さまざまなクルマのいいとこ取りをした新ジャンルハッチバック
BMWが新しいコンセプトのモデルとして設定したのが5シリーズのグランツーリスモ。既存のクルマにはない新しいコンセプトに基づき、セダンやステーションワゴンやSAVなど、さまざまなクルマの機能、性能を合わせ持つモデルとして作られた。
外観デザインは真横や斜め前から見ると、緩やかなラインを描くクーペ風のルーフラインが大きな特徴。特に斜めの角度から見たときのエレガントさが印象的と評価。
ドアの部分も新しい。BMWの 4(5)ドア車では初めて、ガラス部分に枠のないサッシュレスドアを採用した。これがクーペ風のスタイリッシュなデザインにつながっている。
外観デザインは真横や斜め前から見ると、緩やかなラインを描くクーペ風のルーフラインが大きな特徴。特に斜めの角度から見たときのエレガントさが印象的と評価。
ドアの部分も新しい。BMWの 4(5)ドア車では初めて、ガラス部分に枠のないサッシュレスドアを採用した。これがクーペ風のスタイリッシュなデザインにつながっている。
BMWの4(5)ドア車では初のサッシュレスドアを採用した。これによりクーペ風のスタイリッシュなフォルムを実現した。
リヤのデザインもクーペ風だが、SUVらしい力強さも感じさせてくれる。
キドニーグリルやヘッドライトなど、BMWらしいフロントマスク。セダン系に比べて厚みがあり、独特の存在感がある。
2通りの空き方をする独自のハッチを採用する
斜め後ろから見ると、わずかなノッチがあるものの、傾斜したリヤウインドーによって5ドア車であることが分かる。このハッチバックドアがふた通りの開き方をするのが特徴だ。4ドアセダンのトランクのようにリヤウインドーの部分を残してその下の部分だけが開く開き方と、リヤウインドーも含めてバックドア全体が大きく開く開き方のふた通りだ。
このような開き方をするバックドアは見たことがなく、これも新しい発想を象徴するもののひとつといえる。ただ、構造の複雑化とバックウインドー部分のフレームを相当にがっしり作ったことなどによって、この部分が相当に重くなったような印象がある。
基本プラットホームは次期5シリーズ用を先取りしたと考えがちだが、実はそうではなく7シリーズのものを流用したという。パワートレーンはV型8気筒 4.4LのツインターボとV型6気筒3.0Lの直噴ツインスクロールターボの2機種。どちらも電子制御8速ATと組み合わされる。
このような開き方をするバックドアは見たことがなく、これも新しい発想を象徴するもののひとつといえる。ただ、構造の複雑化とバックウインドー部分のフレームを相当にがっしり作ったことなどによって、この部分が相当に重くなったような印象がある。
基本プラットホームは次期5シリーズ用を先取りしたと考えがちだが、実はそうではなく7シリーズのものを流用したという。パワートレーンはV型8気筒 4.4LのツインターボとV型6気筒3.0Lの直噴ツインスクロールターボの2機種。どちらも電子制御8速ATと組み合わされる。
わずかなノッチがあるためセダンのようにも見えるが、大きなテールゲートを持つハッチバックボディを採用。
リヤコンビランプはボディサイドまで回り込んだデザイン。シャープな雰囲気と上質感を備えている。
19インチの大径タイヤを履く。スポーティな走りが楽しめるのはもちろん、しなやかな乗り味も楽しめるのはさすがだ。
着座位置はやや高めだがBMWらしい室内空間が好評価
運転席に座ると、そこはもう完全にBMWの空間だ。インパネのアッパー部分が大きく左右に広がる水平基調のデザインは、広さ感を強調するもので、ややドライバー側に傾けてデザインされたインストセンター部分がコクピット感覚を演出している。正にBMWの文法に従ってデザインされた運転席回りだ。
着座位置は普通のBMWのセダンに比べるとやや高め。シートのハイトアジャスターによって調整することも可能だが、視界の広さを確保するためにはやや高めの位置に着座したほうが良い。
手になじむ形状をしたステアリングホイールを握ると、さあ走り出そうという気持ちにさせられる。このあたりが特に BMWらしい部分である。
着座位置は普通のBMWのセダンに比べるとやや高め。シートのハイトアジャスターによって調整することも可能だが、視界の広さを確保するためにはやや高めの位置に着座したほうが良い。
手になじむ形状をしたステアリングホイールを握ると、さあ走り出そうという気持ちにさせられる。このあたりが特に BMWらしい部分である。
水平基調のインパネデザインで広さを演出。またインパネ中央をドライバー側に傾けることで、スポーティさもプラスした。
