搭載エンジンは、FF車に搭載される1.4Lが2機種、4WD に搭載される1.8Lが1機種の合計3機種で、3機種とも直噴ターボ仕様のTFSIエンジンである。1.4L車には乾式の7速Sトロニックが、1.8L車には湿式の6速Sトロニックが組み合わされている。

いずれもスタートストップシステム(アイドリングストップ機構)を始め、最新の効率化技術が採用され、優れた燃費性能を実現する。

特に革新的な気筒休止システムであるシリンダー・オン・デマンド(COD)を採用した1.4LのTFSIウィズCODでは、JC08モードで20.0km/Lの低燃費を達成した。

実際に走らせた印象では、ハッチバックボディ のA3 スポーツバックとの違いを感じとることはできなかった。後部にトランクが出っ張り、それによって10kg重くなっているのだから、本当なら何らかの違いがあるのだろう。でも、残念ながら、私にはそれを感じ取れなかった。

静粛性についても同様だ。後ろに開口部があるハッチバック車に対して、トランクが独立したセダン のほうが静粛性が高いのだろうが、これも以前に乗ったA3スポーツバックとの違いは感じられなかった。

走りにしても静粛性にしても、同じときに同じ条件で試乗すれば多少の違いは感じたかも知れないが、別の機会に乗ったのでは違いは感じ取れない。いずれにしてもそれくらいに微妙な違いしかないと考えていい。

　気筒休止機能の付いた1.4LのTFSI(直噴ターボ仕様)エンジンは、103kW/250N・mのパワー＆トルクを発生する。低速域からトルク感のある走りを実現するエンジンで、すでにA3スポーツバックで定評を得ている。走らせていると、これで十分という印象を受ける。

1.8TFSIクワトロは4WDシステムのために車両重量が130kgほど重くなる。でも出力が132kW/280N・mになって、動力性能の向上幅が重量の増加分以上に大きい。余裕ある動力性能によって格段にスポーティな走りを実現する。1.4L車に乗ったときには十分だと思ったが、後から1.8L車に乗ると買うならこちらかなと思った。

ちょっと硬めでスポーティな感覚の足回りには好感が持てた。しっかりした感じのアウディ らしい乗り味を実現している。もちろんアウディドライブセレクトによって、好みの味付けに変えることも可能だ。

装備の充実度の高さもアウディA3セダンの特徴だ。7インチの液晶モニターを持つMMIナビゲーションシステムに、車内でのインターネット接続やGoogle Earthなどの表示を可能にするアウディコネクトをオプション装着できる。安全装備に関してもACC(アダプティブ・クルーズコントロール)を搭載したモデルには、衝突被害軽減ブレーキ機能(アウディブレーキガード)も装備される。

価格は1.4TFSIが374万円で、1.8TFSIクワトロは422万円だから、約50万円の価格差は相当に大きいし、それぞれのモデルに適したオプションを装着すると、さらに価格差が広がる。これに燃費の差が加わることなどを考えると、いろいろな意味で難しい選択になる。

アウディA3スポーツバックに対するA3セダンの価格アップは17万円ほど。ボディ代の差額としては納得モノだろう。カジュアルな感覚で乗るならスポーツバックだし、フォーマルな使い方もしたいならセダンという、ごくオーソドックスな選び方をすれば良い。どちらを選択しても間違いにはならない。

■アウディA3スポーツバック価格
A3 Sedan 1.4 TFSI ￥3,340,000
A3 Sedan 1.4 TFSI cylinder on demand ￥3,740,000
A3 Sedan 1.8 TFSI quattro ￥4,220,000
A3 Sportback 1.4 TFSI ￥3,170,000
A3 Sportback 1.4 TFSI cylinder on demand ￥3,570,000
A3 Sportback 1.8 TFSI quattro ￥4,040,000
S3 Sedan ￥5,770,000
S3 Sportback ￥5,600,000