【ダッジ JC 試乗記】セダン・ミニバン・SUVのいいとこ取り! 新クロスオーバーカー「ダッジ JC」って結局どんなクルマ!?

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【クライスラー】2009/02/25

 

さまざまなクルマの魅力を詰め込んだ新クロスオーバーカー

ダッジ JC エンブレム
 世界中の自動車メーカーが力を入れているのがクロスオーバータイプのクルマ。いろいろなタイプのクルマの良いところを取り入れて、さまざまな魅力を合わせ持つのがクロスオーバータイプだ。今回、クライスラーがダッジブランド車として発売したダッジ JCは、セダン、SUV、ミニバンの3種類のクルマの魅力を取り入れたクロスオーバー車とされている。
ベースとなったのはダッジの新世代セダンであるアベンジャーで、そのホイールベースを135mm延長して3列シート用のプラットホームを作った。アメリカのSUVにはトラック系のシャシーを持つものも多いが、ダッジ JCは乗用車系のモデルである。前後のオーバーハングを切り詰めることなどによって、ボディの全長はわずかな延長にとどめ、合理的なパッケージングとしている。

ダッジ JC フロント

ダッジらしい力強さと、アメリカ車らしいおおらかさを感じさせるフォルムだ。フェンダーの造形なども立体的なデザインで、独特の存在感を感じさせる。

ダッジ JC リヤ

基本的にはSUVテイストでまとめられているが、どことなくワゴン風な部分もある。それでいてミニバンのように3列シートを持っているのだ。

ダッジ JC フロントマスク

大きなフロントグリルは、ダッジのアイデンティティを感じさせてくれる。メッキ部分の面積が広く、独特の存在感を醸し出している。

アメリカ車らしいおおらかさとダッジならではの存在感あるフォルム

ダッジ JC リヤ
 全長が4895mm、全幅が1880mmというボディは、アメリカ車としてはさほど大きなものではないが、日本で使うとなるとかなり大きい。最小回転半径も6mあるから、狭い場所での執り回しに苦労するシーンがある。
逆にボディが大きい分だけ、アメリカ車らしいおおらかさを感じさせるのも確か。クロームメッキを施した大きな十字グリルはダッジブランドらしい力強さを表現し、堂々とした感じの印象を与える。フルサイズのSUVではないが、十分にアメリカ車らしい見栄を張れるクルマであると評価したい。
ダッジ JC リヤコンビランプ
ダッジ JC サイドビューカメラ
ダッジ JC サイドビューカメラ(モニター部)
リヤコンビランプのサイズも大きく、存在感がある。点灯していないときもキラキラとした感じで、とても上質な雰囲気だ。またサイドビューカメラを装備しているため、多くのSUVやミニバンにありがちなサイドアンダーミラーは装着されていない。余分な突起物がないため見た目のスマートさはもちろん、安全面でも好ましい。

優れたパッケージングで3列目まで広々している

ダッジ JC インテリア

ボディサイズが大きいこともあり、インテリアはアメリカ車らしいゆったりとした雰囲気。デザインはシンプルで機能美を感じさせるもの。
 ダッジ JCは乗降性も悪くない。SUVボディとすることで、最低地上高はやや高くなっているが、基本が乗用車系のプラットホームであるため標準体型の人なら割と自然な姿勢で乗降できる。
運転席に乗り込むと、SUVらしい開けた視界が目に入る。視界が開ける分だけ大柄なボディも扱いやすいものになる。余分な突起物であるサイドアンダーミラーが装着されていないのは、サイドビューカメラが装備されているためだ。後方視界を補助するバックセンサーはオプションで用意されている。
室内は十分に広い。ボディが大きいのだからそれも当然だが、室内にはアメリカ車らしいゆったりした空間が広がっている。3 列目にも大人が座れる広さがある。それだけでなく、室内の使い勝手が相当に練り込まれているのに驚かされる。クライスラーはミニバンのグランドボイジャーでシートを床下格納するストンゴゥやスウィベルンゴゥなどの機能を取り入れているが、そうした経験がダッジ JCにも生かされていると評価していい。