フロントシートはBMWらしいやや硬めのもの。サポート性は非常に高く、長時間乗っていても疲労感は少ない。
後席はとても広々しており、ゆったりとくつろげる。背もたれを前に倒して荷物スペースとしても使用可能だ。
内装色が豊富で多彩な組み合わせが選べる
後席への開口部は特に大きいわけではないが、乗り降りに苦労するようなことはない。デザイン優先のクルマでは乗降性が犠牲にされることもあるが、5シリーズグランツーリスモてはそのようなことはなかった。
後席に座ると頭上空間は十分だし、足元空間は広々としている。7シリーズ用のプラットホームを採用しているだけに足元空間が広々としているのは当然だが、ルーフ形状から懸念されるヘッドクリアランスも全く問題がなかった。全体としてファーストクラスの広さというのも分かるような広さだ。
10種類のボディカラーのほかに6種類の本革シートシートのカラーが用意され、オプションのコンフォートシートにも3種類のカラーがあり、トリムもオプションを含めて4種類も用意されるなど、オーナーが自在にカラーや素材の組み合わせを選べる設定になっている。注文する仕様によって納車までに時間がかかることになるが、自分だけの欲しい仕様に乗りたいと考えるユーザーのほうが多いだろう。
後席に座ると頭上空間は十分だし、足元空間は広々としている。7シリーズ用のプラットホームを採用しているだけに足元空間が広々としているのは当然だが、ルーフ形状から懸念されるヘッドクリアランスも全く問題がなかった。全体としてファーストクラスの広さというのも分かるような広さだ。
10種類のボディカラーのほかに6種類の本革シートシートのカラーが用意され、オプションのコンフォートシートにも3種類のカラーがあり、トリムもオプションを含めて4種類も用意されるなど、オーナーが自在にカラーや素材の組み合わせを選べる設定になっている。注文する仕様によって納車までに時間がかかることになるが、自分だけの欲しい仕様に乗りたいと考えるユーザーのほうが多いだろう。
ラゲッジの容量はかなりのものがあり、アウトドア用品など大きなものも楽に積み込める。アレンジも多彩で使い勝手はいい。またリヤのハッチはガラス部分のみを開けることもできる。これによりハッチバック車とセダンの使い勝手の良さを併せ持つ。
滑らかさとスポーツテイストを味わえる8速ATを搭載
今回は直列6気筒エンジンを搭載した535iグランツーリスモに試乗した。3.0Lの直列6気筒直噴ツインターボは、これまでに335iなどに搭載されてきたものだが、今回のエンジンは改良が加えられて型式が少し変わっている。カタログ上のパワー&トルクの数値は 306ps(225kW)/40.8kg-m(400N・m)で変わらないが、進化した仕様が搭載されているという。
この直噴ターボの良さは 335iなどですでに定評を得ているところ。アクセルペダルを軽く踏み込むだけでもりもりといった感じのトルクを感じさせる。40.8kg- m(400N・m)の最大トルクはたったの1200回転で発生するのだから、それも当然。普通に走っていると、アクセルは4分1くらいを開くだけですむ。それ以上に踏み込むのは高速道路の合流車線など、限られたシーンだけになる。
7シリーズ系のプラットホームを使ったこともあってか、車両重量は 2020kgと重いのだが、その重さを感じさせないBMWらしい軽快感のある走りを感じさせた。
新しく搭載された電子制御8速ATは滑らかそのものだ。メルセデス・ベンツが7速ATを一般化し、レクサスには8速ATが搭載されているだけに、BMWもATの8速化を図ってきた。BMWの8速ATがベンツの7速やレクサスの8速と違うのは、ユーザーが積極的に好きなギアを選んで走ることができ、通常の走行も含めて使っているギアがインジケーターに表示されること。このあたりはスポーティな走りを志向するBMWらしい部分だ。
8速ATになったことで、時速100kmでの高速クルージングはわずか1500回転でこなしてくれる。当然ながら極めて静かな走りが可能だ。風切り音もほとんど聞こえないくらいで、とても静かなクルマという印象だった。
この直噴ターボの良さは 335iなどですでに定評を得ているところ。アクセルペダルを軽く踏み込むだけでもりもりといった感じのトルクを感じさせる。40.8kg- m(400N・m)の最大トルクはたったの1200回転で発生するのだから、それも当然。普通に走っていると、アクセルは4分1くらいを開くだけですむ。それ以上に踏み込むのは高速道路の合流車線など、限られたシーンだけになる。
