トヨタ アルファード/ヴェルファイア新車情報・購入ガイド 死角なし? 進化した先進予防安全装備を標準装備化し孤高のナンバー1ミニバンへ [CORISM]

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【トヨタ】2018/01/13

■死角を無くし、ナンバー1ミニバンの王道を走り続けるためのマイナーチェンジ

トヨタ アルファード/ヴェルファイア
 トヨタの上級ミニバンであるアルファード/ヴェルファイアがマイナーチェンジし発売が開始された。

 トヨタ アルファード/ヴェルファイアは、2015年にフルモデルチェンジし発売を開始した。現行モデルが3台目となる。

 このアルファード/ヴェルファイアのライバル車は、日産エルグランドやホンダ オデッセイ。2017年度上期の販売台数は、アルファード/ヴェルファイアが約41,000台となった。両社で月平均7,000台弱の販売台数となっている。新車の販売台数ランキングではアルファードが22位、ヴェルファイアが23位と両社ともベスト30位内にランクインしている。

 しかし、ライバルのエルグランドやオデッセイはランク外。エルグランドは、月に1,000台売るのも厳しい状況。オデッセイですら1,500台/月程度となっている。

 もはや、このクラスのミニバンは、完全にアルファード/ヴェルファイアの独り勝ち状態が長く続いている。こうしたことも影響して、中古車マーケットでもアルファード/ヴェルファイアは大人気。リセールバリューも高いのが特徴だ。

 この差は、もはやアルファード/ヴェルファイアの商品企画力の差が大きい。エルグランドは、先代アルファード/ヴェルファイアに対して、より優れた乗り心地や運動性能を高めるために、リヤサスペンションにはマルチリンクを採用。全高を下げ低重心化した。その結果、乗り心地や運動性能では、先代アルファード/ヴェルファイアを大きく上回ったが、全高が低いため小さく見えると不評。存在感を消していった。

 オデッセイは、エリシオンの後継として登場。ボディサイズは、アルファード/ヴェルファイアに対してやや小さい。これもややマイナス要因となった。デビュー時に、ハイブリッド車が無かったこともデビュー直後から販売不振の理由となった。ホンダは、当初ガソリン車からやや遅れてハイブリッド車を投入する予定としていたが、大幅に遅れることとなった。これは、ハイブリッド化することで、大幅な価格上昇により売れなくなるという懸念もあったのだ。しかし、実際にハイブリッド車を投入すると、低迷していた販売台数が一気に上昇。現在では1,500台/月程度とまずまずの販売台数を記録するようになった。

 こうしたライバルの自滅ということも、アルファード/ヴェルファイア独り勝ちにつながった理由でもある。ただ、アルファード/ヴェルファイアも死角がなかった訳ではない。高額車なのに、歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備の装着が大きく遅れていた。独り勝ち状態なので、それほど気にもされなかったようだが、オデッセイはこうした先進予防安全装備を標準装備化しアルファード/ヴェルファイアと差別化した。安全に対して感度の高い顧客は、アルファード/ヴェルファイアから離れたり、買い替えを控えているケースもある。

 今回のマイナーチェンジでは、こうした安全装備の弱さを改善。そして、強みをより伸ばし、まさに死角を無くし、ナンバー1ミニバンの王道をひた走るためのマイナーチェンジといえる。

トヨタ アルファード/ヴェルファイア
トヨタ アルファード/ヴェルファイア
トヨタ アルファード/ヴェルファイア

トヨタ アルファード/ヴェルファイア

■より精悍な迫力あるデザインとなったアルファード/ヴェルファイア

トヨタ アルファード/ヴェルファイア
 トヨタ アルファード/ヴェルファイアのマイナーチェンジでは、長所といえる威圧感のある迫力系デザインがさらに強力になった。

 ヘッドランプ、フロントグリル、フロントバンパー、バックドアガーニッシュ、リヤコンビネーションランプのデザインを変更。より睨みの効いた迫力ある顔になり、凄みが増している。こうしたデザインは、まさにマーケットインといえる手法。マーケットニーズを上手く吸い上げ、売れるためのデザインが採用されている。