ダッジ JC サードシート

サードシートも、きちんと大人が座れるだけの十分なスペースが確保されている。

ダッジ JC セカンドシート

セカンドシートは頭上、足元スペースにも十分な余裕がある。人数分の3点式シートベルトとヘッドレストも装備され、安全面も抜かりはない。

ダッジ JC フロントシート

ブラックとホワイトのシートは、スポーティな雰囲気。サイズも大きく、とても快適だ。

驚くほど豊富な収納スペースと巨大なラゲッジ

ダッジ JC セカンドシート(チップアップ)
 たくさん確保されているのが収納スペース。グローブボックスには保冷機能が備えられ、助手席のクッション下にはピザを運ぶ箱が置けるような大きなボックスが用意され、2列目シートの左右の床下にも大容量の収納がある。ほかにもカップホルダーやマップポケットなど、日本車のような気配りのなされた収納スペースがある。助手席下の収納はワゴンRにも採用されているが、クライスラーではこれをフィリップンストゥと呼んでいる。
2列目シートはスライド、チップアップ、フラット化など、さまざまなアレンジが可能で、最大で1461リッターのラゲッジスペースを作れる。さらに助手席の背もたれを倒せば長尺物を積むことも可能だ。
装備は3ゾーンオートエアコンのほか、オーディオ、クルーズコントロールなどの快適装備が標準で、ESPやSRSサイド&カーテンエアバッグなど、安全装備も充実していると高評価だ。
ダッジ JC フィリップンストゥ(助手席下収納)
ダッジ JC セカンドシート床下収納
ダッジ JC ラゲッジアンダーボックス
収納スペースは、あちこちに配置されている。どれも容量は大きく、実用的だ。
ダッジ JC ラゲッジ
ダッジ JC ラゲッジ
ダッジ JC ラゲッジ
最大で1461リッターの容量を誇るラゲッジスペース。アレンジも豊富でフロアもフラットになる。とても使いやすい工夫がなされている。

ATが6速に進化してスムーズな走りを実現した!

ダッジ JC 走り
 搭載エンジンはV型6気筒2.7リッターの自然吸気DOHCで、これにマニュアル操作が可能なオートスティック機構付きの電子制御6速ATが組み合わされている。アベンジャーでは4速だったATがダッジ JCでは6速になったのが変更点で、よりスムーズな走りが可能になった。
2.7リッターエンジンの動力性能は185ps(136kW)/26.1kg-m(256N・m)の実力。このクラスのエンジンとしては特にパワフルなものではないが、ダッジ JCのボディを走らせるのに不満を感じるようなことはない。決して俊敏とはいえないエンジンだが、低速からぐぅっという力強い加速を見せるのだ。変な唐突感を見せる軽いクルマより、こうした力強い加速フィールのほうがずっと好ましい。
6速になってスムーズさが増したATは、オートスティックを使って積極的にマニュアル操作をしたときのレスポンスなどはもうひとつ。そもそもキビキビ走るタイプのクルマではないということもあるが、今どきのクルマとしてはもう少し洗練された変速フィールを味わいたいところだ。エンジンとATを合わせたパワートレーン全体のフィールはやはりアメリカ車的な味付けであると評価しよう。

ダッジ JC 2.7リッターエンジン

特にパワフルというわけではないが、低速域から太いトルクを生み出すので、とても扱いやすい設定だ。

ダッジ JC シフトレバー

ATはオートスティック(マニュアルモード)付きの6速タイプ。スムーズさは感じられるが、洗練度はもう一歩といったところ。
ダッジ JC 17インチタイヤ&アルミホイール

高速道路でも静かで快適な走りが味わえる

ダッジ JC 走り
 乗り心地は良くなく悪くもなくといった感じ。軽めのステアリングのフィールはあいまいさを感じさせる部分もあるが、コーナーでの安定性は案外高い。フロントにストラットタワーバーを備えるなど、安定性を重視した仕様にしているためだ。
それよりもダッジ JCを走らせて驚いたのは静粛性が高いこと。これまでのクライスラー車とは思えないような高い静粛性が確保されている。ロードノイズが抑えられているので、走りが全体に心地よい。高速道路に持ち出しても時速100kmでのクルージングで2000回転を切るので、エンジン音はほとんど気にならないレベルだ。
ダッジ JCはSXTだけの単一グレードで、価格は360万円ほど。この価格でけっこう見栄の張れるダッジブランドのアメリカ車が手に入るなら、欲しいと思うユーザーは少なからずいるのではないか。
ダッジ JC 走り
ダッジ JC 走り
ダッジ JC 走り
力強い加速感や軽めのステアリングなど、いかにもアメリカ車らしい雰囲気の走りが特徴だ。コーナーでの安定感は想像以上に高く、静粛性もハイレベルだ。
代表グレード ダッジ JC SXT
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4895×1880×1720mm
車両重量[kg] 1830kg
総排気量[cc] 2735cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 185ps(136kw)/5500rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 26.1kg-m(256N・m)/4000rpm
ミッション 6速AT
10・15モード燃費[km/l] 8.3km/l
定員[人] 7人
税込価格[万円] 362.25万円
発売日 2009/1/17
レポート 松下宏
写真 和田清志

(レポート:松下 宏

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