7シリーズ系のプラットホームを使ったこともあってか、車両重量は 2020kgと重いのだが、その重さを感じさせないBMWらしい軽快感のある走りを感じさせた。
新しく搭載された電子制御8速ATは滑らかそのものだ。メルセデス・ベンツが7速ATを一般化し、レクサスには8速ATが搭載されているだけに、BMWもATの8速化を図ってきた。BMWの8速ATがベンツの7速やレクサスの8速と違うのは、ユーザーが積極的に好きなギアを選んで走ることができ、通常の走行も含めて使っているギアがインジケーターに表示されること。このあたりはスポーティな走りを志向するBMWらしい部分だ。
8速ATになったことで、時速100kmでの高速クルージングはわずか1500回転でこなしてくれる。当然ながら極めて静かな走りが可能だ。風切り音もほとんど聞こえないくらいで、とても静かなクルマという印象だった。
エンジンのスペック上の数値は335iなどと共通だが、改良が施されパワーフィールなどが変更されている。またミッションは全車8速ATを採用。多段化による滑らかさが味わえるのはもちろん、BMWらしいスポーティな走りも自在に楽しめる。
自然なフィールのアクティブステアが好印象
ステアリング系は前後輪統合制御のアクティブステアリングを採用する。現行5シリーズがでした当初のアクティブステアはちょっき切り込んだだけでシビアな挙動を示して違和感の塊のようなところがあったが、535iグランツーリスモでは意識しないとアクティブステアであることが分からないに自然な操舵フィールを感じさせた。これも好感の持てる部分で、あると評価。
逆に不満に感じたのはまずは重さ。2020kgという重量はあまりにも重い。今回、高速道路を中心に走ったときの燃費が10km/L前後だったから、実用燃費はそんなに悪くはないようだが、今どきのクルマは軽さが大切だ。
それとリヤウインドーの枠の部分をしっかり作ったためか、後方視界が狭くなっているのが不満点。自分の目で見てバックするのに苦労する。バックだけでなく、クルマの周囲の視界もあまり良くないので、ボディの大きさも含めて取り回しは全体に良くない印象だ。
ホイールベースの長い7シリーズ系のプラットホームを使っているのに、アクティブステアによって最小回転半径が5.5mに抑えられているのは立派だが、視界が取り回しに影響している。
ふた通りの開き方のあるバックドアを使って、たくさんの荷物を積んで大移動するようなグランツーリスモとしての使い方に適したクルマではあるが、日本での日常シーンではどうかという部分もあった。BMWのラインナップの中では相当にニッチな商品になりそうだ。
逆に不満に感じたのはまずは重さ。2020kgという重量はあまりにも重い。今回、高速道路を中心に走ったときの燃費が10km/L前後だったから、実用燃費はそんなに悪くはないようだが、今どきのクルマは軽さが大切だ。
それとリヤウインドーの枠の部分をしっかり作ったためか、後方視界が狭くなっているのが不満点。自分の目で見てバックするのに苦労する。バックだけでなく、クルマの周囲の視界もあまり良くないので、ボディの大きさも含めて取り回しは全体に良くない印象だ。
ホイールベースの長い7シリーズ系のプラットホームを使っているのに、アクティブステアによって最小回転半径が5.5mに抑えられているのは立派だが、視界が取り回しに影響している。
ふた通りの開き方のあるバックドアを使って、たくさんの荷物を積んで大移動するようなグランツーリスモとしての使い方に適したクルマではあるが、日本での日常シーンではどうかという部分もあった。BMWのラインナップの中では相当にニッチな商品になりそうだ。
代表グレード | BMW 535iグランツーリスモ |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 5000×1900×1565mm |
車両重量[kg] | 2020kg |
総排気量[cc] | 2979cc(ターボ) |
最高出力[ps(kw)/rpm] | 306ps(225kw)/5800rpm |
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 40.8kg-m(400N・m)/1200〜5000rpm |
ミッション | 8速AT |
10・15モード燃費[km/l] | 9.4km/l |
定員[人] | 5人 |
税込価格[万円] | 878.0万円 |
発売日 | 2009/11/26 |
レポート | 松下宏 |
写真 | 近藤暁史 |
(レポート:松下 宏)
