発売後2週間での累計受注台数が2万1000台を超えた「新型フィット」。そのうち、約7割がこのハイブリッドが占める
滑らかにパワーが盛り上がる、好感の持てる走行フィーリング
フィットのハイブリッドに乗ってイグニッションを回すとエンジンがかかってアイドリングが始まる。ホンダのIMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)方式ハイブリッドでは、モーターはあくまでもアシスト役に徹していて、常にエンジンが回るのだ。
インパネ右側に設けられたECONボタンを押すと、インパネ内に葉っぱのマークが表示され、エンジンやCVT、エアコンなどが燃費志向の制御になる。通常はこの状態で走るのが良いだろう。
シフトレバーを操作して走り出しても、全体的な走りのフィールは従来のガソリン車とあまり変わりがない。アクセルワークに応じて穏やかにモーターがアシストする仕組みなので、モーターが働いているかどうかはインパネ内のエネルギーモニターを見るなどしないと分からない。モーターの存在を意識させない加速感なので、走りの実感としては普通のクルマとほとんど同じと評価できる。
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ホンダのIMA方式ハイブリッドシステムではエンジンは常に回る。モーターはあくまでもアシスト役に徹している
シフトレバーを操作して走り出しても従来のガソリン車とあまり変わりがない。モーターの存在を意識させない加速感だ
インパネ右側に設けられたECONボタン。これを押すと、エンジンやCVT、エアコンなどが燃費志向の制御となる
強めにアクセルを踏み込んだときも、瞬間的に加速感が立ち上がるのではなく、なだらかに加速して行き、知らないうちに速度が上がっているような感じになる。
逆にいえば、今回のフィットハイブリッドは走りの味付けがとてもマイルドで洗練されたものになっているわけ。滑らかにパワーが盛り上がる走りのフィールはとても好感の持てるものだったと評価していい。
走りの静粛性が高いことも好感につながっている。走りの実感としてはガソリン車との違いが分かりにくいが、標準の1.3L車と比べると格段に静かな走りが得られるからだ。
逆にいえば、今回のフィットハイブリッドは走りの味付けがとてもマイルドで洗練されたものになっているわけ。滑らかにパワーが盛り上がる走りのフィールはとても好感の持てるものだったと評価していい。
走りの静粛性が高いことも好感につながっている。走りの実感としてはガソリン車との違いが分かりにくいが、標準の1.3L車と比べると格段に静かな走りが得られるからだ。
マイルドで洗練された走り。滑らかにパワーが盛り上がるフィールはとても好感が持てる。もちろん静粛性も高く、走りの実感として違いが分かりにくいものの、標準の1.3L車と比べると格段に静かな走りが得られる
ボディの軽さを活かし、EVモードの走行領域を拡大
メーターはインサイトなどと同じくアンビエントメーターを採用。燃費の良い走りをしているときはリング状の照明が緑色になる
一定の速度で走行中に少しずつアクセルを緩めていくとEV走行に入る。IMA方式のハイブリッドはボタンひとつでEVモードにしたりすることはできないが、ドライバーが走り方を工夫することでEV走行に持ち込むことができる。そしてフィットハイブリッドではボディの軽さが貢献して、インサイトなどに比べてEVモードの領域が広くなり、持続時間も長くなったと評価していい。
EV走行に入ると、インパネ内のエネルギーモニターに表示されるクルマのルーフに小さくEV文字が表示される。本当に小さいので注意してみないと分からないくらいの表示だ。時速40kmくらいでほんのわずかにアクセルを踏み込んだ状態を維持するのがEV走行を続けるコツである。
この状態でもエンジンは回っている(バルブは閉じているので燃料は使っていない)のでタコメーターの針も1000回転あたりを示しているが、電気だけで走っている。
メーターはインサイトなどと同じアンビエントメーターが採用され、燃費の良い走りをしているときにはリング状の照明が緑色になり、燃費に良くない走りをしているときには青色になる。
アクセルペダルから完全に足を離すと、最初は燃料カットの空走状態になり、次いでエネルギー回生に入る。さらに停止するためにブレーキペダルを踏むと、回生に加えて油圧も加わって両方のバランスで制動がかかっていく。このあたりのフィールも通常の油圧ブレーキと変わらない感じになるようチューニングされている。
クルマが停止する寸前には多少の違和感が感じられるが、意識していないと分からないくらいのレベルである。それくらいに自然なブレーキフィールと考えていい。
EV走行に入ると、インパネ内のエネルギーモニターに表示されるクルマのルーフに小さくEV文字が表示される。本当に小さいので注意してみないと分からないくらいの表示だ。時速40kmくらいでほんのわずかにアクセルを踏み込んだ状態を維持するのがEV走行を続けるコツである。
この状態でもエンジンは回っている(バルブは閉じているので燃料は使っていない)のでタコメーターの針も1000回転あたりを示しているが、電気だけで走っている。
メーターはインサイトなどと同じアンビエントメーターが採用され、燃費の良い走りをしているときにはリング状の照明が緑色になり、燃費に良くない走りをしているときには青色になる。
アクセルペダルから完全に足を離すと、最初は燃料カットの空走状態になり、次いでエネルギー回生に入る。さらに停止するためにブレーキペダルを踏むと、回生に加えて油圧も加わって両方のバランスで制動がかかっていく。このあたりのフィールも通常の油圧ブレーキと変わらない感じになるようチューニングされている。
クルマが停止する寸前には多少の違和感が感じられるが、意識していないと分からないくらいのレベルである。それくらいに自然なブレーキフィールと考えていい。
