【三菱 新型 RVR 試乗記】ちょっと懐かしいブランド名”RVR”が帰ってきた

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【三菱】2010/03/14
RVR SUV 三菱 試乗評価

 

手頃なボディサイズで日常の使い勝手を重視した

三菱 RVR エンブレム
 三菱が久々に投入した新型車のRVRは、かつて大ヒットしたRVRとはややコンセプトを異にするが、手頃なサイズで街乗り重視のコンパクトなSUVという点は共通する。まだSUVという言葉が一般的にはなっていない1991年にデビューした初代RVRは、乗用車のエクステリアをSUV風に仕上げたもので、オフロードを走るためのクルマではなかった。
今回のRVRも積極的にオフロードを走るためのクルマではないが、高めのロードクリアランスを持つSUVボディと電子制御4WDによって一定程度に悪路走破性を備えている。RVRというよりはパジェロイオの後継モデルに近い印象もあるが、乗用車的な性格の強さやかつて大ヒットしたビッグネームであることなどから、RVRという名前が選ばれたようだ。
基本コンセプトは適度なサイズのコンパクトSUVというもの。今の日本でSUVがあまり人気を集めなくなったのは、大きく重くて燃費が悪いというイメージがあるためだが、RVRはそうした SUVの常識を破るクルマとして開発が進められた。

三菱 RVR フロントビュー

SVUらしい存在感のあるフォルムが特徴的。全幅こそ1770mmと広いが、全長は4.3mを切るコンパクトなボディで取り回しも楽にできる。

三菱 RVR リヤビュー

立体的なフェンダーや、サイドのキャラクターラインが躍動感を感じさせる。前後のオーバーハングは切り詰められ、悪路での走破性にも配慮している。

三菱 RVR フロントマスク

最近の三菱車のアイデンティティである「ジェットファイターグリル」と呼ばれる逆にスラントしたフロントグリルを採用。 SUVらしい力強さを演出した顔つきだ。

全モデルがエコカー減税&補助金に適合!

三菱 RVR リヤビュー
 新型RVRのボディサイズは全長が4300mmを切り、この点でコンパクトSUVといえる。ただ、今どきのクルマなので全幅は1700mmを超えており、登録は3ナンバー車になる。手頃なサイズとしたことは重さの抑制にもつながっていて、2WD車で1300kg台、4WD車で1400kg台という車両重量は、普通のセダンに比べたらちょっと重いものの、SUVの中ではかなり軽い部類に入る。樹脂フェンダーの採用なども軽量化につながった。結果として燃費が良くなり、2WD車も4WD車も☆☆☆☆&+15%を達成し、エコカー減税&補助金に適合させている。
外観デザインはフロントに最近の三菱車を象徴する逆にスラントした台形のジェットファイターグリルを採用するとともに、SUV的な力強さを表現されている。サイドビューは前後のオーバーハングを切り詰めた密度の高いデザインが特徴。軽快感や躍動感を伝えるものとされた。ルーフレールはビルトインタイプのものがオプション設定されている。

三菱 RVR スーパーワイドHIDヘッドランプ

最上級グレードの「G」に採用されるスーパーワイドHIDヘッドランプ。通常のハロゲンランプの約3倍の照射角を実現し、夜間の安全運転に貢献する。

三菱 RVR リヤコンビランプ

リヤコンビランプは横長のデザインで、ワイド感を強調したもの。質感も高く視認性にも優れている。

三菱 RVR パノラマガラスルーフ

パノラマガラスルーフは濃色のUVカットガラスとサンシェードを採用しているので、夏場でも車内が熱くなりにくい。開口部は非常に広く、開放感の高さは抜群だ。スタイリングへの影響が少ないビルトインルーフレールもセットで装着される。

