クルマが出ないTVCMでクラスNo.1!? 大人気「日産 セレナ」の謎に迫る[CORISM] [CORISM]

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【エンタメ】2010/04/20

「等身大の家族」をイメージしたCM

「日産 セレナ」”できっこないを やらなくちゃ”TVCMのワンシーンより
 あまたの自動車CMがあるものの、わずか数秒しかクルマを見せずに大ヒットを記録しているクルマがある。しかも、2005年に発売され、すでにモデルチェンジイヤーに突入しながらも、5ナンバー3列ミニバンで未だトップの座を誇るロングセラーという勲章を持った数少ないクルマだ。そのクルマの名は「日産セレナ」。
 そんな、セレナのCMは不思議だ。オリジナルの音楽が流れ、ひたすら子供が出てくる。最後の最後、わすが数秒日産セレナがビューンと走り去っていくのだ。トヨタやダイハツのように、タレントとクルマが登場しイメージを訴求するCMとはまったく違っている。はたして、これほどまでクルマが出なくてもいいのか? と、心配してしまうほどだ。
 「クルマをあえて出さないというよりは、セレナの世界感を共感して欲しい、という想いが、こういうCMになったといったほうが正しいですね」と語るのは日産自動車マーケティング本部マーケティング・ダイレクターの森田 聡さん。
 セレナの世界観とは、等身大の家族だという。セレナのターゲットとなるユーザーは30歳から40歳台。そんな夫婦が、過去の自分達とチャレンジする子供達を見てセレナの世界観に共感するからこそ売れるのだそうだ。そこには、タレントを使って作り出したイメージは一切必要ない。
「セレナ」を担当する日産自動車 マーケティング本部 マーケティング・ダイレクターの森田 聡さん

「セレナ」を担当する日産自動車 マーケティング本部 マーケティング・ダイレクターの森田 聡さん

「日産 セレナ」”できっこないを やらなくちゃ”TVCMのワンシーンより 外観より先に車内の様子が映る。

TVCMのワンシーンより 外観より先に車内の様子が映る。

「日産 セレナ」”できっこないを やらなくちゃ”TVCMのワンシーンより CMの最後になってようやくクルマが登場するのだ。

CMの最後になってようやくクルマが登場するのだ。

できっこないを、やらなくちゃ!

感極まって思わず泣いてしまった女の子[セレナ TVCMより]
 今回のCMのテーマは「できっこないをやらなくちゃ!」。到底登れそうにない岩登りにチャレンジするという内容。岩登りにチャレンジして泣いちゃった女の子は、実は、一番最後にようやく登りきり感極まって泣いたそうだ。これは、演技じゃなくて本当にあったこと。演技ではなく本当の出来事。そして、リアルな表情がお父さんお母さんのハートにグサリと刺さったのだろう。
「リアリティある等身大家族への共感の他にも、こだわったことがあるんです。それは、音楽です。CMには嗅覚は必要ありません。視覚もテレビで見ていると今ひとつ。と、なると記憶に残るのは音楽なんですね。そのために、今回はサンボマスターさんにお願いして専用の曲を作ってもらいました。我々のセレナにとって、楽曲は財産だと思っています」と森田さん。
 セレナを見せずにセレナを売るCM。リアリティある家族の世界観と、耳に残り心に響く音楽で共感力を高める手法。それが、クルマを見せずに売る力なのかもしれない。

 さて、そんな日産セレナのCMが、GW明けから新作に変わる。はたして、またクルマが出てこないのか? それとも、大方の予想を裏切りクルマ全開なのか? 興味は尽きない。たぶん、きっと、また、パパ&ママを泣かせてくれるんだろうなぁ・・・。どちらにしても、この新作セレナのCMはこれで最後の可能性もあり。だって、今年の終わりには、そろそろ・・・。

日産自動車 マーケティング本部 マーケティング・ダイレクターの森田 聡さん

「記憶に残らせる音楽には毎回こだわっている」と語る日産の森田さん。これまでも「はじめてのチュウ」「にんげんっていいな」をアレンジした曲を採用したり、ガガガDX、曽我部恵一BANDといった新進気鋭のミュージシャンを起用するなどこだわりが満載だ。

CMソング「できっこないを やらなくちゃ」サンボマスター

2月末にリリースされた、ロックバンド サンボマスターによるオリジナルCMソング「できっこないを やらなくちゃ」。ボーカル山口 隆のアツいシャウトが前向きな歌詞とマッチして印象的だ。ちなみに作詞作曲も山口自身の手によるものである。

いっぽうでガチャピン・ムックも「日産 セレナ」のTVCMに登場する

いっぽうでおなじみの人気タレント(?)「ガチャピン」「ムック」も、TVCMのサブキャラクターとしてちょこっと登場する。こちらはお得なエコカー減税・補助金や特別仕様車といったPR訴求を一手に引き受け、CMの強いメッセージ性と差別化している。

(レポート:大岡 智彦

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