなど力を入れた経緯がある。しかし、SX4が思うように売れなかったこともあり、早々にプロモーション活動は縮小された。その後、ほとんどSX4をCMで見ることが無くなったほと、スズキの営業はメリハリが効いている。

　この状況下で、新型SX4を国内導入というのはなかなか勇気のいる決断。ただし、コンパクトカー SUV はジューク やヴェゼル などがヒットしており、売れる可能性は高い。逆に、セダンとなると導入される可能性が極めて低くなる。このクラスのセダンマーケットは、完全に瀕死状態だからだ。ただ、セダンじゃなくてはダメ、という顧客もわずかながらいるのも事実。このあたりをどう考え攻めるのかが、新型SX4セダン（コンセプト アリビオ）国内導入のカギを握ると思われる。