【スマート フォーツーmhd 試乗記】アイドルストップ機構搭載でさらなるエコを実現[CORISM] [CORISM]

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【その他】2009/01/05

これもハイブリッドなのだ

スマート フォーツーmhd サイドビュー
 スマート フォーツーにスタート/ストップ機構(アイドルストップ機構)の付いたフォーツーmhdが追加された。追加というか、フォーツー全車がmhdになったので、フォーツーがフォーツーmhdに変更されたというのが正しいのかも知れない。
 mhdとはマイクロ・ハイブリッド・ドライブの略。そんな風に言われると日本人として首をかしげてしまうが、世界的にはこれもハイブリッドなのだという。
 日本ではプリウスやシビックなど、ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせて走るのがハイブリッド車というイメージだが、欧州ではハイブリッドの意味がもっと広く使われているという。
 ハイブリッドにはざっと4段階があって、その最初のレベルがフォーツーmhdに採用されたアイドルストップ機構の付いたクルマのことで、第二段階になるとこれに回生ブレーキが加わったクルマになり、第三段階になると電気モーターを補助的に使って走るホンダ型のハイブリッド車になり、第四段階がEV走行モードも持つプリウス型のハイブリッド車になるというのが欧州でのハイブリッドの考え方とされている。
 いずれにしてもフォーツーmhdにはアイドルストップ機構が採用されている。この機構は走行中にブレーキを踏んで時速が8km以下に落ちると、その状態でエンジンがストップする。そしてブレーキから足を離すとわずか0.35秒で始動する仕組みだ。
 欧州での市街地走行では時間で測定すると走っている時間は3分の2ほど、信号待ちなどで停車している時間が3分の1ほどになるという。この停車時間中にエンジンが停止すれば、その分だけ燃費が良くなるのは確実。停車中はアイドリングだけなので燃料消費量は多くはないが、0km/Lの状態が続くわけだから、燃費は悪くなるばかりだ。渋滞や信号待ちの多い日本ではよりそうした傾向が強まるだろう。日本の 10・15モード燃費では24%の向上になったという。
スマート フォーツーmhd フロント

