【ホンダ 燃料電池車 FCXクラリティ試乗記】ハイブリッドだけじゃない!燃料電池車 FCXクラリティは走りも内外装も高得点の完成度! [CORISM]

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【ホンダ】2009/03/06

燃料電池は乗用車と相性が悪い!?

 一頃は大いに盛り上がった燃料電池車ながら、このところハイブリッドやEV(電気自動車)の陰に隠れ、忘れ去られた存在になってしまった。なぜか? 高速道路を走るトラックや航空機や船舶といった乗り物なら燃料電池のメリットをフルに引き出せるものの、乗用車は燃料電池との相性が悪いのだ。
 ちなみに高速トラックや船舶や航空機の場合、燃料電池にとって”理想的な燃料”である超低温の液体水素(トラックターミナルや空港や港などで使う直前に充填)を使いやすい。しかも連続して高い出力を出している方が「セル」と呼ばれる燃料電池本体の負担も少なく寿命的にも有利。
 一度の移動距離が短い乗用車だと長期保存出来ない液体水素は使えず、気体の水素を超高圧の状態で積まなければならない。また通常使う出力も小さく、セル寿命の確保も大きな技術課題となってしまう。その上で小型化し、コストもEVと戦えるくらいまで落とさなければならない。

ホンダ FCXクラリティ エクステリア フロント 画像
ホンダ FCXクラリティ エクステリア リヤ 画像
ホンダ FCXクラリティ エクステリア サイド 走り 画像

技術的ハードル越えたFCXクラリティの完成度は高評価!

 本来なら前述のような「燃料電池向きの乗り物」や家庭用(FCXクラリティのセルは1台分で20戸のマンション一棟分の電力供給能力を持つ)で量産効果を出してからクルマに搭載すればいいと思うのだけれど、燃料電池の開発しているチームは「クルマにしか使わせない!」と考えているようだ。もはや意地か?
 そんな猛烈に高い技術的なハードルを乗り越え、価格を除き「誰にでも普通に扱える」市販車レベルまで仕上げたのがFCXクラリティである。このクルマに乗ると、すぐにでも普及するんじゃないかとカン違いするくらい高い完成度を持つ。インテリアのデザインはどんな高級車と比べても負けてないし、塗装品質だって素晴らしいと評価絶賛!
 走り出すや、本格的に感動してしまった。正統派の良いクルマなのだ。少しばかり賑やかに「びゅ〜ん!」という送風装置の音を出す以外、カンペキと言って良いほどの仕上がりである。重心極めて低そうな車体は、実際バランス極めて良いそうな。コーナーを走っていても素直。このままサーキットを走ったって元気よく行けちゃいそうな雰囲気。

インテリア インストルメントパネル 画像
ホンダ FCXクラリティ インテリア フロントシート 画像
ホンダ FCXクラリティ エンジン 画像

コストが最大の弱点…

 絶対的な加速性能は必要にして十分。テストコースで試乗した時はコーナー出口でアクセル踏み込むや、軽くホイールスピンしちゃったほど。スタック出力が100kW(136馬力)あるため、高速巡航だって余裕。
 出力はメーターパネル中央の「球」の大きさで表示される。アクセル開度少ないときは小さく、アクセル踏むに従って大きな球になっていく。面白いです。ブレーキのタッチやステアリングフィール、乗り心地に代表される普通のクルマの評価項目も、全て高得点と評価していい。
 最大の弱点がコスト。現時点では同クラスの乗用車の20倍近い(月額のリース料金は80万円。5千万円超のロールスロイスとほぼ同額)。こいつを最低10分の1にしないと普及は難しい。ホンダの技術者に聞くと「いつになるかは解りません」。
 ただ有力な動力源であることは間違いない。たった4kgの水素を燃料にするだけで300kmも走れるし、排気ガスは水だけ。燃料である水素は地球上で最も多い元素だ。今後も普及を目差して頑張って欲しいと思う。

ホンダ FCXクラリティ エクステリア フロント 画像

(レポート:国沢 光宏

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