 インテリアは、高級ミニバンとしての価値を高めるためにメーター加飾やシート表皮、木目の色を変更し、高級感をさらに高めた。

 アルファード/ヴェルファイアには、最上級グレードに「Executive Lounge」が設定されていた。とにかく、高級な内装を誇るグレード。トヨタブランドの最上級車には、クラウンマジェスタが存在したが、そのクラウンマジェスタをも超える高級感で、脱セダン化を加速させた。政治家や経営者などが後席に乗るショーファードリブンとして、新たな価値を提供した。

 その「Executive Lounge」にエアロ仕様として、「Executive Lounge S」をアルファードに、「Executive Lounge Z」をヴェルファイアに設定した。専用インテリアとして「ブラック&ホワイト」の内装色を採用し、シルバー木目調の専用加飾や、防汚処理加工を施したホワイト色のプレミアムナッパ本革シートとともに、先進的でモダンな室内空間を演出。

 また、アルファード/ヴェルファイアは、エアロパーツが装備されたグレードの人気が高い。そこで、見た目重視で価格を安く設定したハイブリッドのエアロ仕様でエントリーグレードとなるアルファード「S」、およびヴェルファイア「Z」も設定した。

トヨタ アルファード/ヴェルファイア
トヨタ アルファード/ヴェルファイア
トヨタ アルファード/ヴェルファイア

■パワーアップした3.5Lエンジン。ようやくアイドリングストップ機能を装備

トヨタ アルファード/ヴェルファイア
 アルファード/ヴェルファイアには、2.5Lハイブリッドと2.5Lガソリン、3.5Lガソリンという3つのパワーユニットが用意されている。

 この中で、パワーはあるものの旧世代のエンジンが3.5Lエンジンだった。環境性能が重視される時代において、この3.5Lエンジンはアイドリングストップさえ付いていないものだったのだ。そのため、燃費性能は9.5㎞/L前後が中心。優れた燃費値とは言えない状況だった。また、ハイブリッド車も用意し環境性能をアピールするトヨタなのに、旧世代の燃費が悪いモデルを同時に売るというトヨタブランドに疑問符が付くような行為がしばらく続いていた。

 さすがに、これはよくないと判断したようで、今回のマイナーチェンジでは3.5Lエンジンが2GR-FKS型へと変更され、アイドリングストップ機能がプラスされた。また、ATも6速から8速へ多段化。これにより燃費値はマイナー前3.5GFグレードの9.5㎞/Lから、10.8㎞/Lへ大幅に向上している。

 また、エンジンが変更されたことにより出力も向上。マイナー前は280ps&344Nmだったが、マイナ後は301ps&361Nmへとパワーアップした。より力強い走りが可能としながら、低燃費化も実現している。
 
 ただ、相変わらず2.5L車のアイドリングストップ機能はオプション設定のまま。ハイブリッド車で環境性能をアピールしながら、未だアイドリングストップ機能をオプション設定にするという、あまりにもご都合主義的な設定をしている。CO2減が世界的に叫ばれている中、ハイブリッド車を売るトヨタとしては、あまりにも情けない設定だ。CO2をたくさん排出し環境を悪化させてきた責任は自動車メーカーにもある。せめて、アイドリングストップ機能くらいの装備は自動車メーカーの責任として積極的にやるべきだ。

 そして、アルファード/ヴェルファイアは高級車としての新たな価値観を提供するモデルである。そのため、走行性能面では構造用接着剤の適応範囲拡大や高剛性ガラス接着剤の使用などによりボディ剛性を高め、優れた操縦安定性と乗り心地を実現させている。

トヨタ アルファード/ヴェルファイア
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■進化したトヨタセーフティセンス。しかし、他の安全装備は物足りない

トヨタ アルファード/ヴェルファイア
 アルファード/ヴェルファイアのマイナーチェンジで、一番進化した部分が安全装備だ。マイナーチェンジ前のアルファード/ヴェルファイアには、歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備が用意されていなかった。2トンを楽々と超えるアルファード/ヴェルファイアが歩行者と衝突すれば、より大きな事故になりやすいだけに、物足りない安全装備だった。

