シトロエンDS5新車試乗評価 圧倒的な美しさと、快適なフットワークをもつ才色兼備の超個性派

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【シトロエン】2012/08/19

 

 

素直にカッコいいと思わせる圧倒的なデザイン力

シトロエンDS5

 シトロエンのイメージは、窒素ガスを使ったハイドロニューマチックと呼ばれた独創的なサスペンションを装備し、アバンギャルドなスタイルを持ち、フランスのエスプリの効いたクルマだ。他のメーカには似ていない個性的なクルマであったが、近年はWRC(世界ラリー選手権)での活躍も目覚ましい。

今回の試乗車であるシトロエンDS5も一番の特徴は、スタイルであると言っていいだろう。シトロエンの中でも、より個性的なデザインをもつDSラインはDS3、DS4に続き、フラッグシップモデルであるDS5により完成した。

DS5は、クーペのようなスタイリッシュなステーションワゴンと先進かつ上質なインテリアを持ったモデルである。実車を見ると強烈な個性を主張しているが、何処か優しく受け入れやすいスタイルでもある。「サーベルライン」と呼ばれているヘッドライトの先端から、流れるようにフロントグラスに繋がるクローム仕上げのラインは、DS5のスタイルで一番の特徴である。寝かせたAピラーからルーフエンドまでのフォルムも端正な曲線で描かれている。個性的で、多くの人に「カッコいい」と言わせるデザイン力のあるクーペ・ワゴンであると高評価だ。

シトロエンDS5
シトロエンDS5
シトロエンDS5
シトロエンDS5

 

 

 

 

 

航空機のようなコクピット、フレンチ・ラグジュアリーな内装、徹底的にデザインされた空間に酔う

シトロエンDS5

 ドアを開けて最初に目に飛び込むのが、航空機のコックピットをイメージしたインテリアデザインである。センターコンソールとルーフコンソールが適度な「包まれ感」を演出。ルーフのセンターコンソールを中心に左右、前後はガラス・ルーフが採用され、夏の日差しの強い時以外は常にサンシェードを開けて開放感に浸るのが良いだろう。

そのサンシェードやヘッドアップディスプレイを操作するスイッチが、ルーフコンソールに並び飛行機コクピットのようである。ルーフコンソールは昭和40年後半〜昭和50年頃はスポーティな日本車にも多く採用されていたので懐かしさと同時に、新鮮さも感じた。

ハンドルの下端は、フラットになっていて操縦桿のようにも見える。 だからといって、デザイン優先というのではなく、運転中は違和感がなくハンドル操作が出来たのもポイントだと評価できる。

ヘッドアップディスプレイも他車のように、フロントガラスに情報が表示されるのではなく、ダッシュボード上部より立ち上がった透明板にスピードが表示される。それは、まるで戦闘機のターゲットスコープのようである。

オプションのクラブレザーシートは、腕時計をモチーフにしたデザインで座り心地も良く高級感もある。メーターパネルから独立したアナログ時計も、高級腕時計のようなデザインである。ポイントとしてクロームを所々に使いスポーツ感と高級感を両立したシトロエンの言う「フレンチ・ラグジュアリー」なインテリアだ。

後席のスペースも十分で、4人がそれぞれ快適に乗れる。ハッチバックではあるが、スタイル優先であるのでトランクルームは狭いが、クーペと考えれば普通のサイズでありDS5を選ぶような人であれば文句はでないだろう。

シトロエンDS5
シトロエンDS5
シトロエンDS5

 

シトロエンDS5
シトロエンDS5
シトロエンDS5

 

 

パワー感、エンジンフィールは並だが、上質なフットワークと絶妙な乗り心地

シトロエンDS5

 エンジンは、1.6Lツインスクロールターボエンジン(最高出力156ps、最大トルク240Nm)に定評のあるアイシンAW製の6速ATを組み合わせている。車両重量は、1550kgもあるのでアクセルを全開にしてもスポーツカーの様な速さは望めないが、エンジン回転数1400rpmから最大トルクを発生するので、常に十分の動力性能を得られ不満を感じない。