SUVと乗用車のテイストを融合させたインテリア

三菱 RVR インテリア
 三菱 RVRは、全高の高いSUVながら2WDも4WDも同じ最低地上高と全高で、運転席の座面高はそれほど高くはない。このため乗用車に乗るのとそう変わらない感じで自然な姿勢で乗り降りできる。オフロード走行を前提にした本格的なSUVになると、アシストグリップを使って運転席によじのぼるような感じになるクルマもあるが、RVRのパッケージングはそれとは違って乗用車感覚の強いものだ。
インテリア回りの雰囲気はSUV的でもあり、乗用車的でもあるといった感じ。シンプルなデザインながらSUVらしい機能性も表現されていると評価。RVRは基本プラットホームなどをアウトランダーと共用しているが、インパネ回りのデザインなどはそれぞれ独自のものとされている。運転席に座ったときの広さ感などはともかく、デザインなどはアウトランダーとは違うものだ。
後席の空間も十分なもの。ホイールベースはアウトランダーと同じなので、コンパクトなボディの割には後席の空間は広い。ただ、ラゲッジスペースとの取り合いもあってか、後席のシートは背もたれが立ち気味。運転席ならアップライトの運転姿勢は好ましいものだが、後席の乗員がくつろぐためにはもう少し傾けられると良いと指摘する人もいた。2段階の切り換えが可能だが、傾けた状態でも立ち気味の姿勢になるようだ。

三菱 RVR インテリア

インパネは立体的な造形で、躍動感を表現。運転席からの視界はとてもよく、狭い道などでも運転はしやすい。

三菱 RVR フロントシート

「G」グレードには本革シートもオプションで用意される。横方向のサポートはしっかりしており、スポーティな走りにも耐える。もちろん長時間乗っていても疲れにくい形状だ。

三菱 RVR リヤシート

背もたれがやや達気味なのが気になる部分だが、足元や頭上のスペースには余裕があり、快適に移動できる。

装備充実の「G」グレードのお買い得感が高い!

三菱 RVR ラゲッジ
 新型RVRは2WDと4WDがそれぞれ3グレードの構成で、基本メカニズムの部分は共通だから、装備の違いがグレードの違いになる。Eは装備が大幅に省略されていて安さの魅力で選ぶグレードで、中間グレードのMは多少は装備が充実するし、オプションで選択できる装備も多くなるが、魅力的なのは快適装備が充実した最上級グレードのG。Mを選んでいろいろなオプションを装着するくらいなら、Gを選んだほうが安上がりになる価格設定なのだ。
Gは外観が差別化されるほか、HIDヘッドライト、本革巻きステアリングホイール、フルオートエアコン、キーレスオペレーション、オートライトなどが標準で装備されるから、これがイチ推しのグレードだ。
なお、安全装備は運転席&助手席SRSエアバッグやSRSニーエアバッグ、ABSなどが全車に標準。 SRSサイド&カーテンエアバッグは全車にオプション設定だ。横滑り防止装置のASCは4WD車に標準で、2WD車にオプション設定されている。後席中央にも3点式シートベルトとヘッドレストが装備されていて、このあたりは三菱らしいこだわりが示されている。

三菱 RVR メーター

最上級グレードの「G」はメーター表面のガラスに低透過率のスモークガラスを採用。上質感をプラスしたのが特徴だ。

三菱 RVR インパネ

バックモニターつきのHDDナビは、USB端子も備えている。携帯音楽プレーヤーの接続も可能。オプションのロックフォードフォズゲート製のプレミアムオーディオの音質はかなりのもの。