 こうした状況を見たホンダは、オデッセイに歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備装備である「ホンダセンシング」を全車に標準装備化。アルファード/ヴェルファイアと差別化し、存在感をアピールし一定の販売台数を確保した。

 それでも、圧倒的なブランド力を背景にアルファード/ヴェルファイアは売れた。しかし、国交省が安全運転サポートカー(通称サポカー)を推奨するなど、より安全性の高いクルマへの関心度が高まる中、高級車としてアルファード/ヴェルファイアが先進予防安全装備を装備しないわけにはいかない。

 そこで、今回のマイナーチェンジで歩行者検知式自動ブレーキを含む先進予防安全装備である「トヨタセーフティセンス」が全車に標準装備化された。
 
 このトヨタセーフティセンスは、従来のトヨタセーフティセンスPと同じく単眼カメラとミリ波レーダーの組み合わせであることに変更はない。しかし、性能面では大幅に進化した次世代トヨタセーフティセンスである。

 その違いは、まず、昼間の自転車の運転者や夜間の歩行者の検知機能が追加されたこと。夜間は、暗いのでより歩行者を見落としがち。それだけに、夜間の歩行者検知ができるようになった点は、より安心してクルマに乗れるようになる。

 そして、レーダークルーズコントロール作動時に、車線から逸脱する可能性があることを警告し、車線からの逸脱を避けるためのステアリング操作支援をする「レーントレーシングアシスト(LTA)」が装備された。

 こうした機能が従来のトヨタセーフティセンスPとは異なる大きな変更ポイントだ。大きく出遅れたトヨタの先進予防安全装備だが、これでようやく平均点レベルといったところ。

 物足りないののは、後側方から接近するクルマを検知し警報を発するブラインドスポットモニター、バック時に接近する車両などを検知するリヤクロストラフィックアラート、アクセルとブレーキの踏み間違えの被害軽減を行うインテリジェントクリアランスソナーなどが、一部グレードを除きオプション設定。

 これくらいの安全装備はもう当たり前とえる装備で、一部の装備はコンパクトカーにも標準装備化されているくらいだ。高級車なのに、これくらいの安全装備を出し惜しみするはアルファード/ヴェルファイアという高級車を買うステータスの高い顧客の安全をどう考えているのが疑問が残る。

 トヨタは「統合安全コンセプト」に基づき、安全な車両開発・技術開発を目指しているとアピールしている。各システムをさらに連携させていくことでクルマを「より危険の少ない状態」に近づけていき、「事故を起こさないクルマ」の実現を目指しているとしている。ところが、こうした技術が搭載されなければ、アピールしている「事故を起こさないクルマ」が出来るわけがない。もはや、安価になってきた装備はドンドンと標準装備化する積極さが欲しい。

トヨタ アルファード/ヴェルファイア
トヨタ アルファード/ヴェルファイア
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■トヨタ アルファード/ヴェルファイアのグレード選び

トヨタ アルファード/ヴェルファイア
 トヨタ アルファード/ヴェルファイアのグレード選び。アルファード/ヴェルファイアのグレード選びは、まずパワーユニットの選択からだ。2.5Lと3.5Lのガソリンエンジンと2.5Lハイブリッド3つの選択肢がある。これからドンドンと環境性能が重視されていくことを考えると、ガソリン車選ぶ理由はあまりない。強いて言うのであれば、ハイブリッド車の価格が非常に高いことくらい。今後、ハイブリッド車の方がよりリセールバリューが高くなる可能性のあるので、ハイブリッド車がお勧めだ。

 グレード選びは、まずエアロパーツが装備されたグレードがお勧めだ。エアロパーツ装着車の方がリセールバリューも高い。マイナーチェンジでは、エントリーグレードにエアロパーツが装備されたグレードであるアルファードSやヴェルファイアZが用意されている。このグレードには、豪華装備の差でアルファードならAパッケージとCパッケージ、ヴェルファイアならAエディションとGエディションが用意されている。

 さすがに、基準のSやZでは高級ミニバンである装備という面では少々物足りない。アルファードなら、SのCパッケージ、ヴェルファイアならZのGエディションくらいが満足度の高い装備となる。このあたりは、予算次第といったところだ。