全長約2.7mの可愛らしいスタイルが非常に印象的だ。ヨーロッパでは日常の足として、あらゆる場面で活躍する姿が見られる。

スマート フォーツーmhd リヤ

独特の縦横比により、小さいながらも個性的で存在感のあるフォルムだ。シンプルなデザインは見た目にもエコという印象を与えてくれる。

スマート フォーツーmhd フロントマスク

可愛らしいヘッドライトやフロントグリルがとても印象的。ボンネットは短いが、衝突安全性もしっかり確保されているのはさすが。


スマート フォーツーmhd リヤビュー

オープン仕様のカブリオレ(写真)とクーペをラインアップする。ハイマウントストップランプは、幌部分に内蔵されている。

スマート フォーツーmhd リヤコンビランプ

リヤコンビランプはシンプルな形状だが視認性は高く、安全面でも問題はない。サイドに見えるのはエンジンの空気取り入れ口。

スマート フォーツーmhd 15インチタイヤ&ホイール

15インチのタイヤ&アルミホイールを装着する。駆動方式がRRということもあり、前後で幅の異なるタイヤを履いている。

エンジン停止状態からの再始動はもうひとつ

スマート フォーツーmhd 走り
 フォーツーmhdに試乗すると、想像していた以上に簡単にエンジンが停止する。ブレーキを踏んで減速していくとクルマが止まる前にエンジンが止まるので、本当に良くアイドルストップ状態になるという印象だ。ブレーキにはエンジンの負圧を使うのでブレーキ性能に影響が出るかと思ったが、その懸念も無用。十分に減速して停止する直前でエンジンがストップするのでブレーキ力に問題が感じられることはなかった。
 微妙な速度での渋滞を想定して、時速 8km前後でのアクセルのオン/オフを試したりもしたが、mhdによる違和感はなかった。そもそもフォーツーはAMTのトランスミッションを採用するため、AMTの変速時にトルクが抜けるという違和感があって、それのほうが大きいことも理由だ。AMTは初期のスマートに比べたらずっと良くなっているが、それでもまだまだの部分が残る。日本には軽自動車やコンパクトカーにはるかにデキの良い4速ATやCVTが採用されているからだ。
 フォーツー mhdのアイドルストップにはほとんど問題を感じなかったが、再始動にはまだ改善の余地が感じられた。ブレーキペダルから足を離すとそれこそ0.35秒で始動するから、これは相当に早いのだが、0.35秒というのは始動が始まるまでの時間で、スターターモーターが回って始動が終わるまでにはもう少し長い時間がかかる。
 私は日頃から2ペダル車では左足ブレーキを使っているので始動の遅れを感じたのかも知れない。私の乗り方では左足から足を離した瞬間にはもう右足がアクセルペダルの踏み込みを始めている。このような使い方をすると、エンジンの始動が終わる前にアクセルを踏み始めているわけで、始動の遅れを感じることが何回もあった。乗っているうちに慣れてきて、段々にアクセルの踏み込みをわずかに遅らせるようになったので、違和感は薄れたが、もっと早く始動を終わらせたほうが良いのは当然だ。
 なお坂道での発進時にはヒルスタートアシストが働いて、ブレーキペダルから足を離してもしばらくはブレーキ圧が保持されるのでクルマが後退することはない。坂道発進をしかけてアクセルを緩め、再発進しようなどというときには最悪の場合には後退することも考えられるが、このようなときには再び完全に停止させてから発進を試みれば、ヒルスタートアシストが改めて機能する。
 またエアコンの仕様などでバッテリーの残量が少なくなってきたときにはアイドリングストップが働かない仕組みになっているほか、ドライバーの意志でアイドルストップをカットするスイッチも付いている。
スマート フォーツーmhd インテリア

丸いメーターをはじめ、ほのぼのした雰囲気のインテリア。小物の収納スペースも豊富で、日常の足としての使い勝手の良さは文句なし。

スマート フォーツーmhd シート

ボディは小さいが、室内空間は十分満足できる広さが確保されている。シートはシンプルな造りだが、長時間乗っていても疲れにくい。

スマート フォーツーmhd シフトレバー

マニュアルベースのATはシフトアップ時などに違和感を感じる場面もある。アイドルストップ機構は、スイッチでオン /オフが可能。

スマート フォーツーmhd サイドビュー

簡単に取り戻せる価格差に納得

スマート フォーツーmhd エンブレム
 フォーツーmhdの価格は、クーペ、カブリオとも従来のフォーツーに比べて8万円高の設定だ。クーペなら184万円で手に入る。この価格差は表面的なもので、実際には現在は省エネルギーセンターが窓口になっているアイドルストップ機構装着車に対する補助金の対象になるため、購入すると3万5000円の補助金が受けられる。なので実質的な価格差は4万5000円ということになる。
 それでいて燃費は24%も向上した23km/Lになったから、走り方にもよるが、燃費の差で価格差が簡単に取り戻せる。これなら多くのユーザーがmhdを選ぶだろうということで、フォーツーは全車がmhdとされたのだ。
 日本では現在も、ヴィッツやミラでアイドルストップ機構を採用したモデルがラインナップされているが、いずれも標準モデルとの燃費の差が少なく、燃費で価格差を取り戻せるような設定になっていないため、実際にはあまり売れていない。それに比べるとフォーツーmhdは全車がmhdである上に、経済合理性にもかなっているので、これまで以上に売れるのではないかと評価したい。
 ひとつだけ残念なのは、燃費では平成22年基準+25%が達成されているものの、低排出ガスについては☆☆☆の平成17年基準−50%のの低減レベルにとどまっている。これが-75%低減レベルでないとグリーン税制の適用が受けられないので、この分がやや残念なところ。国産車でもターボ車はほとんどが☆☆☆だから止むを得ないのだが……。
スマート フォーツーmhd 走り
スマート フォーツーmhd 走り
スマート フォーツーmhd 走り

スマート フォーツーmhd リヤ

代表グレード スマート フォーツー クーペmhd
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 2720×1560×1540mm
車両重量[kg] 830kg
総排気量[cc] 999cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 71ps(52kw)/5800rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 9.4kg-m(92N・m)/4500rpm
ミッション 5速AT
10・15モード燃費[km/l] 23.0km/l
定員[人] 2人
税込価格[万円] 184.0万円
発売日 2008/12/2
レポート 松下宏
写真 森山良雄

(レポート:CORISM編集部

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