昨年秋にフルモデルチェンジしたプジョー208 に、当初の予定よりも少し遅れて、1.2LエンジンがETG5（エフィシェント・トロニック・ギアボックス）と呼ぶ2ペダルで乗れるシングルクラックのトランスミッションと合わされ登場した。

新開発されたEB2型の3気筒1.2Lエンジンは、完全に新世代のエンジンだ。4気筒ではなく3気筒にしたことにより、重量が20％ほど軽くなり、フリクションロスも30％減少したという。当然ながら燃費は大幅に向上して19.4km/Lを達成している。

プジョー208の発売当初に搭載されていた1.6Lエンジンに比べると、出力は120psから82psに、トルクは16.3kg-mから12.0kg-mへと大幅にダウンしている。なので、走る前はどの程度の走行性能なのか不安な部分もあったが、実際に走らせて見るとけっこう良く走った。

新エンジンは可変バルブタイミング機構の採用などにより、より低い回転数で最大トルクを発生するようになり、中低速域でトルク感に優れた走りを実現することが、走りの良さを感じさせている。

当然ながら、3気筒にありがちな振動などはみじんも感じさせず、何も言われないで乗ったら4気筒と思ってしまうような印象だ。吹き上がりのフィールも上々で、走りには軽快感があった。

強いていえば、エコカー減税の対象にならないのが残念なところだが、極めて魅力的な新エンジンであるのは間違いない。

　プジョー208に組み合わされるETG5のトランスミッションもなかなか良かった。欧州で多く使われているシングルクラッチの一種だが、シングルクラッチの中では最も良いと評価できる。

5速MTを電子制御化したETG5は、2ペダルで乗れるオートマチックモード付きだ。これまでのシングルクラッチが、変速時にトルク抜けを示すことが大きなネガになっていたのに対し、ETG5ではそれが良く抑えられているのだ。

日本の最新のATやCVT並みというわけにはいかないが、これまでのシングルクラックが感じさせた違和感いっぱいの走りとは違って、通常のATとそう変わらない感覚の変速を実現する。発進時にていねいに走り出せば、不満を感じることなく走らせることが可能である。

クリーピングが付いているので、車庫入れなどのときに扱いやすいし、ヒルスタートアシスタンスも付いているから坂道発進も容易。使い勝手の面でも良くできている。

さらに、スタート／ストップ機構(アイドリングストップ機構)も組み合わされていて、クルマが完全に停止するとエンジンが止まる。止まった後の再始動はヨーロッパ車らしからぬスムーズさで、これにも好感が持てた。

プジョーは、新エンジンと新トランスミッションに新アイドリングストップ機構を合わせた低燃費技術を、ヨーロッパではピュアテックと呼んでいる。日本では商標の関係で、これが使えないとのことだが、3種を合わせた新パワートレーンのデキはなかなか良いと思う。

プジョー208の足回りは、基本的に従来と変わらない。フランス車にしてはちょっと硬めでしっかりした安定感がある。いかにも軽快感のあるフットワークである。

＜プジョー208価格＞
・208 Allure 5MT 2,090,000円
・208 Allure ETG5　2,190,000円
・208 XY　2,780,000円
・208 GTi　3,100,000円
・208 envy　2,090,000円
・208 Premium　2,230,000円
・208 Cielo　2,480,000円
・208 ROLAND GARROS　2,570,000円