 そして必須オプションは、2.5Lガソリン車ならアイドリングストップ機能。燃費性能が1.0㎞/L前後異なり、街中の実用燃費はさらに大きく変わってくる可能性がある。さらに、後側方から接近するクルマを検知し警報を発するブラインドスポットモニター、バック時に接近する車両などを検知するリヤクロストラフィックアラート、アクセルとブレーキの踏み間違えの被害軽減を行うインテリジェントクリアランスソナーなどの安全装備は、車体の大きいアルファード/ヴェルファイアをより安全に乗るためには必要なオプションだ。

 また、より存在感を高めたいのなら3眼LEDヘッドランプがお勧め。車内で電化製品が使えるようになるアクセサリーコンセント(AC100V・100W)、ハイブリッド車なら災害時に電源車となるメリットもあるアクセサリーコンセント(AC100V・1500W)がお勧めだ。

トヨタ アルファード/ヴェルファイア
トヨタ アルファード/ヴェルファイア
トヨタ アルファード/ヴェルファイア

■トヨタ アルファード/ヴェルファイアの価格

トヨタ アルファード/ヴェルファイア
■トヨタ アルファード価格
<2.5Lガソリン車>(FF)
・X 8人乗り 3,354,480円/“サイドリフトアップチルトシート装着車” 7人乗り 3,541,000円
・S 8人乗り 3,692,520円/7人乗り 3,735,720円/“サイドリフトアップチルトシート装着車” 3,790,000円/ “A パッケージ” 3,905,280円/ “C パッケージ” 4,362,120円
・G 7人乗り 4,185,000円/“サイドリフトアップチルトシート装着車” 4,220,000円

<3.5Lガソリン車>(FF)
・GF 7人乗り 5,205,600円/“サイドリフトアップチルトシート装着車” 4,632,000円/
・SC 7人乗り 4,947,480円
・Executive Lounge 7人乗り 7,034,040円
・Executive Lounge S 7人乗り 7,183,080円

<2.5Lハイブリッド車>(E-Four:電気式四輪駆動)
・X 8人乗り 4,363,200円/7人乗り 4,405,320円/“サイドリフトアップチルトシート装着車” 4,493,000円
・S 7人乗り 4,610,520円
・G 7人乗り 4,975,560円/“F パッケージ” 5,529,600円
・SR 7人乗り 5,120,280円/“サイドリフトアップチルトシート装着車” 5,119,000円/“C パッケージ” 5,674,320円
・Executive Lounge 7人乗り 7,358,040円
・Executive Lounge S 7人乗り 7,508,160円

■トヨタ ヴェルファイア価格
<2.5Lガソリン車>(FF)
・X 8人乗り 3,354,480円/“サイドリフトアップチルトシート装着車”7人乗り 3,541,000円
・Z 8人乗り 3,692,520円/7人乗り 3,735,720円/“サイドリフトアップチルトシート装着車” 3,790,000円/“A エディション” 3,905,280円/“G エディション” 4,362,120円
・V 7人乗り 4,185,000円/“サイドリフトアップチルトシート装着車” 4,220,000円

<3.5Lガソリン車>(FF)
・VL 7人乗り 5,205,600円/“サイドリフトアップチルトシート装着車” 4,632,000円
・ZG 7人乗り 4,947,480円
・Executive Lounge 7人乗り 7,034,040円
・Executive Lounge Z 7人乗り 7,183,080円

<2.5Lハイブリッド車>(E-Four:電気式四輪駆動)
・X 8人乗り 4,363,200円/7人乗り 4,405,320円/“サイドリフトアップチルトシート装着車”4,493,000円
・Z 7人乗り 4,610,520円
・V 7人乗り 4,975,560円/“L エディション” 5,529,600円
・ZR 7人乗り 5,120,280円/“サイドリフトアップチルトシート装着車” 5,119,000円/“G エディション” 5,674,320円
・Executive Lounge 7人乗り 7,358,040円
・Executive Lounge Z 7人乗り 7,508,160円

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(レポート:CORISM編集部

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