ボルボS90/V90/V90 Cross Country新車情報・購入ガイド ドイツ御三家にはもう飽きた? 自らの選択眼に自信があるマイノリティが選ぶデザインコンシャス車 [CORISM]
新世代のプラットフォーム(車台)やエンジンが搭載された新型90シリーズ
ボルボ S90 /V90 は、日本マーケットにおいて1997年に導入。このモデルは、FR(後輪駆動車)だった。それ以降、S90/V90と名乗るモデルは導入されておらず、約20年振りの導入ということになる。
新型ボルボS90/V90/V90 Cross Countryのボディサイズは、それぞれ微妙に異なる。V90の最上級グレードになり、PHV モデルとなるV90 T8 Twin Engine AWD Inscriptionのボディサイズは、全長4,935×全幅1,890×全高1,475mmとなっている。
V90は、V70の後継ということだが、V70のボディサイズは4,815×全幅1,890×全高1,545mm。全長で比較すると、完全にひとクラス上のクラスといった印象だ。このボディサイズになると、ライバル車はメルセデス・ベンツEクラス やBMW5シリーズ 、アウディA6 ということことになる。
まるでFR車のようにみえるスタイリッシュなデザイン
フロント部分のデザインは、ほぼ共通。すべてのモデルに共通するのは、フロントノーズが長く、オーバーハングが短いところだ。新型ボルボS90/V90/V90 Cross Countryは、FFベース。しかし、まるでFR車のようなプロポーションをもつ。全体的に伸びやかなスタイルが印象的だ。
セダン であるS90は、モーターショーで登場したコンセプト・クーペのセダン版ともいえる仕上がりを見せている。とくに、傾斜したAピラー、そしてやや低い全高、そこから滑らかにテールエンドにつながるCピラーはコンセプト・クーペのようだ。こうしたセダンをクーペ風に見せるデザインは、最近また流行り出しているようで、レクサスLS などもこうしたデザインで登場している。そんな中でも、レボルボS60 は際立ってスタイリッシュなルーフラインに仕上がっていると言っていいだろう。
ワゴンモデルとなるV90も、セダンのS90と同様にかなりスタイリッシュな姿になった。ワゴンであることから、ルーフラインは直線的に後方へ伸びている。やや、後方に行くにつれて微妙に滑らかにルーフラインが下がってきているものの、V70や850といったボルボのワゴンモデルらしさである伸びやかさを継承している。
しかし、V90はボディ後端のデザインがV70などの歴代ボルボ車とは大きく異なる。V70などは、ルーフ後端から、ほぼ直角に設置されたテールゲートになっている。荷室スペースなどの使い勝手を考えたデザインになっており、このスクエアなリヤゲートまわりのデザインがボルボのワゴン車の特徴だった。
ところが、V90はリヤタイヤの後端部分から傾斜を付けてボディ後端へとつながるデザインが採用されている。最近のワゴン車 は、こうしたデザインが主流だが、V90はよりスタイリッシュなデザイン方向へ舵が切られ、流麗なワゴンデザインになった。また、縦長でありながら、ワイド感を強調する個性的なリアコンビネーションランプは、モーターショーで出展されていたコンセプト・エステートに近いデザインになっている。
V90 Cross Countryは、V90に対して車高が25㎜ほどアップされた。また、タイヤサイズの変更などにより、最低地上高はV90の155㎜から210㎜になり、ラフロードや雪道などにも十分対応できるものとなった。この210㎜という最低地上高は、このクラスのクロスオーバー車としてはかなり高い。ちょっとしたSUV並みなので、かなり本格的に使えるクロスオーバー車といえるだろう。
インテリアデザインは、シンプルさの中にドイツ車系にはない洗練されたテイストがプラスされている。9インチの縦型タッチスクリーン式センターディスプレイを中心にしたデザインで、左右の空気噴出し口ルーバーが縦型に配され、すっきりしたラインを創り出している。XC90同様、ボタンの数を必要最小限に絞り、オーディオやナビ等の操作はタッチスクリーン式センターディスプレイに集約している。タッチスクリーンは、揺れる車内では確実に操作することが難しく、視線移動も大きいため安全面ではあまりお勧めできない。そうした安全面を補うために、ドライバーの視線の移動を最小限にするインフォテイメントシステム
である「SENSUS(センサス)」を進化させている。ドライバーが走行中に必要な情報は、新たに設定された12.3インチ・ドライバー・ディスプレイ(メーターパネル)と、ヘッドアップ・ディスプレイに表示。また、音声認識機能により、視線の移動をすることなく、ナビゲーションの目的地の設定やエアコンの温度調整、メディアの操作などの幅広い操作を音声で行うことができる。「SENSUS」はApple社のCarPlayとGoogle社のAndroid Autoにも対応。
最上級のInscpriton(インスクリプション)、Summum(サマム)グレードには、柔らかな質感のパーフォレーテッド・ファインナッパレザーシートやナチュラルな風合いを活かしたウッドパネルなどが標準装備した。
世界トップレベルの予防安全装備インテリセーフを全車標準装備化
そして、ボルボのウリである安全装備は、さらに一段と進化した。新型90シリーズは、2つの世界初の安全技術を含む15種類以上の先進安全・運転支援技「IntelliSafe(インテリセーフ)」を標準装備。世界初「大型動物検知機能」は、スウェーデンで重傷事故の要因となっている、大型動物との衝突被害の軽減を目的としたシステム。従来のCity Safety(シティ・セーフティ)の歩行者・サイクリスト検知機能に加え、速度が4 km/h以上のとき、前方に大型動物が検知された場合に警告を発し、運転者が警告に反応しない場合には、通常の最大制動力の約30%(約0.3 G)でブレーキが作動。衝突時には約15 km/hの減速を可能とした。
また、世界初「ランオフロード・ミティゲーション」はXC90で発表された「ランオフロード・プロテクション(道路逸脱事故被害軽減システム)」に加えて道路逸脱事故の対策として開発された、道路逸脱事故