【オススメ記事】
- フォルクスワーゲン ポロ新車情報・購入ガイド ついに全長4m越えに! 3ナンバー化した6代目新型ポロは、1.0L直3ターボを搭載【ニュース・トピックス】
- 三菱エクリプスクロス試乗記・評価 さすが4WDの三菱! 豪快にリヤタイヤを振りだすような走りも楽しめる絶妙なS-AWCに脱帽!【レビュー】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.6】 日差リーフの実電費チェック! (一般道編)コツコツ電費を稼ぐe-Pedal【評論家ブログ : 日産リーフ】
- メルセデス・ベンツSクラス新車情報・購入ガイド 約20年振りの直6エンジンに、ISGを組みあわせた次世代エンジンを搭載!【ニュース・トピックス】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.5】 日差リーフの実電費チェック! (高速道路編)実電費アップは、こだわりの空力性能にあり!【評論家ブログ : 日産リーフ】
- 三菱エクリプスクロス新車情報・購入ガイド スタイルに走り、装備とスキ無しの完成度を誇るコンパクトSUV。ガソリン車だけしかないことが、唯一の弱点?【ニュース・トピックス】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.4】 30歳代クルマ好き女性、初めての電気自動車! その評価は?【評論家ブログ : 日産リーフ】
- 日産セレナe-POWER新車情報・購入ガイド ついに、シリーズハイブリッドシステムを搭載したセレナ! 5ナンバーミニバン、ハイブリッド車戦争へ加速!!【ニュース・トピックス】
- マツダCX-8試乗記・評価 際立つ運転のしやすさ! こだわりの「躍度」を雪上でチェック!【レビュー】
- 日産テラ(TERRA)新車情報・購入ガイド ナバラベースのSUV中国でデビュー! 日本への導入は?【ニュース・トピックス】
【関連記事】
- BMW5シリーズ(G60)新車情報・購入ガイド BEVメイン!? 戦略的価格で勝負!【BMW】
- BMW 5シリーズ(G60)新車情報・購入ガイド 意外とコンサバだが、デカい!【BMW】
- フォルクスワーゲン ポロ 対 ルノー ルーテシア徹底比較評価【対決】
- プジョー308 VS フォルクスワーゲン ゴルフ8徹底比較評価【対決】
- 予算200万円!中古SUVおすすめ5選【ビジネス・経済】
- ハッチバックってナニ? 特徴やお勧め中古車を解説【生活・文化】
- コスパ最強中古車の選び方とおすすめ車種3選【ビジネス・経済】
- メルセデス・ベンツCクラス新旧比較 失敗・後悔しないためのクルマ選び【対決】
- フォルクスワーゲン ゴルフ新旧比較 世界トップレベルの完成度を誇るコンパクトカー【イベント・モーターショー】
- 2017-2018 日本カー・オブ・ザ・イヤー決定! ボルボXC60が初の栄冠! トヨタハイブリッド車1000万台、インディ500日本人初優勝の佐藤琢磨も特別賞に!【イベント情報】
【オススメ記事】
- ホンダWR-V試乗記・評価 大満足か後悔か? 成功か失敗か? 見極め重要なコンパクトSUV【ホンダ】
- 日産エクストレイル(T33型)vs トヨタ ハリアーハイブリッド(80系)徹底比較!【対決】
- 日産フェアレディZ新車情報・購入ガイド 2025年モデルが登場! 納期は? 転売ヤー対策は?【日産】
- BMW M2クーペ(G87)試乗記・評価 「サーキットで乗ってみたい!」クルマ好き女子が試乗!【BMW】
- 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー、栄えある10ベストカーが決定! 今年のナンバー1は、どのクルマに!?【イベント】
- 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー、ノミネート車31台が決定!【イベント】
- マツダCX-80試乗記・評価 すべてに大人の余裕を感じた国内フラッグシップ3列SUV【マツダ】
- 三菱 アウトランダーPHEV新車情報・購入ガイド 大幅改良&値上げ。それでも、コスパ高し!!【三菱】
- スズキ フロンクス試乗記・評価 価格、燃費値を追加。欧州プレミアムコンパクトに近い上質感【スズキ】
- 日産セレナAUTECH SPORTS SPEC新車情報・購入ガイド 走りの質感を大幅向上した特別なモデル【日産】
CORISM公式アカウントをフォローし、最新記事をチェック!