静粛性はいいが、エンジンを高回転迄回すとエンジン音や振動が賑やかなので4気筒エンジンだと認識させられる。

峠道も走ったが、他車に後れを取ることもなく、アイシンのATが滑らかな変速をおこない、適切なギヤをクルマが自動で選択してくれるので運転を楽しむ事も出来た。

シトロエン伝統の乗り心地の良さは、DS5でも健在である。路面の凹凸をしなやかに乗り越え、あたかももっと大きなクルマに乗っているかのようである。それでいて、ハンドリングはダルではなく狙ったラインを容易にトレースすることが出来る。

また、ロールやピッチングも上手く制御されていて、スポーティな走りも可能である。タイヤは225/50 R17で、スタイルとしては18インチや19インチの方がカッコ良いだろうが、敢えて乗り心地を優先させ17インチを選択したシトロエンに拍手したい。

 

 

希少性が高いシトロエンDS5だが、サービス網の拡充で輸入車初心者でも心配ご無用!

 シトロエンの良い所は、日本では見かけない事も利点である。他人が乗っていないクルマに乗りたいなら、シトロエンはとてもよい選択だ。

2009年の販売台数は、わずか1397台だけであった。トヨタ クラウンの2011年度販売台数は、約31,000台なので、いかに希少なのか分かるだろう。しかし、昨年は3092台まで増え、今年の上半期の販売台数は対前年比+34.5%の1907台、DS5を投入する下半期は4000台を予定している。

今よりは、多少、希少性は失われるがディーラーを増やし昨年の42店舗から今年は50店舗になり、サービス拠点を拡充する事により、安心してシトロエンを乗れるようになる。

短い試乗時間であったが、徐々にシトロエンを好きになっていく自分を感じた。高級感もあるDS5は、才色兼備のクルマである。昨年11月に欧州で発売が開始され、1万5千台も売れたのは多くの人にDS5の良さを理解されたからであろう。

スタイルに惚れて購入しても後悔はしないし、乗り心地を含めクルマとしての基本的な機能を裏切る事は無い。更に従来は故障が心配だったシトロエンも、製品の品質向上だけでなく顧客サービスにも取り組んでいるのでシトロエン初心者でも心配は無用だろう。車両価格の400〜500万円という価格帯は、多くの輸入車ライバルが多いが、シトロエンDS5は、その中でも最も個性的なクルマであると高評価しよう。

<シトロエンDS5価格>
DS5 Chic コンビネーション ¥ 4,000,000
レザー ¥ 4,250,000
クラブレザー ¥ 4,450,000

<シトロエンDSスペック>
■寸法・重量
全長 mm 4,535 全幅 mm 1,870 全高 mm 1,510
ホイールベース mm 2,725
トレッド前 mm 1,580
トレッド後 mm 1,605
最低地上高 mm 150
最小回転半径 m 5.7
車両重量 kg 1,550
乗車定員 名 5

■エンジン
型式 5F02
種類 ターボチャージャー付き直列4気筒DOHC
内径×行程 mm 77.0×85.8
総排気量 cc 1,598
燃料供給装置 電子制御コモンレール式筒内直接噴射
最高出力kw(ps)/rpm
115 (156ps)/6,000
最大トルクNm(kgm)/rpm
240 (24.5)/1,400〜3,500
燃料およびタンク容量 ㍑ 無鉛プレミアムガソリン・60
燃料消費率km/L 11.3

■動力伝達装置
クラッチ形式 3要素1段2相形(ロックアップ機構付)
変速比 第1速 4.043
第2速 2.370
第3速 1.555
第4速 1.159
第5速 0.852
第6速 0.671
後退 3.192
最終減速比 4.101

駆動方式 前輪駆動
ステアリング形式 ラック&ピニオン
ブレーキ形式 前 ベンチレーテッドディスク 後 ディスク
サスペンション 前 マクファーソン・ストラット式 後 トーションビーム式
タイヤ 前・後 225/50 R17
ホイール 前・後 7.5J×17 アロイ

 

 

 

 

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(レポート:丸山 和敏

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