2代目トヨタ ラクティスは、2010年11月にデビュー。全長3,995×全幅1,695×全高1,585mmというコンパクトなボディに、クラストップレベルの室内空間をもつ。荷室もデッキボードの高さを2段階に調整可能。取り外しも可能なアジャスタブルデッキボードを採用したことにより、最大1.2mの高さのある荷物まで積載可能とした。

　こうした室内スペースに余裕を持たせたことと、1.5Lエンジンを搭載したグレードをメインとして、若年ファミリー層のファーストカーとしての価値をアピールした。

　しかし、発売直後こそ好調だったラクティスだが、低燃費戦争とハイブリッドのアクアが登場したこともあり、販売台数は下降していく。毎年一部改良を施すものの、月販販売台数は2,000台を超えるのがやっとといった状態だ。

　そこで、今回のマイナーチェンジでは、外観を大きくイメージチェンジ。プロジェクター式ヘッドランプやLEDクリアランスランプを採用。リヤコンビネーションランプの形状を変更した。さらに、フロントグリルにメッキ加飾を施すことで、精悍な印象を与えている。プロジェクターヘッドランプなどの影響もあり、目力のあるスポーティなフェイスとなった。

　インテリアは、センタークラスターにブラックメタリック塗装を施し上質さを表現。メーターフードやセンタークラスターのシボ加工のデザインを変更し、落ち着きある室内空間を演出している。

　今回新設定されたグレードG PRIME STYLEでは、さらに質感を高めるため、専用のシート表皮を設定。ステアリングやシフトノブにシルバーステッチを施すなどの改良を加えている。

　また、高額なオプションとなるアイドリングストップ機能付車には、TFTマルチインフォメーションディスプレイを採用。燃費や航続可能距離といった各種情報のほか、燃費ランキングなどを表示することでドライバーのエコドライブを支援する。

　さらに、全車のフロントドアガラスにスーパーUVカット・IRカット機能付ガラスを採用するなど、快適性も向上させている。

　そして、ラクティスのエントリーグレードに搭載される1.3L車は、すでにヴィッツ に搭載された新型エンジン。ハイブリッド技術で磨いたアトキンソンサイクルのほか、クールドEGRやVVT-iEなどを採用し、燃費性能を向上させている。燃費性能は、アイドリングストップ機能付きが21.8㎞/L、無しが20.0㎞/Lとなっている。

　しかし、トヨタのアイドリングストップ機能嫌いは、ラクティスでも一貫している。オプションのアイドリングストップ機能は、79,920円と高価。元々、トヨタのエンジンは燃費性能が高い。そのため、アイドリングストップ機能を付けると1.5Gでエコカー減税は約71,500円となる。しかし、アイドリングストップ機能を選ばないと、エコカー減税はイッキに低減され約38,300円となる。減税レベルが上がった分でアイドリングストップ機能が選べればよいのだが、逆に顧客の持ち出しとなる。そのため、非常にアイドリングストップ機能は選びにくいオプションとなっている。

　ラクティスの1.5L車は、アイドリングストップ機能付きが20.6㎞/Lで、アイドリングストップ機能無しが19.0㎞/Lと約8％も燃費が悪くなる。ホンダ のフィット 1.5L車は、全車アイドリングストップ機能付きで21.8㎞/Lなので、これでは勝負にならない。

　このように、ラクティスの1.5L車を選ぶならアイドリングストップ機能は必須となるが、それでも燃費はフィットの1.5L車に負ける。今時、価格競争の厳しい軽自動車もアイドリングストップ機能の装着が当たり前の時代。早急な標準装備化が望まれる。

　安全装備面では、追突被害軽減自動ブレーキは用意されていない。また、サイドエアバッグは43,200円のオプション。フィットの15Xは標準装備。このあたりの装備差をジックリと比べて選ぶといいだろう。

　それでも、精悍になったラクティスのデザインで買うのなら、スポーティなルックスとユーロサスペンション＆リヤディスクブレーキを装備したSグレードがよい。装備も充実している。ただし、このSグレードも注意が必要。タイヤが少し太い185/60R16となることで、なんと最小回転半径が4.9mから5.4mとなってしまうのだ。ちょっとしたミニバン 並みの最小回転半径だ。狭いところでクルマを扱うことが多い人には、Sグレードはあまりお勧めできない。