メーター中央のマルチインフォメーション・ディスプレイには燃費情報などさまざまな情報を表示。一番右のエネルギーフロー画面では、EV走行時にはクルマアイコンのルーフ部分に「EV」の文字が表示される
新型フィットにはハイブリッドに限らず、ブレーキ・オーバーライドという機構が採用された。これはアクセルとブレーキが同時に踏まれたとき、ブレーキを優先させてアクセルをキャンセルするもの。昨年から今年にかけてアメリカでプリウスが“暴走”したとされたことなどから、暴走を防ぐのに一定の効果がある機構として国土交通省なども採用を勧めているものだ。
フィットでは走行条件によっても違いがあるが、概ね0.5秒ほどアクセルとブレーキがオーバーラップするとオーバーライド機構が働く仕組みにしている。私は左足ブレーキで運転しているため、個人的にはちょっと早く効きすぎる印象だったが、安全志向で設定を考えるとこうなるのだろう。
フィットでは走行条件によっても違いがあるが、概ね0.5秒ほどアクセルとブレーキがオーバーラップするとオーバーライド機構が働く仕組みにしている。私は左足ブレーキで運転しているため、個人的にはちょっと早く効きすぎる印象だったが、安全志向で設定を考えるとこうなるのだろう。
優れたパッケージングで、ハイブリッドもフィットらしさはそのまま
アンビエントメーターに加え、シャンパンメタリック塗装の専用インテリアパネルなどでインテリアも先進的なイメージに仕上げている
フィットハイブリッドは標準のガソリン車に比べると120kgほど重量が重くなる。にもかかわらず30.0km/Lの燃費を実現しているのはハイブリッドならではだ。
重くなった理由はフロントの電気モーターと後部に搭載された電池と制御系。ボンネットフードを開けるとびっしりという感じで埋まっていて、後部のバックドアを開けるとラゲッジスペースは何も変わらない感じだがフロアアンダーボックスがなくなっている。
ただ、基本パッケージングが極めて優れたものであるため、標準車に対して大きな変更を加えることなくハイブリッド車に仕立て上げることができている。フィットのセンタータンクレイアウトの素性の良さが貢献したものといえる。
重量増はフロントが50kg、リヤ70kgという感じなので、全体には重くなったが前後の重量バランスは良い方向に向かっている。重量増に対応して足回りはやや硬めのチューニングが施されたようで、標準車に比べるとやや硬めの乗り味に仕上げられていた。またステアリングのフィールなども中立付近での落ち着きを良くしたとのことで、高速クルージング時の安定性が向上している。
重くなった理由はフロントの電気モーターと後部に搭載された電池と制御系。ボンネットフードを開けるとびっしりという感じで埋まっていて、後部のバックドアを開けるとラゲッジスペースは何も変わらない感じだがフロアアンダーボックスがなくなっている。
ただ、基本パッケージングが極めて優れたものであるため、標準車に対して大きな変更を加えることなくハイブリッド車に仕立て上げることができている。フィットのセンタータンクレイアウトの素性の良さが貢献したものといえる。
重量増はフロントが50kg、リヤ70kgという感じなので、全体には重くなったが前後の重量バランスは良い方向に向かっている。重量増に対応して足回りはやや硬めのチューニングが施されたようで、標準車に比べるとやや硬めの乗り味に仕上げられていた。またステアリングのフィールなども中立付近での落ち着きを良くしたとのことで、高速クルージング時の安定性が向上している。
ガソリン車に比べると120kgほど重量が増えているものの、30.0km/Lの低燃費を実現。重量増はフロント50kg/リヤ70kgと、前後の重量バランスは良い方向に向かっている。足回りは専用設計で、やや硬めの乗り味だ
センタータンクレイアウトなど、優れた基本パッケージングにより標準車同様の多彩なシートアレンジが可能だ
こちらは無限バージョンのフィット・ハイブリッド。「HYBRID」ロゴが点灯するハイブリッドイルミネーショングリルや専用チューニングを施したスポーツサスペンションなどハイブリッド専用パーツを用意する
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【ホンダ 新型フィット 試乗記一覧】
■ページ1:まずは話題のハイブリッドに迫る!
■ページ2:ガソリン車も見逃せない! ダイナミックに磨き上げた「RS」にも注目!!
車名 | ホンダ フィット ハイブリッド |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 3900×1695×1525mm |
車両重量[kg] | 1130kg |
総排気量[cc] | 1339cc |
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] | 88ps(65kW)/5800rpm |
エンジン最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 12.3kg-m(121N・m)/4500rpm |
モーター最高出力[ps(kw)/rpm] | 14ps(10kW)/1500rpm |
モーター最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 8.0kg-m(78N・m)/1000rpm ※エンジン始動時:9.4kg-m(92N・m)/500rpm |
ミッション | CVT |
10・15モード燃焼[km/l] | 30.0km/l |
定員[人] | 5人 |
税込価格[万円] | 159.0万円 |
発売日 | 2010/10/08 |
レポート | 松下宏 |
写真 | オフィスマッシュルーム |
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(レポート:松下 宏)
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