回避を支援する機能だ。道路からの逸脱が差し迫っていると予測された場合にのみシステムが介入。ステアリングを自動的に操作して道路上に戻す。この操作で十分に対応できない場合、ブレーキも作動させて減速。車載カメラが車線境界線や側線を検知した状態で、速度が65~140km/hのときに作動。方向指示器を使用している場合など、ドライバーが自発的に運転している場合、介入をしない仕組みとなっている。こうした世界最高レベルの予防安全装備が標準装備化されている点は、高く評価したいポイントだ。とくに、国産の高級車ブランドと比べると、この安全装備差はまさに雲泥の差といえるだろう。
新型ボルボS90/V90/V90 Cross Countryに搭載されるエンジンは、基本的に2つでDrive-E 2.0L 直4直噴ガソリンターボとターボ+スーパーチャージャーが用意された。ターボは254ps&350Nm、ターボ+スーパーチャージャーは320ps&400Nmになる。ターボはFF、ターボ+スーパーチャージャーはAWDと組み合わされている。また、V90のみにPHVが用意されていてターボ+スーパーチャージャーエンジンに2つのモ―ターがプラスされ320ps+87ps、400Nm+240Nmという出力になる。燃費値は、V90のターボ車が14.5㎞/L、ターボ+スーパーチャージャー車が12.5㎞/Lとなっている。PHV車の燃費は、審査前のため未定となっている。
同じことをしていては勝負にならない!? 保守的デザインのドイツ系に対抗し、先鋭さで勝負する新型90シリーズ
しかし、あえて新型90シリーズはこうした保守系デザインとは一線を画するデザインとしたのには訳がある。それは、ドイツ系と同じ路線で勝負しても少数派のボルボは勝負にならず、ジリ貧状態になることは確実と予想されたからだ。ボルボのような小さなメーカーは、他のメーカーと同じことをしていてはダメ。より際立つ個性を発揮し、ロイヤリティの高いファンを獲得しなくてならない。保守系が多いカンパニーカーとはいえ、その中にでも少数とはいえ、より個性的なデザインのクルマが欲しいという顧客が存在する。新型90シリーズは、そうした少数派のニーズに合い、そしてより満足度の高いクルマを目指したのだ。
日本においても同様。新型ボルボS90/V90/V90 Cross Countryは、付和雷同を嫌い、自らの選択眼に自信を持ちマイノリティであることさえも喜びに感じるような個性派にお勧めなクルマといえる。
新型ボルボS90/V90/V90 Cross Countryのグレード選び。お勧めは?
グレード選びは、安全装備類などの重要装備はほぼ標準装備化されているので、どのグレードも安心して選べる。基本的には、豪華装備の差なので、気に入った装備が付いているものを選ぶといい。ただし、S90とV90に関しては、エントリグレードがFF(前輪駆動)となる。よりパワフルで高い走行安定性を望む人や、雪道などを走行することのある人は、AWD(4輪駆動)を選ぶといいだろう。
残念なことに、新型90シリーズは今のところPHVがV90に設定されているものの、かなり高価。今後、日本においてもPHV化は徐々に進むと予想される。もう少し、価格設定を安くして普及させるような戦略が必要だろう。
さらに、ガソリン車のみという設定も残念。CO2の排出量が厳しくなり、電動化が進む自動車業界において、今時、高級車を買うのに旧態依然的なガソリン車の購入というのでは、あまりに芸が無いと感じるのなら、しばらく待ってみるというのもいいだろう。ボルボには、なかなかパワフルなクリーンディーゼルエンジン も用意されているので、このエンジンが搭載されてからが買い時となるだろう。
ボルボV90燃費、スペックなど
代表グレード | ボルボV90 V90 T8 Twin Engine AWD Inscription [欧州参考値] |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,935×1,890×1,475mm |
車両重量[kg] | 2,070 |
総排気量[cc] | 1,968cc |
最高出力[ps(kw)/rpm] | 235(320)/5,700 |
最大トルク[N・m/rpm] | 400(40.8)/2,200−5,400 |
モーター最高出力[ps(kw)/rpm] | 34/2,500(前)、65/7,000(後) |
モーター最大トルク[N・m/rpm] | 160/0−2,500(前)、240/0−3,000(後) |
ミッション | 8速AT |
JC08モード燃費[km/l] | - |
定員[人] | 5人 |
税込価格[円] | 8,990,000円 |
発売日 | 2017/2/22 |
レポート | 編集部 |
写真 | ボルボ |
ボルボS90/V90/V90 Cross Country価格
・S90 T5 Momentum 6,440,000円
・S90 T6 AWD R-Design 7,490,000円
・S90 T6 AWD Inscription 8,420,000円
■ボルボV90価格
・V90 T5 Momentum 6,640,000円
・V90 T6 AWD R-DESIGN 7,690,000円
・V90 T6 AWD Inscription 7,990,000円
・V90 T8 Twin Engine AWD Inscription 8,990,000円
■ボルボV40 Cross Country
・V90 Cross Country T5 AWD Momentum 6,940,000円
・V90 Cross Country T5 AWD Summum 7,540,000円
・V90 Cross Country T6 AWD Momentum 7,590,000円
・V90 Cross Country T6 AWD Summum 8,190,000円
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