三菱 RVR ラゲッジ

ラゲッジはとても広く、シートアレンジも簡単だ。ラゲッジアンダーボックスも備えているので、使い勝手は非常にいい。

パワフルなエンジンとCVTを組み合わせ燃費も良好

三菱 RVR 走り
 新型RVRの搭載エンジンは直列4気筒1.8リッターの自然吸気DOHC。全車にINVECS-IIIの6速スポーツモード付きCVTが組み合わされる。このエンジンは2009年暮れのマイナーチェンジでギャラン フォルティスに搭載されたのと同じもので、必要十分な動力性能を備えると同時に、燃費性能に優れるのが特徴。効率の高いトランスミッションであるCVTと組み合わされることもあって、2WD、4WDとも15km/Lを超える燃費を達成している。
走りのフィールは乗用車に乗るのとそう変わらない。ボディそのものの軽さが貢献してアクセルを踏み込むのに応じて気持ち良い走りが得られる。段差のあるATの加速感と違って滑らかで切れ目のないCVTの加速感がRVRの走りをより気持ち良いものにしている。
エンジンの動力性能は139ps(102kW)/17.5kg-m(172N・m)で、トルクは排気量に応じた数値だが、パワーは競合車の2リッターエンジンを上回るくらいの数値なのだから、ボディの軽い走りに軽快感が感じられるのも当然だ。
フットワークはより重量の軽いFFには一段の軽快感があり、4WDには重量バランスの良さと安定感があって、どちらを選ぶかは微妙なところ。個人的には SUVタイプのクルマを選ぶなら4WDにしたほうが良いとの考えを持っているが、2WDという選択もありえるように思う。

三菱 RVR 1.8リッターエンジン

新型RVRに搭載されるエンジンは1.8リッター直4のみ。トルクは平均レベルだがパワーは十分あり、車重の軽いFFモデルではかなりの動力性能を発揮する。

三菱 RVR シフトレバー

ミッションは6速マニュアルモード付きのCVTを全車に搭載。燃費がいいのも特徴で、FF車で15.2km/L、4WD でも15.0km/Lという数値をマーク。もちろん全車エコカー減税&補助金の対象車だ。

三菱 RVR 17インチタイヤ&アルミホイール

グレードにより17インチ(写真)または16インチのタイヤ&アルミホイールを装着する。しっかり感のあるハンドリングと快適な乗り心地を両立し、コーナーでの安定感も高い。

コーナーでも安定した走りが味わえる

三菱 RVR 走り
 RVRの足回りはちょっと硬めのしっかりした感じの乗り味。セダンに比べたら重心高やアイポイントはやや高めになるが、コーナーでもしっかり踏ん張って安定感のある走りを見せる。ぐらっとくるような感じはないので安心して走れる感じだ。
やや気になる点を挙げるなら、時速20〜30km程度の低速時に1000〜1500回転でエンジンが回っているときにステアリングに微妙な振動を感じたこと。ステアリング系なのかトランスミッションからくるものなか分からないが、やや違和感があった。
4WDは電子制御4WDだが、スイッチ操作ひとつで2WDと4WD、4WDロックの切り換えが可能。ぬかるみからの脱出のために4WDロックは必要としても2WDと4WDの切り換えは必要なのかどうか。通常走行時の燃費を良くするためには2WDがあったほうが良いともいえるが、切り替えを忘れて2WDにしたままで滑りやすい路面を走ってしまうリスクを考えると、2WDへの切り換えスイッチはの必要性は微妙だ。
そんなことも含めてRVRのお勧めグレードは4WDのGになる。これにカーナビをオプション装着すれば良い。好みに応じてパノラマガラスルーフ、本革パワーシートなどを追加すれば良い。オプションの装着にもよるが、車両価格+諸費用−エコカー減税&補助金=300万円くらいのイメージで考えたら良いだろう。
三菱 RVR 走り
三菱 RVR 走り
三菱 RVR 走り

代表グレード 三菱 RVR M(4WD)
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4295×1770×1615mm
車両重量[kg] 1420kg
総排気量[cc] 1798cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 139ps(102kw)/6000rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 17.5kg-m(172N・m)/4200rpm
ミッション CVT
10・15モード燃費[km/l] 15.0km/l
定員[人] 5人
税込価格[万円] 218.4万円
発売日 2010/2/17
レポート 松下宏
写真 近藤暁史
(レポート:松下 宏

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