【メルセデス・ベンツ C63 AMG試乗記】これはワゴンの顔をした純スポーツカーだ![CORISM] [CORISM]

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【メルセデスベンツ】2009/03/03

AMG独自開発スペシャルエンジン搭載

 メルセデスと言えば、Sクラスに代表される高級車をイメージする人が大部分だろう。Cクラスは、エントリーモデルとして、Sクラスの様な威圧感が無く “小さな高級車”として親しみを感じる。このCクラスのボディにAMGは、なんとV8・6.2リッターエンジンを滑り込ませた。
 しかも普通の V8エンジンではなくAMGが独自に開発し、SクラスやSLクラスなどAMGのトップモデルにも搭載したスペシャルなエンジンである。AMGの良心(?)でC63用にデチューンされているが、それでも馬力は457ps、最大トルクは61.2kg-mもあり、1.7トンの車重には明らかに過剰なパワーである。
 C63にはセダンとステーションワゴンの2車種があり、今回の試乗車はステーションワゴンである。エクステリアは張り出したフェンダーや専用スポイラー、前:235/40R18、後:255/35R18のワイドタイヤとホイールからAMGロゴ入りの大キャリパーが覗き、Cクラスとは思えない凄みを感じる。しかし、少しクルマから離れて全体を見るとワゴンボディの柔らかなラインがメルセデス本来の品格を感じさせると評価したい。
【メルセデス・ベンツ C63 AMG試乗記】エクステリア フロント 画像
【メルセデス・ベンツ C63 AMG試乗記】エクステリア リヤ 画像
【メルセデス・ベンツ C63 AMG試乗記】エンジン 画像

息の長い強烈な加速が延々と…

 インテリアは上質なレザーを使ったセミバケットシートと、AMG専用の本革巻3スポークステアリングが高級感を演出し、320km/h迄のスピードメーター及び、6.3-V8とAMGロゴがこのクルマの高性能を視覚に訴える。スタートスイッチを押すと、地響きの様な低音のビートが効いたエキゾーストサウンドが聴覚からC63 AMGはタダモノでないと伝えてくる。
 駐車場を出て、10mも走らないうちにスポーツカー顔負けと言うより、スポーツカー以上に固いサスペンションに驚いた。路面の凹凸を正確にトレースし重厚なシートに座っているのに身体を強く刺激する。日本の道路事情の悪さを実感させられるが、ボディが路面にピタっと張り付き、高剛性のボディだから成立するハードなサスペンションだろうと評価していい。
 エンジンは想像通り、軽くアクセルを踏み込むと言うより触るだけで流れをリードする。高速道路でアクセルを踏み込めば車重が無くなったように息の長い強烈な加速が、ジェット機の離陸のように延々と続く。高回転域では同じエンジンを搭載しているAMGモデルより切れ味は少し落ちるが、過剰というより危険なパワーなのでESP(横滑り防止装置)をオフにする勇気はない。
【メルセデス・ベンツ C63 AMG試乗記】 エクステリア フロント 走り 画像
【メルセデス・ベンツ C63 AMG試乗記】 エクステリア リヤ 走り 画像
【メルセデス・ベンツ C63 AMG試乗記】 インテリア フロントシート 画像

運転を楽しめるのがこのクルマの利点高評価!

 遅いクルマが追い越し車線に出てきても、強力なブレーキと路面に吸い付くサスペンションが今度は逆噴射のように強烈にスピードを落とす。7速ATはシフトショックも少なく、Dレンジに入れておけば、どんなスピードでも右足のアクセルペダルに俊敏に反応し身体がシートにめり込み、パドルシフトの必要性を感じない。コーナーでは重いV8エンジンをフロントに搭載しているとは考えられない程ニュートラルなステアリングで、安心してコーナーを攻められる。濡れた路面ではアクセルを踏み込む勇気とテクニックを試されるが、レーサーでなくても運転が楽しめるのが、このクルマの利点だと高評価だ。
 すっかりスポーツカーの楽しさを堪能したが、4人乗車でも広々とした室内と大きなトランクスペースを持ったワゴン車である。強烈なエンジンの存在感、そしてそれを手なずける想像を超えたハードなサスペンション、今までのメルセデスになかった運転する楽しさに溢れ、ワゴンの顔をした純スポーツカーと呼びたいクルマである。

(レポート:丸山 和敏

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